今回紹介するのは、"キング・オブ・AOR"とも称されるボビー・コールドウェルが1980年にリリースした2ndアルバム『CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』です。以前紹介した1978年リリースの1stアルバムにして名盤と評価の高い『BOBBY CALDWELL (イヴニング・スキャンダル)』の延長線上にあると言っても良い洒落たサウンドに満ちているアルバムだと思います。
当時は今と違って情報量が圧倒的に少なくて、クリストファー・クロス同様にボビー・コールドウェルも容姿に関しては謎が多かったのですが、この『CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』で初めてボビーの姿を見ることが出来て、「こんな感じの人だったんだ~」という感想を持ったのを憶えています。
ブルー・アイド・ソウル色が強いのがボビーの作品の特徴ですが、時にトロピカルなムードを持った曲もあり、これから夏に向けて非常に心地良く聴けるのもボビー・コールドウェルの魅力だと思います。
プロデュースはボビーとスティーヴ・キンボールの二人、アレンジは全曲ボビー自身です。特筆すべきは、ボビー自身がギター、ベース、ドラム、キーボード等の楽器をこなすというマルチ・プレイヤーぶりを発揮しています。もちろんスタジオ・ミュージシャンも参加していますし、曲毎のクレジットが無いのでどの曲でボビーが演奏しているのかは不明ですが、いずれにせよ才能に溢れたミュージシャン、アーティスト、ソングライターであることには違いありませんね。
『BOBBY CALDWELL / CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』
01. COMING DOWN FROM LOVE (邦題:センチメンタル・サンダウン)
02. WRONG OR RIGHT
03. TO KNOW WHAT YOU'VE GOT
04. YOU PROMISED ME (邦題:カリビアン・プロミス)
05. IT'S OVER
06. OPEN YOUR EYES
07. MOTHER OF CREATION
08. I DON'T WANT TO LOSE YOUR LOVE
センチメンタルなAORナンバーで、サビ部のファルセット・ヴォイスが印象的な01。都会的で洒落たメロディー・ラインにスティーヴィー・ワンダーを彷彿させるようなソウルフルな歌声が魅力的なナンバーです。ボビーのギター・ソロも味がありますね。
スリリングなリズム・アレンジの02。ピアノとエレピのコンビーネーションが面白く、間奏でのサックス・ソロも洒落ています。夜のドライブのBGMにピッタリの1曲でしょう。ギターのリフが印象的です。
哀愁のあるメロディーが秀逸の03。ボビーの奏でるヴァイブ、ギターが実に艶っぽくて好きです。日本人好みの曲と言えるでしょうし、ボビー・コールドウェルらしい1曲とも言えると思います。
レゲエを隠し味にしておいしく調理されたという感じの04。大好きな曲です。メロディー・センスもアレンジのセンスも抜群ですし、歌も良し。その上楽器は何でもこなすという恐るべしアーティストですね。
短い曲ですが、メリハリの効いたアレンジのAORナンバー05。都会的な雰囲気とリゾート感覚が絶妙にマッチしているところが、どんなシチュエーションで聴いてもお洒落に感じる要因なのかも知れません。
シンプルな演奏にソウルフルなボビーの歌声が絶妙なバランスが魅力で、知らずに知らずに聴き惚れてしまうといった感のあるナンバー06。
FUNKYなナンバー07。FUNKYなリズム・アレンジにスティール・ドラム等を加えて、どことなく南国風味を加えている辺りがボビー・コールドウェルらしさを感じる1曲。
しっとりと聴かせるバラード・ナンバー08。美しいメロディー・ラインに惹かれます。黄昏時のSEA SIDEで聴きたいようなお洒落な曲で、この曲も大好きなんです。ボビーの弾くギターが中心になっているのですが、実に味のあるギターです。なかなかの腕前ですね。
個人的な感想を言えば、やはり1stアルバム『BOBBY CALDWELL (イヴニング・スキャンダル)』の方がインパクトも強いですし、完成度も高い気がします。しかし、このアルバムも聴けば聴くほど、味わいが増してくるような魅力に溢れたアルバムだと思います。キラー・チューンと呼べるような曲は無いのですが、それでもどの曲も水準以上とも言える曲ばかりで、まさに捨て曲無しのアルバムと言えると思います。出来れば1stとこの2ndをセットで聴くと、ボビー・コールドウェルならではのAORを満喫出来ると思います。またAORが似合う季節がやってきました(笑)
このアルバムは1stに比べると評価は少々低いようですが
私は結構好きで今でも聴いております
特に05〜07の3曲がいいですね。
体調は万全とはいかないまでも、かなり調子良いですよ。
ご心配頂いてありがとうございます。
この2ndは派手さは無いものの、トータル的なバランスが良いアルバムで大好きなんです。
手作り感が1stよりもあって、聴けば聴くほど魅力的に思えてくる好盤だと思います。