今回紹介するのは、私の大好きなギタリストの一人である増尾 好秋が、日本のフュージョン・レーベル"Electric Bird"から1979年にリリースした第二弾となるリーダー・アルバム『Sunshine Avenue』です。当ブログでも今までもElectric Bird第一弾『Sailing Wonder』(1978年)とElectric Bird第三弾『Good Morning』(1980年)を紹介しました。この2枚は比較的CDでも入手しやすかったのですが、『Sunshine Avenue』だけは1990年にCD化されてから再発されておらず、買いそびれていた私はずっとCDを探していたんですが、この度BOOK OFFで念願叶って見つけることが出来ました。これで昔よく聴いていた3枚全てがCDで揃ったのは嬉しい限りです。
前作『Sailing Wonder』ではデイヴ・グルーシン、エリック・ゲイル、リチャード・ティー、ゴードン・エドワーズ、スティーヴ・ガッドという壮々たるスタジオ・ミュージシャンを招いて制作されたアルバムでしたが、どうも増尾自身は納得のいく作品では無かったようです。増尾は自分のバンドを作り、そのグループの一体感や信頼感からくる温かい雰囲気をサウンドに出したいというコンセプトで制作されたのが、この『Sunshine Avenue』ということです。
メンバーは、T.M.スティーヴンス(b)、ヴィクター・ブルース(key)、ロビー・ゴンザレス(ds)、パポ・コンガ・プエルト(per)、チャールズ・タレラント(per)、シャーリー増尾(per)に加えゲスト・ミュージシャンとしてホルヘ・ダルト(key)、マイケル・チャイムズ(harmonica)が参加しています。特に注目したいのはヴィクター・ブルースとチャールズ・タレラントの二人で、二人ともレコーディングはこれが初めてだったらしいのですが、素晴らしいプレイを聴かせてくれます。そして、収録曲6曲中でヴィクターが2曲、チャールズが3曲も曲を書いているんです。いかに増尾がこの二人を評価していたのかが窺えます。
前作に比べて、ずっとロック色の強いナンバーが多く、スリリングで緊張感溢れるメンバーのプレイと増尾のギター・プレイが圧巻です。そして強烈なグルーヴを放つT.M.スティーヴンスのベース・プレイも聴き所になっています。
『増尾 好秋 / Sunshine Avenue』
01. Sunshine Avenue
02. Your Love Is Never Ending
03. A Threesome
04. Look To Me (And See The Sun)
05. Someone
06. I Will Find A Place
アルバム中たった1曲の増尾 好秋のオリジナル曲01。ブルースっぽいイントロと思いきや、なんとも軽快なロックン・ロールとJAZZが絶妙に融合したような感じのノリの良いナンバーです。明らかに前作には無かったタイプの曲ですし、ロック色の強いギター・プレイも強く印象に残る名曲です。新人とは思えぬヴィクター・ブルースのピアノ・プレイにも注目です。
ヴィクター・ブルースが作曲、プレイ、ヴォーカルにと大活躍のFUNKYなナンバー02。増尾のギター・リフと初めてのレコーディングとは信じられないくらいのヴィクターの堂々たるヴォーカルとピアノのプレイが耳に残る1曲です。
02と同じくヴィクター・ブルースの作曲したジャズ・ロックといった趣きのスリリングなナンバー03。聴き所は何と言っても増尾 好秋、ヴィクター・ブルース、T.M.スティーヴンスの3人のソロのバトルですね。まさにFUSIONの醍醐味が詰った1曲といった感じに仕上がっています。
本職がドラマーであるチャールズ・タレラントの書き下ろしたナンバー04。メロディアスはミディアム・ナンバーで、ウェス・モンゴメリーを彷彿させる増尾 好秋のギター・プレイが非常に心地良いです。シンプルな演奏にストリングスが加わって、ロック色の強いアルバムの中でほっと一息つかせるような1曲になっています。
同じくチャールズ・タレラントの作曲によるバラード・ナンバー05。04から05へスロー・ダウンしていく感じが凄く良いですね。増尾のアコースティック・ギターとマイケル・チャイムズの哀愁の漂うハーモニカの組み合わせが素晴らしいですね。
ラスト・ナンバー06は、やはりチャールズ・タレラントの作曲による8分を超えるサンバ曲です。疾走感のある増尾 好秋のギターが印象的です。中盤辺りから徐々にテンションが上がっていく演奏が素晴らしく、パーカッションが大活躍するとともにホルヘ・ダルトのピアノのバッキングが加わって、まさにハイ・テンションになっていく感じが圧巻です。
曲の良さだけで言えば『Good Morning』の方がはるかに聴きやすいし、親しみやすいと思いますが、これだけロック・フィーリングが強い増尾 好秋のギターが聴けるというのが本作の特徴だと思います。『Sailing Wonder』、『Sunshine Avenue』、『Good Morning』の3枚を聴くと増尾 好秋のギターの魅力を存分に楽しめるという意味では、私にとっても重要な3枚になっています。増尾 好秋を初めて聴くのであれば、まず『Good Morning』をお薦めしますが、既に増尾 好秋の魅力に触れた人であれば本作は面白く聴けるのではないかと思います。
最後に余談ですが、増尾 好秋は1965~6年に早稲田大学のモダン・ジャズ研究会での新人メンバーのオーディションを受けたらしいのですが、その時の審査員に一人に1年先輩になるジャズ・ベーシストの鈴木 良雄がいて、その鈴木が増尾のギター・プレイを聴いてぶっ飛んだらしいですね。"ウェス・モンゴメリー現る"と大絶賛だったらしいですね。ちなみにタモリと増尾は同級だったとのことです(笑)
すごーい!
まさか、750円コーナーじゃないですよね??
うらやましーい!!
最近、私の良くお店でも750円コーナーに
フュージョンのCDが並ぶので何枚か買いました!
(250円コーナーにはめったに無い!!→当たり前かー!!笑)
↑ ↑ ↑ ↑
あまり知られていない海外アーティストのがほとんどです。
(知られていない人っていうの→これも結構おいしい&楽しい事ですよね…)
でも日本のフュージョンミュージシャンの作品は
もっともっと値段が高いから散財出来ずで手が出ないです…(無念)
めっちゃストラトっぽいトーンもいい。
このアルバムは当時アナログ盤でよく聴いておりました。
個人的には3部作の中で一番好きかもしれません。
特に旧A面をしめる01~03の流れはいつ聴いてもゾクゾクきます。
ちょうどStuffにのめりこみ始めていたときだけに、01の出だしはまさにドンピシャ...でした。
またどことなくオールマンの「Jessica」をも彷彿させる02、途中のちょこっとChuck Leavellばりのピアノソロなんて最高にカッコいいですね。
そしてハイライトな楽曲03へとなだれ込むわけです。
余談ですが、フュージョンアルバムとしては当時珍しく、このアルバムにはジャケットの大型ポスターが付いていました。
もちろん、もったいなくて貼りませんでしたが・・・(笑)
さすがに750円では買えませんでしたよ~。でも1,000円でした(笑)
このアルバムの場合、値段に関係無く見つけ次第買おうと思っていたので、
ある意味とてもラッキーでした。
BOOK OFFというところはFUSIONやJAZZ系の値段設定が高めですよね。
上限で1,000円位の設定なら助かるのですが・・・。
ですけどたまにびっくりするくらい低価格で買える時もあるのが、BOOK OFFの魅力なんですけどね(笑)
このジャケットは私も大好きなんですが、よく見るとピンぼけですね(笑)
仰るように01~03にかけてのエネルギッシュな演奏は良いですよね。
増尾さんを始め、メンバー全員の気合というかモチベーションの高さを感じます。
私も当時アナログ盤をかなり聴いていたんですが、そのアナログ盤が友人に貸したままなのか
行方不明になってまして、どうしてもCDで入手したかった1枚だったのです。
無事に見つけることが出来て本当にラッキーでした(笑)
最近は完全に朝におじゃまするのが増えました、深夜型の私としては不本意なのですが(笑)
BOOK OFFで見つかりましたか?さすがですねえ、私も増尾さんのものは熱心に探すのですがないですよ。Electric Birdから出たのはどれも大好きです、01カッコイイですよね、それとやっぱりT.M.スティーヴンスがいいです(笑)
本当に朝早くからご苦労様です。
運良くBOOK OFFで見つけたんですが、JAZZ/FUSIONに分類されてなくて
イージー・リスニングのコーナーにありました。
BOOK OFFの場合は、注意深く探さないといけないので疲れます(笑)
Electric Birdは良いレーベルでしたね。増尾さんに限らず、上質なFUSIONアルバムを届けてくれました。
おやじ臭くなりますが、本当に良い時代でした(笑)