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荻野目 洋子_VERGE OF LOVE ◇ 2008年 12月 17日
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今回紹介するのは、80年代を代表するアイドル歌手・荻野目 洋子が1988年にリリースした通産9枚目となるアルバム『VERGE OF LOVE』です。
荻野目 洋子は、「ダンシング・ヒーロー」、「六本木純情派」、「さよならの果実たち」等のヒット曲で知られてますが、当時私はこの手の曲が正直好きにはなれませんでした。歌は上手いなと感じつつも歌声も好きなタイプでは無かったので、積極的に聴いていませんでした。
そんな私が何故、このアルバムを購入したのか・・・?。それはこのアルバムのプロデュースを手掛けたのが、自身も素晴らしいドラマーでありながら、ホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーといった大物のプロデュースを手掛け、グラミー賞も獲得しているナラダ・マイケル・ウォルデンだったからです。
しかも全曲海外録音で全曲英語詞というまさに洋楽志向の強いアルバムと云う事で、これはぜひとも聴いてみたいと思った次第です。

結論から言いますと、それまでの荻野目 洋子に対する偏見を打ち消してくれた素晴らしい仕上がりのアルバムです。ぜひとも洋楽好きの人にも騙されたと思って聴いて頂きたい1枚ですね。
それまでの歌謡曲を歌っていた荻野目 洋子とは一味違うヴォーカルを聴かせてくれます。
ナラダ・マイケル・ウォルデンの厳しいヴォーカル・ディレクションの賜物であろうと思いますが、荻野目 洋子自身も相当苦労しだだろうと思います。英語の発音(あくまでも私個人の感想ですよ)もなかなかですし、それまで聴けなかったファルセットやウィスパー・ヴォイスを駆使し、それまでのスタイルとは一皮剥けたようなヴォーカル・スタイルがこのアルバムに詰まっています。
ナラダ・マイケル・ウォルデンも彼女の歌声は気に入っていた様子で、ある時期このアルバムを全米リリースすることも考えていたという話を聞いたことがあります。プロデューサーにとってもそれだけの自信作だったということなのでしょうね。
70年代~80年代に活躍したアイドル歌手の侮れないところは、決して可愛いだけでなく、歌に関しても非凡な才能を持ち合わせた人達が多かったことに今更ながら驚かされます。

『荻野目 洋子 / VERGE OF LOVE』
01. THIS COULD BE THE NIGHT
02. SOMETHING ABOUT YOU
03. PASSAGES OF TIME
04. WICKED
05. VERGE OF LOVE
06. POSTCARD FROM PARIS
07. SWOOPIN' IN
08. IS IT TRUE
09. DIZZY,DIZZY,DIZZY
10. YOU TAKE IT ALL AWAY

軽快な打ち込みのリズムとギター・カッティングが心地良い01。歌い出しからそれまでの荻野目 洋子とは一味違う歌声が響きます。英語で歌うことは本当に難しかっただろうと思うのですが、臆することなく堂々たる歌いっぷりが見事です。

しっとりと聴かせるミディアム・バラード・ナンバー02。何とも艶っぽいヴォーカルで、それまでの溌剌とした感じとは違って大人の女性を感じさせます。全編打ち込みなんですが、凄くシンプルな音作りで嫌味が全く無い良い曲ですね。

美しいメロディーのスロー・バラード曲03。AOR路線とも言えるバラード曲で、適度に力を抜いたような優しげな歌声が印象的です。この曲などは特にそれまで私のイメージしていた荻野目 洋子の歌声と全く違っていて驚かされました(笑)

ナラダ自身がスティックを握っているミディアム・ファンク・ナンバー04。かなり格好良い曲で、楽曲に関してもアレンジに関してもナラダが本気で取り組んでいるのが伺えます。歌謡ロックっぽい曲よりもこういうファンク・ナンバーのが荻野目 洋子の歌声には似合っているような気がします。その辺りをナラダが見抜いていたんでしょうね。

何とも渋いブラコン・ナンバーで、アルバム・タイトル曲でもある05。知らない人が聴いたら日本人が歌っているとは思わないでしょう。それまであまり聴いたことが無いファルセットを使っており、もはやアイドルという枠は超えてます。それにしても今までの荻野目 洋子のイメージをことごとく覆される曲ばかりです(笑)

優雅なヨーロピアン・サウンドを思わせるイントロから一転して、軽快なビートのダンサブルなナンバーへと変わる06。割と低音域を活かしたような曲なんですが、私の好みで言えば彼女の高音部分よりも低音部分の歌声が好きなんで、この曲も凄く気に入ってます。

リズム・アレンジに関するセンスの良さを感じさせる07。本当にどの曲も単純に曲が良いのが、このアルバムの特徴です。サビのメロディーが耳に残ります。フェイクも上手く使っているのですが、これは他の日本で制作されたアルバムではあまり聴けないもののひとつではないでしょうか。

全盛期のマドンナを彷彿させるような08。ナラダのドラムとムーグのベース、軽妙なギター・カッティングが絶妙なバランスです。文句無く格好良い曲です。この曲がアルバム・タイトルでも良かったのではないかと思える程です。

この曲を聴いて荻野目 洋子だと分かる人は皆無に近いであろう09。全く別人のような可愛らしいウィスパー・ヴォイスで全編歌っています。それにしても荻野目 洋子にこの歌を歌わせようとしたナラダは流石に只者ではありませんね(笑)

最後はAORチックなミディアム・ナンバー10。都会的で洒落たアレンジが素晴らしいです。くどいようですが、このアルバムを聴いてアイドルのアルバムだと思う人はいないと思います。この曲は聴けば聴くほどに魅力的に思えてくる、そんな曲です。

それにしても荻野目 洋子の声質を活かしたアレンジには脱帽ですね。本来ならもっと低音を効かせたグルーヴでも良かったのではないかと思う曲もあるのですが、彼女の声の魅力を活かすには丁度良いのかも知れません。実によく出来たアルバムだと思います。
実は今回、カテゴリを"洋楽系"にしました。これはもう"洋楽"だと思いますので・・・(笑)
洋楽好きの方で私の書いたことが大袈裟だと思われる方は、ぜひ1度聴いてみて下さい。BOOK OFF辺りを探せば格安で見つけられると思いますので。

翌1989年にはこのアルバムの日本語ヴァージョンである『ヴァージ・オブ・ラヴ』がリリースされています。残念ながらこの日本語ヴァージョンは未聴です。あえて聴かなくても良いかなと思ってましたが、最近はちょっと聴いてみたい気もしますね。
調べていて分かったのですが、20年前の今日(12月17日)にこのアルバムがリリースされていました。凄い偶然!(笑)
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by kaz-shin | 2008-12-17 22:54 | 洋楽系 | Trackback | Comments(14) | |
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Commented by 哲学者になりたい猫 at 2008-12-17 23:18 x
かの都はるみに「是非PDしてみたいその歌唱とリズム感」(しなくて良いよと当時から思ってましたが(笑))と言わしめた荻野目ちゃん。確かに世間は「ダンシング・ヒーロー」の一連のユーロビート路線とそれ系シングル数枚+アルバム曲で統一して当時アルバム年間一位を達成した『NON-STOPPER 』に代表されるビート感とキレのあるボーカル。荻野目ちゃんというとイメージする路線だとは思うのですが実は凄い引き出しがある人…その側面を出すのを成功した一枚がこの盤ではないでしょうか。この盤はいわゆる洋楽路線で洋楽人に頼んで箔をつける路線なんですが、それが箔をつけるで終らせないところが松田聖子さん河合奈保子さん同様この時期の過い所です。荻野目ちゃんはKazさんが好きな高中正義さん作曲作品を歌ってたりブレイク前には坂本教授作品の難しい曲調を歌いこなしていたり本当に器用なんですよねぇ。それでいて女優さんもしっかりやっていたし…あの頃のトップに立つ人は凄いです。しかし、この記事読んで改めて私無知猫はKazさん音楽通に音楽を進めてはいけないと分ります。「ダンシング~」以下好きになれないって…私当時から大好きですもん(爆)
Commented by kaz-shin at 2008-12-18 00:14
哲学者になりたい猫さん、こんばんは。早速のコメントありがとうございまず。
荻野目さんの他のアルバムも機会をみて、聴いてみようと思っているんですよ(笑)
このアルバムの場合、ナラダがプロデュースだったんで躊躇なく買ってしまいました。
上手い人だと思っていたんですが、どうも一連のヒット曲が肌に合わないんですよね。
これは本当に説明が難しいのですが、メロディーに馴染めないというところかも知れません。
例を挙げるなら、私の場合は芹澤廣明さんの書くメロディーって、生理的に駄目なんですよね~。理由は分かりませんが・・・(笑)
だから、チェッカーズも駄目でしたし、岩崎良美さんの「タッチ」も駄目なんですよね。
この苦手な曲に共通点があるような気もするのですが、上手く表現出来ないのが悔しいです(笑)

それにしても当時のアイドルって、不思議な魅力を持った人が多かったですね。だからこそ人気者になれたんでしょうけど。
Commented by kotaro at 2008-12-18 03:28 x
日本ビクター、アイドル歌手の黄金時代ですかねえ。
81年暮れデビューの松本伊代、翌年春の小泉今日子、この二人の
活躍で83年のビクターは宿敵巨人を倒した今年の西武のようでした。
その勢いで翌84年に大型ルーキー2人、長山洋子と荻野目洋子を加え
先発ローテを一気に確立したかったのですが、なかなか10勝投手になれなかったですね。2人とも。
宿敵ソニーには松田聖子という新人以来20勝を連続している怪物がおり、うっかりすると新興のポニキャンにも3人くらい実力派がいて、ビクター王国の黄金時代ってこの時期くらいでしょうか。

先にブレークしたのは荻野目ちゃんの方でしたが、ダンスビートになる前の未来航海sailingとかディセンバーメモリーの方が私は好きですね。
洋楽も最初いいなと思ってたけど段々ワンパターンに聴こえ出してきて、数年後にウゴウゴルーガでしょ。
そのうちに毒の強いお姉さんにも話題でも負けて最後は交通事故の話題くらい。

育てる方針さえ間違わなければ通算100-150は勝ててたでしょう。勤続15年以上で。
割と好きだったからもったいないなあと思いました。
(脱線失礼しました。一応このアルバムは知っています)

Commented by ヨロレイヒ~ at 2008-12-18 20:35 x
デビュー当時は少しお子ちゃまボイスでしたが、
当時、同年代と言う事もあり、
違和感無く聴いていました。
無国籍ロマンスでは、
裏声で歌うと言うスゴ技にも挑戦。
おはスタで生歌を一週間披露した時は、
声がひっくりかえって、
悔しそうにしていたのを懐かしく思い出されます。
その番組内で尊敬する歌手はとアシスタントだった泰葉さんに聞かれ、
××さん(百恵さんだったかな?)と答えて、
目の前にいる私(泰葉さん)を言わないなんて気が利かないと
いじめられて泣いていたのも思い出しました。

第二期の声張り上げ喉痛めボイス
個人的に売野さんの詩がマイナス要因だった。
アメリカン'50を意識し、
荻野目ちゃんの持っている、
感性と言うかイメージを壊したように思います。

アルバム流行歌手からの第三期
ここからが荻野目ちゃんのボーカルが真骨頂、
開花した時だと個人的に思います。

Commented by ヨロレイヒ~ at 2008-12-18 20:36 x
どの時代も本当に器用に歌いこなしているのに、
世間的に歌手としての評価が低いのは納得がいきませんが…。

このヴァージ…のアルバムは姉妹作として、
すべて日本語で歌われているものもあります。
kaz-shinは、そちらも聴かれましたでしょうか。
良くも悪くも歌い方は、同じです。
もし、聴かれていたら辛口評論!?よろしくお願い致します。
Commented by kaz-shin at 2008-12-19 23:14
kotaroさん、コメントありがとうございます。
荻野目さんて人気が高かったんですね。
私は記事にも書きましたが、一連のヒット曲がどうも性に合わず、アルバムを聴きたいという気持ちになれませんでした。
このアルバムがリリースされていなければ、アルバムを聴かずに終わっていたでしょう。
この人も実力はありながら、カリスマ性が薄い気がしています。
アイドル歌手の場合、やはりシングル曲勝負みたいな風潮があったのでなかなかアルバム・アーティストへの転身は難しかったのではないかと思います。
ましてやアイドルというものが下火になりつつあるところからの転身ですから、荻野目さんを含め多くのアイドル達は苦労したんでしょうね。
そして、歌から離れていった・・・。時代とは言え、勿体無い話ですね。
Commented by kaz-shin at 2008-12-19 23:25
ヨロレイヒ~さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
このアルバムを聴いて感じたのは、歌い手の実力はもちろんですが、それを支えるスタッフの力が大きく影響しますね。
いくら良いアルバムを作ってもタイミングを逃せば意味を無くしてしまいますしね。
そういう意味ではこのアルバムもタイミング的にはどうたったんでしょうかね?
時代に波に上手く乗っていた筆頭は、やはり松田聖子さんでしょう。
話題性、カリスマ性、選曲等において、スタッフと一丸になっていた印象があります。この辺りの戦略は流石だと思います。

このアルバムの日本語ヴァージョンはまだ未聴です。
興味はありますが、聴くのが怖いような・・・(笑)
なぜ日本語ヴァージョンをリリースしたのか、意図が掴めません。
英語詞で歌ったことが当時のファンに受け入れられず、セールス的にも振るわなかったということなんでしょうかねぇ。

もし日本語ヴァージョンを聴く機会があれば、また取り上げてみたいと思います。
Commented by hisa at 2008-12-20 22:25 x
荻野目洋子はデビューの未来航海から聞いています。私はどとらかというとデビュー当時のほうが好きでした。歌はうまいしユーロビートもうまく歌いこなしているので惰性でずっとアルバムは買っていました。このアルバムも持ってます。ちょうどレコードからCDに切り替わる頃ですね。
この人もアイドルでデビューしましたが歌も芝居も才能があるみたいで幅広く活躍してますよね。アルバムのはずれはないしもっと評価されてもいい人ですね。
Commented by kaz-shin at 2008-12-22 19:06
hisaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
確かに荻野目さんは歌も上手いし、お芝居も出来る器用な人でしたよね。
相当な人気もあったのだろうと思うのですが、私個人としては今ひとつ抜きん出れなかったという印象があります。
何と表現して良いのか分かりませんが、"華"みたいなものが欠けていたというか、"存在感"が薄かったような気がしてます。
荻野目さんのアルバムも今やBOOK OFF等では安棚の常連になってしまいました。
でも逆にそこを利用して改めて聴いてみるのも良いシンガーではないかと思ってます。
Commented by macky023 at 2008-12-23 12:11
この作品は当時、荻野目さんの意欲作として
かなり採り上げられていましたっけね。ベスト
盤は持っているのですが、『ヴァージ・オブ・ラヴ』
は収録されていないんです…思い出しましたョ。

ちなみに日本語ヴァージョンはひどいものでした。
聴かなくてもよいと思います。英語詞ならではの曲。
Commented by kaz-shin at 2008-12-24 23:52
mackyさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
レスが遅くなってしまいました。ごめんなさい。

そうですか、日本語ヴァージョンは今ひとつなんですね。
私もそんな気がしてました(笑)
ここに収録されている曲は完全に洋楽ですからね。日本語にメロディーがしっくりくるとは思えませんでした。
でも格安で入手出来るようでしたら、聴いてみたい気もします(笑)
Commented by mato at 2009-02-20 23:23 x
日本語バージョンは、当初から数ヶ月遅れての発売予定があったので、
売り上げ云々という理由ではないです。

当時、まだトップ10に入るくらいの人気でしたし、
アルバムの売れるアイドルという珍しいタイプだったので、
従来のファンを考えてのリリースだと思います。

まあ、かなりの製作費だったとの情報なので、
その回収という意味合いもあったのかもしれませんが。

彼女の成功と失敗が、後輩の安室やSPEEDに繋がって、
今どきのアイドルのスタンダードとなったわけですがね。
Commented by mato at 2009-02-20 23:31 x
ちなみに、このアルバムは、マライア1st以前の作品ですね。
ほとんどの楽曲に参加しているナラダの片腕のウォルター・アファナシエフは
その後、ナラダ以上の大ヒットメーカーになってますね。
ほんと、バブル時代でなければ制作されなかっただろう贅沢な作品です。
Commented by kaz-shin at 2009-02-20 23:44
matoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
まだ日本語バージョンを聴いてみたいと思い、中古店を探していますが
見つかりません。
仰るようにこのアルバムはかなり洋楽を意識して制作されているので、従来のアイドルとしての荻野目さんのファンに向けて
日本語バージョンが作られたというのは頷けますね。
洋楽っぽいのが決して良いとは思いませんが、ヴォーカル・ディレクションを含めて、
新しい荻野目さんの魅力を引き出されている良いアルバムだと思います。
80年代という時代の持つパワーを感じさせる1枚ですね。
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