今回紹介するアルバムは、正直どのカテゴリに入れるか悩みましたが"FUSION"のカテゴリで紹介させてもらおうと思います。取り上げたのは、ヒット・メイカーと知られる作曲家・中崎 英也の1993年のインスト・アルバム『BLUE DAYS』です。
中崎 英也は1959年生れ(私と同い年です)で、1981年に"WITH"というバンドでデビュー。1985年のバンド解散後は作曲家・プロデューサーと活躍しています。バンド時代のことは全く知りませんが、作曲家として数多くのアーティストに楽曲を提供してヒットさせています。私が中崎 英也の作曲した曲で1番好きな曲は、中山 美穂の「遠い街のどこかで…」ですね。
何故、中崎 英也がインスト・アルバムを作ろうと思ったのか分かりませんが、このアルバムはFUSIONというよりもヒーリング系の音楽に近いかも知れません。美しい旋律の曲が多いのですが、決して明るいものではなくどこか陰のイメージが漂っています。
作・編曲・プロデュースはもちろん中崎 英也です。楽曲の中には江口 信夫(ds)、元ジャパンのミック・カーン(b)、三沢 またろう(per)等が参加していますが、基本的には中崎 英也が全てのサウンドを作っています。
『中崎 英也 / BLUE DAYS』
01. 遠い胸
02. 想い出がふりむく頃
03. 下り車線
04. 失くした鍵
05. RUSTY
06. 夜のインクでイニシャルを
07. DIFFUSION
08. 風の涯て
09. また明日
10. 遠い胸 (ストリングス・バージョン)
溝口 肇のチェロとストリングスが中心になって切ないメロディーを奏でる01。どこかヨーロッパの片田舎の寒い冬を感じさせるナンバーです。
江口 信夫(ds)、関 雅夫(b)、三沢 またろう(per)をバックに、中崎 英也のアコースティク・ギター、エレキ・ギター、ピアノのプレイが光る02。美しい中にも儚さを感じるメロディーが印象的ですね。
テンポがあり、JAZZYな味付けも施されたナンバー03。江口 信夫とミック・カーンのリズム隊のコンビネーションが素晴らしく、間奏のハモンド・オルガンのソロも聴き所です。ストリングスの使い方が巧みで軽快なリズムと絶妙にマッチしています。
ピアノとストリングス中心で奏でられる切ないメロディーが印象的な04。韓流ドラマのBGMで使われても違和感の無いような曲です(笑)
ニューヨークの真夜中を連想させるようなJAZZYな05。エリック宮代のトランペット、ミック・カーンのベースのプレイが特に素晴らしく、アルバムの中でも中崎 英也のアレンジ・センスが最も光っている曲と言っても過言ではないと思います。
ボッサ調のアレンジの06。軽やかな江口 信夫のドラミングと中崎 英也のアコースティック・ギターのプレイが素晴らしいナンバーですが、メロディーはあくまでも儚く切ない雰囲気です。
アイルランドの民族楽器ハンマーダルシマという楽器をフィーチャーした07。この楽器の独特な音色が面白く、ヨーロピアンな雰囲気もあるし聴き様によってはフォルクローレのようにも聴こえます。目に浮かぶ情景は険しい山々が連なる壮大な風景ですね。
ドラマ"北の国から"で使われても似合いそうな08は、美しい音色のアコースティック・ギターがフィーチャーされたナンバーです。シンプルなんですが澄んだギターの音色に耳を奪われてしまう、そんな1曲です。
星の輝く夜空の下、「また明日」と言って元気良く家路を急ぐ子供の元気な姿を連想させる09。短い曲ですが、雰囲気が伝わってきます・
01のストリングス・バージョン10。
このアルバムがリリースされた時、あの中崎 英也のアルバムということで期待して購入しました。きっとポップなアルバムなんだろうなと・・・。ところが意に反してアルバムを通して漂う"陰"のイメージに戸惑い、暫くの間聴いていませんでした。
最近になって聴き直してみたんですが、アルバムを買った時のような拒絶反応が無くなっていて割と気持ちよく聴けました。歳のせいでしょうかね(笑)
真剣に聴き込むというよりも、あくまでもBGM的に聴くのが良いと思います。特に寝付かれない時などにBGMで流せば、心落ち着いて眠りにつけるような音楽ですね。
このアルバムは、本当にヒーリング系のアルバムという認識で聴いた方が良い作品です。
私は中崎さんのアルバムはこれしか所有しておらず、他のソロ・アルバムを探しています。
これもなかなか見つかりませんが・・・(笑)