今では既に廃盤状態で、探し続けているCDを中古店で見つけた時は本当に嬉しいものですね。今回紹介するのもそんな1枚で、ずっと探し続けていた1枚でした。ネット・オークションでは定価の2~3倍程度の値段は付いてるようなアルバムなんですが、つい先日仕事先の近くのBOOK OFFで発見、1,350円で購入出来ました。本当に嬉しかったです(笑)
そのアルバムとは、渡辺 真知子が1979年にリリースした4作目アルバム『MEMORIES』です。このアルバムが好きで当時は本当によく聴いていました。渡辺 真知子のソング・ライターとしての才能、シンガーとしての力量を感じる事が出来る作品で、彼女の素晴らしさを実感したアルバムでした。
当時、渡辺 真知子や八神 純子はTVの歌番組等に積極的に出演していたせいか、いわゆるニューミュージック系のアーティストとしての評価が低かったように思えて仕方ありません。TVで歌うことが安っぽいみたいに受け止められていたんでしょうかね。変な時代でした。彼女達はそこら辺にいるニューミュージックのアーティストより、はるかに歌も上手かったですし、良い曲を書いていると思うんですよね。
『MEMORIES』は、渡辺 真知子が全10曲中8曲の作詞(2曲は伊藤 アキラ)と全作曲しています。アレンジは全曲、船山 基紀です。渡辺 真知子の作品の多くのアレンジを船山 基紀が担当していますが、すごく相性が良いと思います。このアルバムでも良い仕事をしています。そして何より演奏が素晴らしい作品でもあります。メンバーは、大谷 和夫(key)、田代 真紀子(key)、岡沢 茂(g)、林 立夫(ds)、松原 正樹(g)、吉川 忠英(a.g)、笛吹 利明(a.g)、斉藤 ノブ(per)という固定メンバー(2曲を除いて)です。曲、演奏、歌のバランスの凄く良いアルバムです。
『渡辺 真知子 / MEMORIES』
01. MEMORIES
02. 海辺の昼下がり
03. WATER TAXI
04. MARIONETTE
05. 季節の翳りに
06. ときめきの時
07. あわせ鏡
08. LONELY RAILWAY
09. PLAY MAP
10. 明日へ
アルバム・タイトル曲01。悲しく淋しい歌なんですが、スケールの大きな歌です。サビのメロディーが耳に残ります。美しいストリングス、ホーン・セクションに加え、EVEとタイム・ファイブのコーラスが加わる後半の盛り上がりは素晴らしいですね。
渡辺 真知子の非凡な作曲センスを感じる02。実にメロウなナンバーです。冬の海がみたくなりますね。松原 正樹のエレキとガット・ギターのプレイが光ってますね。新井 英二のトロンボーン・ソロにBUZZのコーラス等、船山 基紀のアレンジが素晴らしいナンバーです。
テンポのある03。渡辺 真知子らしい歌謡曲風なナンバー。林 立夫のタイトなドラミングと数原 晋のトランペットが大活躍しています。Aメロから非常にキャッチーなメロディーでシングル向きの曲かも知れません。
大好きなナンバーのひとつ04。ボッサ調のアレンジに乗せたメロウなミディアム・ナンバーです。松原 正樹のギター・ソロ、斉藤 ノブのパーカッションが素晴らしいです。声量がある彼女が抑え気味に歌っている歌い方も、切なさがあって好きですね。
シングル・カットされた05。シングルとしては無難なタイプの曲かなと思いますが、他にも良い曲沢山あるんですが・・・。この曲は、メンバーが異なり、羽田 健太郎、高水 健司、田中 清司、矢島 賢等による演奏です。羽田 健太郎のピアノは流石に凄いです。
歌謡ポップ路線の06ですが、決して安っぽく聴こえないのは演奏の良さかも知れません。それにしてもキャッチーなメロディーが書ける人です、渡辺 真知子は。
アレンジの凝っている07。土岐 英史のサックス・ソロ、岡沢 茂のベース・プレイが素晴らしいです。そして琴を上手く使っていて、タイトルに合わせた感じに仕上げた船山 基紀のセンスが光ります。
05のカップリング曲だった08。個人的にはこちらをA面にした方が良かったと思ってます。テンポのある曲でAメロとサビで転調する辺りのアイディアも良くて、メロディーも印象に残ります。演奏メンバーは05と全く同じ面子です。
アルバム中最もダイナミックなナンバー09。何と言ってもTOTOばりな演奏が特徴ですね。スケールの大きなメロディー、元気をもらえるような歌詞に渡辺 真知子の熱唱が素晴らしいですね。林 立夫のドラミングとスティーヴ・ルカサーを彷彿させる松原 正樹のギター・ソロが圧巻です。1番好きなナンバーです。若者達へのメッセージ・ソングです。
ラストを飾るバラード曲10。ゆったりとしてスケールの大きさを感じる曲で、渡辺 真知子のシンガーとしての凄さが1番出ているナンバーでしょう。
デビューが1977年の11月ですが、1stアルバムのリリースが1978年の5月でこの『MEMORIES』のリリースが1979年12月。2年間で4枚、つまり年2枚アルバムをリリースしていたんですね。今では考えられませんが、当時は年2枚というのが普通だったようですね。ユーミンも年2枚出してました。しかし、ユーミンと違って渡辺 真知子の場合は、TV番組にも出演しながら曲を書いてレコーディングしていた訳ですから、その忙しさたるや相当だったでしょうね。凄いことです。それでいてちゃんと完成度の高い作品に仕上がっています。
シングル曲しか知らない人には1度じっくりアルバムを聴いてみて欲しいアーティストの一人です。
今年でデビュー30周年なんで、アルバムを再発してくれると嬉しいのですが・・・。
先週の週刊誌に珍しくインタビュー記事が出ていて読んだところです。
デビュー10年めくらいの頃、外国に行ってて人前で
自分の唄を披露したところ、周囲の人がすごく感動してくれて
歌の楽しさに開眼したと彼女は書いてました。
このメモリーズ、僕も聴いたはずですが全曲は思い出せません。
迷い道、カモメが飛んだ日、センセーションなブームが終わったあと
いろいろあったと思います。
多分79年の12月の間違いですよね。久保田早紀の異邦人と松原みきの真夜中のドアも同じ頃、寒い季節のヒットではなかったでしょうか。
「唇よ熱く君を語れ」は翌春の化粧品タイアップソング。
もう80年代、松田聖子が出てくる時代。懐かしすぎ(涙)
それとご指摘ありがとうございました。1979年に訂正しました。
当時、渡辺 真知子さんと八神 純子さんは特に気になる女性アーティストでした。
作る曲のタイプも歌い方も違いますが、優れたソング・ライティング・センスと
歌の上手さでは共通していたように思います。
失礼な話ですが、決して美人とは言えない二人だけれど、本物であれば
受け入れられていた時代だったんだなと改めて思います。
一昨年、名古屋ブルーノートの彼女のライブに行きました。
私はアルバムレベルまで彼女を聴きこんでないのでこの「Memories」に
ついてはわからないのですが、「ブルー」という曲がメチャクチャ好きで、
ライブでも私の方を見つめて(?)この曲を歌ってくれたときにはホント足が震えるぐらい感動しました。
歌のうまい人ですね。数年前NHKで「青春のポップス」という番組
があってこの人も常連で出ていました。どんな曲も上手に情感を込めて
歌える貴重なボーカリストですよね。
渡辺 真知子さんは本当に上手いですね。このアルバムはその歌の上手さが
存分に出ているアルバムですよ。
それにソング・ライターとしての才能も素晴らしいです。
ぜひ、アルバムを再発して多くの人に聴いてもらいたいアーティストの
一人です。
「ブルー」は名曲ですね。「ブルー」が収録されていた2ndアルバム
『FOG LAMP』もいずれ紹介しようと思っています。
私もこの「メモリーズ」が、聴いた回数で言えば断トツで1番多いですね。
その分思い入れも強いです。
ぜひともリマスター盤で彼女のアルバムを再発して欲しいと願っています。
このブログに集まってくれる皆さんは本当に良い人ばかりで、色んな情報を寄せて下さいます。
真知子さんの情報があればきっと知らせてくれると思います。
私も情報があったらお知らせしますね。
最近はライブに関してチェックしていなかったので、渡辺さんのライブのことも知りませんでした。
でも生でぜひとも歌を聴いてみたい方なので、また情報がありましたら教えて下さい。よろしくお願いします。
なお、もうご存じだと思いますが、今年の9/25に真知子さんは国際フォーラムでライブを行いました。素晴らしかったですよ。新曲も披露していました(CD化するかはわかりませんが)。クリスマスには立川でディナーショウ開催予定で、ブログ及び公式サイトも開設されています(google で渡辺真知子で検索するとすぐでます)。
ちなみに、このアルバムの楽曲memoriesを聴くと、何故かビートルズのI want youを思い出します。どちらも大好きな曲です。
他のアーティストのレビューも面白く、いつも楽しみに読ませて貰ってます。これからも宜しくお願いいたします。
ブログ拝見しました。始めたばかりとはいえ、真知子さんの音楽に対する内容の濃い記事に感心しております。
私も「ブルー」は、名曲だと信じて疑わない人なんで興味深く読ませて頂きました。
こちらこそこれからもよろしくお願い致します。