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三原 善隆_NIGHT RIDER ◇ 2008年 02月 24日
三原 善隆_NIGHT RIDER_e0081370_158101.jpg 

最近はマニアック路線をひた走っている感のある当ブログですが、今回もまたマニアックなアルバムを紹介してみようと思います。今回はFUSION作品なんですが、通常ではFUSIONと結び付かない楽器が主役のアルバムです。その楽器は、なんとエレクトーンなんです。
エレクトーンというのはYAMAHAの電子オルガンの登録商標なんですが、歴史は古く初代が製作されたのが1959年というから、かれこれ50年の歴史を持つ楽器です。
しかし、エレクトーンというのはソロ向きの楽器で、一つの楽器で色んな音色やリズムを出せるのが特徴なんですよね。そのエレクトーンにリズム・セクションやホーン・セクションを加えて、FUSION作品を作ろうと企画されたのが、今回紹介する三原 善隆というエレクトーン奏者が1993年にリリースした1stアルバム『NIGHT RIDER』です。

プロデュースは一流スタジオ・ミュージシャンのトロンボーン奏者・新井 英治です。新井 英治は本来オールマイティな楽器でソロ演奏がメインとなるエレクトーンの魅力を、単にマニアが聴くようなソロ演奏を収録したようなアルバムではなく、広くFUSIONファンにも聴いてもらえるような作品を作りたかったようです。
実際エレクトーン界(こう書くと狭い世界に感じますね)においては、三原 善隆はエレクトーン奏者としてはもちろんのこと、ヒット曲を持つ作曲家としても知られているようです。

アルバム制作にあたって集められたミュージシャンも豪華で、渡嘉敷 祐一(ds)、伊藤 史朗(ds)、岡沢 章(b)、和田 弘志(b)、松木 恒秀(g)、芳野 藤丸(g)、梶原 順(g)、鳴島 英治(per)、穴井 忠臣(per)、新井 英治(tb)、本田 雅人(sax)等という顔触れです。

『三原 善隆 / NIGHT RIDER』
01. NIGHT RIDER
02. Memory of Summer
03. Boarding Pass
04. Wind Abeam
05. Count Down
06. Summer Sunset
07. FU・RI・MU・KA・NA・I・DE
08. New Coast Breeze
09. Moonlight Whisper

夜のハイウェイを"ナナハン"で疾走する、そんな爽快感をイメージして書いたという01。この曲のオリジナルがエレクトーン界で大ヒットしたんだとか・・・。ここではもちろんリズム・セクションとホーン・セクションが加わり、FUSION色全開の演奏が繰り広げられています。ハードなギターはおそらく梶原 順でしょう。一番の聴き所は本田 雅人のウインド・シンセのプレイですね。

夏の浜辺で沈むゆく夕陽を眺めながら、ひと夏だけの恋を思い出してる・・・そんな雰囲気をもったメロウなナンバー02。エレクトーンも言わばシンセだと思えば良い訳で、こういうアンサンブルにも違和感無く溶け込んでいるのも当たり前かも知れません。良い曲ですよ。

海外旅行に出発する際に空港で"Boarding Pass(搭乗券)"を手渡された時の弾むような気持ちを曲にしたという03。軽快なスラップ・ベースとギター・カッティングが実に心地良く、軽やかに本田 雅人のソプラノ・サックスがメロディーを奏でます。ピアノ・タッチの三原 善隆のエレクトーン・ソロも見事です。

"Abeam"とはヨットが帆一杯に風を受けて進んでいく状態を意味する言葉だそうで、まさに風を受けて疾走するヨットのデッキで心地良い風を受けているような気分にさせる04。ボッサ調のアレンジが施され、メロディーもキャッチーで本当に心地良いナンバーですね。

"秒読み"のある種の緊迫感というか、ワクワクした感じが伝わってくるFUNKYなナンバー05。女性のコーラスが入っており、都会的でスタイリッシュな雰囲気がたまらない1曲です。スリリングなギター・ソロも聴き所です。

タイトル通りのイメージを持った06。02がオレンジ一色に染まった夕暮れ時なら、この曲は空のほとんどが黒に近いのに水平線近くがオレンジという夜の一歩手前といった夕暮れ時を連想させますね。どこかのリゾート・アイランド(モルディヴとか・・・)で聴きたいですね(笑)

未練を残しながらも別れていく恋人達をイメージしたという07。渡嘉敷、岡沢、松木という鉄壁トリオが揃っていますし、本田 雅人がテナーを吹いてます。松木 恒秀のお気に入りの曲だったとか・・・。岡沢 章の渋いベース・プレイが光っています。

東京ウォーター・フロントをイメージしたという08。こういう曲を聴きながら夜の東京湾を眺めるのもお洒落かも知れません。楽しげで弾んだ感じの曲調がとても印象的です。工業地帯の灯りもどこかエキゾチックですし、時間帯で色んな表情を見せてくれるのかも知れません。

ロマンティックなバラード・ナンバー09。妙に明るい月夜の晩という感じでしょうか。月の不思議な魅力をメロディーで表現したのではないかなと思えるナンバーです。

どちらかと言えば今の季節よりも夏にピッタリなアルバムで、リゾート感覚の溢れた爽やかなFUSIONサウンドが堪能出来ます。今の季節でも暖房の効いた温かい部屋で聴くと結構リゾート気分を味わえますよ(笑)
三原 善隆はエレクトーン(使用しているのはYAMAHA Electone ELX-1)のプレイも素晴らしいのですが、作曲家・編曲家としても実に素晴らしいセンスを持っていると思います。
メロディアスで聴きやすく、捨て曲無しのFUSIONアルバムですので、FUSIONファンの方はもちろんですが夏向きの音楽が好きな方にもお薦めです。機会があったらぜひ聴いてみて下さい。心地良い時間が過ごせること請け合いです(笑)
by kaz-shin | 2008-02-24 03:33 | FUSION系 | Comments(2) | |
Commented by kotaro at 2008-02-24 10:19 x
僕はこのアルバムと演奏家を存じないのですが、もう少し前の
窪田宏という若手にはカシオペア級の評価をして聞き込んだ記憶が
あります。
80年代の電子楽器の進化には当時の企業「YAMAHA」の絶好調が
影響したことはもう史実といって良いと思います。
川上源一の評伝や音楽文化の創成は、ほんとうは本田宗一郎や井深ー盛田コンビのソニー並みの評価を与えるべきなのでしょう。

話は脱線しましたが、その後のYAMAHAの看板を背負った人たちの活躍が狭くなったり、したのは、ヤマハ王国の狭隘性の一番負の面が出て、川上家のお家騒動や企業の凋落がもろに影響したと、今でも残念に思えます。

音楽はランゲージです。エレクトーンという言葉が今でも新聞で使えず、電子オルガンと校閲部のチエックが入る。この辺が普遍性を持てなかった、憧れで恨みのエレクトーンワールドですね。
Commented by kaz-shin at 2008-02-25 01:18
kotaroさん、コメントありがとうございます。
「音楽はランゲージです」、本当にその通りですね。
エレクトーンの演奏を一般の人が聴く機会というのは非常に少ないと思うんですね。
そうなると自ら演奏する人が中心となった、ある意味では狭い世界の楽器ならびに
音楽ということになってしまいますよね。広くエレクトーンの魅力を知ってもらうのに
こういうアルバムは効果的だと思います。
ただ、反面一つの楽器でオーケストラ演奏まで可能なエレクトーン本来の魅力までは
伝わらないのも事実なんでしょうけど・・・。
エレクトーンという楽器の魅力を知る手掛かりとして、本作は意味があると思いますし、
単純にFUSION作品としても楽しめるアルバムです。
機会があったら聴いてみて下さい。
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