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金井 夕子_CHINA ROSE ◇ 2007年 10月 21日
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今回紹介するのは、9月19日にリリースされた4枚組CD『78 - 82 ぼくらのベスト 金井 夕子 アナログ・アルバム 完全復刻パッケージ』の中から、1979年12月に発売された3rdアルバム『CHINA ROSE』です。

以前紹介した2ndアルバム『invitation』は、コンセプト的にも中途半端な感じでトータルでは地味な印象が拭えなかったのですが、『CHINA ROSE』は金井 夕子の持つ異国情緒というイメージをより押し出した感じに仕上がっており、前作よりはトータル・バランスが良く聴きやすいと思います。CITY POP風なメロウなポップスとテクノ風、フォルクローレ風の味付けされたエキゾチックなポップスが混じったバラエティに富んだ内容で、曲自体も前作より耳に馴染む良い曲が多いのもこのアルバムの特徴かも知れません。
作家陣も尾崎 亜美、鈴木 茂、細野 晴臣、梅垣 達志、筒美 京平、島 健というバラエティに富んだ顔触れになっています。アレンジは鈴木 茂、船山 基紀、梅垣 達志、細野 晴臣、坂本 龍一が手掛けています。1979年という時代を考えれば、アイドルのアルバムという枠を越えた良い作品が揃っていると思います。

『金井 夕子 / CHINA ROSE』
01. マヤマヤ・ビーチ
02. SOIR, AU REVOIR
03. チャイナ・ローズ
04. Sweet Inspiration
05. 離愁
06. オリエンタル・ムーン
07. A BOY FROM ANDES
08. DISCO TANGO
09. パ・ル・ラ
10. 冬の銀河
Bonus Track
11. ロックンロール・グッバイ
12. スリランカ慕情

作詞・作曲:尾崎 亜美、鈴木 茂の編曲による01は、トロピカル・ムード溢れるポップ・ナンバーです。尾崎 亜美らしいメロディー・ラインと、この頃にはアレンジャーとしての才能を開花させた鈴木 茂のアレンジが素晴らしい1曲です。渡嘉敷 祐一の軽快なドラミング、鈴木 茂のギター・ソロ、EVEのコーラスが心地良いサウンドを作り出しています。この曲は、岩崎 良美の1983年にシングル曲「月の浜辺」としてリメイクされています。

作詞:竜 真知子、作・編曲:鈴木 茂による02。どこか往年の山口 百恵を彷彿させるような歌謡曲風なナンバーですが、結構良い曲ですね。金井 夕子の声によく似合っている曲です。林 立夫(ds)と岡沢 茂(b)のリズム隊が良い仕事をしてますね。

作詞:竜 真知子、作曲:細野 晴臣、編曲:細野 晴臣、坂本 龍一による名曲03。ライナーによると当時ディレクターだった渡辺 有三が金井 夕子と一緒に細野の元へ訪れて、曲の依頼をしたらしいですね。高橋 ユキヒロ(ds)、細野 晴臣(b)、坂本 龍一(key)、穴井 忠臣(per)といった顔触れはYMOそのものですが、まだ手弾きによるシンセ・サウンドが新鮮で、細野の得意とするオリエンタルなメロディーとの相性も抜群です。細野はこの1曲のレコーディングにかなり時間をかけていたらしいですね。難しいメロディーをさりげなく歌う金井 夕子のヴォーカルも素晴らしいです。

作詞:金井 夕子、作・編曲:梅垣 達志による軽快なポップ・ナンバー04。リズム・アレンジが凝っています。林 立夫(ds)、後藤 次利(b)、羽田 健太郎(key)、松原 正樹(g)、吉川 忠英(a.g)、斉藤 ノブ(per)というリズム・セクションの演奏が素晴らしく、特に後藤 次利のベース・プレイや松原 正樹のギター・プレイは、彼らの魅力が十分に発揮されています。

しっとりとしたバラード曲05は、作詞:金井 夕子、作・編曲:梅垣 達志によるナンバー。今の季節にぴったりな曲で、スケールの大きさを感じさせるサビのメロディーが印象的です。演奏メンバーは04とほぼ同じメンバーです。

シングル曲だった06。作詞:松本 隆、作曲:筒美 京平、編曲:船山 基紀によるナンバーで、筒美 京平が金井 夕子の為に書いた曲の中では大好きな1曲です。売れる曲かと言われれば"?"なんですが、筒美 京平の懐の広さを感じます。金井 夕子の持っている雰囲気にピッタリな1曲ではないでしょうか。

作詞:松本 隆、作曲:筒美 京平、編曲:船山 基紀による07はフォルクローレ風ナンバーです。筒美 京平ならではのメロディーだと思いますが、この辺りも山口 百恵の後追いみたいな感じがしてしまいます。曲自体は悪くないですが・・・。

作詞:Brian Walker、日本語詞:金井 夕子、作曲:島 健、編曲:船山 基紀による面白いナンバー08。タイトル通り、ディスコ・サウンドとタンゴを組み合わせたメロディーとアレンジが特徴です。私個人的にはタンゴ調の部分をそっくりカットしたらもっと良い曲に仕上がった気がします。タイトルは変更しないといけないでしょうけど(笑)

作詞・作曲:尾崎 亜美、鈴木 茂の編曲による09。流石に尾崎 亜美ですね。キャッチーなメロディーと明るい曲調が聴いていて"ほっ"とさせてくれます。鈴木 茂のアレンジとギターがかなり格好良いですね。

作詞:竜 真知子、作・編曲:鈴木 茂によるバラード曲10。ボッサ調のアレンジですが、冬の澄んだ空気の感じがよく表現されていると思います。メロディーも馴染みやすく、アレンジャーとしてでなく作曲家・鈴木 茂の非凡な才能を感じます。EVEのコーラスが美しく、ファンキーなコーラスからオースドックスなコーラスまで本当に幅広くこなす彼女達の技量には驚かされます。

ボーナス・トラック11は、5枚目のシングル「オリエンタル・ムーン」のカップリング曲。作詞:松本 隆、作曲:筒美 京平、編曲:船山 基紀です。個人的に可も無く不可も無くといった印象しかありません。

6枚目のシングル曲12。作詞:阿木 燿子、作・編曲:筒美 京平による作品ですが、筒美 京平流歌謡曲の典型的な1曲とも言える1曲です。当時は結構好きな曲でしたが、今聴くとちょっと時代を感じてしまうタイプの曲かも知れません。

あくまでも個人的な感想ですが、収録曲においては「この曲は今イチだな」というのが無くて曲自体の出来が良くて気に入っています。しかし、3枚目のアルバムとなっても、まだ方向性みたいなものがはっきりしていないのが気に掛かります。金井 夕子が何でも器用に歌いこなす実力があるのも事実だとは思いますが、少し可哀相な気もしますね。
ただ、このアルバムでの大きな収穫は細野作品「CHINA ROSE」との出会いではないかと思います。オリエンタルなムードの曲を書けるということで作曲を依頼したのかも知れませんが、それ以上にテクノ・サウンドと金井 夕子の声のマッチングというのは予想外だったのでしょう。次作『écran』では、このテクノ・ポップ路線が増えてきます。もっと早くイメージを統一させて、シングル・アルバム作りをしていればもう少し売れたかも知れないという気がしてなりません。
1stアルバム『Feeling Lady』とこの『CHINA ROSE』は、色こそ違いますが金井 夕子の代表作だと思うのですが・・・どうでしょう?(笑)
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by kaz-shin | 2007-10-21 23:00 | J-POP | Trackback | Comments(6) | |
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Commented by kotaro at 2007-10-24 09:51 x
金井夕子どうでしょう。即答はむずかしいですね(笑)
上級マニア向けというか。
私も手持ちのシングル、アルバムを並べて考えています。
彼女が活躍した時代性というのが山口百恵という大きな満月が
間もなく沈む頃。
それと表情のしぐさ、歌の上手さからKaz-shinさんも百恵後継者
をある程度想定していますが、こういう歌謡界のポストレースというのは、大方予想もしなかった別の個性が現われおさまるというのが、現実。
翌1980年の松田聖子と、ある部分百恵になぞられたけど大成しなかった三原順子の登場です。

あとスターというよりタレントの育成方法ですが、彼女の所属した第一プロというのは演歌が本流で、その後も基本は変わっていません。この辺のもどかしさを聴いているほうも感じてたと思います。

随分前に書きましたが、この頃、アイドルから作詞に転じた例がいくつかあります。篠塚満由美、神田広美らと並び、彼女も青木茗の名で何曲か手掛けています。(参照サイト、http://www.ann.hi-ho.ne.jp/izutsu/shAokiMe.htm)
この3作目ではその萌芽が現われ、自分で1曲作詞しています。
長くなりましたのでこの先は次の機会に。
Commented by hisa at 2007-10-24 23:22 x
最近、金井夕子多いですね。金井夕子の時代というのはkotaroさんも言われているようにアイドルの冬の時代、そこそこ売れたのは石野真子くらいですね。ご存じかどうかわかりませんが、歌謡曲名曲名盤ガイドという本が出ています。1960年代、1970年代、1980年代と一冊ずつです。
この中で金井夕子はこのアルバム「CHINA ROSE」が取り上げられています。冒頭「実験性と先駆性においてニューミュージック側からも注目されていたのが金井夕子である」と書かれています。細野晴臣にしてもYMOにつながる実験の一つであったというような気もします。
このアルバムが代表作というのは賛同しますが、私は「FeelingLady」の金井夕子が好きですね。「マヤマヤビーチ」にはその感じかありますが・・。
Commented by kaz-shin at 2007-10-24 23:40
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
kotaroさんの解説は、いつも素晴らしく勉強になります。感謝です。

私が金井さんに惹かれたのは、他のアイドルとは違う"陰"の雰囲気でした。
年齢的にも若干他のアイドルよりも上だったという理由があるかも知れませんが・・・。
アイドルって天真爛漫なキャラほど、音楽的なアプローチって楽に決められる気がします。
金井さんのキャラだからこそ、スタッフもあれこれ試行錯誤したんでしょうね。
そんな"陰"のイメージの金井さんが「Just Feeling」を歌うというギャップが逆に新鮮でした。
hisaさんのコメントにもありますが、私自身も1番好きなアルバムは今でも『Feeling Lady』です。
一見イメージとは違う印象のCITY POP路線を続けて欲しかった気がします。
スタッフのどこかに山口 百恵の存在があったのでしょうが、彼女を意識してしまうこと自体が
無謀だったのかも知れませんね。

詞も書けるということは、彼女自身はアーティスト指向が強かったんでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2007-10-24 23:48
hisaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>最近、金井夕子多いですね。
そうなんです。この4枚組パッケージを購入して、あれこれ聴いているうちに
実に勿体無いなぁと思ったものですから・・・(笑)
hisaさんがコメントで書かれたように、やはり1stアルバムが金井 夕子に1番似合ってる気がするんですよね。
ところが2ndで迷走し始めます。異国情緒を押し出そうと御大・筒美 京平や細野 晴臣を登場させます。
決して曲は悪くないんですが、どうしても山口 百恵の路線を踏襲させようとしているような気がしてならないのですよ。
2ndにしても今回紹介した3rdにしても、金井 夕子と尾崎 亜美の相性は抜群だと思います。
1stアルバムの路線を続けていたら、どうなっていたんでしょうね。
Commented by ギムリン at 2008-05-05 15:43 x
金井夕子さんのこのBOXは、お得感もあってよいですね。確かに、アルバムごとに迷走している感じはありますが。
渡辺ディレクターがいろんなところで述べているように、夕子さんの路線をさらにPOPにしたのが、岩崎良美さんだったのですが、聖子ちゃんがバカ売れしてしまったので、他のアイドルも含めて攻め方が難しくなったような気がします。
夕子さんも良美さんも、今なら純然とボーカリストとして、アルバム中心で売り出せたんでしょうね。時代の波というのは恐ろしい。
Commented by kaz-shin at 2008-05-06 22:59
ギムリンさん、コメントありがとうございます。
当時のアイドルは、真摯な態度で音楽で向き合っていたにも関わらず、アイドルという肩書きに邪魔されてしまって
正当な評価を受けていなかった人が多かったように思います。
私もそんな一人で、最近になって80年代のアイドルも極力聴くようにしています。
それにしても今は歌の上手い人は多くなっていますが、声質も含めて個性的で魅力に溢れるシンガーが
少なくなっている気がします。単にそう思い込んでいるだけかも知れませんけど・・・。
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