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小林 麻美_ANTHURIUM ~媚薬~ ◇ 2008年 04月 26日
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今回紹介するのは、小林 麻美が1985年にリリースした通産5枚目となるアルバム『ANTHURIUM ~媚薬~』です。以前1984年リリースのアルバム『CRYPTOGRAPH』を紹介したんですが、調べてみると小林 麻美の歌手デビューは意外に早く、1972年にシングル「初恋のメロディー」という筒美 京平作品でデビューしており、70年代に3枚のアルバムをリリースしています。私は70年代の彼女の作品をまったく知らず、小林 麻美と言えばCBS移籍後のアルバム『CRYPTOGRAPH』以降の作品の印象しかありません。

この『ANTHURIUM ~媚薬~』は、前作同様小林 麻美のアンニュイなキャラクターを活かし、ヨーロピアン・ポップスを基調とした独特な世界観を持ったアルバムです。前作のレビューの時にも書いたのですが、1980年代に入り一部のアーティスト達がヨーロピアン・ポップスに傾倒していきましたね。それまで大好きだった大貫 妙子やRAJIEもヨーロピアン・テイストのアルバムを次々とリリースしていきました。正直なところ、当時はどうしてもこういったヨーロピアン・テイストの作品を好きになれませんでした。私の勝手なイメージなんですが、どこか陰鬱な感じが漂っていて、色で表現するならば今にも雨が降り出しそうな空模様と同じダーク・グレーというイメージが強くて、どうしても馴染めませんでした。もちろん全部が全部陰鬱な作曲ばかりでは無いのですが、どうしてもそういうイメージが強かったです。こういう音楽も良いものだなと思い始めたのは、ほんのここ2~3年の事かも知れません。

アルバム収録曲10曲中5曲が、Christian Hollというフランスのソング・ライター(詳しい事は分からないのですが・・・)の作品で、2曲が大貫 妙子の作品が、3曲が松任谷 由実の作品という構成になっています。確かにヨーロピアン・ポップスが基調になっていますが、然程ベタな感じがしないのは、アレンジを手掛けた井上 鑑(2曲は松任谷 正隆が手掛けていますが)の手腕に因るところが大きいと思います。
参加しているミュージシャンは、井上 鑑(key)、松任谷 正隆(key)、山木 秀夫(ds)、島村 英二(ds)、青山 純(ds)、ロバート・ブリル(ds)、岡沢 茂(b)、高水 健司(b)、今 剛(g)、松原 正樹(g)、浜口 茂外也(per)等という面子です。

『小林 麻美 / ANTHURIUM ~媚薬~』
01. 幻惑
02. 幻の魚たち
03. LOVE SUGAR (L'AMOUR EN QUARANTAINE)
04. 砂に消えたカサノバ (LE MONDE A L'ENVERS)
05. ひき潮
06. 金色のライオン
07. 腕の中のサハラ (FOU DE VOUS)
08. 夏の嵐 (L'ITALIENNE)
09. 水晶の朝
10. シフォンの囁き (FEMME DANS MA VIE)

作詞・作曲:大貫 妙子による01。どこかエキゾチックな井上 鑑のアレンジが印象的なナンバーです。陰の印象の強い曲ではあるのですが、大貫 妙子らしい聴き易いメロディーで小林 麻美のアンニュイなヴォーカルによくマッチしているナンバーだと思います。

作詞・作曲:ユーミン、編曲:松任谷 正隆による02。軽妙な感じのヨーロピアン・ポップスに仕上がっています。井上 鑑と松任谷 正隆のアレンジの違いを聞き比べてみるのも面白いと思います。ユーミンの作曲センスというのはやはり群を抜いて素晴らしいものがありますね。

Christian Hollの作品に小林 麻美が日本語詞を付けた03。イントロ部に暗い雰囲気があるものの曲自体は軽快なフレンチ・ポップス系のナンバーです。歌うと言うよりも囁くといった方が似合うような小林 麻美のヴォーカルが耳に残る1曲です。

Christian Hollの作品に小林 和子の日本語詞による04。昔なら好きになれなかったであろう"陰"を感じる曲ですが、メロディー自体は親しみやすいですし、アレンジも井上 鑑らしく凝ったものになっています。

作詞・作曲:大貫 妙子による05。この曲も大貫 妙子らしさを感じる曲ですね。井上 鑑のアレンジが秀逸で、CITY POPにも通じる仕上がりになっていて個人的には好きな曲になっています。

作詞:小林 麻美、作曲:松任谷 由実、編曲:井上 鑑による06。サビのメロディーがいかにもユーミンらしいのですが、歌うには難しいナンバーですね。小林 麻美も必死に歌っていると言う感じがします(笑)

Christian Hollの作品に芹沢 類の日本語詞による07。アルバム中で1番小林 麻美のヴォーカルが際立っているように思えるナンバーです。この曲でのヴォーカルは凄く好きですね。井上 鑑のいかにも彼らしいアレンジがたまりません。

Christian Hollの作品に有川 正沙子の日本語詞による08。どんより曇った夏の海辺、風を正面から受けながら海を見ているという、そんなイメージが浮かんでくる1曲です。夏らしさを感じることが出来て、個人的には大好きなナンバーです。

作詞:小林 和子、作曲:松任谷 由実、編曲:井上 鑑による09。タイトル通り、朝のイメージが強いミディアム・ナンバーです。インパクトこそありませんが、聴く度に魅力が増してくるようなタイプの作曲かも知れません。

Christian Hollの作品に松任谷 由実が日本語詞を付け、松任谷 正隆のアレンジによる10。シングル・リリースされた曲ですね。確かにテンポもあり聴き易いメロディーで、シングル向きの曲です。「雨音はショパンの調べ」、「哀しみのスパイ」に続くシングルですが、小林 麻美のイメージが固まりつつあった頃の作品ではないかと思います。

このアルバムは私にとって、頻繁に聴いたり、繰り返し聴きたいと思わせるアルバムではありません。しかし、春先の天候が変わりやすい季節や梅雨時のすっきりしない天気が続いたりすると、無性に聴きたくなるアルバムなんです(笑)
好き嫌いがはっきり別れるタイプの音楽だとは思いますが、サウンドも洒落ていますし、曲も洗練されたものが多いですから、聴き込むと段々と良さが分かってきます。興味のある方は聴いてみて下さい。
私のように天候や季節によって聴きたくなる音楽が変わる人間には、このアルバムはまさに季節を教えてくれる1枚になっています。皆さんにもそんなアルバムがありますよね?
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by kaz-shin | 2008-04-26 00:22 | J-POP | Trackback | Comments(8) | |
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Commented by hisa at 2008-04-26 23:16 x
久しぶりです。
書き込みたいところがあるのですが、今週は全く余裕なしでした。
小林麻美については全く逆ですね。私は70年代しか知りませんでした。
3枚のアルバムを出して歌はやめたものと思っていました。お世辞にも上手ではありませんでしたしね。「初恋のメロディ」を聴いた瞬間ひっかかってアルバム3まいつきあいました。「初恋のメロディ」いまでもよく聴きます。ほのぼのとして落ち着きますからね。筒美京平の傑作のひとつですね。後期は「雨音はショパンの調べ」を出しているのを少し後から知って驚きました。見違えるように歌が良くなっていましたからね。アルバムの印象はkaz-shinさんが書かれているのと同じですね。ほんとに聞き込むほどよくなります。
Commented by kotaro at 2008-04-27 02:18 x
小林麻美は3度登場します。
1972年頃、ダイヤ毛糸のタイアップデビュー「初恋のメロディー」
筒美御大の初期の大傑作
それから78年頃、尾崎亜美のスマッシュヒット、化粧品のCMソング
「My pure Lady」のCFモデルとして。
私もこのポスターが欲しくて同級生の化粧品屋の家までいきました。
そして3度目が「雨音はー」の退廃美あふれるヨーロピアンデカダンス。
まあ子猫→メス猫→化け◎と云ったらぶっとばされるでしょうが、結構引きずられたタイプです。

76年頃、オールナイトニッポンの2部で暗いDJをやってた頃から気になる美人ですが、安井かずみにも共通する遊びの世界から芸能界に入り、自然体で存在感のあるひと。最近では少なくなりましたが、昔の外車みたいな人ですね。

もう一度歌を聴きたいような気がします。
Commented by kaz-shin at 2008-04-27 22:44
hisaさん、こんばんは。お久しぶりでした。
レスが遅くなってすみません。

小林さんの70年代の音源は、おそらく聴いていたんだと思うのですが、どうしても思い出せません。
やはり「雨音は~」のインパクトが強過ぎたせいかも知れませんが・・・。

元々、あまりヨーロピアン・サウンドが好きではないので、リリース当時は聴き込むには至りませんでしたが、
最近はこの辺りの音楽の良さを再確認しております。本当に聴き込むほどに味わいの増す作品ですね。
Commented by kaz-shin at 2008-04-27 22:53
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
レスが遅くなりすみません。
本当にkotaroさんも色々とよくご存知ですね。いつも勉強させてもらっています。
正直なところ、小林さんに興味があまり無かったんですね。もちろん綺麗な方だとは思うのですが、
私の好みの顔立ちでは無かったもので・・・(笑)

70年代前半に関しては、特にまだ音楽熱も然程高くなかったこともあって聴いていたんでしょうが、記憶にありません。
70年後半になると人が変わったように音楽に没頭し始めましたので、やはりこの頃の作品の印象が強いですね。
彼女の個性が活かされていて、なかなか面白いですよね。
Commented by まるいチ-ズ at 2008-04-28 07:56 x
おはようございます
kotaroさんの仰っているMy pure LadyのCF、懐かしいですね。ヨットパ-カ-を着た麻美さんが、サ-フィンをしている彼を双眼鏡で見ているアレですね、私もポスタ-貰いに行きました(笑)大ヒットしたテーマソング
も大好きです、春を連想させる代表曲ですね。
Commented by kaz-shin at 2008-04-29 02:35
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
麻美さんは人気ありましたね~。私は興味無かったのですが、私の周りにも熱狂的なファンが大勢いました。
78年頃は"キャンディーズ命"みたいな状態だったので、他のアイドルは目に入っていなかったというのが本当のところです(笑)
Commented by コン at 2008-06-06 15:31 x
はじめまして。偶然このページに辿り付きました。Christian Hollの曲調は私も好きです。彼が全曲手掛けたピンクレディーのケイの「Voice Cologne」ってアルバムも結構いいですよ。
Commented by kaz-shin at 2008-06-07 04:52
コンさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
この記事を書く時に、Christian Hollについて色々調べたんですがよく分かりませんでした。
これだけ良い曲を書くのでもっと情報があると思っていたんですが・・・。

『Voice Cologne』は増田恵子さん名義のアルバムなんでしょうね。
あまり見かけたことがありませんが、機会があれば聴いてみたいと思います。
情報ありがとうございました。
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