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AL JARREAU_THIS TIME ◇ 2007年 09月 19日
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今回紹介するのは、1980年にリリースされたアル・ジャロウの通算5枚目となるアルバム『THIS TIME』です。アル・ジャロウと言えばJAZZのフィールドで活躍してきたヴォーカリストで、1978年には『Look to the Rainbow』が、1979年には『All Fly Home』がグラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞しており、まさにJAZZ界を背負っていたと言っても大袈裟では無かった存在でした。

そんなアル・ジャロウが、当時上り調子で勢いのあったジェイ・グレイドンをプロデューサーに迎え、AORの世界へ乗り込んだ記念すべきアルバムがこの『THIS TIME』です。以降ジェイ・グレイドンは、1981年には『Breakin' Away』、1983年には『Jarreau』、『High Crime』と立て続けに4作をプロデュースしています。

『THIS TIME』では、ジェイ・グレイドンはソング・ライティングには関わっておらず、アレンジと演奏の部分で大きく貢献しています。まだ、初顔合わせということもあってお互いに遠慮と言うか、気を使っていたのかも知れませんね(笑)
このアルバムのハイライトは、やはりReturn to Foreverの名曲でチック・コリア作の「SPAIN」に歌詞を付けて歌っているというところでしょう。この曲目当てにこのアルバムを購入した人も多かったと聞きます。
勿論それだけではないのは聴いてもらえれば分かると思いますが、良く出来たアルバムです。

『AL JARREAU / THIS TIME』
01. NEVER GIVIN' UP
02. GIMME WHAT YOU GOT
03. LOVE IS REAL
04. ALONZO
05. (IF I COULD ONLY) CHANGE YOUR MIND
06. SPAIN (I CAN RECALL)
07. DISTRACTED
08. YOUR SWEET LOVE
09. (A RHYME) THIS TIME

アル・ジャロウとトム・キャニングの共作01は、軽快なノリが心地良いポップなナンバーです。アレンジは、グレッグ・マティソン、アル・ジャロウ、トム・キャニングの3人で、グレッグ・マティソンのピアノのプレイ、エイブラハム・ラボリエルの渋いベース・ランニングが聴き所です。アル・ジャロウのリード・ヴォーカルを凌駕するほどのコーラス・ワークも見事です。

01と同じアルとトムの共作による都会的で洗練されたナンバー02。アレンジは、ジェイ・グレイドンにアルとトムの3人。リズム・アレンジがまさにAORそのもので、デヴィッド・フォスターのピアノが印象的です。ジェイ・グレイドンも目立ちませんがセンスの良いバッキングが光っています。

トム・ケロック、アル・ジャロウ、トム・キャニングの共作03。展開とメロディーが面白いポップなナンバーです。ディーン・パークスとジェイ・グレイドンのギター、デヴィッド・フォスターのローズ、トム・キャニングのピアノ等素晴らしいプレイが随所で聴くことが出来ますが、圧巻はホーン・セクションとアル・ジャロウのスキャットとのユニゾンは鳥肌モノです。

アル・ジャロウの作品04は、スケールの大きさを感じるバラード曲です。ジェイ・グレイドンとアル・ジャロウのアレンジが素晴らしいです。しかし、ジェイは演奏には加わっていません。ギター・レスの演奏です。グレッグ・マティソンのシンセ、トム・キャニングのローズ、ラルフ・ハンフリーのドラミングの凄さを感じます。印象深い1曲。

アリー・ウィリスとトム・キャニングの共作による美しいバラード曲05。04とは違って落ち着いた雰囲気が良いですね。伸びやかに歌うアル・ジャロウのヴォーカルが秀逸です。大都会の夜景にピッタリくるような素晴らしいアレンジはトム・キャニング。

アルバムの1番の目玉曲06。そうあの「SPAIN」です。スティーヴ・ガッド(ds)、エイブラハム・ラボリエル(b)、ラリー・ウィリアムス(key)の3人のみの演奏でこの迫力。そしてまるで楽器のように自由自在に歌いまくるアル・ジャロウのヴォーカルが圧巻です。とにかく3人で奏でているとは思えない演奏が凄いです。ガッドのドラミングはもはや人間技とは思えないですし、サックスだけでなくキーボードの腕前も相当なラリー・ウィリアムスのプレイも素晴らしいですね。

心地良いグルーヴ感に包まれたミディアム・チューン07は、アル・ジャロウの作品です。洒落たアレンジは、ジェイ・グレイドンとアルの二人によるもの。ガッドとエイブのリズム隊による極上のグルーヴに、ジョージ・デュークのローズ、ジェイ・グレイドンのギター全てのバランスが良い演奏だと思います。

トム・ケロック、アル・ジャロウ、トム・キャニングの共作08。爽やかなミディアム・ナンバーです。今までの曲の中でもジェイ・グレイドンのギターが1番輝いている曲かも知れません。スティーヴ・ガッドのドラミングは、歌モノのバックで光る叩き方というのを知っているかのようなドラミングですね。

アルバム・タイトルの09は、アール・クルーとアル・ジャロウとの共作曲です。いかにもアール・クルーらしいメロディー・ラインの美しいナンバーです。もちろんガット・ストリングス・ギターはアール・クルーで、素晴らしいソロも聴かせてくれます。煌びやかなフェンダー・ローズはデヴィッド・フォスターが弾いています。木漏れ日溢れる晩秋から冬の午後に聴きたい、そんな1曲です。

次作『Breakin' Away』を含む3作品に比べると、ジェイ・グレイドンの色が1番薄い作品と言えるでしょう。
それでもこれだけの完成度と充実した内容のアルバムを制作するのですから、ジェイ・グレイドンのプロデューサーとしての手腕は相当なものですね。
私はあえてジェイ・グレイドン色を抑えたんだろうと思います。おそらくアル・ジャロウは『THIS TIME』の1枚だけでジェイ・グレイドンのプロデュースを終らすつもりは無かったのだと思います。
それまでJAZZ界で歌ってきたアル・ジャロウが、いきなりAORというのも聴く側に抵抗感を与えてしまいかねない・・・。その辺を考慮して、JAZZとAORの橋渡し的なアルバムを目論んだのではないでしょうか?
そう考えると、尚更このアルバムが素晴らしいアルバムだと思えてきます。
秋から冬にかけて聴くにはピッタリな1枚だと思います。静かな秋の夜長にお薦めの1枚です。
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by kaz-shin | 2007-09-19 00:01 | 洋楽系 | Trackback | Comments(4) | |
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Commented by milkybar at 2007-09-19 22:34 x
おひさしぶりです。
この「SPAIN」のスティーヴ・ガッドはほんとにスゴイですよね。アル・ジャロウのヴォーカルとの絡みがとてもスリリングです。
激しい「SPAIN」が終わった後の「07. DISTRACTED」がホッとするような落ちついたグルーヴで、これまた大好きです。
Commented by kaz-shin at 2007-09-19 23:22
milkybarさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
「SPAIN」でのガッドのドラミングは何回聴いても鳥肌が立ちますね。
素晴らしいドラマー、好きなドラマーは沢山いますが、こういうドラミングを
聴くとガッドが別格だなという気がします。
派手さは無いものの、味のある良い曲が揃ったアルバムですね。
何回聴いても厭きないのが不思議です。
Commented by Musicman at 2007-09-19 23:27 x
こんばんは!私も以前このアルバムを紹介したのでTBさせて頂きますねー!
・・・アレ?TB出来ないみたいですぅ・・・(泣)。
「ジェイ・グレイドン」と組んだ初めてのアルバムですけど、個人的には他の作品よりもシックで好きなんですよねー。
特にラストの「This Time」は名曲だと思います。
ジャケットもモノクロでGOODですねー。
Commented by kaz-shin at 2007-09-19 23:44
Musicmanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
TB出来ませんでしたか?ごめんなさい。
スパム対策のチェックを入れているので、それが影響しているのかも知れません。
「THIS TIME」は、アール・クルーの良い部分とアル・ジャロウの良い部分が
まさに融合したといった感じが素晴らしい1曲だと思います。
この曲名をアルバム・タイトルに持ってきたのは、正解だったような気がします。
本当に蕩けるような名曲ですよね。
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