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STEELY DAN_Gaucho ◇ 2008年 02月 21日
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今回紹介するのは、あの音楽史上の燦然と輝く1977年の名盤『Aja』から3年、まさに満を持してという感じでリリースされたスティーリー・ダンの『Gaucho』(1980年)です。前作『Aja』は大好きで本当に聴きまくったアルバムでしたが、このアルバムも負けずとも劣らない程好きな作品です。
個人的にはスタイリッシュという観点から言えば前作以上だと思っている位です。相変らず凝ったアレンジなのですが、変にゴチャゴチャしていないスッキリとしたサウンドで、よりメロディー・ラインを強調したようなアレンジが本当に素晴らしいと思います。
その一つの例としては、ドラムでしょうか。前作ではスティーヴ・ガッドの素晴らしいプレイにも代表されるように、ドラマーのテクニックを全面に出した感じでしたが、今回は"おかず"を極力抑えてリズム・キープ重視みたいな演奏が多くて、聴いていてシンプルかつスマートな印象を受けました。

『Aja』から3年もの日数を費やして作られた『Gaucho』ですが、色んな逸話があるみたいですね。
本作に収録されているのはたった7曲ですが、レコーディングされた曲は50~60曲にも及び、加えて1曲で数パターンのアレンジやミュージシャンを変えて録音していたという話や、高価なレコーディング・スタジオを1年間もの間、同じ時間帯で同じスタジオを貸切にしていたとか、当時としては破格とも言える1億円の制作費をかけたとか・・・。実に恐ろしい話ばかりですね(笑)
でも実際にアルバムを聴くと、こんな逸話でさえも「良いアルバムを作るのに金を惜しみなく使うの当たり前」と妙に納得させらてしまうほど、完璧とも言えるクオリティの高さに驚かされます。
前作同様、素晴らしいミュージシャン(いちいち書き写すのが大変なので省略させて下さい・・・笑)を集め、まさに適材適所といったミュージシャンの起用には、フェイゲン=ベッカーのセンスの良さを感じますね。

『STEELY DAN / Gaucho』
01. Babylon Sisters
02. Hey Nineteen
03. Glamour Profession
04. Gaucho
05. Time Out Of Mind
06. My Rival
07. Third World Man

イントロから聴く者を引き込む魅力を持った01は、まさにアルバムのトップを飾るに相応しい1曲ですね。とにかくバーナード・パーディのスロー・シャッフルのドラミングが素晴らしいですね。あのジェフ・ポーカロが彼のシャッフル・ビートをお手本にしたとか・・・。ドン・グロルニックのローズのプレイや地味なんですが堅実なチャック・レイニーのベース、絶妙なスティーヴ・カーンのギター・カッティング、そしてパティ・オースティン等のコーラス・ワーク等非の打ち所の無い演奏という感じがします。

全米10位を記録したアルバムからの1stシングル曲02。スティーリー・ダンにしては明るい感じのする曲ではないでしょうか。リック・マロッタのリズム・キープに徹したドラミング、ヒュー・マクラッケンの渋いギター・プレイが印象的です。ドナルド・フェイゲンのエレピ、シンセのプレイも良いですね。パーッカションでヴィクター・フェルドマンとスティーヴ・ガッドが参加しているというのも贅沢ですね。

浮遊感漂うイントロが何とも魅力的な03。スティーヴ・ガッドとアンソニー・ジャクソンのリズム隊による堅実なリズム、浮遊感を演出するドナルド・フェイゲンのエレピにシンセ、スティーヴ・カーンのギター・カッティングや彼らしいソロ、ロブ・マウンジーのJAZZYなピアノ・ソロ、トム・スコットとマイケル・ブレッカーの二人によるホーン・セクション(ホーン・アレンジはトム・スコット)等聴き所満載な1曲です。

トム・スコットのテナーが心地良く歌っているイントロが格好良いアルバム・タイトル曲04。ロブ・マウンジーのピアノも素晴らしく、ジェフ・ポーカロの絶妙なドラミングも格好良いのですが、ウォルター・ベッカーのベースのプレイ、ギター・ソロが素晴らしく、ベッカーのミュージシャンとしてのスキルの高さを感じさせる曲。

参加しているミュージシャンの顔触れだけでノック・アウト状態の2ndシングル曲05。リック・マロッタ(ds)、ロブ・マウンジー(p)、ヒュー・マクラッケン(g)、元ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーのギター・ソロ(おそらくお得意のフィンガー・ピッキングでしょうね)、ブレッカー・ブラザーズ(tp、sax)、ダヴィッド・サンボーン(sax)、ロニー・キューバー(sax)、マイケル・マクドナルド(cho)、パティ・オースティン(cho)、ヴァレリー・シンプソン(cho)という顔触れですよ。どう思います?(笑)

エスニックな香りが漂い、独特なゆるい感じがたまらないナンバー06。聴けば聴くほど味わい深い曲ではないでしょうか。スティーヴ・ガッドとアンソニー・ジャクソンのリズム隊をバックに、ドナルド・フェイゲンの渋いオルガン・プレイ、ハイラム・ブロックとあのリック・デリンジャーの二人によるギターのバッキング、スティーヴ・カーンならではのギター・ソロ・プレイが曲を盛り上げています。

とにかくラリー・カールトンのギターに尽きる07。ここでのラリー・カールトンのソロ・プレイは、彼の数多いプレイの中でも大好きなプレイのひとつです。スティーヴ・ガッド、チャック・レイニー、ジョー・サンプル、スティーヴ・カーン、ロブ・マウンジーといった凄いメンバーが揃っていますが、やはりラリー・カールトンのプレイの前ではちょっと影が薄い感じになってしまいますね。私の場合、ギターばかりに神経が集中してしまいフェイゲンの歌をほとんど聴いてません(笑)

とにかく素晴らしいという言葉しか思い浮かばないアルバムですね。
フェイゲン=ベッカーの書く聴く度ごとに魅力的に聴こえてくるメロディーやアレンジ、素晴らしいミュージシャン達の入魂の演奏、ロジャー・ニコルズを筆頭にビル・シュニー、エリオット・シャイナー等エンジニアによる最高の録音とミックス、総合的なまとめ役であるプロデューサーのゲイリー・カッツの手腕の全てが、このアルバムのクオリティの高さに直結しているのを感じます。
ロック好き、AOR好きな人、FUSION好きな人には何を今更って感じのアルバムでしょうが、もしまだ聴いたことの無い方がいらっしゃったら絶対に聴く事をお薦めします。これを聴かずにいるのは、音楽を愛する人にとっての大きな損失だと思いますよ(ちょっと大袈裟ですね・・・笑)
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by kaz-shin | 2008-02-21 21:53 | 洋楽系 | Trackback | Comments(14) | |
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Commented by PON at 2008-02-21 23:50 x
5年ほど前にAORに夢中になって、
ドナルド・フェイゲンの「THE NIGHTFLY」を購入,
お気に入りの1枚となりました。
スティーリー・ダンも是非聴いておきたいところです。
「Aja」「Gaucho」どちらが入りやすいでしょうか??
(どちらも…でも良いです・笑)
Commented by kaz-shin at 2008-02-22 00:32
PONさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
『THE NIGHTFLY』がお気に入りでしたら、『Aja』も『Gaucho』もきっと
気に入ってもらえると思います。
お薦めするとすれば、やはりリリースされた順番でまず『Aja』を聴いて
『Gaucho』を聴くというのが良いかも知れませんね。
出きればぜひ両方聴いて下さい(笑)
Commented by momayucue at 2008-02-22 01:16
たにぴ@もまゆきゅ、ただいまログイン中です。
ラリーカールトン、何か間違ってるんじゃないかと想う位、スティーリーダン絡みの時は凄いです。
彼のソロ、勿論沢山持ってますが、
この凄さに比べると、人間に見えるもの(なんちゅう喩え!でもわかってもらえると想います)。
Commented by まるいチ-ズ at 2008-02-22 08:06 x
おはようございます
前作~本作の頃はフュ-ジョンの黄金期と言える時代で、ラリーカールトンを始め、優れたミュ-ジシャンたちが溢れていました。彼らを贅沢に使い、緻密なのにジャ-ジ-でファンキ-なサウンドを創造したのがスティーリーダンでしょうか。Aja、Gauchoはもちろんですが、Pretzel Logic やThe Royal Scamも大好きな作品です。
Commented by ayuki at 2008-02-22 10:20 x
お邪魔いたします。
『これを聴かずにいるのは、音楽を愛する人にとっての大きな損失』まさに同感です。このクオリティの高さとコダワリに、好き嫌いは別としても一度接しておくと、音楽を聴く目と言うか感覚が変わってくるような気がします。
Commented by ひと at 2008-02-22 21:27 x
こんばんは。
うそか本当かスティーリー・ダン幻想は膨らみますね。このアルバム
並みのメンバーを集めライブのリハをしたところ、こんなグルーヴじゃ
人前に出れないと止めたとか、リトナーぐらいだと実際に演奏しても
クレジットしてもらえないとか・・。
私は03後半のS・カーンのギターが彼の演奏の中で一番好きです。
いちばん効くツボに鍼をさされたような。ああ、そ、そこっ(笑)
Commented by kaz-shin at 2008-02-23 00:08
たにぴさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
確かにスティーリー・ダン・マジックとも言える現象ですよね。
彼等のレコーディングの雰囲気がそうさせるのか、彼等の過酷なプレイへの
要求がミュージシャン魂に火を点けるのか・・・、おそらく後者のような気がしますね(笑)
Commented by kaz-shin at 2008-02-23 00:13
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>Pretzel Logic やThe Royal Scamも大好きな作品です。
はい、私も同じです。
スティーリー・ダンと言えば、とりあえず『Aja』と『Gaucho』の2枚は先に
触れておかないといけないという思いがありまして・・・(笑)
次に紹介するとすれば、多分『Pretzel Logic』になると思います。
その時はまたコメントをよろしくお願い致します。
Commented by kaz-shin at 2008-02-23 00:19
ayukiさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
本当に仰る通りで、好き嫌いを別にしても聴いて欲しいアルバムですね。
スティーリー・ダンのアルバムを聴くといつも思うのですが、どんなにサンプリングの技術が
発達しようとも、優れたミュージシャン(人間)によって奏でられる音には敵わないということです。
どの楽曲もミュージシャンの入魂のプレイを堪能でき、音質も素晴らしいという
これだけクオリティの高いアルバムというのは滅多にないと思ってます。
Commented by kaz-shin at 2008-02-23 00:28
ひとさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
スティーリー・ダンなら有り得る逸話ですね。ウソっぽく聴こえないのが怖いです(笑)
07のラリー・カールトンのプレイはとにかく凄いですが、アルバムを通して
素晴らしいサウンドを支えた功労者は、スティーヴ・カーンとロブ・マウンシーではないかと思っています。
特に、スティーヴ・カーンはカッティング、リフ、ソロのプレイ全てに彼らしい個性が良く出ていて
それがスティーリー・ダンのサウンドに実によくマッチしていますね。
前作よりN.Y.ぽいと言うか都会的でスタイリッシュに感じるのは、スティーヴ・カーンの
ギターが影響しているのではないかと思っています。
Commented by たにぴ@もまゆきゅ at 2008-02-23 01:31 x
連投します。
実はこのgaucho、まだどの楽器メーカーも発売していないサンプリングマシンを、
エンジニアのロジャー・ニコルスがアセンブラで作ってしまい!それをドラムトラックに使ったという、
元祖アンチ・ヒューマン・ビートなんです。
よく聴くと、打ち込みとリック・マロッタが交互に出てくるのがわかります。
フィルを一寸やっただけのドラマーが、ユニオンを盾にアルバム・クレジットの要求をしたとか、
伝説でも何でもない逸話がどっさり。
パーフェクト・アレンジメントという幻の曲とかね。
Commented by at 2008-02-23 11:47 x
このアルバム製作における逸話はいろいろありますよね。
この時期、ドラッグの悪癖との戦い、恋人の死、そしてとどめは交通事故による骨折という最悪の事態に遭遇していたW.Beckerでしたが、それだけにまわりをかためる面子のサポートが『Aja』のとき以上に素晴らしかった...ということでしょうか・・・
彼はタイトル曲で唯一ギターソロを弾いてはいますが、ほとんどのパートをカバーしたS.Khanの功績は偉大なものがありますよね。
本当であればすべての曲で彼のサウンドが聴けるはずなのですが、07のみL.Carltonが弾いているのは、実はこの楽曲のみ『Aja』製作時にすでに完成していて、そのときに〝オクラ入り〟になっていたからです。

いずれにせよこの時期、D.FagenとW.Beckerの仲は最悪の状態だったようなので、まわりをかためるサポートミュージシャンやその他製作に係わった多くの方々の努力が、この名作を生み出す結果に繋がったということでしょうか。

たにぴ@もまゆきゅさんも仰っておられるように、このアルバムのためにR.Nicholsが開発したサンプリングマシン〝ウェンデル〟は、まさにその象徴ともいえる産物だったのかもしれません。
Commented by kaz-shin at 2008-02-24 01:17
たにぴさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
色々教えて下さってありがとうございます。本当に勉強になります。
サンプリング・マシンを自作してしまうエンジニアというのも凄いですね。
本当に恵まれた環境でのレコーディングだった訳ですね。

"幻の曲"って、アシスタント・エンジニアが消してしまったというヤツですかね?
そういう話は聞いたことがあったので・・・。かなり出来が良くて、収録予定だったのに
消えてしまった。再度録音したが出来に納得がいかずに仕方無く他の曲にしたとか・・・。
色んな面白い話がつきまとってますね、スティーリー・ダンは。
Commented by kaz-shin at 2008-02-24 01:29
夢さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
そして色々教えて頂いてありがとうございます。
洋楽に関しては本当に知識不足なんで、本当に勉強になります。

やはりバンドと言うかグループを持続していく事の難しさを感じますね。
個々に個性を持った人間ですから、噛み合わないのはある意味当然でしょうし・・・。
そんな中で中が悪かったとは言え、史上に残るような名盤を作り上げた二人と
スタッフの情熱はやはり賞賛に値しますよね。
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