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本田 美奈子_Midnight Swing ◇ 2009年 04月 24日
本田 美奈子_Midnight Swing_e0081370_231482.jpg
今回紹介するのは、2005年に38歳という若さでこの世を去った本田 美奈子が1987年にリリースした5枚目のオリジナル・アルバム『Midnight Swing』です。

彼女が「1986年のマリリン」等のヒット曲を出し、アイドルとして活躍していた1980年代半ば頃は、華奢な体に似合わぬ声量を持った歌の上手いアイドルという印象を持っていました。しかし、私個人としては好きな歌声・声質では無かったので、TVで歌っている姿を見る程度でアルバムを聴いたことはありませんでした。
2005年の彼女の急逝をニュースで知り、またその後のTV番組で彼女の闘病生活を見て、ふと彼女の音楽をきちんと聴いてみたくなりました。
追悼アルバムを発売されたりしていましたし、ミュージカルで活躍していた頃のアルバムも興味がありましたし、アイドル時代の音楽にも興味がありましたが、たまたまBOOK OFFで見つけたのが、本作『Midnight Swing』でした。

『Midnight Swing』は、1985年にアイドル歌手としてデビューを果たしてから、1988年に女性だけロックバンド"MINAKO with WILD CATS"を結成して、本格的シンガーへのステップ・アップを目指していた頃への過渡期の作品だったのかも知れません。
アルバム収録曲全ての楽曲が、作詞:小林 和子、作曲:西木 栄二、編曲:大村 憲司の手によるもの。作曲家・西木 栄二はフォーク・グループ"猫"に一時期在籍していたと記憶しています。
参加しているミュージシャンは、Bernard Davis(ds)、青山 純(ds)、石坪 信也(ds)、大村 憲司(g)、小原 礼(b)、Bobby Watson(b)、小林 武史(key)、浜口 茂外也(per)等です。

『本田 美奈子 / Midnight Swing』

01. ONE SHOT
02. DO YOU REMEMBER?
03. 夢見心地
04. ABOUT~ADULT
05. はじめて言うけど・・・
06. 悲しみSWING
07. 今夜はビートに乗れない
08. DESTINY
09. 孤独なハリケーン
10. EYE言葉はLONELY

ロック調のナンバー01。本田 美奈子らしい曲と言えるのかも知れませんが、私にはどうしても彼女に似合っているとは思えません。きっとそんな思いが彼女の音楽から遠ざけていたのかも知れませんね。パンチがあって迫力のあるヴォーカルは魅力的ですが、個人的には今ひとつ好きになれないタイプの曲です。

01に比べればずっとPOPS寄りのミディアム・ナンバー02。メロディーも親しみやすく、アレンジもシンプルで良いですね。ここでのヴォーカルは抑え気味なんですが、元々力量のあるシンガーが抑え気味に歌っているというのは、余力があるという感じが歌に余裕となって現れている感じで好きなんです。

いかにも大村 憲司らしいアレンジとオリエンタル・ムードの漂うメロディーが印象的な03。この曲は本田 美奈子に似合っていると思っています。彼女にはガールズ・ポップス路線の曲をもっと歌ってもらいたかったという思いがあります。

都会的なアレンジと、どことなく歌謡曲路線の名残りを感じさせるメロディーが面白い04。本田 美奈子の歌は、やはりその声量を目一杯出していくよりもこの曲のように8分目といった感じの方が、より魅力的に聴こえる気がしますね。

バラード・ナンバー05。彼女の声にはバラードがよく似合います。サビまでのしっとりと歌う部分が特に好きです。サビでは独特の"本田節"が出てますが・・・(笑)

歌い方としては大好きな1曲06。都会的なミディアム・ナンバーですが、力を抜いたヴォーカル・スタイルと声質、メロディーが良くマッチしている曲だと思います。この曲での歌声は好きなんですが、ロック調の曲になるとどうも駄目ですね。

少しテクノ・ポップの流れを感じるロック調ナンバー07。この曲の感じが私には分水嶺になるようです。つまりこの曲までが違和感無く、気持ち良く聴ける本田 美奈子の歌い方の限界というところですね。ちょっと懐かしい感じの曲です。

スケールの大きさを感じるバラード・ナンバー08。いわゆるオーソドックスなバラード曲と言えますが、彼女の持ち味が出ている曲だと思います。この曲を聴いていると、その後ミュージカルで活躍していたことが不思議と妙に納得できてしまいました。

ヴォーカルにパンチ力のあるミディアム・ロック・ナンバー09。パンチ力のあるヴォーカル=私の苦手なタイプの曲になってしまいますが・・・(笑)。決して曲は悪くないだけに、アクの強い歌い方が勿体無いと思うのは私だけ?

グルーヴ感のあるミディアム・ナンバー10。若干のクソさはあるものの魅力的な曲ですね。シングル向きとは言えないまでも強く印象に残る曲のひとつではないかと思います。歌詞やタイトルの付け方がいかにも80'sっぽいですね。

私にとって本田 美奈子との出会いのアルバムとなりましたが、思っていた以上に聴きやすかったですね。ただ、何度も書いていますがロック調のナンバーでのヴォーカル・スタイルはどうしても好きになれません。
メロディーの良し悪し以前に、その独特でアクの強い歌い方が苦手です。ですから曲によって好き嫌いがはっきり分かれてしまいます。
今度はミュージカルで活躍するようになってからの音楽、特に2000年代にリリースされた音源を機会があれば聴いてみたいなと思っています。
もしお薦めのアルバムがあったら教えて頂けると嬉しいです。
by kaz-shin | 2009-04-24 00:33 | J-POP | Comments(4) | |
Commented by 哲学者になりたい猫 at 2009-04-24 01:23 x
彼女についてこのジャンルの音楽が好きだった同時代を生きた人は多かれ少なかれ傷を持っているんじゃないかと思ってます。つまり聴き手が望みまた客観的に合っていたPOP路線と本人が志向し邁進していったロック路線がどうにもかみ合わず背中を見送ってしまったと言う意味で。でオススメのアルバムは卓越した知識と同じ音楽通のレベルにあるkotaroさん等他の方々がお書きになる事から選ばれるのがベストだと思います。…がお前も書かんかいってKazさんの声が聞こえてきそうなので簡単に(苦笑)クラシック歌唱を身につけた後期に当たる2000年代のアルバムだったら「アヴェ・マリア」をミュージカル活躍の中期の90年代作品だったら名曲「つばさ」が収録されている「ジャンクション」がよろしいのではないでしょうか。彼女の評価は特に逝去後「作られたアイドルから本格歌手の転向」という文脈で語られ恐らく今後も多くの人はこの文脈で評価していくでしょう。もちろん私もこの文脈を肯定しますが、ただ一番シンガーとして輝やいていたのは筒美御大中心作品を歌っていたアイドル期であり、私だけはその時代を含めて死ぬまで大事に聴いてあげたいと想っています。
Commented by maco at 2009-04-24 08:59 x
はじめまして。
いつもブログ読ませて頂いています。勝手にブログにリンクも貼ってますが・・・すみません(汗)。

本田美奈子さんはアイドル時代のCDBOXで聴きましたが、↑のアルバムはあまり好きではないですね・・・。
私もKaz-shinさん同様、クセのある歌い方が好きになれません。
声は好きなんですけどね、歌もうまいし。
「ベスト盤」で充分な歌手かなと思います。

だけど、「1986年マリリン」以前の1stアルバム「M'シンドローム」は、まだクセがないので、聴けると思います。
武道館ライブのアルバムも結構好きです。クイーンや「六本木心中」のカヴァーを歌ったりしてますし。ただ、親衛隊の声がうるさいです(笑)。

「LIFE」というベストアルバムもおすすめかもしれません。
アイドル時代の代表曲や、ミス・サイゴンの曲、名曲「つばさ」が入ってますから。
Commented by kaz-shin at 2009-04-24 15:42
哲学者になりたい猫さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに聴き手側の望む音楽とアーティストの目指す音楽性にズレがあることって多いですよね。
その部分をどのように折り合いをつけていくかというのが、一番難しいところなんだと思います。
また良いスタッフに恵まれた場合は、その辺りを上手い具合にコントロールしてくれるんでしょうね。
私は、彼女の闘病生活における"生きることへの希望を持ち続けた"姿に感動して、
没後にあれこれ聴いてみたくなった人間です。
ですからアイドル期も含め、彼女の魅力を色々と探ってみたいと思います。
アルバムのお薦めありがとうございました。
Commented by kaz-shin at 2009-04-24 15:52
macoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
そしてリンクして下さっているそうで、ありがとうございます。
私の方からもリンク貼らせていただきました。

音楽の紹介記事中心に少しブログを拝見しましたが、幅広く色々聴かれていて驚きました。
最近の音楽に疎い者として、これからも参考にさせてもらいますね。

本田さんの魅力を知るには、ベスト盤をチョイスするというのは良い方法ですね。
『LIFE』は以前から気になってました。
実は今回の記事を嫁さんが読んで、『聴く?』と私に渡したのが『LIFE』でした(笑)
嫁さんが持っていたなんて全然知らなかった・・・(笑)
本人が選曲に関わっているベスト盤だけあって、とても聴きやすいですね。
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