今回紹介するのは、ユーミンが荒井 由実時代から数えて通算15枚目のアルバムで、1983年にリリースされた『REINCARNATION』です。このアルバムは何故か好きなんですよね。
この頃のユーミンのアルバムを聴いて注目していたのは、ユーミンの楽曲よりも松任谷 正隆のアレンジでした。前作『PEARL PIERCE』(1982年)辺りから、松任谷 正隆のアレンジが凄く印象に残るようになってました。以前から素晴らしいアレンジでしたが、この頃が1番アレンジャーとして輝いていたのではないかと思っています。
今更書く必要は無いとは思いますが、全曲松任谷 由実が作詞・作曲、プロデュースとアレンジは松任谷 正隆です。参加しているミュージシャンも松任谷 由実のサウンドを支えてきたお馴染みのメンバーである林 立夫(ds)、高水 健司(b)、松原 正樹(g)、今 剛(g)、鈴木 茂(g)、安藤 正容(g)、瀬戸 龍介(a.g)、吉川 忠英(a.g)、浜口 茂外也(per)、斉藤 ノブ(per)、ペッカー(per)等に加え、コーラスにはBUZZ、EVE、桐ヶ谷 俊博・仁兄弟、須藤 薫が参加しています。
アルバム全体の印象として、それまでにないくらいロック色が強くなっているような気がします。
『松任谷 由実 / REINCARNATION』
01. REINCARNATION
02. オールマイティー
03. NIGHT WALKER
04. 星空の誘惑
05. 川景色
06. ESPER
07. 心のまま
08. ずっとそばに
09. ハートはもうつぶやかない
10. 経(ふ)る時
アルバム・タイトル曲01。"輪廻転生"をテーマにした曲で、宇宙空間を彷徨っているようなイントロからビートを効かせたロック色の強いアレンジが特徴です。圧巻はエンディングのギター・ソロ。曲毎のクレジットが記載されていないので本当の所は不明ですが、カッティングは今 剛でソロ・パートは安藤 正容ではないかと思っているのですが・・・。ご存知の方がいらっしゃいますか?
激しいギター・ソロに間髪入れず始まる02。キャッチーなメロディーがユーミンらしいポップ・ロック・ナンバーです。ジェイク・H・コンセプションのサックスが熱いです。
洒落たアレンジが大好きなミディアム・バラード曲03。この頃のユーミンは、この手のバラード曲に本当に良い曲が多いですね。ギターと美しいストリングスが印象的です。おそらくギターは鈴木 茂でしょう。
私がアルバム中で1番好きな曲04。車で疾走している感じがよく出ているアレンジが秀逸ですね。リズム・アレンジとホーン、ストリングスのアレンジのコンビネーションが本当に素晴らしいと思います。松原 正樹の軽快なギター・カッティング、高水 健司の重厚なベース、EVEのコーラス等・・・。松任谷 正隆のセンスが光ってますね。
石川 セリに提供した曲のセルフ・カヴァー05。サビのキャッチーなメロディーが耳に残るポップなナンバーです。夏の川辺をテーマにした曲って、海に比べると少ないですよね(笑)
不気味な英語のナレーションやヴォコーダー音で始まる06。軽快なポップ・ロック・ナンバーです。須藤 薫のコーラスが華やかで、曲を盛り上げています。今 剛らしいギター・カッティングも良いですね。
船に乗って心地良い風を全身に感じているような07。メロディアスなギター・ソロはおそらく松原 正樹ではないでしょうか。
ミディアム・バラード曲08。転調する感じが面白く、印象に残ります。ストリングスをフィーチャーした形で、オースドックスなアレンジですがメロディーによく似合っています。
08とクロス・フェードの形で始まる09。ユーミンらしくサビのメロディーがキャッチーです。タイトな林 立夫のドラミング、おそらくBUZZを中心としたコーラス・ワーク、松任谷のシンセのプレイが素晴らしいです。
千鳥ヶ淵のフェヤーモントホテルのティールームをモデルにしたと言われる10。しっとりとした情感豊かなバラード曲です。メロディーよりも詞が素晴らしく、ユーミンの巧みな表現は本当に凄いの一言です。
個人的な好みで言うなら楽曲的には1970年代後半の曲の方が好きですし、アレンジも"格好良さ"という観点で言えば70年代の方がインパクトがあります。
しかし、80年代に入ってからの松任谷 正隆のアレンジは地味な印象もありますが、メロディーや詞の世界を際立たせることに重要視してアレンジされている気がします。何より、ユーミンのヴォーカルが活き活きと聴こえてくるんです。70年代のアレンジは確かに格好良いのですが、その分ユーミンのヴォーカルがアレンジに負けてしまっていたという印象があります。
歌詞、メロディー、ヴォーカル、そしてアレンジのバランスが良いので、全曲通して心地良く聴けるアルバムだと思います。ユーミンのアルバムって本当に外れが無いですよね、凄い人です。
だけど、普通のPOPSを並べながら、宇宙の拡がりを感じさせる。
ああこんな作り方があるんだなあ、と驚きましたよ、当時は。
只、後々にELOを聴いちゃったンですよ。
(^_^;)
特に01→03の流れは大好きです
全体的な楽曲の良さはもちろん
演奏が実に魅力的です
当時、非常に「新しさ」を感じたものでした
まさに「ニューミュージック」と呼ぶにふさわしかったですよね
インタビューで語っています。03での鈴木さんの歌間のちょっとした
リフを聴いて名人芸に打ち負かされたとのこと。04は音の無くなる
瞬間が大好きです。「想い出は流れ去るランプ」・・・何回聴いても
未だにそう聞こえない(笑)。
林立夫のドラムはまさにピーク寸前の絶頂期ですね。
スキーブーム以降、食傷気味になったせいか遠ざかっていたユーミンですが、一番好きなアルバムです。夏には聴きたいと毎年思いますが、まだ買い直していません。
アルバム全体がひとつの作品としてまとまっているとも思います。
01のギターは私も根拠がありませんが、安藤 正容?と聞いて間違いないだろうと納得した一人です。
一番印象深いのは、10です。モデルになっているカフェがあるとは知りませんでした。今度行ってみたいです。とにかく、最後の曲があまりにも後味を残していて、また聴きたくなる中毒のような常習性を生んでいるようにも思えます。
とにかく、すごいアーティストであることに改めて感服ですね。
LPしか持ってなくてここ何年も聴いてないですが、コメントを読んで脳裏に曲が甦りました!
私も04が一番好きです。疾走感がタマリマセン!08も忘れられない想い出の曲で素晴らしい雰囲気を持ってると思います。
あー明日CD借りに行こうかな・・・
確かにこのアルバムには、ヒット・シングルは含めまれてませんね。
ところがアルバムに統一感があって、曲順や構成もよく練られているのを
感じます。
耳障りにならない程度で、シンセや電子楽器を上手く使って宇宙を感じさせる
正隆さんのアレンジのセンスは凄いと思います。
>只、後々にELOを聴いちゃったンですよ。
すごくその気持ち解るような気がします(笑)
曲に関しては、この頃もしかしてユーミンも限界か?と思ったこともありました。
ところが、このアルバムを聴いてそれが間違いだったと気付かされた気がします。
ユーミンはいつも通りに感性で曲を作って、そこに正隆さんのアレンジによって
様々な味付け、色付けが施されることで、他のアーティストの真似が出来ないほどの
完成度になっているのかなと思います。
興味深い話をありがとうございます。私も03での鈴木さんのギターのプレイは
好きです。ある意味職人技としか例えようのないプレイだと思います。
安藤さんが感動するのも理解出来ます。
だって、音やプレイで絶対に鈴木さんだと判りますからね(笑)
正隆さんがいつも大体同じメンバーで録音するというのは、彼等だからこそ
正隆さんのイメージ通りの音を出せるということなんでしょうね。
01のソロは安藤さんですよね、きっと(笑)
私は消去法で考えて、あのソロは鈴木さん、松原さんのソロでは無いとの自信はありました。
残るは今さんか安藤さん、でも今さんのソロもフレーズを重視するタイプだと思ってますから
必然的に安藤さんではないかと思った次第です。
私も3ヶ月前位までアナログ盤しか持ってませんでした。偶然、中古店(BOOK OFF以外の店)で
500円程で売られていたんで飛びつきました(笑)
10のモデルになったカフェは何年か前に無くなってしまったらしいですよ。
確かに千鳥ヶ淵のフェヤーモントホテルって古いですが、周りの景色に溶け込んだ
渋いホテルですよね。
喜んでもらえて嬉しいです。
80年代に入ってからのユーミンのアルバムでは、『PEARL PIERCE』と
この『REINCARNATION』が別格といった感じで好きな2枚です。
曲、アレンジ、歌のバランスが良く、本当に完成度の高いアルバムだと思います。
ぜひ、レンタル店で借りて聴いて下さい。CDで聴く、このアルバムも良いですよ!
1983年を象徴する超弩級の忘れられないアルバム。
ロック~疾走~運命~聴いた人はそれぞれ人間の輪廻について
曲間の秒間に一度は考えてみたのではないでしょうか。
経る時が千鳥が淵の桜と初めて知りました。靖国ではないもうひとつの霊園ですね。
浸み込むような「ずっとそばに」が好きです。「時かけ」原田知世のB面
ということもあるけど、海に潜って泣きたいようなそんな曲ですね。
いつもkotaroさんに書かれるコメントの文章の巧みさに驚き、羨ましく
思います。
「ずっとそばに」は上手く文字で表現出来ないが悔しいのですが、とにかく
印象に残る曲なんです。歌詞も良いのですが、メロディーに妙に惹かれるものがあるんです。
好き嫌いを超越して心に残る、私にとっては不思議な1曲です。
わたしも好きとかきらいとかと言うより、はずれなしで安心して聴けるので惰性で買い続けています。
でもこのアルバムは、いいアルバムですね。私も大好きでよく聴きます。
あとは「14番目の月」が好きですね。
いずれにせよ、底なしの才能にはすごいのひとことです。
>ユーミンて珍しくないですか。
今までに今回を含めて6枚程紹介してるんですよ。
ただ、松任谷姓になってからのアルバムばかりですが・・・(笑)
CITY POP好きな私としても絶対に外せないアーティストですし、
その才能には惚れ込んでおります。
70年代にユーミンが登場していなかったらJ-POPシーンはどうなったのかと
考える時もありますね。ある意味J-POPの流れを変えた人ですよね。