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古内 東子_Hourglass ◇ 2009年 01月 06日
古内 東子_Hourglass_e0081370_19111656.jpg 

今回紹介するのは、古内 東子が1996年にリリースした通算5枚目となるアルバム『Hourglass』です。
私にとって1990年代は、一番音楽を聴いていない時代、音楽に触れ合っていなかった時代でもありました。ですからどうしても1990年代の音楽は、CITY POPやJ-AOR好きの私にはつまらなかった時代という印象(イメージ)があるのですが、そんな中において具島 直子やこの古内 東子は、とてもメロウで立派なJ-AORであると感じていました。特に古内 東子のアルバムは、生のリズムに拘ったバンド・サウンドによる素晴らしい演奏に支えられていて、時代を超えた完成度の高さがあると思っています。

アルバム収録曲10曲の内、5曲がL.A.録音で残り5曲が国内録音。L.A.録音はプロデュースをJames Gadsonが手掛け、国内録音は古内 東子のブレーンとも言えるベーシスト・小松 秀行が手掛けています。参加ミュージシャンも豪華で、国内録音には佐野 康夫(ds)、小松 秀行(b)、斎藤 誠(g)、石成 正人(g)、中西 康晴(key)、倉田 信雄(key)、浜口 茂外也(per)等が参加、L.A.録音にはJames Gadson(ds)、Freddie Washington(b)、David T.Walker(g)、Gregg Moore(g)、David Willams(g)、Herman Jackson(key)、Paulinho Da Costa(per)、Jerry Hey(tp)、Brandon Fields(sax)等が参加しています。
古内 東子の洒落たメロディー・センスと独特な歌声に、これだけのメンバーによる素晴らしい演奏の融合は、まさにJ-AORそのものという気がしますね。

『古内 東子 / Hourglass』
01. いつかきっと
02. 誰よりも好きなのに (Album Remix)
03. ルール
04. 心を全部くれるまで
05. かわいくなりたい
06. おしえてよ
07. ユラユラ
08. 置き去りの約束
09. あの日のふたり (Album Remix)
10. 星空

グルーヴ感溢れるアレンジが素晴らしい01。佐野&小松のリズム隊によるタイトなリズムに軽快な斎藤 誠のギター・カッティングと中西 康晴のピアノが絡むという、まさにAORチックな演奏が心地良いですね。感情表現を抑えたような古内 東子のヴォーカルもリズミカルで凄く心地良く響きます。

ラヴ・ソングの名曲02。この曲で古内 東子を注目するようになりました。アコースティックな響きを大切にした小松 秀行のアレンジが秀逸です。目立ちませんが、ホーン・セクションやストリングスの使い方が絶妙だと思いますね。古内 東子自身によるコーラス・ワークも派手さはありませんが、味わい深くて好きです。

メロウでゆったりしたグルーヴ感がたまらないミディアム・ナンバー03。ドラム、ベース、ローズ、ギターという4ピースながらも物足りなさを感じさせない演奏を聴かせてくれます。小松 秀行のアレンジ・センスの良さを感じさせるナンバーですね。佐野 康夫のドラミングと倉田 信雄のローズのプレイは素晴らしいの一言です。

L.A.録音によるメロウ・ナンバー04。JAZZYで洒落たアレンジが特徴で、特にDavid T.Walkerによるワン・アンド・オンリーのギター・プレイは輝きを放っていますね。アレンジ、演奏、楽曲、歌唱の全てがまさにメロウな1曲だと思います。

L.A.録音の05。Jerry Heyのアレンジによるホーン・セクションを加えて、リズミカルに仕上がっています。Gregg Mooreのギター・カッティングやリフでのプレイとHerman Jacksonのシンセが印象的です。

美しいバラード・ナンバー06もL.A.録音のナンバーです。聴く回数が増える毎に曲の良さが分かってくる、そんなナンバーですね。Herman JacksonのピアノとオルガンのプレイやDavid T.WalkerとGregg Mooreのツイン・ギターは、燻し銀という言葉がぴったりです。

ダンサブルなナンバー07。L.A.録音です。シンプルなバンド構成ですが、軽快で渇いたリズムが心地良いです。昼に聴いても夜に聴いても違和感の無いアレンジで、ドライブのBGMには格好の1曲と言えるかも知れません。

しっとりと聴かせるJAZZYなバラード・ナンバー08。L.A.録音です。David T.Walkerの本領発揮といった感のある1曲で、くどさの無いメロディー・ラインがライト・メロウという雰囲気を醸し出しています。Brandon Fieldsのサックス・ソロが渋いです。

グルーヴ感たっぷりの国内録音09。やはり生のリズムというのは心地良いですね。軽やかなPOPナンバーで、古内 東子独特の歌唱法が活きている曲ではないかと思います。シングルのカップリング曲らしいですが、良い曲ですね。

満天の星空を連想させるアレンジが秀逸なバラード・ナンバー10。アコースティック・ギターの名手・吉川 忠英のギターがフィーチャーされています。アルバムの中では地味な印象ですが、歌詞・メロディー共によく出来た曲だと思います。良い曲です。

古内 東子も紹介しようと思いながらも今まで紹介しなかった一人ですね。久しぶりに聴きましたが、やはり90年代のJ-AORだと思います。楽曲・アレンジ・歌の三拍子揃った非常によく出来たアルバムです。実は彼女の大ヒットした6thアルバム『恋』(1997年)も大好きなアルバムでして、どちらを先に紹介しようか悩みましたが、やはり彼女との出会いのアルバムということで『Hourglass』を選びました。
彼女のアルバムも今ではBOOK OFF等では安棚の常連になってしまい、少々淋しい気もします。しかし、もしまだ古内 東子を聴いたことが無い人は、安く入手出来ますのでぜひとも聴いてみて下さい。
ファースト・インプレッションで"凄く良い!"とは思えないかも知れませんが、2~3度聴いていくうちにこのアルバムの良さ、渋さが分かって頂けると思います。また別の機会に『恋』も取り上げてみようと思っています。
by kaz-shin | 2009-01-06 21:59 | CITY POP / J-AOR系 | Comments(10) | |
Commented by macky023 at 2009-01-06 22:33
いいアーティストや曲って、ラーメンと同じなんですよ。
一度食べてみただけでは「ピン」とこなくても、何度か
食べているうちに、その本当のおいしさに気付いていく
ものなのです。特に古内さんはそんな感じかな?
Commented by kaz-shin at 2009-01-06 23:10
mackyさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
音楽って不思議で、1度でえらく気に入ってしまうものもあれば、
聴く回数が増える毎に良さに気付くというものあります。
また、昔嫌いだったのに今は凄く好きになっているアーティストもいますし・・・。
本当にある意味では食べ物の好みに似ている気がします。
昔椎茸が大嫌いな食べ物だったのに、最近では大好きだったりするのと似てますよね(笑)

私の場合、こういうケースが結構あるので購入したCDやレコードは絶対に手放せないんです。
だから枚数が増える一方で、これが悩みのタネでもあります。

古内さんは聴くほどに良さが分かってきますね。このアルバムを初めて聴いた時は
正直つまらないという印象でしたけど、聴く毎に嵌っていきました(笑)
Commented by airplay0105 at 2009-01-07 11:28 x
遅ればせながら
今年もよろしくお願い致します。

古内さんは我々AORファンの心を鷲掴みな
正に良質なJ-AORですよね。

02で聞かれる「パラッパッパー」というホーンアレンジは
まさにJerryHeyを思わせるナイスなアレンジですよね。
私もイチコロでやられてしまいました(笑)

『恋』の紹介も楽しみにしています。
Commented by ぎっちゃん at 2009-01-07 17:30 x
私も、遅ればせながら、明けましておめでとう御座います。
今年も楽しみに拝見させて頂きます。どうぞ宜しくお願いします。
airpiay0105さんに言いたい事を全部言ってもらいました。
ブラコン、AORスキーな私の心も鷲掴まれました。
昨年、まつのすけさんのブログでレビューされてからというもの、ipodに全てのアルバムを入れて、ヘビーローテになっております。
具島直子さんを聴くあたり、さすがKaz-shinさん!と思いました。彼女もまた、メロウで東子さんとは違った魅力のある声のアーティストですよね。昨年、久々に出たアルバムもグッドです。ぜひぜひ、具島さんのレビューもお願いします!
Commented by kaz-shin at 2009-01-08 00:00
airplayさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

本当に良質なJ-AORだと思います。
特に90年代半ばという時期でありながら、生のリズムやバンド・サウンドに拘ったアレンジは素晴らしく、
古内さんの書いた洒落たメロディーに一際輝きを与えていますよね。
タイプは違いますが、メロディー・メーカーとしてのセンスはユーミンに匹敵するような気もします。
Commented by kaz-shin at 2009-01-08 00:08
ぎっちゃんさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

古内さんのアルバムを聴いて感じるのは、飛び抜けて良い曲とかつまらない曲が無くて、どの曲も平均的に出来が良いことでしょうね。
だからアルバムを通して繰り返し聴いても全く飽きませんよね。

具島さんも好きです。既に1stアルバム『miss.G』は紹介済みなので、機会をみて他のアルバムもリクエストにお応えして紹介しますね。
その時はコメントをよろしくお願いします。
Commented by shu0610 at 2009-01-08 00:20 x
しばらくROM専門でしたのでお久しぶりです。
東子さんはcity-pop好きのkaz-shinさんのブログで今まで紹介されないのがおかしいと陰ながら思っていました。
私はアワーグラスの一枚前、ストレンクスで東子様と出会いました。1曲目のアンニュイ(死語?)なイントロで早くもKOされましたね。NYのBIG NAMEが勢ぞろいしたバッキングを日本人で一番使いこなしたアーティストだと個人的には思っています。
恋までは文字通りJ-AOR路線を突き進むわけですが、2000年代に入るとレーベル移籍もあって、ややデジタルな音づくりに変わっていきます。離れたファンも多かったようですが、『フツウのこと』(2004)『cashimere music』(2005)は本来の東子ワールドな詩の世界が楽しめる佳作アルバムです。
未聴であればぜひオススメいたします。
Commented by kaz-shin at 2009-01-08 01:16
shu0610さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>東子さんはcity-pop好きのkaz-shinさんのブログで今まで紹介されないのがおかしいと陰ながら思っていました。
嬉しいお言葉ありがとうございます。
実はもっと早くに紹介したかったアーティストなんです。
恥ずかしながら私の場合、数多いCDを並べておけるスペースが無くて
ほとんどのCDを整理もせず、無造作に入れたダンボール箱が何十個も重ねられている状態なんですね。
ですから1番大変なのが、このアーティストのこのアルバムが聴きたいという時で、探すのに一苦労なんです(笑)
年末の大掃除の時に久しぶりに整理して、その時にまだ紹介していないアーティストを取り出しておいたので、今回古内さんを紹介出来ました。

やはり古内さんの魅力は楽曲の良さはもちろんですが、アレンジや演奏の良さだと思ってます。
残念ながら2000年代のアルバムは未聴です。機会があれば聴いてみたいと思います。
お薦め頂いてありがとうございました。
Commented by まるいチーズ at 2009-01-11 01:11 x
こんばんは
古内さんのアルバムは本作と「恋」の2枚だけ持っております、1st他の作品は何故かレンタルで(苦笑)、、
大ヒットした「恋」よりも本作が断然好きです、何が好きかと言いいますとサウンドです(笑)私も具島さんと並んで90年代に新譜を買った数少ないアーティストです。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます(笑)
本年も立ち寄らせてください。私が個人的に好きなだけでkaz-shin さんがご興味がおありかどうか判らないアーティストがいるのですが、そんな方たちが紹介されるのを楽しみにしております。女性シンガーで言えば いわさきゆうこさん、亜蘭知子さん、井田リエさんなどなど、ただしアナログ盤しかない方も多いのですが(笑)
Commented by kaz-shin at 2009-01-12 00:49
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。

古内さんを聴かれている人はやはり多かったんですね(笑)
70年代~80年代の音楽が好きな人にもメロディーやアレンジに関して、違和感無く聴けるのが大きいのかも知れませんね。
L.A.録音、東京録音もそれぞれにサウンドに特徴があって良い仕上がりだと思います。
サウンド的には私も本作の方が好きです。

残念ながら挙げて頂いた方は知りません。あえて言うなら亜蘭知子さんだけが聴いたことがある程度です。
リクエストにお応え出来るようにこれからも精進します(笑)
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