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PAUL WILLIAMS_JUST AN OLD FASHIONED LOVE SONG ◇ 2008年 03月 10日
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今回紹介するのは、盟友ロジャー・ニコルズと組んでポップス史上に数々の名曲を残してきたシンガー・ソング・ライター、ポール・ウィリアムスが1971年に発表した通算2作目、A&M第一弾となるアルバム『JUST AN OLD FASHIONED LOVE SONG』です。

1959年生れの私は、このアルバムがリリースされた頃は中学校へ入学した頃で、初めて英語を学び、ラジオも聴き始め、ビートルズに出会ったのもこの頃でした。それまで遠い存在だった洋楽が身近に感じ始めた頃で、試験勉強の時に聴いていたラジオから流れてくる洋楽の数々に新鮮な感動を味わっていました。
ポール・ウィリアムスのこのアルバムを聴くと、1970年代初頭の古き良き時代のポップスを思い出させてくれ、ノスタルジックな気分にさせてくれます。

歌手、ソングライター、俳優として活躍していたポール・ウィリアムスですが、決して容姿が良い訳では無いですし歌だって上手いとは言い難いのですが、逆にそれが素朴で味わい深いものになっていて、聴いていると不思議と心が和むんですよね。
彼が脚光を浴びるようになったのは、やはり盟友ロジャー・ニコルズとコンビを組んでヒット曲を量産したことでしょうね。モンキーズの「サムデイ・マン」、カーペンターズの「雨の日と月曜日は」や「愛のプレリュード」等数多い名曲を残してきたのは周知の通りです。
そんなポール・ウィリアムスが、ロジャー・ニコルズのプロデュースで1stアルバム『サムデイ・マン』を1970年にリリースしますが、あまり注目されなかったようですね。
A&Mに移籍してリリースされたのが本作です。プロデュースは、パブロ・クルーズ等のプロデュースを手掛けていたマイケル・ジェームス・ジャクソン。アルバム収録曲全11曲中、ロジャー・ニコルズとの共作が3曲、ポール・ウィリアムスの作詞・作曲作品が7曲、グラハム・ナッシュのカヴァー曲が1曲という構成になっています。参加ミュージシャンは、クレイグ・ダーギ(key)、ラス・カンケル(ds)、リーランド・スクラー(b)、チャールズ・ラーキー(b)、デヴィッド・スピノザ(g)、トム・スコット(sax)等で最小限の編成によるシンプルなサウンドが特徴です。

『PAUL WILLIAMS / JUST AN OLD FASHIONED LOVE SONG』
01. WAKING UP ALONE (伝説の女)
02. I NEVER HAD IT SO GOOD (こんな恋ってはじめて)
03. WE'VE ONLY JUST BEGUN (愛のプレリュード)
04. THAT'S ENOUGH FOR ME (光りある道)
05. A PERFECT LOVE
06. AN OLD FASHIONED LOVE SONG
07. LET ME BE THE ONE (あなたの影になりたい)
08. SIMPLE MAN
09. WHEN I WAS ALL ALONE (ひとりぼっちだった時は)
10. MY LOVE AND I (愛と私)
11. GONE FOREVER

歌手・ポール・ウィリアムス唯一のヒット曲と言われている01。しっとりと始まり徐々に盛り上がっていくドラマティックなナンバーです。朴訥なヴォーカルが味わい深いナンバーです。

リタ・クーリッジ、バーバラ・ストライザンドも取り上げていた02。ロジャー・ニコルズとの共作ですね。美しい旋律のバラード曲です。こういうシンプルな演奏と朴訥なヴォーカルというのが'70年代のポップスというイメージが私の中には根強いんです。

カーペンターズが大ヒットさせたことでお馴染みの03。この曲もロジャー・ニコルズとの共作ナンバーです。元々は銀行のCMソングとして書かれた曲らしいですね。ここではアコースティック・ギターとピアノを軸にしたシンプルなサウンドをバックに淡々と歌い上げています。誰が歌おうが名曲は名曲、まさにそんなことを感じる1曲です。

アコースティックなサウンドを軸にしっとりと歌われる04。どことなく儚げで淋しい雰囲気が漂うナンバー。

フォーキーな味わいのある05。どこが良いと言われても難しいのですが、つい聴き入ってしまう、そんなタイプの曲ですね。深夜、物音のしない静かな部屋で聴きたくなります。

スリー・ドッグ・ナイトが'71年に大ヒットさせたことでお馴染みの06。ディキシーランド風なアレンジが陽気で楽しく、アルバムの中で最も明るいタッチのナンバーに仕上がっています。良い曲ですね。

ロジャー・ニコルズとの共作による07は、カーペンターズを始め多くのアーティストが取り上げている曲です。派手さはありませんが、サビのメロディーが印象的で良い曲ですね。

グラハム・ナッシュの'71年のソロ・アルバムに収録されていたナンバーのカヴァー08。実にポール・ウィリアムスの声やキャラクターにピッタリの選曲だと思います。しんみりとした美しいバラード曲です。

静かなバラード曲09。決して上手くは無いポール・ウィリアムスのヴォーカルですが、その存在感は凄いですね。アレンジの妙と言えるかも知れませんが、ヴォーカルが際立っているナンバーです。

アップ・テンポのナンバー10。リズムを強調したアレンジですが、緩急のある演奏がスケールの大きな曲にしている感じがします。バラード曲よりも溌剌とした伸びやかな歌声が印象的です。トム・スコットのサックス・ソロが渋いです。

セルジオ・メンデスも取り上げた11。静かで美しくメロディアスなバラード・ナンバーです。

ロックでも無く、R&Bでも無く、まさに'70年代のポップスという感じで、しかもほのかにウエスト・コーストの香り漂う名盤だと思います。今の時代に売れる音楽だとは思いませんが、私の音楽遍歴の中において決して忘れることの出来ないアメリカのポップスを感じさせてくれるアルバムで、これからも大事に聴いていきたい作品です。
'70年代~'80年代の音楽を、洋楽・邦楽問わずリアル・タイムで肌で感じ、聴いてこれたという事実は、私にとって大きな財産だと思っています。10代~20代という難しい年頃でありながら、親に反抗したり、不良になる暇も無いくらいに音楽に没頭していた時代でした。今一応まともな大人として生活出来ているのも、大袈裟かも知れませんがこの頃の音楽に出会ったお陰かも知れませんね(笑)
by kaz-shin | 2008-03-10 00:01 | 洋楽系 | Comments(14) | |
Commented by at 2008-03-10 12:44 x
私の場合、カーペンターズの03で彼の名前を初めて知り、スリードッグナイトの06で、「この人、只者ではないぞ・・・」とその存在自体が確信に変わった...という経緯がありました。(笑)
確かに彼のヴォーカルはこれといって特徴的なものはありませんが、なんとなくそのルックス同様ほんわりとした暖かさが伝わってきますよね。
アラン・トゥーサンやレオ・セイヤー等と同じように、その楽曲に対する日本での評価が今ひとつなのは本当に残念です。
Commented by PON at 2008-03-10 14:31 x
アルバムと関係ないコメントですみません…。

kaz-shinさん、私の母と同い年です!
(私は82年生まれ)
本当、70~80年代って素晴らしい音楽がいっぱいですよね。
私はリアルタイムではないのですが、両親の影響を受けたためか、
その時代の音楽が好きです。

kaz-shinさんの紹介する音楽は実に幅広いので、
発見の連続です。
これからも、よろしくお願いします!
Commented by ひと at 2008-03-10 22:09 x
Kaz-shinさんと同い年の者です(笑)。
懐かしいですね。私も聞いていました。贅沢なつくりのジャケットでした。
当時は誰が演奏しているかなんて気にしていませんでしたが、
ザ・セクションの連中だったんですね。彼らとも長いつきあいです。
Commented by shu0610 at 2008-03-10 22:38 x
kaz-shinさんこんばんわ。
私も彼のベストアルバムを昔聞きました。たしか90年くらいだったと思いますが、彼の唄う『I won't last a day without you』が某信販会社のCFソングとして夜中のF1中継の合間に流れていました。小学生の時500円札を握りしめてカーペンターズの『Yesterday once more』のシングルレコードを買いに行った私には、そのB面として記憶に残っていたメロディーでしたが、思い出すまでに時間がかかったのを覚えています。今でもテープがどこかにあるはずまた捜索しなくては。
Commented by kaz-shin at 2008-03-10 23:25
夢さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
実は私もカーペンターズやスリー・ドッグ・ナイトの曲はリアル・タイムで聴いていましたが、
ソング・ライターに興味を持つようになったのは1970年代終盤なので、ポール・ウィリアムスや
ロジャー・ニコルズを聴くようになったのは随分後のことなんですよ。
でも、このアルバムのサウンドを聴いていると、中学生時代に夢中になって聴いていた
洋楽(ポップス)を思い出します。現在はこういう音楽になかなか出会えないのが淋しいです(笑)
レオ・セイヤーも良いですね~。聴きたくなってきました。ちょっとBOOK OFFで探してみます。
Commented by kaz-shin at 2008-03-10 23:30
PONさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
お母さんと同じ年齢でしたか~(笑)
でもPONさんの年齢からすると、お若いお母さんですね。

親子で同じ時代の音楽を聴いて、あれこれ語り合えるなんて素晴らしいじゃないですか!
お母さんの思い入れの強い曲を教えて聴くというのも面白いと思いますよ。
洋楽、邦楽問わず、お母さんの青春時代の思い出話を聞きながらの音楽鑑賞なんて素敵ですよ。

機会があったらお母さんの思い出の曲、教えて下さいね。
Commented by kaz-shin at 2008-03-10 23:35
ひとさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
そうなんです!ザ・セクションの連中なんですよ。
実はザ・セクションのアルバムを探してるんですけど、なかなか見つかりません。
このアルバムでは静かな曲が多い分地味な感じがしますが、06や10での演奏はニヤリとさせられます。
アレンジは、デヴィッド・スピノザとトム・スコットが中心だったみたいです。
70年代の香りが詰った1枚ですよね。
Commented by kaz-shin at 2008-03-10 23:40
shu0610さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
AORとも一味違う、この頃のポップスも良いモノですね。
郷愁漂うと言うか、何故かホンワカした気分になります。
中学生になってこういう曲を聴くようになったことで、少しだけ大人になれた気がしてました(笑)
ぜひカセット探して、久しぶりに聴いてみて下さい。あの頃の思い出や匂いが蘇ってくるかも知れませんよ。
Commented by ギター小僧 at 2008-03-11 21:57 x
コレ持ってますが、そんなに聴くアルバムじゃないんですけど、たま~に聴くと彼の唄って心にしみますね。英語も聴きやすいですね。
個人的には「ファントム・オブ・パラダイス」が一番好きだったりします。なぜか美少年役(?)で出演してましたね。ジェシカ・ハーパーの歌がカーペンターズに劣らずよかったです。リアルタイムで体験したかった・・・
Kaz-shinさんの年代をほんとうらやましく思います。
Commented by kaz-shin at 2008-03-11 22:46
ギター小僧さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
「ファントム・オブ・パラダイス」ですか~、懐かしいですね。
久しく観てませんが、"オペラ座の怪人"に似たロック・ミュージカルでしたよね。
笑える部分もありましたが、もの悲しいという印象が強く残ってます。
ジェシカ・ハーパーの為に、顔を潰されながらも健気に曲を書いているポール・ウィリアムスが
切なかったという記憶があります。
久しぶりに観たくなってきました。良い作品を思い出させて下さいました。
ありがとうございます。
Commented by ymoymo at 2008-03-14 16:20 x
あっしが聞いたのはサムディマンというほうです。ロジャーニコルズの音楽は個人的に筒美先生をほうふつとさせる感じです。高度なことをやっているのにセンスがよくやわらかくて聞きやすい、どこか日本人好みなメロディーでしかも聞くと前向きになれる・・・という感じで。一時ロジャーニコルズのソロを聞きまくってました。2ndが出ましたね。Kaz-shinさんはソフトロック系も好きなようですね。
そういえば最近CD屋いったらセイルアウェイというバンドのCDが置いてあって杉真理バンドのメンバーのバンドらしいんですが初めて知りましたが・・・80年の作品で6曲筒美御大が書いてるそうです。
Commented by kaz-shin at 2008-03-15 01:49
ymoymoさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
そして、今日の記事で勝手にお名前使わせてもらいました。すみません。
本当に偶然なんですが、今日セイル・アウェイを紹介するつもりで準備していたんです。
だから本当に驚いてます(笑)
私の場合、音楽に関しては本当に節操無しなんです(笑)
アイドル系のアルバムを聴いた後に、ハービー・ハンコックを聴いてみたり・・・。
ただ、洋楽については本当にまだまだ勉強不足なんで、色々教えて下さい。よろしくお願いします。
Commented by Backstreets at 2008-05-06 19:41 x
はじめまして、「音楽の杜」さんのブログから辿り着きました。今後とも宜しくお願い致します。
私の中学生の時代はブリティッシュ・ハード・ロックやプログレッシヴ・ロックが主流でした。周囲はそんな趣味の人々が多かったのですが、私はウエスト・コーストのロックやSSWに興味を持ち、そんな時に出逢った中のひとりがポール・ウィリアムスです。
美声でもなければ決して歌が上手いわけでもないのですが、朴訥で誠実そうな歌声とキャラクターに魅了されました。
映画『ファントム・オブ・パラダイス』の好演も光りますが、もともと俳優志望だったらしく、モンキーズ結成時のオーディションも受けたそうです。もし彼が受かっていれば・・・、小学校低学年でモンキーズに魅入られた身としては、これはちょっと想像が出来ません。
有名な曲が幾つも収録されたこのアルバムだけでなく、A&Mからの諸作やポートレート・レーベルからの『ア・リトル・オン・ザ・ウィンディ・サイド』などにも彼の魅力がたっぷり詰まっています。
Commented by kaz-shin at 2008-05-06 23:08
Backstreetsさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
私のブログは邦楽中心なので、洋楽が好きな方には退屈かも知れませんし、
何分240さんみたいに洋楽に関する知識も薄いので、ごく一般的な作品ばかり紹介しています。
ポール・ウィリアムスは私もシンプルなメロディーとその朴訥とした歌声が大好きです。
他の作品をあまり知らないので、お薦め頂いた『ア・リトル・オン・ザ・ウィンディ・サイド』を始めとした
諸作品も聴いてみたいと思います。
また洋楽に関して、色々と教えて下さい。よろしくお願いします。
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