"ハネケン"という愛称で親しまれていた日本を代表するピアニスト・羽田 健太郎さんが6月2日肝細胞癌のために亡くなったそうです。享年58歳。まだ若いですよね。残念でなりません。
ピアニストとしての羽田さんの作品はほとんど聴いた事がないのですが、1970年代にスタジオ・ミュージシャンとして活躍していた頃の彼のプレイは、本当に沢山聴いてきました。おそらく私と同年代の方ならば彼の名前を知らなくても、彼のピアノのプレイは必ず聴いていると言っても過言ではないと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
さて今回紹介するのは、吉田 美奈子が1976年にリリースした3作目のオリジナル・アルバム『FLAPPER』です。個人的には美奈子のRCA時代のアルバムでは1番好きですし、最高傑作であると思っている1枚です。美奈子のアルバムでは最もポップな仕上がりになっていて、豪華な作家陣の多様な曲を器用に歌いこなしていますし、演奏も申し分のないものです。アルバムを通して吉田 美奈子の魅力が溢れる1枚です。
作家陣は、吉田 美奈子以外に矢野 顕子、佐藤 博、細野 晴臣、大瀧 詠一、山下 達郎という贅沢すぎる面々。矢野 誠、佐藤 博、大瀧 詠一、細野 晴臣の秀逸なアレンジとティン・パン・アレーや村上 秀一、松木 恒秀、高水 健司、矢野 顕子、松任谷 正隆等の素晴らしい演奏。そしてプロデュースが村井 邦彦となれば名盤が出来るべきして出来たという感じですね。
『吉田 美奈子 / FLAPPER』
01. 愛は彼方
02. かたおもい
03. 朝は君に
04. ケッペキにいさん
05. ラムはお好き?
06. 夢で逢えたら
07. チョッカイ
08. 忘れかけてた季節へ
09. ラスト・ステップ
10. 永遠に
夜の高速を走っているようなスピード感溢れるティン・パン・アレーの演奏と、山下 達郎、大貫 妙子、吉田 美奈子、矢野 顕子のコーラスが見事なナンバー01。1曲目から聴く者を虜にする力のある名曲ですね。
矢野 顕子作詞・作曲の02。いかにも矢野 顕子らしい世界ですが、美奈子がいとも簡単に自分の曲として消化してしまっているのに驚かされますね。この曲では矢野 顕子のピアノのプレイと林 立夫のドラミングが一際光っています。
佐藤 博作・編曲による03。村上 秀一(ds)、松木 恒秀(g)、佐藤 博(key)、高水 健司(b)等の演奏によるグルーヴ感がたまらないナンバーです。佐藤のエレピ、松木のギターは特に素晴らしく、この曲を盛り上げているのは間違い無くこの二人のプレイでしょう。
アルファ・レーベル時代の吉田 美奈子を予感させるファンキーな04。2分に満たない短い曲です。
細野 晴臣作・編曲の05は、細野らしいトロピカル路線のナンバーです。コーラス・アレンジは山下 達郎ですがコーラスは美奈子一人によるもので、このコーラスの美しさと細野のアコースティック・ギターのソロは聴き所。
本当に数多くのカヴァーが存在する吉田 美奈子の代表曲であり、この曲を作った大瀧 詠一の代表曲とも言える名曲06。大瀧 詠一ならではのキャッチーなメロディーとスペクター・サウンド風な仕上がりは素晴らしいですね。カスタネットだけで4人のミュージシャンを使いあたりが大瀧 詠一らしいです(笑)
佐藤 博作・編曲による07。03と同じメンバーによるファンキーな演奏が良いですね。高水 健司と村上 秀一のリズム隊が素晴らしく、それに加えてファンキーなソ松木 恒秀のギター・ソロ等、歌よりも演奏に耳を奪われてしまう1曲です。
吉田 美奈子自身のピアノ弾き語りによるバラード曲08。
山下 達郎もデビュー・アルバム『Circus Town』(1976年)で取り上げている09、10。09は達郎バージョンよりもはるかに軽い仕上がりになっていますね。ティン・パン・アレーならでは軽快さと言えるかも知れません。10に関しては達郎よりも、この美奈子バージョンが個人的には好きです。
このアルバムがリリースされた1976年は山下 達郎のソロ・デビューの年でもあり、この辺りから美奈子と達郎のコラボレーションが盛んになって、後に数々の名曲が生れていったというのも非常に興味深いですね。
アルファ時代のファンキーな美奈子も良いですが、こんなポップ感溢れる美奈子もお薦めです。
ベスト盤などで聴いたことのある曲も多いと思いますが、ぜひこのアルバムだけは1度通して聴いて欲しい1枚です。日本でも1970年代半ば頃には、こんなに素晴らしい作品を作っていたミュージシャンやアーティストが存在していたことに改めて驚くはずですよ。
よ・し・だ・み・な・こ、はねえ〜ってゆっくり喋ってみたいのですが、
これじゃ吉田日出子ですね(笑)
2、3日九州に帰っていたので、まだ時間がゆっくりしています。
「FLAPPER」は好いアルバムです。
“生意気な小娘”の意で1985年頃に小泉今日子も同タイトルのアルバムを出しています。
原典は新興国ドイツが首都ベルリンを作った1920年代、新しく生まれた都会に集まってきた若い女たちの風俗(煙草を吸ったり、ショートヘアにしたり)からきていると思います。
岩崎 宏美さんとのジョイントが企画されていたんですね。
残念な事になってしまいましたね。コンサートは中止になってしまうのでしょうか・・・。
羽田さんと言えば『恋人たち』でピアノを弾いていた記憶があるのですが、
記憶違いでしょうか?もちろん他にも沢山参加されていたでしょうね。
吉田 日出子さんと言えば『上海バンスキング』ですね。結構好きでした。
「FLAPPER」に"生意気な小娘"という意味があったとは知りませんでした。
でもジャケット写真を見ると"生意気な小娘"というタイトルがピッタリな感じですね。
勉強になりました。ありがとうございます。
角松さんのプロデュース作品には、美奈子さんの曲を結構取り上げていて、
今井さんは『Do Away』でご存知のように「愛は彼方」を、米光 美保さんの
『FOREVER』では「恋は流星」を取り上げています。
>ギターも鈴木茂だったかな?忘れましたが・・・
その通りです。今 剛さんと鈴木 茂さんが参加しており、ソロが鈴木さんでした。
肝心の吉田美奈子さんの記事にコメントしてませんでしたが、岩崎宏美さんも「夢で逢えたら」を本人の希望でカバーしています。『すみれ色の涙から・・』というカバーアルバムに収録されていますので、よかったら聴いてみてください。
やはりそうでしたか!実は岩崎さんのアナログ盤アルバムは結構所有してますが、
実家に置いてきてしまってるんです。うろ覚えで書いてしまいましたが、
まだボケていないようで安心しました(笑)
『恋人たち』、『10カラット・ダイヤモンド』、『思秋期から・・・男と女』は本当に好きで
よく聴いてました。今回の紙ジャケの再発は欲しいモノばかりなんですが、
財布と相談してとりあえず、どうしてもCDで欲しかった『 WON'T BREAK YOUR HEART』だけは
買いました。近いうちに記事書こうかと思ってます(2回目ですが・・・)
『すみれ色の涙から・・』も聴いてみたい1枚です。