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Toshiki Kadomatsu vol.32_INCARNATIO ◇ 2007年 10月 14日
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久しぶりの角松 敏生ネタです。今回紹介するのは、リリースされた当時賛否両論、物議を醸し出したアルバム『INCARNATIO』(2002年)です。あくまでも個人的な印象ですが、このアルバムに対して否定的な意見や感想が多かったように思います。角松ファンの中にも、嫌いではないけど好きだとも言えないと感じている人も多いかも知れませんね。
活動解凍後のアルバムに対して、どうしてもしっくりと馴染めない作品が多い中で、私が解凍後のアルバムの中では1番好きだったりするのがこの『INCARNATIO』なんです。少し変わってますかね?(笑)

これも私個人の予想でしかありませんが、このアルバムに対して否定的な意見・感想が多かった理由としては、トンコリや三線という伝統的な民族楽器を大胆に取り入れたサウンドや独特な世界観の歌詞が、それまでの角松の音楽を愛聴してきた人でさえも戸惑わせたのかも知れませんね。
私は元々歌詞に関しては無頓着でして、特に解凍後の角松の書く歌詞は難解だと感じてますので好き嫌いの対象にはならないのですが、このアルバムでのサウンドの変化は大変興味深く面白いなと思っていました。多くの人が違和感を感じたであろう民族楽器や日本の伝統的な和楽器を取り入れたことも、取り立てて違和感を全く感じませんでした。
それはきっと、1970年代後半以降に横倉 裕、喜多嶋 修、HIROSHIMAという和楽器を取り入れたFUSION音楽を披露してくれたアーティスト(グループ)を好きで聴いていたからだと思います。

角松の音楽のベースはあくまでPOPSであって、そのPOPSに民族楽器や和楽器を単に楽器のひとつとして取り入れたというだけだと解釈しています。事実、トンコリや三線はその独特な音色からも世界に誇れる魅力的な弦楽器だと思っています。中には琉球音楽を意識した曲もあり、そういう曲においては逆に必要不可欠な楽器として用いられていますね。いずれにせよ、サウンド・アプローチとしては面白いと感じていました。

『角松 敏生 / INCARNATIO』
01. INASA
02. IZUMO
03. Prelude#1
04. 風車
05. Dawn
06. マレビトの浜 - Let's find out -
07. 常世へ続く川
08. アマヌサの海
09. AIJIN
10. Ways
11. Gazer
12. Prelude#2
13. 八月踊りの島
14. 鎮魂の夜
15. 太陽と海と月
16. Always Be With You (album version)

インスト・ナンバー01。出雲へ行ったことが無いので分かりませんが、おぼろげながら稲佐の浜をイメージさせてくれますね。しかもアイヌの民族楽器であるトンコリや沖縄の三線という出雲とは無縁とも思える楽器をメインに使用してイメージを表現しているのが面白いですね。

8分の7拍子という変拍子のナンバー02。何故こんな変拍子な曲を作ろうと思ったのか謎ですが、結構好きな曲の一つです。腕利きメンバーが揃っているので難なく演奏してますが、それでもどこか緊張感を感じる演奏が良いですね。8分の7拍子で思い出すのが、リー・リトナーのダイレクト・カッティング盤『Friendship』の中の「Sea Dance」。この曲の演奏も凄かったな~。

トンコリ奏者・OKI作曲によるインスト・ナンバー03。

風車がクルクル廻るような風を感じるアレンジが見事な04。角松のアレンジャーとしてのセンスの良さを改めて感じた1曲でした。ただ、個人的に保土田 剛のミキシングはそれほど好きではないので、少し残念ですが・・・。

タイトルとサウンド・イメージがぴったりくるナンバー05。こういうメロディーを書けるようになったというのは、ある意味角松の懐も深くなったということなんでしょう。好き嫌いがはっきり別れるタイプの曲だとは思いますが、私には魅力的で結構好きな曲です。

おそらく「マレビト信仰」をテーマに書いた曲であろう06。メロディーとしてはオーソドックスな聴きやすいPOPなナンバーです。アルバム『SUMMER 4 RHYTHM』に入っていても違和感のないメロディアスな曲ですね。太鼓類を上手く使ったアレンジが面白いです。

「それにしてもこのタイトルってどうなのよ?」って感じの07ですが、美しいメロディー・ラインを持った曲だと思います。OKIのトンコリや宮本 文昭のオーボエ、コーラスが効果的に使われているのと、小林 信吾のアレンジによるストリングスの美しさが印象的です。

バリ島のリゾート、アマヌサを歌った08。一種のリゾート・ミュージックという趣きのナンバーで、心地良いサウンドとメロディーに癒されますね。本田 雅人のサックス・ソロの音色が美しいのと松本 靖雄のバランスの良いミックスが素晴らしいですね。

軽快なポップ・チューン09。解凍後の角松を象徴するかのような曲だと思います。曲としては嫌いではないのですが、どうも保土田 剛のミキシングを私は好きになれないです。

打ち込み主体のミディアム・ナンバー10。サビのメロディーなど結構好きなんですが、やはりこの曲も保土田 剛のミキシングで、どうも音のバランスが好きになれないのが残念です。

角松の解凍後の多くの楽曲の中で1番衝撃を受けたのがこの11でした。大好きなナンバーです。お囃子などで使われるいわゆる"鳴り物"をパーカッションとして非常に上手く使っていて、角松のアレンジ・センスが1番光っている曲だと思います。往年の角松を感じさせるメロディーや構成も好みの理由かも知れません。アルバム中で歌詞が唯一好きなのもこの曲なんですね。

OKI作曲によるインスト・ナンバー12。

アイヌの言葉や宮古島の言葉を取り入れた独特なナンバー13。なかなかポップなナンバーで、好きなメロディーなんですが、コーラス部分は無くても十分良かった気もします。これも残念なことにミキシングが保土田 剛なんですね。気にならない人も多いでしょうが、私はどうもこの人のミックスの音は好きになれないです。

私が解凍後の角松で1番残念なのが、良いバラードが無い事です。もちろん個人的な好みの問題ではありますが・・・。この14もそんな1曲になっています。この手の曲を聴いていると似ている曲が多いような気がして仕方がありません。気持ちの良い音だなと思ったらお馴染み内沼さんのミキシングでした(笑)

ある種お祭りソング的で楽しい曲15。この頃から角松の沖縄かぶれが始まったような・・・。どうせやるなら琉球音階での曲作りと沖縄ミュージシャンとのコラボ・アルバムを作れば良いのにと思いますね。わざわざ自分のアルバムに入れる必要性を感じないタイプの曲だと思ってます。

シングル曲のアルバム・バージョン16。可も無く不可も無いという感じで、09同様解凍後の角松らしさを感じる曲ではありますね。

このアルバムがリリースされた当時、角松本人も自信作と言っていただけあって、ボリュームや内容の濃い作品だと思います。メロディーも好きなものが多いですし、特にアレンジの緻密さやアイディアに関しては解凍後ではずば抜けて良いような気がします。ただ残念なのは、エンジニアを複数起用していることですね。トータル的なバランスで考えれば一人に固定すべきだったと思いますね。個人的に保土田 剛の音が好きではないというのもありますが、どうせなら松本 靖雄に全部任せた方がより統一感が出たような気もします。
いずれにせよ、解凍後のアルバムで1番好きなアルバムですし、完成度の高いアルバムだと思います。このCDがラックの中で眠っている人も多いと思いますが、たまには引っ張り出して聴いてみては如何でしょう?新しい発見があるかも知れませんよ。
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by kaz-shin | 2007-10-14 00:01 | Toshiki Kadomatsu | Trackback | Comments(8) | |
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Commented by Musicman at 2007-10-14 09:10 x
実は角松のアルバムの中で最も好きなのがコレ!!
変わってますかね(笑)。
“好き”と言うよりも、これぞJ-POPと思えるクオリティに脱帽です。
巷に溢れるJ-POPは、所詮洋楽のコピー。コピーが悪いとは言いませんが、日本の伝統楽器や伝統音楽の音階を、これまで彼が影響された洋楽に取り入れ、本当の意味での角松の音楽に仕上げている所がスゴイと思います。
もちろん私も過去のダンサブルなサウンドやAORなアルバムは大好きなんですけど、『INCANATIO』は日本人のアイデンテティを魂で感じる作品ですね。
おっしゃる通り、たまに引っ張り出して聞くと、聴くほどに発見があるアルバムですね!!
Commented by しげぞう at 2007-10-14 11:43 x
こんにちは
ミックスにこだわる(というか意識が向かう)というのはサスガにkaz-shinさんですね
内沼さんの音に反応する気持ち、よく分かります(笑)
このアルバムの価値はやはりオリジナリティの高さにあると思います
それは楽曲やミックスのバラツキを打ち消すほどに――
ということになりますでしょうか
Commented by kaz-shin at 2007-10-15 00:06
Musicmanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
解凍後の角松さんの作品を聴いていて、どこか角松 敏生にしか出来ない
オリジナルに拘り過ぎてるんじゃないかと危惧してました。
オリジナリティーを出すということは難しいことです。そんな中でこのアルバムがリリースされました。
これが"角松のオリジナル"とまでは言えないまでも、サウンド的には角松さんならではのものに
仕上がっていると思います。
こういうアプローチで良いと思うんですよね。何も詞やメロディーまでも角松さんにしか書けないものを求めなくても・・・。
本当に良いアルバムだと思います。
Commented by kaz-shin at 2007-10-15 00:18
しげぞうさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
このアルバムに収録されている楽曲のメロディー、アレンジ共に気に入っていて、
すごく完成度の高いアルバムだと思います。
アルバムとしてのトータル・カラーも出ていますよね。
だからこそ、ミックスの微妙なバラツキが気になったのかも知れません。
これはもう完全に好みの問題ですから、気にならない人にはつまらない話ですね(笑)
聴いていて「あれっ?」と思うのが保土田さんのミックスで、一度気になるとそこが気になって
仕方が無くなってしまう悲しい性を背負っております(笑)
でも、間違い無く良いアルバムだと思います。
Commented by ロロ at 2009-06-30 16:49 x
こんにちは。ご無沙汰しておりました。 kazさんが毛嫌い(?)する角松1人多重コーラスが”結構”好きなロロです。
>オリジナルに拘り過ぎてるんじゃないか
ホントにkazさんの指摘には毎回脱帽です。私もそう思わずにはいられません。彼が活動を再開するにあたってイメージしていた新世界がこうした音楽心象風景なのでしょうけど。。
ところで、本アルバム、私が”角松を解凍”して2作目に聴いた作品でした。1曲目の広がりのあるkeybordsのイントロから和楽器がインサートしてくる感じは何かTimeTunnelのヒーリング版みたいで悪くないとも思いましたが、3曲目あたりからおかしいと思い始め…7曲目にはすでに苦痛に変わっていました。結局、MP3プレーヤーにDLしたのは8曲目と14曲目だけ。
彼がさまざまな理由からあえて変化を求め、そして年齢などによる感性の変化などから表現対象が変わったのは、仕方のないことかもしれません。
しかし今の条件下でも、くり返し私たちが”胎内回帰”できるような、上質で忘れられない、大人の耳を心地よく刺激する、角松敏生の音世界を時間がかかってもいいからいつかまた提供してほしい思いに変わりはありません。
Commented by kaz-shin at 2009-06-30 23:11
ロロさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
一人多重コーラスが"結構"好きですか!
私もコーラスは好きなんで結構うるさい方なんです(笑)
角松さんの場合は、単純にコーラス向きの声質ではないような気がしてます。好みもあるとは思いますが・・・。

さて、このアルバムのアレンジは結構好きなんです。
和楽器自体結構好きなのもあって、解凍後のアルバムではサウンド的には私好みです。
曲に関しては"好き"、"嫌い"がはっきり別れてしまいますが・・・。
私の想像ですが、それまでの洋楽志向から離れようとする傾向の強さが民族楽器や和楽器、琉球音楽へ向かわせたのではないでしょうかね。
私は感性の変化があったというよりも、"意地"みたいなものを感じてしまいます。
Commented by ロロ at 2009-07-01 00:10 x
お疲れ様です。
なるほど、「意地」という表現は言い得て妙ですね。ただ「意地」を張り過ぎて、「意固地」になってないといいのですが…。三つ子の魂百まで、と言いますが、一度どっぷり漬かった”きらきら”系角松敏生を封印しながら、新しい角松ワールドを展開しているその推進力(音楽的感性の広さ、柔軟さ)にはある意味敬意を表します。やっぱり角松敏生は音楽的にはとびぬけて感度の鋭い人なのだなって感心せずにはいられません。
ただ…角松敏生よ、
Lascia Ch'io Pianga! (私を泣かせてください)

※kazさんとの微妙な好みの違いもまた一興、でも思いは1つですね!
Commented by kaz-shin at 2009-07-02 01:57
ロロさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
最近私が角松さんに対して懸念しているのが、今の角松さんの音楽に"付いていけてる"ファンの囲い込みをしているように思えるところです。
言葉は悪いですが、今の角松さんの音楽に惜しみなくお金を使ってくれるファンに向けて音楽を作っているという印象を受ける時があります。
それもありだと思いますが、少し淋しい感じがします。
"良い音楽"も大事ですが、"広く支持される音楽"を目指して欲しいと思うのは我侭な発想なんでしょうかね(笑)
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