おそらく2009年最後のアルバム紹介になると思います。年末のご挨拶は大晦日にでも思っておりますが、レビュー記事はこれが最後・・・。
さて、何を紹介しようかとあれこれ考えまして、シックでありながらAOR色の強い渋いアルバムを選んでみました。
選んだアルバムは、古内 東子が1995年にリリースした通算4作目となる『Strength』です。このアルバムは隠れ名盤とでも言いましょうか、意外とこのアルバムが好きだという人が多いんですよね。
まだ「誰よりも好きなのに」がヒットする前のアルバムですし、"コレは凄い!"というようなインパクトの強い曲もありません。
このアルバムの良さは、N.Y.で活躍する一流ミュージシャンを集めての海外録音をしたという点と、プロデュースを手掛けたMichael Colinaが個性的な古内 東子の楽曲をクールなAOR作品へと昇華させたところにあるような気がします。
AOR好きな方には垂涎もののミュージシャン達が参加しており、クレジットだけでも聴きたくなってしまうはずです。Steve Ferrone(ds)、Omar Hakim(ds)、Steve Jordan(ds)、Will Lee(b)、James Genus(b)、Nick Moroch(g)、David Spinozza(g)、Chuck Loeb(g)、Gil Parris(g)、Bob James(key)、Michael Colina(key)、Carol Steele(per)、Michael Brecker(ts)、Randy Brecker(tp)、David Sanborn(as)というFUSION系のアルバムの制作に集まったような布陣ですね(笑)
古内 東子の書くメロディーは、キャッチーと言うよりどちらかと言うと味のあるメロディーという感じがします。インパクトは無いものの、繰り返し聴いているうちに彼女の世界観に嵌ってしまうみたいな感じでしょうか。それゆえMichael Colinaの派手さはありませんが、ツボに嵌ったアレンジが相乗効果のように古内 東子の楽曲を魅力的なものにしているのではないでしょうか。
私にとってはメロディー的に大好きという曲が本当に少ないのですが、楽曲的に魅力を感じて聴いてしまうという不思議なアルバムなのです。
『古内 東子 / Strength』
01. 朝
02. Strength
03. あえない夜
04. 今の二人が好き
05. Promise
06. できるだけ
07. 秘密
08. 歩き続けよう (Album Version)
09. 幸せの形 (Album Version)
10. 雨の水曜日
ピックアップ曲:
「朝」 / 作詞・作曲:古内 東子、編曲:Michael Colina
イントロから惹き込まれる洒落たアレンジのメロウなナンバーです。音数は決して多くはありませんが、雰囲気があって秀逸なアレンジだと思います。特にイントロのMichael Breckerのテナー・サックスは、たった4小節なのに凄い存在感がありますね。
「Strength」 / 作詞・作曲:古内 東子、編曲:Michael Colina
古内 東子らしさ全開のナンバーですね。Steve Jordanのタイトなドラミング、James Genusの堅実なベース、軽快なホーンセクション、そしてDavid Spinozzaの燻し銀のギター・プレイがたまりません。そして、古内 東子のコーラス・ワークも見事です。
「今の二人が好き」 / 作詞・作曲:古内 東子、編曲:Michael Colina
アルバム中で最も好きなナンバーです。演奏メンバーは「Strength」と一緒ですね。サビのメロディーとDavid Spinozzaのギターに痺れます。特にソロは何ともN.Y.の香りがして、キャリアを感じさせるフレーズの格好良さは流石です。
「Promise」 / 作詞・作曲:古内 東子、編曲:Michael Colina
リズムはプログラミングなんですが、アレンジがお気に入りの1曲です。都会的でCOOLな演奏と古内 東子のヴォーカルの相性が抜群で、日本の女性アーティストでここまでAORっぽい曲を書ける人は少ないでしょうね。Gil Parrisのギターが凄く良いです。
「できるだけ」 / 作詞・作曲:古内 東子、編曲:Michael Colina
Bob JamesのピアノとWill Leeのベースに強く惹かれた1曲。地味目ですが、Omar Hakimのドラミング、特にハイハット・ワークが好きです。聴く回数が増える毎に魅力的に思えてきたナンバーですね。
5曲しかピックアップしていませんが、収録曲10曲に捨て曲無しと言っても良いですね。古内 東子のヴォーカルと演奏とのバランスが凄く良いです。これはアレンジの良さに尽きるのではないでしょうか。古内 東子の場合、独特で癖のある歌声やメロディーが人によって好き嫌いがはっきり別れてしまうかも知れません。しかし、AOR系が好きな人なら、このアルバムの良さは判ってもらえると思います。お薦めの1枚です。
当時CD買ったのですが、売ってしまったので最近買いなおしたのがこれです。
久保田利伸の作品にも多く関わってるソニーのジャンボ佐藤さんが、力を入れていたのが当時の彼女で、その力量でこのような海外のAORの面子をそろえられたのではないかと思われます。
だからSONYを離れたと聞いた時は正直不安でしたが、2004年ポニーキャニオンに移って、生音中心のフツウのことは大傑作でした。
CD持ってるだけのファンなのでコアな情報はわかりませんが、このタイトなAORセンスは彼女自身がコントロールしているんだなとかなり感心しましたよ。
男性ならまだしも今日本でここまでかっこいいAORできる人はいないです。
『Hourglass』についで、二枚目だと思うのですが、
向こうの記事に、「BOOK OFFでは安棚の常連になってしまい・・・」云々と
書かれていますよね。
でも、それ、私には、最近は少しは適正価格に落ち着いて来た様にも感じますよー。
そんな当時でも、一番入手しにくかったのが、『Strength』でした。
なんと言ってもバックがこのメンツ!
バックがすごいという事を知っている人ならまず早い物勝ちで買いますよね!
(スマップのCD『007』と同じ現象ですかね・・・)
しかーし、ひとつだけ不満な所があります。
彼女のアルバムすべてについて言えることだけど、
楽器のソロがすくなーい!!
間奏ぐらいソロのオンパレードにして欲しいいーーー!!
私だけの欲張りですかね??
実は今年の1月に初めて古内 東子さんのアルバム(「Hourglass」)を紹介しました。
年末のこの時期にまた紹介するのも一興かと思いまして・・・(笑)
ポニーキャニオン移籍後のアルバム、曲はまだ聴いたことがありません。
機会があればぜひとも聴いてみたいと思います。
じゅんこさんにとって2010年が良い年でありますように・・・。
今年1年本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
>私には、最近は少しは適正価格に落ち着いて来た様にも感じますよー。
依然私の近所のBOOK OFFでは250円、500円で売られていることが多いですね。
ただ最近のBOOK OFFは昔のようないい加減な値段付けはしていないのは確かですね。
その分お宝探しの楽しさは減ってしまいましたが・・・(笑)
古内のアルバムは、このアルバムに限らず国内録音でもアレンジに関しては素晴らしいものが多いですね。
歌詞・メロディー・アレンジ・演奏・ヴォーカルのトータル・バランスの良さが古内さんの魅力ですね。
>楽器のソロがすくなーい!!
言われてみると、本当にそうですね。でもあまり違和感を感じなかったのは、やはりアレンジの良さなんでしょうか・・・。
Kenny Uさんにとって2010年が良い年でありますように・・・。
私の大好きなアルバムを紹介していただいて、嬉しい限りです。
私も以前、プロデューサーのMichael Colinaのことを中心にして、このアルバムの記事を書いたことがあります。
きっと、kaz-shinさんの好みにも合うと思ってました。
Kenny Uさんのコメントに同感な私は、Smapの「006」から以降6枚くらいを持っています。演奏がバツグンなんですよねー。
えーっと、来年も楽しい記事を期待してます。
よろしくです!
さて、恥ずかしながら東子さんほぼ全コレの私ですが、ITUNEで並べてみるとやはりこのアルバムが一番好きであることが一目瞭然に分かります(☆4個が3曲!)。
でもkaz-shinさんがコメントした曲では”朝”以外は評価低めなんですよね・・・。残りの2曲はOmar Hakimのドラミングがさく裂する”幸せの形”とBob Jamesによるアコースティックピアノのイントロが素敵な”あえない夜”になります。蛇足ながら東子様の私的NO1song(☆5個)はもうひとつ前のhugの6曲目、”peach melba”です。東子流の切ない片思い曲をオリジナルラブの木原氏がカッコよくアレンジしています。未聴であれば、前曲の”あなたのためにできること”とセットでオススメします。それではまた。
一時期は、非常に人気の高かったメジャーなアーティストだけに、古内東子の事を、(他にもいるのかもしれませんが)シティ・ポップとして評価しているブログを初めて拝見させて頂きました。
ここ最近のアルバムは聴いていませんが、古内東子の曲やアルバムは、非常に質が高いですよね。
私個人的には誰が何と言おうが、古内さんの作品は紛れも無くCITY POPであり、J-AORだと思っております(笑)
打ち込み主流の時代にあっても生のリズム中心という拘りも大好きです。
どんな些細な事であってもサウンド的に拘りを感じる音楽というものが、最近感じられないのが少し寂しい気がしています。