今回紹介するアルバムは、再発を心待ちにしていた人も数多いと思われるPOP ROCK系のAORの名盤、デヴィッド・ロバーツの唯一のアルバム『ALL DRESSED UP』(1982年)です。
TOTO系のAORが好きな人にとっては定番アルバムと言われながらも、91年に日本で初CD化されながらも流通量が少なかったのか、すぐに入手困難な状態になっていました。
そして7月26日にめでたく紙ジャケット仕様で再発されました。
プロデュースは、グレッグ・マティソン。プロデューサーが決まるまでも紆余曲折があったようで、候補がトッド・ラングレン、ボブ・エズリン、デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドンと変わっていき結局グレッグ・マティソンの落ち着き、ジェイ・グレイドンがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめています。
楽曲の全ての演奏に、スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロが参加しており、オーヴァー・ダビングでジェイ・グレイドンが2曲、デヴィッド・フォスターが1曲に参加。
TOTO系のサウンドが好きな人にはたまらないでしょう。
しかし、素晴らしいのは演奏よりもむしろ、デヴィッド・ロバーツのソング・ライターとしての才能の高さだと思います。とても新人アーティストとは思えぬソング・ライターとしての力量に驚かされます。キャッチーで親しみやすいメロディーと爽快感溢れる歌声が魅力の1枚です。
『DAVID ROBERTS / ALL DRESSED UP』
01. All In The Name Of Love
02. Too Good To Last
03. Someone Like You
04. Boys Of Autumn
05. She's Still Mine (That's My Girl)
06. Wrong Side Of The Tracks
07. Midnight Rendezvous
08. Anywhere You Run To
09. Never Gonna Let You Go
10. Another World
軽快なポップ・ロック・ナンバー01。ルークらしいギターが全開で、TOTO色の強いサウンドです。
ニールセン=ピアソンがカヴァーしたというメロウ・チューン02。この曲を聴いていると、トッド・ラングレンの影響を受けたというのも頷けますね。
ここでもルークとポーカロのプレイが渋い03。サビのメロディーが印象に残ります。
クリストファー・クロスを彷彿させるようなAORナンバー04。メロディーの流れに無理がなくて、非常に聴きやすい曲だと思います。
またしても軽快なポップ・ロックな05。間奏のルークのギター・ソロが印象的です。
アナログ盤B面のトップ曲06。俄然渋さが増していきます。曲、アレンジともに好きなタイプの曲です。
ホーン・アレンジでは有名なジェリー・ヘイが、ストリングス・アレンジを担当した07。ストリングスの美しさに驚きました。雰囲気のある曲ですね。ラムゼイ・ルイス&ナンシー・ウィルソンがカヴァーしているようです。
デヴィッド・ロバーツのハイ・トーン・ヴォイスが冴え渡る08。これも良い曲です。ダイアナ・ロスがカヴァーしています。しかし、新人の楽曲にこれだけの大物アーティストがカヴァーするのですから、凄い才能を持っているとしか言い様がありませんね。
角松 敏生の曲に似たようなタイトルの曲があった09(笑)。本当に流れがスムーズで、サビのメロディーがキャッチーな曲を書きますね。これも大好きな1曲。
ラスト・ソング10は、美しいバラード曲。この曲で音の雰囲気が変わったなと思ったら、この曲だけハンベルト・ガティカがミックスしてるんですね。
まさに捨て曲無しの名盤です。AOR好きな人なら必ず満足できる内容のアルバムです。
ただ、不満な点をあげるなら今一つ音が良くない。特にポーカロのスネアの音に納得がいかないですね。
タイトさがあまり出てないような気がします。
ベーシックなトラックの録音がハンベルト・ガティカなので、ミキシング・エンジニアのデヴィッド・レオナルドの腕が悪いのかな(笑)
出来ればガティカのミックスで聴きたかったというのが正直なところですけど、贅沢な悩みですね。
こんなに良いアルバムが聴けるようになっただけでも幸せと思わないといけないですね。
TB有難うございます。
ついにKaz-shinさんも「参戦」ですね(笑)。
ご指摘の通り、どうもジェフらしいタイトなドラムの音ではないんですよね。そこだけがちょっと残念。
でも名盤には変わりはないですね。
本当に楽曲が良いだけに、音が良かったらと思うと少し残念ですね。
おそらく声質に合わせたミックスだったとは思うのですけど・・・。
全曲ハンベルト・ガティカのミックスで聴きたかったなと思います。
私もどなたかのブログにもコメントしたことがあるんですが、
スネアの音だけが気になってたんです。前回のCDのときから。
私も、ピーター・アレンの『バイ・コースタル』のような
スネアの音にして欲しいところです。
スネアの音がパタパタした感じで軽すぎますよね?
ジェフのドラミングの良さが半減してしまう感じで残念です。
ピーター・アレンの『バイ・コースタル』の方が、このアルバムより2年も前に
リリースされてるのだから、録音機材の問題とも思えませんしね。
エンジニアの腕なんでしょうか・・・。何とも惜しいですね。
ところでTB返ししようと思いましたが、受け付けてもらえませんでした。
すみません。
AOR作品の凄いところは、その楽曲の良さ、演奏の良さ、歌の良さの三拍子揃っているのでいつまでも色褪せないところなんですよね。
親子2代に渡ってAORを聴いて、親子で「このルークのギターが良いよね」とか「ポーカロのドラミングは最高だね」という話が出来る
可能性がある音楽かも知れませんよ。
このアルバムは再発してくれて本当に嬉しかった1枚でした。良い作品は出来れば廃盤にして欲しく無いですよね。
>「隠れた名盤」と言うのは得てしてそのジャンルに精通している人向けで~
ご安心下さい。私のブログで取り上げている作品は、ごく普通の音楽知識にも乏しい一般的なおやじが良いなと思っているものですから、
多くの人に受け入れやすいものだと思いますので・・・(笑)
レコード会社にしてみれば」再発やCD化するのには当然採算性を考慮するので、全ての「隠れた名盤」が再発・CD化されるのは難しいと思いますが、
それでもこういうアルバムが多くの人の耳に届くようになるというのは、音楽好きにとっては本当に有難い話です。
今月、新作がリリースされる話は知りませんでした。興味津々ですね。
いずれ金澤さんのブログで紹介されるでしょうね。その記事を読んで検討するつもりです。
新譜聴いたんですか?どうでしたか?
最近洋楽を聴いていないので、何か聴きたいなとは思っていたんですが・・・。
やはりAORなんでしょうね。ぜひとも聴いてみたいです。