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KAREN CARPENTER_KAREN CARPENTER (邦題:遠い初恋) ◇ 2010年 03月 17日
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今回紹介するのは、カレン・カーペンターが兄のリチャードの睡眠薬依存症の治療中だった1979年~80年の約1年間に、単身N.Y.に渡り制作されたもののお蔵入りになっており、カレンの死(1983年)から13年経過した1996年リリースのソロ・アルバム『KAREN CARPENTER (邦題:遠い初恋)』です。

カレンはこのアルバムに相当気合を入れていたらしく、当初の予算では足りなかった制作費数千万円をカレンが私費を投じたとのこと。しかし、出来上がった作品に対し、A&Mの役員陣は"選曲ミス"、"キーが合っていない"、"カレンのイメージに合わない"等の理由から制作し直しを指示したらしいです。結局カレン自身が最終的にお蔵入りを決めたということらしいですね。
確かに"カーペンターズのカレンのソロ・アルバム"というイメージを払拭出来ないと違和感を感じるかも知れません。しかし、兄リチャードの手を離れて外部のプロデューサーを招いて制作するのなら、新しいカレン、言い換えれば新人アーティストのカレン・カーペンターとしての音楽の方が私は面白いだろうなと思っていましたし、実際にこのアルバムを聴いてみて私はカレンの選択は大成功だったと思っています。
このアルバムに収められているカレンの歌声は、明らかに"カーペンターズのカレン"ではありません。ソロ・シンガー、カレン・カーペンターの魅力に溢れていると思います。

まずは豪華な制作陣。プロデューサーはPhil Ramone。Phil Ramoneはミキシングも手掛けています。そして私の敬愛するソングライター、Rod Tempertonが曲を提供しており、ヴォイス・ディレクションやコーラス・アレンジも担当しています。Rodが大好きな私にとって、彼の曲をカレンが歌うということだけでもこのアルバムは買いでした(笑)。
他にもBob James、Rob Mounsey、Jerry Hey等がアレンジを手掛けていますし、参加ミュージシャンはBilly Joelのバック・バンドのメンバーだった Liberty DeVitto(ds)、Doug Stegmeyer(b)、David Brown(g)をはじめ、Michael Jacksonを支えてきたJohn Robinson(ds)、Louis Johnson(b)、David Williams(g)、Greg Phillinganes(key)に加え、Bob James(key)、Rob Mounsey(key)、Richard Tee(key)、Russell Javors(g)、Eric Johns-Rasmussen(g)、Steve Gadd(ds)、Ralph McDonald(per)、Airto Moreira(per)、Peter Cetera(cho)、Michael Brecker(sax)という何とも贅沢な面子です。
これだけのスタッフが揃って制作されたアルバムが悪い筈がありませんし、実際インパクトの強い曲はあまりありませんが楽曲も粒揃いで、AORアルバムとしても良いアルバムだと思います。
聴けば聴くほどに楽曲の良さ、カレンのヴォーカルの新しい魅力に溢れたアルバムです。まだ未聴のAOR好きな方は1度聴いてみて下さい。

『KAREN CARPENTER / KAREN CARPENTER (邦題:遠い初恋)』
01. Lovelines
02. Because Of You
03. If I Had You
04. Making Love In The Afternoon
05. If We Try
06. Remember When Lovin' Took All Night
07. Still In Love With You
08. My Body Keeps Changing My Mind
09. Make Believe It's Your First Time
10. Guess I Just Lost My Head
11. Still Crazy After All These Years
12. Last One Singin' The Blues

ピックアップ曲:
「Lovelines」 / 作詞・作曲・編曲:Rod Temperton
やはりRod Tempertonは天才ですね。良い曲を書きます。サビまでの洒落たメロディー・ラインとキャッチーなサビのメロディーはRod Tempertonならではです。しかもアレンジも手掛けていますので、リズム隊はJohn Robinson & Louis Johnsonの鉄壁コンビではないかと思います。間奏でのGreg Phillinganesのエレピのソロも聴き逃せませんよ。AOR好きなら気に入るであろう1曲です。

「If I Had You」 / 作詞・作曲:Stephen Dorff、Gary Harju & Larry Herbstritt、編曲:Bob James
このアルバムの目玉曲とも言える1曲。とにかく情感豊かなカレンのヴォーカルとRod Tempertonのアレンジによるカレンの一人多重コーラスが聴き所です。Bob Jamesのアレンジも秀逸ですし、Jerry Heyのアレンジによるホーン・セクションも流石の一言です。Michael Breckerらしさ全開のサックス・ソロも良いですが、終盤のカレンのコーラス・ワークが際立ってますね。

「Making Love In The Afternoon」 / 作詞・作曲・編曲:Peter Cetera
ChicagoのPeter Ceteraが書き下ろし、ヴォーカルでも参加しているウェスト・コースト・ロック風な爽やかなナンバーです。控え目なPeter Ceteraのヴォーカルですが、カレンの声との相性は良いと思いますね。

「If We Try」 / 作詞・作曲・編曲:Rod Temperton
美しいメロディーが印象的なAORバラード・ナンバー。間奏で盛り上がるアレンジもお洒落です。目立ってはいませんがLouis Johnsonのベース・プレイが本当に渋いです。やはりRodの書く曲は良いですね~!

「Still In Love With You」 / 作詞・作曲:Russell Javors、編曲:Le' Band
ロック色の強いギター・サウンドが印象的なAORナンバー。こういう曲調においてもカレンの美しい歌声が光ります。編曲のLe' BandというのはBilly Joelのバンドのことだと思うのですが・・・。なかなか癖になる曲です(笑)

「My Body Keeps Changing My Mind」 / 作詞・作曲:Leslie Pearl、編曲:Rod Temperton
この曲も私のお気に入りの1曲。軽快なディスコ・ビートとキャッチーなメロディーが印象的です。こういうダンス・ナンバーのアレンジはRod Tempertonの得意とするところです。個人的にはもっとビートを効かせたアレンジに乗せたカレンの歌声も聴きたかったですね。

「Last One Singin' The Blues」 / 作詞・作曲:Peter McCann
ボーナス・トラックとして収録されたこの曲は、未完成のアウトテイクの1曲だそうです。演奏にもカレンの歌声にもリラックスした雰囲気があり、リハーサル時の録音なのかも知れません。これがN.Y.の雰囲気満点のブルースで、Richard Teeならでは(曲毎のクレジットの記載はありませんが、ほぼ間違いないと思います)のエレピが何とも言えません。

抜きん出た曲というのがありませんが、全曲レビューしても良かったくらいに捨て曲のないアルバムだと思います。このアルバムが1980年にリリースされていたらどう評価されていたんでしょうね。きっと賛否両論あったことでしょう。ただ、このアルバムが制作されてから16年後という長い月日は流れましたが、世に出たことは素直に良かったなと私は思っています。
良いアルバムなので興味のある方はぜひ1度聴いてみて下さい。
by kaz-shin | 2010-03-17 00:02 | 洋楽系 | Comments(9) | |
Commented by 240_8 at 2010-03-17 23:14
こんばんは。
このアルバム、カーペンターズとは違う味わいがあり、これはこれで大好きです。いかにもフィル・ラモーン的な味わいですね。
「Making Love In The Afternoon」なんて、カーペンターズのカレンらしからぬタイトルで赤面ものです。ちょっと大人のカレンといったところでしょうか。
もっとカレンのソロを聞いてみたかったですね
Commented by Apollo at 2010-03-19 00:05 x
kaz-shinさん、こんばんは。

私の大好きなアルバムです!
240_8さんのおっしゃるとおり、Phil Ramoneのセンスが溢れた傑作だと思います。
Richard Carpenterとは、全く違う出来上がりになってますもんね。
ここはひとつ、トラックバックさせて下さぁい!
Commented by こーいち at 2010-03-19 22:27 x
こんばんは。

ミュージシャンが凄いですねぇ~。聞いた事のあるメンバー。
Steve Gaddもですか。あの人はドラムは、凄い。4年前、角松さんのライブに緊急来日しました。日本でいうと山木(秀夫)さん?ですかね。
Greg Phillinganesは、TOTOの元メンバー(解散まで)でしたね。ちょっと、ダンテ・カーヴァー(風貌だけ)入ってますが。

あ、kaz-shinさん、TOTOはお好きですか?
(好きな場合)TOTOが夏の限定ツアーやります。日本は、やらないそうですが。メンバーも決定です。ボーカルがJoseph Williams、ギターとボーカルがSteve Lukather、キーボードとボーカルがSteve PorcaroとDavid Paich、ドラムスとパーカッションがSimon Phillips、そしてゲストサポートベーシストにNathan East(Leland Sklarではないようです。)。このメンバーでお送りします。TOTOの肝心のベーシストでもあった、Mike Porcaro(Steve Porcaroの次兄)がALSという大変な病気になってしまったようです。
Commented by kaz-shin at 2010-03-20 03:02
240_8さん、こんばんは。コメントとTBありがとうございます。
レスが遅くなってしまい、本当にすみませんでした。
一人暮らしの方は慣れましたか?

さて、このアルバムはヴォーカリスト・カレンのカーペンターズとは一味違うヴォーカル・スタイルが楽しめて、個人的には大好きなんですよ。
このアルバムがもし80年にリリースされていたら、どんな反応だったのだろうかと気になります。
個人的にはAOR全盛の頃ですし、それなりの評価は得られたと思うのですが・・・。
240_8さん同様、もっとカレンのソロを聴きたかったです。
Commented by kaz-shin at 2010-03-20 03:07
Apolloさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
TB出来ませんでしたか?こちらからもTBさせてもらいました。

このアルバムを聴くと、カーペンターズのサウンドというのは兄・リチャードが作り上げてきたものであることを感じるとともに
カレンのヴォーカリストのポテンシャルの高さを改めて感じますね。
ロッド・テンパートンとカレンの組み合わせなんて、凄く面白いですよね。
もし80年にリリースされて高い評価を得られていたら、第二弾もあったかも知れませんね。
Commented by kaz-shin at 2010-03-20 03:18
こーいちさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
Steve Gaddの事を天下のナベサダさんが「おばけ」と評していましたね。
「Steveの身体を切ったら、血の代わりに音符が出てくるんじゃないかな」と・・・(笑)
日本のドラマーで、Gaddそっくりなドラミング(あえて似せてプレイするとい意味ですが)が出来るのは村上秀一さんかなとも思います。

TOTOは大好きですよ。ただ初期の頃(1stから4thあたりまで)ですけど。
TOTOの復活は嬉しいですが、個人的にはJeff PorcaroのいないTOTOはやはり魅力が半減してしまいますね。
Commented at 2010-08-28 16:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kaz-shin at 2010-08-29 00:50
鍵コメさん、こんばんは。
お気遣い感謝致します。もっとしっかり調べないといけませんね(汗)
今後も何かありましたら、お知らせ下さい。

よろしくお願いします。
Commented by shinoexblog202036 at 2020-12-19 17:03
初めまして、こんばんは。
初コメント投稿いたします。
カレン・カーペンターは自分にして尊敬&かけがえのないシンガーミュージシャンでした。
大好きな洋楽兄妹デュオグループ「カーペンターズ」のボーカルでもあり、デビュー前後当初はドラマーとして、ドラムを叩きながらボーカルを採っていました。
ドラム演奏するのが趣味で、自分はカレンのようなドラマーになりたいと思います。

今回、取り上げてくださったカレンのソロアルバムは、制作およびレコーディングされたのは、カーペンターズ活動再開直前の1980年頃であり、仰る通り、カレンはあの特有なマジックボイスを切り捨て、大人のカレンとしての魅力感を前面に押し出したボーカルで新境地を開拓していて、曲自体もほとんどがAOR&R&B調のミディアム~バラード系が中心です。
また、1、3、5、9の4曲はカーペンターズのラストアルバム、またはシングルカットでリミックス加工とリアレンジおよび、ボーカルをリテイクして収録しています。

忍のブログもよければご覧ください。
感想コメント、お待ちしております。
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