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Toshiki Kadomatsu vol.28_LEGACY OF YOU ◇ 2007年 07月 01日
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今回紹介するのは、1990年にリリースされた角松 敏生の2枚目のギター・インストゥルメンタル・アルバムとなる『LEGACY OF YOU』です。
1987年にリリースされた1枚目のインスト・アルバム『SEA IS A LADY』も夏らしいFUSION系のアルバムで、現在でも角松ファンやFUSIONファンにも評判の高いアルバムでした。今でも『LAGACY OF YOU』よりも『SEA IS A LADY』の方が好きだという方も沢山いらっしゃいますね。夏らしいFUSIONアルバムという観点では『SEA IS A LADY』でしょうね。
しかし、『LAGACY OF YOU』は様々なアイディアが施されたアレンジや楽曲の完成度、そして何より固さの取れたギター・プレイは前作を凌ぐ出来栄えだと思ってまして、個人的に大好きなアルバムです。

前作では、リスナーに極上のFUSIONサウンドを届けるべく、シンプルな構成で演奏に重点を置いていたように感じますが、今作では各々の曲のイメージ(サブ・タイトルに付いている女性と言った方が正しいかな・・・笑)を大事にした音作りがされているように感じます。アレンジ的に凝った曲が多いという印象があります。

参加メンバーはベテラン勢に加えて、角松と同年代のミュージシャンも数多く参加しているのも特徴です。
村上 秀一(ds)、石川 雅春(ds)、鈴木 茂(g)、浅野 祥之(g)、梶原 順(g)、青木 智仁(b)、佐藤 博(key)、小林 信吾(key)、友成 好宏(key)、斉藤 ノブ(per)、本田 雅人(sax)、春名 正治(sax)等が参加しています。

『角松 敏生 / LEGACY OF YOU』
01. Premonition of Summer (KIYOMI)~Suma (MIDORI)
02. 飛翔 (SAYURI)
03. At Canal St Club (MISAKO)
04. 流氷 (YURIKO)
05. Mystical Night Love (CHISATO'S Dream)
06. Tsugaru (KEIKO)
07. Stress by ストレス (CHISATO M.)
08. Twilight River (YUKARI)
09. Daylight of Alamoana (YUKO)
10. NH-CA's Struttin' (Crossing at Airport) (SANAE)
11. Parasail (at Ramada Beach) (REIKO)
12. SATO

シンセ・サウンドと角松の多重コーラスによる短い"Premonition of Summer"とメドレー形式で始まる"Suma"で構成された01。"Suma"は独特なギター・カッティングが印象的で、夏らしい爽やかなナンバーです。村田 陽一のトロンボーン・ソロ、数原 晋のトランペット・ソロ、難波 正司のシンセ・ソロ、そして角松のギター・ソロとソロ・プレイが堪能出来るナンバーです。

飛行機が上昇して、雲を抜け晴れ渡った空へと辿り着いた時のような爽快感のある02。大谷 和夫のアレンジによるストリングスが目立ちませんが美しく、メロディーを際立てていますね。青木 智仁のいかにも彼らしいスラップと友成 好宏のシンセ・ソロが素晴らしいです。

打ち込みによるリズムを軸にアコースティック・ギターをフィーチャーした03。こういう曲調は打ち込みで無い方がより味が出たのでは?と思います。ただ、角松のギター・プレイは固さを感じさせなくて、心地良く耳に届きます。林 有三のピアノ・ソロ、本田 雅人のサックス・ソロも良いのですが、角松のセリフは余分な気が・・・(笑)

タイトルは夏らしくありませんが、サウンドは清涼感溢れる04。ギターの音色も若干ロック色が強いのも面白いですね。村上 秀一のドラミングとおそらく春名 正治であろうサックス・ソロ、そして青木 智仁のベースに小林 信吾のピアノと聴き所の多いナンバーになっています。

しっとりとしたバラード系ナンバー05。角松のギター・プレイはラリー・カールトンを相当意識しているように思います。メロディーをセミ・アコ系のギターを使っているような気もしますが、自信はありません。情感豊かな本田 雅人のサックスにも注目です。

最初に聴いた時に最も感動し、今ではアルバム中で1番好きなのが06です。夏やブルー・ラグーンの海を連想させる曲を書いたり演奏するというのは意外と簡単な気もしますが、日本海の荒れた海を連想させる曲というのはそうはありません。特に高橋 竹与という女性の津軽三味線奏者の素晴らしい演奏とその演奏をサンプリングで使うという斬新なアイディアには驚きました。津軽三味線の音が大好きでして、実は高橋 竹与は盲目の天才津軽三味線奏者である故・高橋 竹山の愛弟子で、現在は二代目・高橋 竹山を襲名しているのです。今思えば贅沢なコラボレーションな訳です。打ち込みと村上 秀一のドラムのアンサンブル、三味線と青木 智仁のスラップの絡み、スリリングな角松のギター・プレイも素晴らしく、かなり完成度の高い作品だと思っています。

イントロの穏やかな雰囲気から一変し、変拍子の難しいナンバー07。演奏する側にとっては緊張を強いられるタイプの曲かも知れません。角松のギター・ソロもなかなか良いですが、鈴木 茂のスライド・ギター・ソロはベテランの味があって良いですね。聴いているコチラがストレス溜まりそうな1曲です(笑)

心が穏やかになるような心地良さを感じる08。角松のギターと本田 雅人のサックスによるユニゾンのメロディーが印象的です。コーラスの角松のバックでお馴染みの宮浦 和美と高橋 香代子の二人が参加しているのですが、角松の多重コーラスよりずっと好きなので余計心地良く聴こえますね。

打ち込みとシンセ、そして角松のギター、E.シタールのみで演奏されている09。シタールの音色を上手く活かしたナンバーだと思います。

どこか旅行へ出かける時のワクワクした感じを音楽で表現したら、こういう音楽になるんじゃないかと思う10。石川 雅春と青木 智仁のリズム隊が大活躍なナンバーで、他にも本田 雅人のサックス、友成 好宏のオルガン、数原 晋のフリューゲルのプレイも曲を盛り上げます。この曲のアレンジは素晴らしいですね。この曲も大好きな1曲です。

コーセーのCMのイメージ・ソングに採用され、先行シングルとしてリリースされた11。夏・海を強烈に感じさせる、まさにSummer Fusionという感じの爽快なナンバーです。上のジャケット写真:右がCDシングル盤ですが、このアルバムで収録されているのとは別ヴァージョンです。アルバム・テイクでは石川 雅春、青木 智仁のリズム隊が参加していますが、シングルは打ち込みです。聴き比べると面白いですよ。ちなみに個人的には、よりラテン色が強く感じるシングル・バージョンが好きです。

哀愁漂うバラード12は、角松のアコースティック・ギターと佐藤 博のピアノ、エレピ、そして大谷 和夫のアレンジによるストリングスというシンプルな構成です。そんな中で圧倒的な存在感なのが佐藤 博のピアノですね。まさにワン・アンド・オンリーなプレイです。

今回この記事を書くにあたって、『SEA IS A LADY』と『LEGACY OF YOU』の2枚を連続して聴きました。『SEA IS A LADY』の方が確かに聴きやすいですね。しかし、初めてのインスト・アルバムの制作、憧れの村上 秀一との初共演というのもあってか、どこか緊張感が抜けない感じがします。角松らしからぬ遠慮が感じられるんですね(笑)
ところが、『LAGACY OF YOU』では遠慮が無くなり、まさにやりたい放題って感じがして聴いてると楽しいです。インスト・アルバム第三弾の構想もあったようですが、様々な悲しい出来事で流れてしまったという話も聞きました。いつの日か、また爽やかな夏向きのインスト・アルバムを作って我々に届けて欲しいなと心から願っています。
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by kaz-shin | 2007-07-01 02:57 | Toshiki Kadomatsu | Trackback | Comments(12) | |
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Commented by トシユキ at 2007-07-01 08:44 x
kaz-shinさん、リクエストなのですが、ぜひともジャケットの裏面も載せ触れていただけないでしょうか。角松らしいしいアイディアに見るたび笑ってしまいます。
Commented by しげぞう at 2007-07-01 09:22 x
こんにちは
想い出深いアルバムです
第三弾、ぜひとも聴いてみたいですね
思いっきり爽快にやって欲しいなぁ
Commented by Musicman at 2007-07-01 22:28 x
最初のインスト・アルバムはファン・サービス。そしてコレは彼が本当にやりたかった当時のインスト・アルバムなんでしょうね。
若干の散漫さは否めませんけど、ギターも前作よりも巧くなってるし(失礼!)、斬新なアイディアも取り入れていて非常にクオリティの高い作品だと思います。
例の諸事情で残念ながらお蔵入りとなってしまった3作目、やっぱり聴きたいな~。
今年出るバラード・アルバムに期待しましょう!!
Commented by kaz-shin at 2007-07-01 23:02
トシユキさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
リクエストありがとうございます。次回から裏ジャケットを見て面白そうな
アルバムは載せるようにしますね(笑)
確かにこのアルバムの裏ジャケットは、角松さんらしいかも知れませんね。
ギターを美女に変えてしまう魔力を持っているのでしょうか・・・。
そういう魔力が存在するなら、私もぜひ欲しいものです(笑)
Commented by kaz-shin at 2007-07-01 23:04
しげぞうさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
一体どんな想い出なんでしょうか?
現在の角松さんが作るインスト・アルバムって興味津々ですね。
私としては、夏らしさ全開のFUSIONが聴きたいです。
Commented by kaz-shin at 2007-07-01 23:28
Musicmanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
本当にFUSIONという音楽を意識して作ったのが、今作品だと思っています。
そして、90年代に入ってからあえてこのアルバムをリリースしたというのも
角松さんらしい気もしますね。
Muicmanさんの仰るように、最初のインスト・アルバムではFUSIONを
知らないファンの為に"FUSION"の面白さを伝えようとしたんだと思います。
そして2作目で自分に色を強く出して、自分らしいFUSIONと奥深さを伝えようと
したのかも知れませんね。

今年出るのはバラード・アルバムなんですね。知りませんでした。
期待して待つ事にします。
Commented by トシユキ at 2007-07-02 01:56 x
私も、兄貴に倣い通して2つアルバムを聴いて見ました。
この作品には、ダイナミックさとこだわりの追求を感じます。そのため、聴く側もマニアックな聴き方になってしまうところも仕方ないのかも知れません。
沖縄の曲を作ったかと思えば、北の海を三味線で、Tsugaruには私もびっくりした想いがあります。
創造性、クオリティが非情に高い作品であり、角松が目指しているものがこれなのかと感じました。
Canal St Clubは、実際札幌にあるお店だそうです。ファンが集まるそうです。
Commented by kaz-shin at 2007-07-02 23:37
トシユキさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
兄貴とは嬉しいですね~、でも本当は親父の方が近いと思いますが・・・(笑)
このアルバムは、FUSIONの保守的な部分とアグレッシブな部分とのバランスが
絶妙だと思います。
そして、『SEA IS A LADY』では角松さんのギターを中心にしたアレンジが施されていましたが、
『LEGACY OF YOU』では曲のイメージを大切にしたアレンジになっていて、
その分角松さんのギターもリラックスしたプレイで、前作以上に素晴らしいものになっている気がします。
夏の海岸線で聴く「TSUGARU」は、個人的には結構良いと思っているんですよ。

>Canal St Clubは、実際札幌にあるお店だそうです。ファンが集まるそうです。
そうなんですか!面白いものですね、ファン心理というのは(笑)
Commented by DENTA at 2007-07-03 16:36 x
もけ~~っと、夏向けのフュージョンでええなぁと思っていたら、
#6でぶっ飛んだこと。
これはこれで面白い!

第三弾が出ているとか話を聞いたことがあったんですが、
まだだったんですね(´・ω・`)

彼のインスト作はこれしか持っていないので、第一弾も欲しいのだけれど・・・
まあ、彼のヴォーカルアルバムも持っていないのだけれど。
Commented by kaz-shin at 2007-07-03 23:44
DENTAさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
第一弾の『SEA IS A LADY』もお薦めですよ。ぜひ聴いてみて下さい。
角松さんのヴォーカル・アルバムは無理して聴く必要な無いと思いますよ。
もし、聴いてみたいと思うのでしたら『1981~1987』という2枚組ベスト盤が良いと思いますよ。
その中で気に入った曲が収録されているアルバムを聴いてみるのが良いと思います。
Commented by ayuki at 2007-07-04 19:04 x
お邪魔致します。
レビュー待っていました!さすがに角松さんの音楽を良く聴いていらっしゃるので、なかなか深くて、楽しく読ませていただきました。ところで角松さんのインストのツアーってあったのでしょうか?もしあったとすればかなり面白いツアーでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2007-07-04 22:07
ayukiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ギターを昔少し弾いてた程度なんで、技術的な事については大した事が
書けないのが歯痒いです(笑)
ですから、聴いた印象でしか書けません。それにボキャブラリーも貧困なので
上手い表現も出来ずにいて、苛立つ毎日です(笑)
こんな記事をお褒め頂いて恐縮するばかりです。ありがとうございます。

インストのアルバムのリリース後にツアーはありましたね。私は参加していませんが、
『SEA IS A LADY』と『LAGACY OF YOU』のリリース後に数は多くなかったですが
ツアーがあったように記憶しています。
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