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LEE RITENOUR_RIT ◇ 2007年 03月 12日
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今回紹介するアルバムは、1970年代中盤以降のクロスオーヴァー(FUSION)・ブームの立役者の一人であるリー・リトナーが、1981年にAORに取り組んだ傑作『RIT』です。
ギタリストとしてはもちろんですが、作曲においても素晴らしい才能を持ったリトナーの本領を発揮したと言える1枚ですね。ハーヴィ・メイソン、デヴィッド・フォスター、リー・リトナーの3人による共同プロデュース作品です。
前半4曲がエリック・タッグのヴォーカルをフィーチャーしたAORなナンバーで、残り6曲がインスト・ナンバーです。本来はFUSIONのカテゴリに分類しているリー・リトナーですが、今回はAOR好きな人にも馴染みの深いアルバムなので洋楽のカテゴリとして紹介します(笑)

それまでギター・インストのアルバムに関しては、リトナー自身でプロデュースをこなしてきたが、やはりポップ色の強いAOR作品を制作するにあたりデヴィッド・フォスターにプロデュースを依頼するところなど、抑えるところはしっかり抑えるというリトナーらしい柔軟な姿勢が伺えますね。ミュージシャンの起用に関しても、やはりAOR作品を作るのに申し分無い面子が集まっています。まさにプロデューサー、ミュージシャン、楽曲、ヴォーカルというAORの最も大切な要素をしっかり抑えた作品だと思います。

『LEE RITENOUR / RIT』
01. Mr. Briefcase
02. (Just) Tell Me Pretty Lies
03. No Sympathy
04. Is It You?
05. Dreamwalk
06. Countdown (Captain Fingers)
07. Good Question
08. (You) Caught Me Smilin'
09. On The Slow Glide
10. No Sympathy (Reprise)

エリック・タッグの作詞・曲の01。オープニングを飾るに相応しいAORナンバーで、ジェフ・ポーカロならではのシャッフルのリズムとデヴィッド・ハンゲイトのベースが格好良い1曲ですね。少しロック色の強いリトナーのソロも素晴らしいです。

エリック・タッグ作詞、リトナー作曲によるファンキー・チューン02。リズム隊もハーヴィ・メイソンとエイブラハム・ラボリエルに変わり、黒っぽい雰囲気になっています。そして聴き所のひとつはリチャード・ティーのピアノでしょう。リトナーもソロにカッティングに大活躍です。

メロウなバラード03もエリック・タッグとリトナーの共作です。美しいメロディーの曲で、リトナーのギター・シンセと思われる音色の美しいギター、ビル・チャンプリンのコーラスがエリックのヴォーカルを引き立てます。そして後半、リック・シュロッサーのドラムに、ハーヴィ・メイソンのドラムをオーヴァー・ダヴィングしたと思われる重厚なドラム・サウンドも特徴ですね。

AOR史上に残る名曲04。ビルボード誌で最高15位というヒットを記録しています。作詞はエリック・タッグとビル・チャンプリン、作曲はリトナーですが、リトナーのソング・ライターとしてのセンスが光っている1曲です。この曲の成功の秘密はずばり、ビル・チャンプリンのコーラスだと思います。エリックのヴォーカルも素晴らしいですが、やはりビルのコーラス無しではここまでの雰囲気は出なかったでしょうね。

アナログ盤A面のラストを飾っていた05は、リトナーのギターの多重録音とジョニー・マンデルのアレンジによるストリングスによって奏でられるインスト・ナンバーです。いわゆるヴォーカル・サイドからインスト・サイドへの切り替えの為のインターバルの意味合いもあるのかも知れませんね。

シンセやヴォコーダーを駆使したインスト・ナンバー06は、どこか宇宙的なイメージを抱かせますね。アレンジの手法が、クインシー・ジョーンズの右腕と言われるロッド・テンパートンに似ている気がします。シンセを操るのは、マイケル・ボディッカーとドン・グルーシンの二人です。リトナーも何種類もの音色を使ったギターを聴かせてくれます。

ジェフ。ポーカロのタイトなドラミングとリトナーのドライヴィング感溢れるギターが印象的な07。デヴィッド・フォスターらしいキーボードのプレイも聴き所です。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンのカヴァー08。軽めの弾けたベースはルイス・ジョンソン。ジェリー・ヘイのホーン・アレンジも見事です。ギターがメインですが、少しだけ入るエリック・タッグ、ビル・チャンプリンのヴォーカルも素晴らしいですね。

哀愁を帯びたメロディー・ラインと、ハーヴィ・メイソン、エイブラハム・ラボリエルのリズム隊によるタイトなリズムの組み合わせが面白い09。

03のリプライズ10は、美しいリトナーのギターをフィーチャーしたインストです。

やはり01~04までのAORナンバーにおける完成度の高さが、このアルバムの1番の魅力と言えるでしょう。このアルバムの01と08以外は全てリトナーの作曲なのですが、耳に馴染むメロディーでリトナーのソング・ライターとしての才能を豊かさを感じます。
インスト・ナンバーだけを見たら、他のアルバムの方が素晴らしい曲があると思います。しかし、私がリトナーが好きなのは、ソロにおける練られた美しいフレージングとキレの良いカッティング、そして様々な音色を使い分けるセンスです。リトナーのギター・ソロに関しては、おいしいフレーズを譜面に書いてステージで披露する優等生ギタリストと評した人もいましたが、聴いていて気持ちが良いのですから私はそれで十分です(笑)
今回リトナーのアルバムを記事にしたのは、いつもお世話になっているブログ仲間のshintanさんのブログ「3度のメシよりCD」の3月10日の記事にリトナーの『THE CAPTAIN’S JOURNEY』が取り上げられていたからです。この記事を読んで久しぶりにリトナーが聴きたくなって昨日はリトナーばかり聴いてました。
shintanさん、すみません。パクっちゃいました(汗)
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by kaz-shin | 2007-03-12 00:01 | 洋楽系 | Trackback(1) | Comments(10) | |
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Tracked from MUSICBOX at 2007-03-12 22:12
タイトル : RIT(Lee Ritenour)
フュージョン界のアーティストでポップサウンドを積極的に取り入れた第一人者じゃないかな?フュージョンとポップの融合アルバムとしては、空前絶後と今時点では言えると思う。ボーカルチューンを5曲フューチャーしたこのアルバムはボーカリストとして当時は無名だった Eric...... more
Commented by at 2007-03-12 22:14 x
いいアルバムですよね、これ。
ともすればそのテクニックに走りがちなギタリストの作品の中で、けっしてそのギターサウンドを全面に押し出すこともなく、当時傾倒していたPopsをリスペクトするべく〝トータルミュージック〟としてサウンドをコーディネートしていった手腕には甚だ敬服してしまいます。
そういう意味からはギタリストのソロアルバムとして、業界に一石を投じた作品と言っても過言ではないと思います。
久しぶりにLP引っぱり出して聴いていましたが、何やらこの作品は彼の要望により日本でのみ緊急発売されたため、ジャケット&インナーに収録曲のうち数曲が掲載されなかったとのことで、このあたりはご愛嬌でしょうか...
Commented by shintan_shintan at 2007-03-12 22:16
こんばんは。文中リンクありがとうございます。
フュージョンにはあまり詳しくないし、リトナービギナーなんでなんか恐縮しちゃいますね。今後もどんどんパクってください(笑) 

リトナーのリードはもちろんですが、バッキングプレイがかっこよかったり、曲作りやメロディーなど、結構気に入ってますので、キャプテン・フィンガーズやこのアルバムもチェックしてみようと思ってます。
Commented by kaz-shin at 2007-03-12 23:06
夢さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
仰る通り、テクニックに走るのではなくメロディーを大切にしたアレンジに
ギター・プレイがリトナーの良いところでしょうね。
このギタリストに出会っていなかったら、FUSIONは聴いていなかったと思います。

LPは確かにジャケットとインナーの曲数、曲順が違ってましたね。
裏ジャケのミュージシャン・クレジットも曲数が異なってしまっているので、
ルイス・ジョンソンの名前が無かったり・・・(笑)
CDはしっかり直ってましたね。
Commented by kaz-shin at 2007-03-12 23:09
shintanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
すみません。ネタをパクってしまいました(笑)
↑のアルバムは、AOR好きな人にも評判の良いアルバムなのでお薦めです。
さらにAOR色の強い『RIT2』もありますので、色々聴いてみて下さい。
ロック色の強い『FEEL THE NIGHT』も良いですよ、ぜひ!
Commented by martha1961 at 2007-03-13 00:26 x
こんばんは。
TBさせていただきました。
またこちらへもコメント&TBありがとうございます。
このアルバム、リトナーの挑戦を感じさせますね。
AOR大好き、しかもFOSTER大好きの私にとってはたまりません。
Commented by DENTA at 2007-03-13 12:47 x
ども^^
このアルバムってフォスターが手がけたヤツだったのですね。
セッションミュージシャンにばかり目をつけていて、
プロデューサーには目をつけていませんでした。

フュージョン聴き始めた当時に手を出して、聞き易いアルバムだなぁと思っていました。
でも後半(B面)は微妙・・・
Commented by kaz-shin at 2007-03-13 12:47
martha1961さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
AOR作品を作るにあたって、フォスターを招くあたりがリトナーらしいですね。
01から04の構成、楽曲は本当に良いですよね。
また聴きたくなってきた・・・(笑)
Commented by kaz-shin at 2007-03-13 12:52
DENTAさん、毎度です。
インスト曲に関して言うと、確かに今ひとつですね。
他に良いのが沢山あるので余計にそう感じるのか、ヴォーカル曲の
仕上がりが良すぎるのか・・・でしょうね。
Commented by かわちゃん at 2007-05-05 09:36 x
こんちわです。ここのブログ面白い。僕は今三十九歳で小学生から洋楽聴いてましてその当日の曲がいっぱいあって嬉しいです。リーリトナーもテープが擦り切れるほどききました。イズ・イット・ユーなど。
Commented by kaz-shin at 2007-05-05 21:14
かわちゃんさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>ここのブログ面白い。
ありがとうございます。最高の誉め言葉です。嬉しいです。
FUSIONのギタリストがAORへ進出し、尚且つこれだけの名曲を残して
いるのが凄いですね。
ギタリストとしてよりもソング・ライターとしてのリトナーの才能を世に知らしめた1曲だと思います。
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