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東北新幹線_THRU TRAFFIC ◇ 2007年 10月 20日
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音楽ライターである金澤 寿和氏が監修する、大人の音楽ファンに向けたCDシリーズ『Light Mellow's Choice』シリーズから今月17日、素晴らしいアルバムが初CD化となってリリースされました。そのアルバムが今回紹介する東北新幹線の『THRU TRAFFIC』(1982年)です。

東北新幹線は、ギタリストとして現在も活躍している鳴海 寛と作曲家、編曲家として主に裏方として活躍している山川 恵津子のデュオで、東北新幹線の開業日(1982年6月)とほぼ同時期にデビューしています。
私が彼らの名前を初めて目にしたのは、大好きな女性アーティストの一人である八神 純子のバック・バンドのメンバーだったことや八神 純子のアルバムのミュージシャン・クレジットだったと記憶しています。そんな二人が組んでアルバムをリリースしていたなんて、つい最近までは全く知らずにいたのですが、金澤氏が監修した「LightMellow 和モノ699」というCITY POPのガイド本に紹介されており、非常に興味が湧いていつか聴いてみたいと思っていました。

彼らのアルバムを聴いて、まず驚いたのが二人とも非常に歌が上手いことですね。山川 恵津子に関しては、コーラス要員として数々のアルバム・クレジットで見かけていたのである程度想像出来たのですが、鳴海 寛の歌の上手さには正直驚きました。ファルセット・ヴォイスを巧みに使うあたりは、渡辺 直樹(マニアックですかね・・・汗)に感じが似ているかも知れません。
"新幹線"というスピード感のある名前とは裏腹にアルバム全体を通して、スロウからミディアムのナンバーを集め、極上のメロウ・サウンドを聴かせてくれます。特に編曲家を当初から目指していたという山川 恵津子と編曲家、プロデューサーとしても活躍していた鳴海 寛の二人によるアレンジが素晴らしく、このアルバムの聴き所であろうと思います。CITY POP、J-AOR好きな人には聴いて欲しい1枚ですね。

『東北新幹線 / THRU TRAFFIC』
01. Summer Touches You / 作詞・作曲:鳴海 寛
02. Up and Down / 作詞・作曲:山川 恵津子
03. 心のままに / 作詞・作曲:鳴海 寛
04. ストレンジ・ワイン / 作詞:来生 えつこ 作曲:鳴海 寛
05. September Vallentine / 作詞:斎藤 敦子 作曲:安部 恭弘
06. 月に寄りそって / 作詞:来生 えつこ 作曲:山川 恵津子
07. Cloudy / 作詞:来生 えつこ 作曲:山川 恵津子
08. Spell / 作詞:金京姫 作曲:鳴海 寛
09. ラスト・メッセージ / 作詞:佐藤 アリス 作曲:鳴海 寛

初めてアルバムを聴いた時、この曲のイントロを聴いただけで良いアルバムだろうという予感の働いた01。極上のメロウ・グルーヴに乗せた鳴海 寛の甘い歌声が見事にマッチングしたナンバーです。間奏部でのジョージ・ベンソンを彷彿させるアコースティック・ギターとスキャットのユニゾン等洒落たアレンジが素晴らしい。

アース、ウインド&ファイアーの影響が出たという02。こちらもメロウなミディアム・グルーヴが心地良いナンバーで、八神 純子に声が似ていることも八神のバック・バンドに加わるきっかけだったという山川 恵津子のヴォーカルが素晴らしいです。ストリングスやホーン・アレンジやコーラスのアレンジなどを聴くと、二人のアレンジャーとしてのセンスの良さを感じます。

美しいメロディーとファルセット・ヴォイスが印象的なメロウなナンバー03。元々はアコースティック・ギターが専門だったらしい鳴海のアコースティック・ギターの音色やプレイが、この曲の雰囲気にピッタリで心地良い空間を生み出している気がします。

波の音のSEで始める、これもメロウなグルーヴがたまらないミディアム・スローなナンバー04。この曲のアレンジも素晴らしく、リズム・アレンジが凝ってますね。鳴海のエモーショナルなギター・ソロが圧巻です。

J-AORの代表格とも言える安部 恭弘のナンバーを取り上げた05。シンガーズ・アンリミテッドを意識したというコーラス・ワークが見事ですし、鳴海・山川のデュエットも素晴らしいです。JAZZYなアレンジが素晴らしく、まさに大人の為の1曲といった感じです。故・羽田 健太郎の素晴らしいピアノは鳥肌モノです。

個人的にお気に入りの1曲となっている06もデュエット・ナンバーです。鳴海のギター・プレイと山川 恵津子のヴォーカルに痺れます。特に山川 恵津子のヴォーカルは、ファルセットの使い方などまるで八神 純子を聴いているような気がします。本当にアレンジが素晴らしく、25年も前の曲とは思えませんね。

山川 恵津子のアンニュイなヴォーカルが印象的なメロウなナンバー07。曲調、アレンジ、ヴォーカルのトータル的なバランスが絶妙です。派手さは無いですが、印象に残るナンバーですね。

インスト曲と言って良いナンバー08。おそらくFUSION好きな人も納得する1曲だと思います。英語詞のコーラスが入っていますが、おそらく聴かせたかったのは演奏でしょう。鳴海のデヴィッド・T・ウォーカーを彷彿させるギターが聴き所です。ギターもデヴィッドと同じギブソンのバード・ランドを使用しているそうです。

このアルバムの中においてはオーソドックスな感じがしてしまうバラード曲09。山川 恵津子はフロントに立つことが嫌いなんだそうですが、曲によって色んな表情を見せるヴォーカルは本当に素晴らしく、何故歌わないのだろうと不思議な気がします。

最近聴いた新譜の中では群を抜いて、驚きと感動を同時に味わった素晴らしいアルバムでした。彼らの高い音楽性は、同じ時代にリリースされたCITY POP、J-AORのアルバムの中でも抜きん出ている気がします。楽曲、アレンジ、演奏、ヴォーカルのどれを取っても完成度が高く、トータル的なバランスも良いです。このアルバムしかリリースされていないのが惜しい気もすますね。今でも通用する音楽だと思いますし、だからこそ金澤氏が初CD化に尽力されたのだろうと思います。
二人で決めたという参加しているメンバーも豪華で、宮崎 全弘(ds)、市原 康(ds)、山木 秀夫(ds)、後藤 次利(b)、高水 健司(b)、羽田 健太郎(key)、浜口 茂外也(per)、数原 晋(tp)、ジェイク・H・コンセプション(sax)、八神 純子(cho)等という顔触れです。

何故こんな素敵なアルバムが今までCD化されなかったのが不思議です。とにかく良いアルバムです。
ぜひ1度騙されたと思って聴いてみて下さい。これは確かに名盤ですよ。
by kaz-shin | 2007-10-20 23:32 | CITY POP / J-AOR系 | Comments(13) | |
Commented by ふらいんぐしゅがあ at 2007-10-21 08:03 x
「September Valentine」は、安部さんが1977年にポプコンに出場した時の曲ですね。
Commented by kaz-shin at 2007-10-21 08:39
ふらいんぐしゅがあさん、おはようございます。コメントありがとうございます。

1977年にこんな曲を書いていた安部さんのセンスには脱帽ですね。
このアルバムの金澤さんの書いたライナーによると、鳴海さんが佐々木幸男さんの
サポートをしていた頃、佐々木さんが取り上げていてらしいです。
それで鳴海さんもこの曲に目を付けたということみたいです。
ジャズ風にアレンジされたこの曲、かなり聴き応えがありますよ。
Commented by まるいチーズ at 2007-10-21 15:35 x
こんにちは
kaz-shin さん、お元気ですか?ちょっと色々とあったご様子で、陰ながら心配しておりました。
それはさておき、このアルバムはほんとにいいですよね、CD化されたことは全く知りませんでした。発売当時は05が入っているのと、山川さんが参加されているという理由で購入した覚えがあります。山川さんは当時、数多くのアーティストのアルバムにコーラスなどでお名前がクレジットされていましたが、アイドル歌手にも多くの楽曲を提供されてますよね。私の地元、京都が生んだ偉大な音楽家のお一人だと思います。このアルバムの3曲も素晴らしいし、歌がほんとにイイです!早速CD買います(笑)
Commented by kaz-shin at 2007-10-21 23:11
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
このアルバムをお持ちだったんですね~。素晴らしい!
私はガイド本で存在を知ってから、聴きたくて仕方無かったのですが
やっと入手出来ました。それにしても予想以上に素晴らしいアルバムでした。
このアルバムはしばらくの間、ヘビロテになりそうです(笑)
アナログ盤でも相当良い音だったと思いますが、CDで聴くとかなり良い音です。
ぜひ、CDで聴いてみて下さい。
Commented by Jun at 2007-10-23 06:32 x
このアルバムはまだ 聴いてないのですが、近いうちに聴いてみたいと思っていたアルバムです!
安部恭弘の「セプテンバー バレンタイン」の東北新幹線をかなり以前に友達からのテープで聴いていたからです。コーラスが素晴らしく アレンジもお洒落な仕上がりで良かったでした!
隠れていた名盤が再発されたのは 嬉しい事ですね!
Commented by kaz-shin at 2007-10-23 23:25
Junさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
これは良いアルバムですよ。入手可能な間に購入しておくことをお薦めします。
時代に関係無く、楽しめる大人のポップスだと思います。
Commented by まるいチーズ at 2007-10-27 13:12 x
こんにちは
CD届きました!音、いいですね、このアルバムもかなり長いこと聴いていなかったんですが、CDで聴きなおすと懐かしさとともに、また新たな良さがあります。当時は鳴海さんの声がきれい過ぎる気がしたのですが、今はそうは思わないです(笑)歳とりましたかね~(笑)
Commented by kaz-shin at 2007-10-27 22:51
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
こんブログを始めてから、結構昔のレコードやCDを引っ張り出して聴くようになったんですが、
買った当時と印象が全く変わったアルバムって結構ありました。
極端に言えば、1度聴いてつまらないと思って放っておいたアルバムが聴き直してみたら
えらくお気に入りの1枚になったり・・・。
時代、時代で好みの音や音楽があって、たまたまその好みに合っていなかったということかも知れませんけど
やはり歳なのかも知れませんね~(笑)
Commented by ymoymo at 2008-01-20 01:04 x
山川さん目当てで聞きました。始め聞いた時はなんか地味だなあ、フツーのシティポップだなあ、とか思ってたらあとからジワジワ効いてきてお気に入りになりました。噛むほど味の出るスルメ的なアルバムだと思います。特に5,6,8いいっす。山川さんは初め岡本舞子というアイドルのベストで視聴して知って、聞き狂ってましたが、東北新幹線の静寂さと違ってキラキラした派手なアイドルポップだったためかなり地味に聞こえたのです(笑)むしろどうでもよかったはずの鳴海さんのほうにはまりました。
Commented by kaz-shin at 2008-01-20 01:33
ymoymoさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私もガイド本でその存在を知ったのですが、本当に良いアルバムですよね。
派手さは無いのですが、繊細かつ丁寧に作られたサウンドは今でも十分に
通用するのではないでしょうか。
このアルバムを聴いて驚いたのは、山川さんの歌の上手さでした。
現在のソング・ライターやミュージシャンとしてだけの活動だけでは勿体無い気がします。
鳴海さんのギターやヴォーカルも魅力的ですね。05、06、08は確かに良いですね。
結局私の場合、全部好きなんですが・・・(笑)
Commented by ギムリン at 2008-05-05 15:56 x
山川恵津子さんと聴いて、先日かってしまいました。
いやあ、ほんとうに八神純子さんかと思う声質ですね。
えっちゃんは、'85以降は岩崎宏美さんのアルバムに数多く参加していますね。アカペラ版「好きにならずにいられない」を収録した『わがまま』などお薦めです。6曲が山川さんの作曲です。
5月に一気にアンコールプレスがある予定です。
www.neowing.co.jp/detailview.html?KEY=VICL-62286
Commented by kaz-shin at 2008-05-06 23:01
ギムリンさん、コメントありがとうございます。
なかなか良いアルバムでしたでしょ?
想像以上に山川さんの綺麗な歌声と歌の上手さに驚きました。
今聴いても古臭さを感じないサウンドですよね。
岩崎さんのアルバムもチャックしてみます。
いつも情報ありがとうございます。
Commented by チャウちゃん。 at 2014-10-04 23:58 x
ネットサーフィンで、貴様のページを拝見しました。
東北新幹線のアルバムは、なんと、先日アナログ盤で再発売されました。
山川恵津子さんのファンの一人として、本当に快挙なことと感じます!!!
最近の山川恵津子さんのとても気になるは、中西圭三さん、伊藤広規さん、松下誠さん、宮崎まさひろさんと、
Let's go bananaっていうバンド名で活動されてますよ!!!
次回のLIVEは、11月26日、場所は、渋谷にあるJz Bratです。
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