最近、プロデューサーのカテゴリで記事を書いていないことに気付き、過去の記事を読み返してみたところ、大好きなのにまた登場していないプロデューサーがいました。
今回はそのプロデューサーの作品を紹介します。そのプロデューサーは、デイヴ・グルーシンです。FUSIONの立役者とも言える作曲家、アレンジャー、プロデューサーであり、素晴らしいキーボード・プレイヤーであるデイヴ・グルーシンが1977年にプロデュースした作品で、素晴らしいシンガーのパティ・オースティンの2ndアルバム『HAVANA CANDY』です。
共同プロデュースは、デイヴ・グルーシンと言えばお馴染みのエンジニア、ラリー・ローゼン。
以前、パティ・オースティンのデビュー・アルバム『END OF RAINBOW』を紹介しましたが、その時のプロデューサーはクリード・テイラーでした。今回のCTIからの第2弾『HAVANA CANDY』では、デイヴ・グルーシンのアレンジャーとしての才能と、パティ・オースティンのソング・ライティングの才能が上手く噛み合い、前作以上のFUSION色の強いサウンドとパティ・オースティンの極上のヴォーカルが堪能出来る1枚です。
デイヴ・グルーシンの繊細で緻密なサウンドを支えているのは、
Drums : スティーヴ・ジョーダン
Bass : ウィル・リー、アンソニー・ジャクソン、フランシスコ・センテノ、フランク・グラヴィス
Guitar : エリック・ゲイル、スティーヴ・カーン、ヒュー・マクラッケン
Keyboards : デイヴ・グルーシン、リチャード・ティー
Percussion : ラルフ・マクドナルド
Sax : マイケル・ブレッカー、ロニー・キューバー
Flute : デイヴ・ヴァレンティン
という豪華メンバーです。
『PATTI AUSTIN / HAVANA CANDY』
01. THAT'S ENOUGH FOR ME (私は満足)
02. LITTLE BABY
03. I JUST WANT TO KNOW
04. HAVANA CANDY
05. GOLDEN OLDIES (素晴らしいオールディーズ)
06. I NEED SOMEBODY (誰か愛して)
07. WE'RE IN LOVE (恋の気分)
08. LOST IN THE STARS
パティ・オースティンとデイヴ・グルーシンの共作によるメロウ・ナンバー01。これは名曲ですね。リー・リトナーがアルバム『The Captain's Journey』でカヴァーしてるので知っている人もいるでしょう。シンセ・ソロやギターのリフが印象的ですが、ソウルフルなパティ・オースティンのヴォーカルが素晴らしい1曲。
ミディアム・アップ・テンポのソウルフルなナンバー02。リチャード・ティーらしいピアノ・プレイ、マイケル。ブレッカーの熱いサックス・ソロがこの曲のハイライトですね。シャウト気味のヴォーカルと二重唄の迫力が凄いです。パティのオリジナル曲です。
マイケル・ブレッカーの哀愁漂うサックス・ソロで始まるスロー・バラード03。この曲では艶のあるしっとりとした歌声を聴かせてくれます。美しいストリングスとエリック・ゲイルの渋いギターが印象的です。パティのオリジナル。
アルバム・タイトル曲04は、陽気なカリプソのリズムの楽しいナンバーです。Hi-Fi SETがカヴァーしていましたね。ティンパレスと軽快なフルートを聴かせてくれるのは、デイヴ・ヴァレンティンです。抑え気味ですが、ホーン・セクションのプレイが曲を盛り上げています。パティの後半のスキャットも聴き所です。パティのオリジナル。
観客の大歓声と拍手のSEを入れていかにもライブ風に仕立てた05は、オールディーズ風なロック・ナンバーです。圧巻はマイケル・ブレッカーのサックスとパティ・オースティンのスキャットのユニゾンですね。パティのヴォーカルに圧倒されます。パティのオリジナル曲です。
ゴスペル・タッチのバラード曲06。エリック・ゲイル、リチャード・ティーの二人のプレイがフィーチャーされたStuffっぽいサウンドが魅力なナンバーです。デイヴ・グルーシンは控えめなプレイに徹していて、二人の素晴らしい演奏に花を添えています。パティのオリジナル曲。
メロウなミディアム・ナンバー07。この曲でのデイヴ・グルーシンのアレンジは、オーソドックスなもので控えめな感じさえしますが、パティのヴォーカルが極めて淡々としたストレートな歌い方なのでこの方がしっくりきます。この辺りのセンスの良さを感じますね。これもパティのオリジナル曲です。
最後を飾るの10は、1946年に作られたスタンダード・ナンバーのカヴァーです。ストリングスとデイヴ・グルーシンのピアノの美しい音色にうっとりさせられます。ドラマティックなパティの歌声を堪能できる1曲。
どんなタイプ、ジャンルの曲でも歌いこなしてしまう歌唱力、表現力の素晴らしさは、もはや多くを語る必要は無いでしょう。それより1番驚いたのは、彼女のソング・ライターとしての素晴らしい才能ですね。
1stアルバムでもその才能は輝いていましたが、このアルバムではその輝きに磨きがかかっていますね。
全8曲中1曲がカヴァー、1曲がデイヴ・グルーシンとの共作以外、全てパティ・オースティンの作詞・作曲なんですね。アルバムを聴いてもらえれば分かりますが、本当に良い曲を書いています。これだけの曲が書けて、これだけの歌が歌えるのですから・・・、溜息しか出ません(笑)
今から30年前の作品ですが、FUSION好きな人にもAOR系の好きな人にも気に入ってもらえるアルバムだと思います。名盤ですよ!
よく聴いてます。ただこのLP以降パティは自分で曲を書かなくなりましたね、これだけ良い曲を書いているのにもったいないように思います。
この頃のパティ・オースティンも良いですよ。ぜひ聴いてみて下さい。
デイヴ・グルーシンのプロデュース作品は、ヴォーカルものは少ないですね。
FUSION系がほとんどです。GRPの初期の頃にリリースされたアルバムは
ほとんどがデイヴ・グルーシンのプロデュースですよ。
個人的にはアール・クルー辺りはお薦めです。
デイヴ・グルーシン自身の作品なら、kotaroさんと同じく「マウンテン・ダンス」や
「ワン・オブ・ア・カインド」はお薦めですね。
1stと2ndのパティ自身が書いた曲は本当に良い曲多いですよね。
何故書かなくなってしまったのか不思議です。
プロデューサーの意向もあるのかも知れませんが・・・。
私はパティの書いた曲が大好きなだけに残念です。
クインシー・ジョーンズのプロデュースによるFUNKYな路線も良いですが、
初期のFUSION色が強く、素晴らしい自作曲が沢山あるアルバムも
きっと気に入ってもらえると思います。