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カテゴリ:洋楽系( 134 )
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TERENCE BOYLAN_TERENCE BOYLAN ◇ 2008年 10月 03日
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久しぶりに洋楽アルバムの登場です。今回紹介するのは、SSW・テレンス・ボイランがアライサム・レーベルから1977年にリリースしたアルバム『TERENCE BOYLAN』です。洋楽に疎い私が彼の名前を知ったのは、デイン・ドナヒューが1978年に残したAORの名盤と誉れの高いアルバム『DANE DONOHUE』のプロデューサーとしてでした。調べてみると、ボストンやリンダ・ロンシュタット等のプロデュースを手掛けたジョン・ボイランの弟であることや容姿や音楽がジャクソン・ブラウンを彷彿させるらしいという事を知り、ずっと聴いてみたいなと思っていました。
探してみると国内盤は入手困難な様子だったんですが、驚くことに今年の私の誕生日に誕生日祝いということで、私のブログを贔屓にして下さっている"M"さんがこのCDをプレゼントしてくれました。他にも貴重なCDが入っておりまして、最高の誕生日プレゼントでした。
この場を借りて、改めて"M"さんにお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

実際に聴いてみると、まさしくAOR黎明期を感じさせる作品で、爽やかなウエスト・コーストの風を感じさせてくれるようなアルバムです。噂に違わず、デイン・ドナヒューやジャクソン・ブラウンを彷彿させる曲もありますし、豪華な顔触れのミュージシャンの演奏も素晴らしいです。
参加ミュージシャンは、ジム・ゴードン(ds)、ラス・カンケル(ds)、ジェフ・ポーカロ(ds)、チャック・レイニー(b)、ウィルトン・フェルダー(b)、リー・スクラー(b)、ディーン・パークス(g)、ヴィクター・フェルドマン(key)、アル・クーパー(org)、ドナルド・フェイゲン(p)、デヴィッド・ペイチ(p)、ジョン・クレマー(sax)、ティモシー・シュミット(cho)、ドン・ヘンリー(cho)等です。ベテラン、若手(当時)が入り混じった贅沢な面子ですね。

『TERENCE BOYLAN / TERENCE BOYLAN』
01. DON'T HANG UP THOSE DANCING SHOES
02. SHAKE IT
03. SUNDOWN OF FOOLS
04. THE WAR WAS OVER
05. SHAME
06. HEY PAPA
07. WHERE ARE YOU HIDING?
08. RAIN KING
09. TRAINS

イントロのサウンドからして心地良さ全開の01。堅実なジム・ゴードンのドラミングに、燻し銀といった感じのチャック・レイニーのベースとディーン・パークスのギターのプレイ、60年代後半に一緒にバンドを組んでいたドナルド・フェイゲンのピアノやティモシー・シュミットの美しいコーラス・ワークなど聴き所の詰まった1曲です。邦題「ダンシング・シューズ」として知られている曲のようです。

落ち着いたアコースティックなサウンドが印象的な02。個人的にはかなりお気に入りの1曲になっています。派手さはありませんが、メロディーにマッチした演奏とテレンスのヴォーカルが実に心地良い1曲です。

デヴィッド・ペイチのピアノとティモシー・シュミットのコーラスが印象的な03。こういう物静かなフォーキーな感じの曲とテレンスのヴォーカルとの相性は凄く良いですね。決して上手いとは思いませんが、味のあるヴォーカルです。ディーン・パークスはここでも渋いギターを聴かせてくれます。

ジェフ・ポーカロ(ds)、ジェイ・ワインディング(key)、スティーヴ・ルカサー(g)が参加したメッセージ性の強い04。タイトルからはフォーキーなサウンドを想像したんですが、ウエスト・コースト・ロック風なサウンドで非常に聴き易いナンバーです。

盟友ドナルド・フェイゲンの影響を感じる、スティーリー・ダンを彷彿させる渋いナンバー05。勿論ドナルド・フェイゲンもピアノで参加していますが、ジム・ゴードンのドラミングやヴィクター・フェルドマンのローズの渋いプレイが光ってますね。そしてティモシーのコーラスが素晴らしく、テレンスのヴォーカルより目立っちゃってますね(笑)

デイン・ドナヒューが歌っても似合いそうなナンバー06。この曲はとにかく演奏の渋さに尽きますね。ラス・カンケル(ds)とリー・スクラー(b)のリズム隊にジェイ・ワインディンのピアノ、スティーヴ・ルカサーのギター、ゲイリー・フォスターのアルト・サックスという珍しい組み合わせですが、AORの香りがプンプンと漂います。

アルバム中で最もウエスト・コースト・ロックを感じさせるナンバー07。かなり格好良いですね。何とドラムが3人で、ジェフ・ポーカロ、ミッキー・マクギー、そしてテレンス自身が叩いています。ベースがウィルトン・フェルダーですし、ギターはディーン・パークスがメイン。キーボード・レスの演奏ですが、そんなことを感じさせないアレンジが見事と言える1曲です。

都会的でメロウなサウンドが実にお洒落な08。ジョン・クレマーのサックスが都会的な雰囲気を一層盛り上げています。メロディーよりも曲全体の雰囲気がAORなナンバーですね。聴けば聴くほどに味わい深い、そんな1曲かも知れません。

何ともフォーキーな09。彼の音楽のルーツとも言えるボブ・ディランの影響を感じます。おそらく若い頃はこういう曲を演奏していたんではないかなと勝手に想像してしまいました。いわゆる原点みたいな曲なのではないでしょうかね。何故かそんな事を感じた曲でした。

AOR全盛期の緻密に計算された洗練されたサウンドとは違って実にシンプルなアレンジ、演奏なんですが、これがテレンスの素朴なヴォーカルと絶妙にマッチしていて本当に気持ち良く聴ける名盤だと思います。
私の場合、このアルバムは、家族で休日ドライブへ出かけ帰り道で渋滞に巻き込まれ、ふと見ると家族は皆眠ってしまっている。そんなイラついた気分を癒す為に聴きたい、そんなアルバムになりそうです(笑)
AORが好きな人にもお薦めですが、70年代の洋楽が好きな人にはぜひともお薦めしたい1枚です。輸入盤ならAmazonでも入手可能なようです。
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MICHAEL OMARTIAN_THE RACE ◇ 2008年 06月 09日
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今回は久しぶりに洋楽のアルバムを紹介します。とは言っても私自身、洋楽について多くを語れる程知識も音源も持ち合わせてはいませんので、私の紹介する洋楽系のアルバムなぞは洋楽好きな方には何を今更っていう感じのものばかりで、お恥ずかしいのですが・・・。

さて今回紹介するのは、1970年代終わり頃から1980年代半ば頃のAORブームの立役者の一人とも言えるキーボード奏者であり、名プロデューサーでもあるマイケル・オマーティアンが1991年にリリースしたリーダー作『THE RACE』です。
マイケル・オマーティアンは、キーボード奏者として数々のアーティストのサポートしてきましたし、クリストファー・クロス、ジェイ・グルスカ、マクサス、ピーター・セテラ、スティーヴン・ビショップ等のアルバムのプロデュースを手掛けたことで知られていますね。

1980年代半ば以降衰退気味だったAORが再び脚光を浴びてきたのが、このアルバムがリリースされた1990年代初め頃だったような気がします。そんな流れの一環として、マイケル・オマーティアンにも白羽の矢が立ったのかも知れませんね。
アルバムは全10曲中9曲がヴォーカル曲で、歌っているのはもちろん、ほとんど全ての楽器、プログラミングをマイケル・オマーティアンがこなしているのが特徴ですね。

『MICHAEL OMARTIAN / THE RACE』
01. FAITHFUL FOREVER
02. HEARTBREAK CITY
03. LET MY HEART BE THE FIRST TO KNOW
04. KINGDOMS
05. CRY FROM THE EAST
06. ALONE
07. LAST NIGHT ON EARTH
08. MORNING LIGHT
09. BURN IT UP
10. KINGDOMS (Instrumental Reprise)

どことなく歌声がフィル・コリンズに似ている01。ミディアム・テンポでキャッチーなメロディーを持ったAORナンバーです。決して派手なアレンジではありませんが、キーボード・ソロや美しいコーラス・ワークが印象的なナンバー。

雰囲気がガラリと変わって打ち込みのビートを効かせたハードなFUNKチューン02。ハードなギター・サウンドが耳に残ります。1990年代のAORといった感が強い1曲です。ギターはDon Kirkpatrickです。

跳ねた生ドラムのビートが印象的なPOP ROCKナンバー03。間奏のサックス・ソロもソウルフルで格好良いのですが、この曲ではDave Ravenの強烈なドラミングが主役でしょう。

幻想的でアコースティック・ピアノの調べが美しいバラード・ナンバー04。しっとりと歌い上げるオマーティアンのヴォーカルが光ります。

オリエンタル・ムード全開の05。インパクトが強く耳に残る不思議な魅力を持ったナンバーですね。オマーティアンのアレンジの妙と言える曲だと思います。ゲストのSusanne Schwartzのヴォーカルが良いアクセントになっています。

格式高いスコットランド民謡のサウンドを意識したようなアレンジが面白い06。メロディーとアレンジが見事にマッチングしている曲ですね。David Boruffがサックスで参加。

都会的な洒落たサウンドとサビのメロディーが耳に残る07。初めて聴いた時はとっつきにくい感じがしますが、聴くほどに魅力的に思えてくる1曲です。ギター・ソロ風のシンセ・ソロが聴き所のひとつです。

軽快で爽やかな雰囲気とゴスペルっぽい雰囲気を併せ持つミディアム・ナンバー08。AORよりもCCMといった趣の強い曲ですが、このアルバムのレーベル"ワード"自体がクリスチャン・レーベルらしいので、別の言い方をすれば"ワード"レーベルらしい曲なのかも知れませんね。

FUNKYでパワフルな09。この曲のアレンジは好きです。マイケル・オマーティアンのセンスの良さが光っています。ドライヴィング・ミュージックにも最適なナンバーです。80年代のAORの香りが漂っています。

04のインスト・ヴァージョン10。正直04よりも数段格好良い仕上がりです。「世界遺産」等のドキュメンタリーな番組のテーマとしても使えそうな壮大な雰囲気がたまりません。

完全に私個人の思い込みなんですが、1970年代~1980年代というのは不思議な時代で、何か得体の知れないパワーを感じるんですね。私はこれを勝手に"時代のパワー"と呼んでますが・・・(笑)。
この『THE RACE』も曲もアレンジも良いのですが、やはり時代のパワーが後押ししていた70年代、80年代の作られた音楽のような強いインパクトはありません。私自身も年齢を重ねることで感受性も変化しているはずですから、これは仕方無いかも知れません。
しかし、新しい時代においてもAOR全盛期を支えてきたミュージシャン、アーティストが活躍し続けてくれる事は本当に嬉しいですし、彼等の作る音楽は本物だなというのを感じます。
私は本当に良い時代に生まれ、良い時代に音楽に出会ってきたんだなとつくづく思います。
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今回紹介するのは、"キング・オブ・AOR"とも称されるボビー・コールドウェルが1980年にリリースした2ndアルバム『CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』です。以前紹介した1978年リリースの1stアルバムにして名盤と評価の高い『BOBBY CALDWELL (イヴニング・スキャンダル)』の延長線上にあると言っても良い洒落たサウンドに満ちているアルバムだと思います。
当時は今と違って情報量が圧倒的に少なくて、クリストファー・クロス同様にボビー・コールドウェルも容姿に関しては謎が多かったのですが、この『CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』で初めてボビーの姿を見ることが出来て、「こんな感じの人だったんだ~」という感想を持ったのを憶えています。

ブルー・アイド・ソウル色が強いのがボビーの作品の特徴ですが、時にトロピカルなムードを持った曲もあり、これから夏に向けて非常に心地良く聴けるのもボビー・コールドウェルの魅力だと思います。
プロデュースはボビーとスティーヴ・キンボールの二人、アレンジは全曲ボビー自身です。特筆すべきは、ボビー自身がギター、ベース、ドラム、キーボード等の楽器をこなすというマルチ・プレイヤーぶりを発揮しています。もちろんスタジオ・ミュージシャンも参加していますし、曲毎のクレジットが無いのでどの曲でボビーが演奏しているのかは不明ですが、いずれにせよ才能に溢れたミュージシャン、アーティスト、ソングライターであることには違いありませんね。

『BOBBY CALDWELL / CAT IN THE HAT (邦題:ロマンティック・キャット)』
01. COMING DOWN FROM LOVE (邦題:センチメンタル・サンダウン)
02. WRONG OR RIGHT
03. TO KNOW WHAT YOU'VE GOT
04. YOU PROMISED ME (邦題:カリビアン・プロミス)
05. IT'S OVER
06. OPEN YOUR EYES
07. MOTHER OF CREATION
08. I DON'T WANT TO LOSE YOUR LOVE

センチメンタルなAORナンバーで、サビ部のファルセット・ヴォイスが印象的な01。都会的で洒落たメロディー・ラインにスティーヴィー・ワンダーを彷彿させるようなソウルフルな歌声が魅力的なナンバーです。ボビーのギター・ソロも味がありますね。

スリリングなリズム・アレンジの02。ピアノとエレピのコンビーネーションが面白く、間奏でのサックス・ソロも洒落ています。夜のドライブのBGMにピッタリの1曲でしょう。ギターのリフが印象的です。

哀愁のあるメロディーが秀逸の03。ボビーの奏でるヴァイブ、ギターが実に艶っぽくて好きです。日本人好みの曲と言えるでしょうし、ボビー・コールドウェルらしい1曲とも言えると思います。

レゲエを隠し味にしておいしく調理されたという感じの04。大好きな曲です。メロディー・センスもアレンジのセンスも抜群ですし、歌も良し。その上楽器は何でもこなすという恐るべしアーティストですね。

短い曲ですが、メリハリの効いたアレンジのAORナンバー05。都会的な雰囲気とリゾート感覚が絶妙にマッチしているところが、どんなシチュエーションで聴いてもお洒落に感じる要因なのかも知れません。

シンプルな演奏にソウルフルなボビーの歌声が絶妙なバランスが魅力で、知らずに知らずに聴き惚れてしまうといった感のあるナンバー06。

FUNKYなナンバー07。FUNKYなリズム・アレンジにスティール・ドラム等を加えて、どことなく南国風味を加えている辺りがボビー・コールドウェルらしさを感じる1曲。

しっとりと聴かせるバラード・ナンバー08。美しいメロディー・ラインに惹かれます。黄昏時のSEA SIDEで聴きたいようなお洒落な曲で、この曲も大好きなんです。ボビーの弾くギターが中心になっているのですが、実に味のあるギターです。なかなかの腕前ですね。

個人的な感想を言えば、やはり1stアルバム『BOBBY CALDWELL (イヴニング・スキャンダル)』の方がインパクトも強いですし、完成度も高い気がします。しかし、このアルバムも聴けば聴くほど、味わいが増してくるような魅力に溢れたアルバムだと思います。キラー・チューンと呼べるような曲は無いのですが、それでもどの曲も水準以上とも言える曲ばかりで、まさに捨て曲無しのアルバムと言えると思います。出来れば1stとこの2ndをセットで聴くと、ボビー・コールドウェルならではのAORを満喫出来ると思います。またAORが似合う季節がやってきました(笑)
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THE O'JAYS_SHIP AHOY ◇ 2008年 04月 24日
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今回紹介するのは、1970年代に"フィリー・サウンド"と称され大ブームとなったフィラデルフィア・ソウルの代表的なグループであるTHE O'JAYSが1973年にリリースした『SHIP AHOY』です。THE O'JAYSと言えば彼等の代表作でもある1972年のアルバム『BACK STABBERS (裏切り者のテーマ)』が有名ですし、このアルバムを思い浮かべる人も多いでしょうが、私はこの『SHIP AHOY』の何と言うか一種重苦しい雰囲気が好きでして、愛聴盤となっているんです。聴き易く親しみ易いメロディにメッセージ色の強い歌詞、実にTHE O'JAYSらしい1枚なのではないでしょうか。

プロデュースはもちろん優れたソングライティング・チームでありプロデューサー・チームであるケニー・ギャンブルとレオン・ハフの二人。ギャンブル&ハフは、フィリー・ソウルの立役者として有名ですね。そしてバックで演奏しているのがM.F.S.B.(Mother, Father, Sister, Brother)なんですから、これで悪い訳はありません(笑)
M.F.S.B.はフィラデルフィアのシグマ・サウンド・スタジオを本拠地にしていた総勢50人にも及ぶ人種混成のミュージシャン集団です。スタジオ・ミュージシャンとしての活動だけでなく、自己名義のアルバムもリリースしていました。素晴らしい楽曲、演奏、歌の3拍子揃った、私にとっては理想的なアルバムなんです。

先ほど重苦しい雰囲気が好きだと書きましたが、ジャケットを見てもらうと何となく理解して頂けるかも知れませんね。実はこのジャケットのイラストは、奴隷船の船倉を描いたものなんです。アルバム・タイトルにもなっている「SHIP AHOY」は、10分を超す大作で奴隷船の模様を歌ったものです。初めてこの曲を聴いた時、言葉も分からないのに何故か哀しい気分になってしまいました。ただ暗いだけでなく、ダンサブルなナンバーもあり、典型的なフィリー・サウンドありでバラエティに富んだ素晴らしいアルバムに仕上がっています。

『THE O'JAYS / SHIP AHOY』
01. PUT YOUR HANDS TOGETHER
02. SHIP AHOY
03. THIS AIR I BREATHE
04. YOU GOT YOUR HOOKS IN ME
05. FOR THE LOVE OF MONEY
06. NOW THAT WE FOUND LOVE
07. DON'T CALL ME BROTHER
08. PEOPLE KEEP TELLIN' ME

多くのカヴァーが存在する01は、ゴスペル・タッチのご機嫌なダンス・ナンバーです。M.F.S.B.らしいリズム・セクションとホーン・セクションのバランスの良い演奏が印象的です。

奴隷船の模様を歌った02。波の音、木造船ならではの木の軋む音、雷鳴の音、そして鞭の音のSEが挿入されており、歌詞が分からなくても内容を窺い知ることが出来ます。10分を超える大作でありながら、そのドラマティックな構成に長いという印象は全くありません。"AHOY"とは掛声の"おーい"みたいなものらしいです。

軽快なギター・カッティングで始まる03は、フィリー・サウンドの妙味が味わえるナンバー。02とは全く違うタイプの曲ですが、このバラエティに富んだ内容が聴いていて本当に楽しいのです。

コーラス・ワークが堪能出来るバラード・ナンバー04。今聴くと時代の音なんですが、妙に古臭さを感じさせないのはボビー・マーティンのアレンジとM.F.S.B.の演奏の素晴らしさのおかげでしょうね。

05も多くのカヴァーが存在する何とも格好良いナンバー05。名曲です。とにかくアレンジの格好良さが光る1曲です。印象的なのはまるでギターのリフのように聴こえるロニー・ベイカーのベース・プレイです。とにかく格好良いの一言です。

イントロからフィリー・サウンドの醍醐味が味わえるメロディアスなナンバー06。このアルバムの中に入ってしまうと若干浮いた感じもしますが、コーラスをフィーチャーした聴きやすいナンバーで個人的には大好きな1曲。

メッセージ色の強いソウルフルなナンバー07。穏やかな部分と力強い部分のメリハリがはっきりしている演奏が、まさにソウルフルです。

最後を飾る08もフィリー・サウンド全開の軽快なナンバーです。フィリー・サウンドの特色のひとつにストリングスの美しさがありますが、この08はまさにその代表例のようなナンバーと言えるかも知れません。派手さは無いのですがリズム・セクションとストリングスのバランスが絶妙な1曲です。

"古き良き時代"という言葉がありますが、このアルバムのサウンドはまさに"古き良き時代"のサウンドそのものという気がします。確かに録音機材も今に比べればお粗末なものだったに違いありません。いわゆるお世辞にも良い音とは言い難いものです。しかし、聴こえてくるサウンドは実に活き活きとしていて、躍動的で、説得力に満ちたものです。やはり素晴らしいミュージシャンの手によって奏でられた素晴らしい演奏(サウンド)は、どんなに時を経ても色褪せたりしないものなんだと感じさせてくれるアルバムです。フィリー・サウンドがお好きな方にはお薦めの1枚です。
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CHARLENE_I'VE NEVER BEEN TO ME ◇ 2008年 04月 16日
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今回紹介するのは、名曲「愛はかげろうのように」を含むシャーリーンが1982年にリリースしたデビュー・アルバム『I'VE NEVER BEEN TO ME』です。彼女は苦労人のようで、1歳の時に重い病気にかかり病床の生活を余儀なくされて孤独な子供時代を過ごし、17歳で結婚し子供を出産。その後は麻薬に溺れたり、離婚したり・・・、若くして波乱万丈な人生を送ってきたシャーリーン。
そんな彼女が11974年にモータウン・レコードに持ち込んだデモテープがベリー・ゴーディJrの耳にとまり、1977年にシングル「愛はかげろうのように」をリリースします。モータウンからデビューした白人女性シンガーという話題性は十分だったものの、ヒットには至りませんでした。ここまで来ると可哀相になってきますが、そんな彼女にもついに陽のあたる日がやってきます。

デビューから6年後の1982年、フロリダにあるラジオ局のDJが「愛はかげろうのように」をオンエアしたところ、問い合わせが殺到。この年再リリースされ大ヒットしました。アメリカのような大きな市場においては、どんなに実力があって楽曲が良くても駄目なんですね。その上にタイミングとか運も味方にしないといけないという成功の難しさを感じます。
この『I'VE NEVER BEEN TO ME』は、名曲「愛はかげろうのように」を筆頭に、どちらかと言えばスローからミディアム・テンポのバラード・ナンバーを主体にしたアルバムです。「愛はかげろうのように」が突出してますが、プロデューサーであり作詞家であるロン・ミラーと、作曲家でアルバムでもピアノをプレイしているケン・ハーシュのコンビによる全10曲は、とても聴きやすいですし、シャーリーンのヴォーカルも力が抜けた自然体で心地良く耳に響きます。

参加ミュージシャンも、ケン・ハーシュ(key)、レジナルド・バーク(key)、エド・グリーン(ds)、ウィルトン・フェルダー(b)、リー・スクラー(b)、リー・リトナー(g)、ジェイ・グレイドン(g)、ゲイリー・コールマン(per)という豪華な顔触れです。

『CHARLENE / I'VE NEVER BEEN TO ME』
01. I'VE NEVER BEEN TO ME (邦題:愛はかげろうのように)
02. IT AIN'T EASY COMIN' DOWN (邦題:愛の終曲)
03. CAN'T WE TRY (邦題:昨日へ帰りたい)
04. HUNGRY
05. HEY MAMA
06. I WON'T REMEMBER EVER LOVING YOU (邦題:追想)
07. JOHNNY DOESN'T LOVE HERE ANYMORE (邦題:ジョニーへの想い)
08. AFTER THE BALL
09. I NEED A MAN
10. IF I COULD SEE MYSELF

心和む名曲01。良い曲ですよね。ロン・ミラーは男性が歌う曲として作詞をしたそうですが、シャリーンの為に書き直したとのこと。何とも彼女にぴったりな歌詞ですね。パラダイスを色々探したけど見つからない・・・、そうパラダイスというのは心の中に存在するものと語りかけられているような気がします。

01に劣らない美しいバラード曲02。スケールが大きくストリングスの美しさが際立つナンバーですね。

表現力豊かなヴォーカルが素晴らしいしっとりとしたバラード曲03。技巧的に上手い下手ではなく、説得力のあるヴォーカルがシャーリーンの魅力なのかも知れません。

少し擦れ気味の歌声が切なさを誘うバラード曲04。ロン・ミラー&ケン・ハーシュのコンビによる曲はどれもシャーリーンの歌声の魅力を上手く引き出していると思います。

シャーリーンの生い立ちを考えながら聴くと切なくなってくるナンバー05。しみじみと歌うシャーリーンのヴォーカルには説得力があります。

聴く回数が多くなるほどに味わい深さを増すようなバラード・ナンバー06。メロディーの美しさに拘ったという感じのする曲ですね。

カントリー風なナンバー07。バラード・ナンバーも良いですが、こういうカントリー・フレーバーの軽いタッチの曲にも彼女の歌声は似合っていると思います。気持の良い曲です。

アレンジがAOR風でポップでキャッチーなナンバー08。何とも可愛らしいヴォーカルが印象的です。この曲のアレンジが結構好きで、お気に入りの1曲になっています。こういうタイプの曲があと2~3曲あっても良かったような気もします。

美しいメロディーに切ない歌詞、そして心の叫びが歌になっているような09。とても良い曲なんですが、歌詞を見ながら聴くと本当に切なくなってしまう、そんな曲ですね。

ラスト・ナンバー10も美しいバラード曲です。ストリングスの使い方が効果的で、シャーリーンの透明感のある歌声とよくマッチしています。

このアルバムは実に不思議な魅力に溢れている気がします。これだけバラード曲ばかりのアルバムですと、興味の無い方には地味に感じるでしょう。私の音楽的な嗜好においても普通ならあまり聴かないタイプのアルバムなんです。しかし、このアルバムだけは1曲目から10曲目まで必ず通して聴いてしまいます。曲が良いのは勿論なんですが、やはりシャーリーンの表現力豊かなヴォーカルに聴き入ってしまうというのが正直なところです。
歌詞が英語ですから、意味などほとんど訳詞を見ないと意味不明ですが、彼女の歌声には言葉を超えた説得力があるように思えます。頻繁に聴くアルバムではないのですが、たまに無性に聴きたくなる1枚です。
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CHERYL LYNN_CHERYL LYNN ◇ 2008年 04月 08日
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今回紹介するのは、アメリカの視聴者参加バラエティーTV番組「ゴング・ショー」の出身という珍しい経歴を持ち、その圧倒的な歌唱力を誇るヴォーカリスト・シェリル・リンの1978年の1stアルバム『CHERYL LYNN』です。彼女が「ゴング・ショー」に参加した時は、審査員全員が度肝を抜かされ、過去最高得点を獲得したようです。このアルバムは、デビュー・アルバムとは到底思えないほど、その堂々とした歌いっぷりに驚かされます。当時流行っていたディスコ・サウンドが軸になっているのですが、私は結構ディスコ・サウンドは好きな方(とは言ってもユーロ・ビート系は嫌いです)なので、このアルバムもお気に入りの1枚になっています。

『CHERYL LYNN』はCOLUMBIAレーベルからリリースされたんですが、これだけの実力を持ったシンガーですから、当然レコード会社としても期待していたんでしょう。プロデュースには、あのTOTOのメンバー・デヴィッド・ペイチとその父、マーティ・ペイチが起用されています。ちなみにシェリル・リンは芸名で、名付け親はマーティ・ペイチなんだとか・・・。
私の所有しているのは輸入盤で例によって、ミュージシャン・クレジットも歌詞カードも付いていない素っ気無いジャケットなので、参加しているミュージシャンを調べてみると、David Paich(Key)、Richard Tee(key)、Ray Parker Jr.(g)、David T Walker(g)、Chuck Rainey(b)、James Gadson(ds)、Bernard Purdie(ds)等という贅沢なメンバーが揃っているようです。

『CHERYL LYNN / CHERYL LYNN』
01. GOT TO BE REAL
02. ALL MY LOVIN'
03. STAR LOVE
04. COME IN FROM THE RAIN
05. YOU SAVED MY DAY
06. GIVE MY LOVE TO YOU
07. NOTHING YOU SAY
08. YOU'RE THE ONE
09. DAYBREAK (STORYBOOK CHILDREN)

シェリル・リン、デヴィッド・ペイチ、デヴィッド・フォスターとの共作によるデビュー・シングル曲で大ヒットした01。心地良いミディアム・テンポのグルーヴがたまらないナンバーで、ディスコ系ナンバー特有の単調のアレンジになっていないのは、デヴィッド・ペイチのアレンジの手腕のおかげでしょうね。シェリル・リンのパワフルなヴォーカルが上手く活かされていますね。

FUNKYなリズム・アレンジが印象的なミディアム・ナンバー02は、シェリル・リンのオリジナル・ソングです。ホーン・セクションを巧みに使い、キレの良いリズムが格好良く仕上がっており、その演奏に乗せてシェリル・リンが存分にパワフルな歌を聴かせてくれます。

デヴィッド・ペイチならではの重厚なシンセをバックにしっとりと歌うシェリル・リンのヴォーカルで始まる03。バラード曲かと思いきや、一転してディスコ調のダンサブルなビートの曲へと変わります。とにかく凄い歌唱力の一言です。

キャロル・ベイヤー・セイガーとメリサ・マンチェスターの共作による04は、ゆったりとしたレゲエ調のアレンジが、南国の雰囲気を醸し出しています。聴いていて不思議と落ち着くと言うか、何とも言えぬ心地良さに包まれるナンバーですね。

おそらくレイ・パーカー.Jrであろう軽快なギター・カッティングとFUNKYなリズムによるダンサブルなナンバー05。まさにシェリル・リンが縦横無尽に歌いまくっているという印象ですね。音域・声量も恐ろしいくらいのポテンシャルの高さを持っています。

シェリル・リンとレイ・パーカー.Jrとの共作ナンバー06。軽めのリズムながらもしっかりグルーヴしているのは、やはり名うてのミュージシャン達のおかげでしょうね。こういう軽めなFUNKY なナンバーは、いかにもレイ・パーカー.Jrが書いた曲という感じがします。

分厚いシンセ・ベースの音とR&B色の強いサウンドのミディアム・ナンバー07。リチャード・ティーのピアノ、オルガンがSTUFFのサウンドを彷彿させ、いかにもニューヨーク・サウンドといった仕上がりになっています。演奏の渋さが光る1曲ですね。シェリル・リンのオリジナル曲です。

ドラマティックなバラード・ナンバー08。アップ、ミディアム・テンポの曲に比べると、やはり表現力が大事なバラード曲では多少荒削りな感じは否めませんが、それでもやはり上手いですね。スケールの大きいアレンジが魅力で、おそらくマーティ・ペイチのアレンジであろうストリングスの美しさが際立っているナンバーです。

01と同じシンガーが歌っているとは思えない繊細なバラード・ナンバー09。そのメロディーの美しさにうっとりとしてしまいます。08と同様、荒削りなところはありますが、逆にこの曲では良い味になっている気がします。素晴らしいバラード曲だと思いますね。

私自身、洋楽については然程詳しくないのですが、調べてみるとシェリル・リンは「GOT TO BE REAL」以降、目だったヒットは無いようですね。これだけの歌唱力を持っていても、やはり時代との相性、タイミング、そして優れた楽曲に巡り合わなければヒットが生まれないというのは、まさに音楽業界の厳しい所であり、難しい所なんでしょうね。特にアメリカみたいな大国になれば、歌の上手い人ならその辺にゴロゴロしていて、一攫千金を夢見ている人も大勢いるんでしょうから・・・。
TOTOが好きな方なら、TOTOの1stアルバム『TOTO (邦題:宇宙の騎士)』に収録されていた「GEORGY PORGY」でシェリル・リンのヴォーカルはお馴染みだと思います。そんな彼女が思う存分歌ったという感じのこの『CHERYL LYNN』。ペイチ親子のプロデュース・ワークが見事な1枚です。
ペイチ親子の手掛けたディスコ・サウンド・・・、興味のある方はぜひ聴いてみて下さい。そのパワフルな歌声に圧倒されますよ。
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NICK DeCARO_ITALIAN GRAFFITI ◇ 2008年 03月 31日
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今回紹介するのは、「AORはこのアルバムから始まった」とも言われる名盤で、アレンジャーとしても大活躍していたニック・デカロが1974年にリリースしたアルバム『ITALIAN GRAFFITI』です。AOR関連の音楽が好きな人にとっては、お馴染みのアルバムでしょう。もはや定番・名盤と呼ばれるアルバムを紹介するというのは、何を今更っていう気持ちもありますして、レビュー記事を書くのを躊躇してしまいます。
それで今までニック・デカロのレビュー記事は、このアルバムを避けて、『LOVE STORM』(1990年)と『In Loving Memory of NICK DeCARO』(1992年)の2枚を紹介してきましたが、良い作品(アルバム)を紹介するというのが私のブログのポリシーでして、やはり紹介しない訳にはいかないと思い、重い腰を上げて今回記事を書いてみることにしました(笑)

名匠トミー・リピューマとはハイ・スクール時代からの友人で、一緒にコーラス・グループを結成していたこともあるらしいです。
リピューマがリバティ・レコードに入社した時、誘われてデカロもリバティ・レコードに入社、リピューマがA&Mに移った際にデカロも独立して、アレンジャー/プロデューサーとしての活動を始めたという経緯があるようです。1969年にはイージーリスニング調の初のリーダー作をリリースしています。ぜひともこのアルバムも聴いてみたいのですが・・・。
リピューマのプロデュース作品には必ずと言って良いほど、デカロはアレンジで参加してました。まさにリピューマの片腕とも言える存在でしたね。もちろん本作もトミー・リピューマのプロデュース(正確にはデカロとの共同プロデュースですが)です。

『NICK DeCARO / ITALIAN GRAFFITI』
01. Under the Jamaican Moon (邦題:ジャマイカの月の下で)
02. Happier Than the Morning Sun (邦題:輝く太陽)
03. Tea for Two (邦題:二人でお茶を)
04. All I Want
05. Wailling Wall
06. Angie Girl
07. Getting Mighty Crowded
08. While the City Sleeps (邦題:町はねむっているのに)
09. Canned Music
10. Tapestry

職人デヴィッド・T・ウォーカーのメロウなギター・ワークがたまらない01。スティーヴン・ビショップとリア・カンケルの共作ナンバーです。何とも都会的で、デカロのアレンジによる美しいストリングスが印象的です。個人的にはデヴィッド・T・ウォーカーのギター・ソロ、これで悩殺されました(笑)

スティーヴィー・ワンダーの1972年リリースのアルバム『Music of My Mind (邦題:心の詩)』に収録されていたナンバーのカヴァー02。優しいメロディーとデカロの決して上手くは無いのですが、味のあるヴォーカルがよくマッチしている曲だと思います。パド・シャンクのフルート・ソロとコーラス・ワークの美しさは格別ですね。

アメリカの古い名曲を現代に紹介しようと選曲されたというスタンダード・ナンバー03。聴けば多くの人が知っているであろう名曲ですが、とにかく素晴らしいの一言の仕上がりになっています。まさに大人の為の1曲と言っても過言ではありません。JAZZYで、お洒落なナンバーです。これを聴きながら飲むお酒は格別美味いですよ(笑)

ジョニ・ミッチェルの1971年のアルバム『Blue』に収録されていたナンバーのカヴァー04。軽快で楽しげに歌うデカロが印象的です。アーサー・アダムスの何とも言えぬ味わいのあるギター・ソロにも注目です。

トッド・ラングレンの1971年のアルバム『Runt - The Ballad Of Todd Rundgren』に収録されていた曲のカヴァー05。天才トッド・ラングレンらしいメロディアスなバラード曲で、静かで落ち着きのあるアレンジが心地良いです。

スティーヴィー・ワンダーの1969年リリースのアルバム『My Cherie Amour』に収録されていたナンバーのカヴァー06。デカロ自身が大のお気に入りだという1曲。確かに60'sの香り漂うナンバーで、ストリングスを主体としたサウンド作りも'60's風、聴いていてほのぼのとした気分にさせてくれる1曲。

ヴァン・マッコイの作品で、1965年にR&Bシンガー、ベティ・エヴェレットのヒット・ナンバーのカヴァー07。ヴァン・マッコイらしいソウルフルでありながらもキャッチーなメロディーで、アルバムの中で1番アップ・テンポの曲なんですが、個人的にはかなり気に入っているナンバーです。

ランディ・ニューマンがアーティスト・デビューする以前に書いた曲だという08。名曲ですね。最初にこのアルバムを聴いた時、最も印象深勝った曲がこの曲でした。私にとってはデカロの代名詞的な曲になっています。

ダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスが1972年にリリースしたアルバム『STRIKING IT RICH』に収録されていたナンバーのカヴァー09。ブルージーな曲なんですが、デカロが歌うと重くならずに心地良さが前にくるといった感じになりますね。アーサー・アダムスのギターが光ってます。

ジェニファー・ウォーンズというシンガーの為に書かれた曲だという10。今の時代ではあまり聴けなくなったポップス・ソングといった感じの曲です。70'sの音楽に親しんできた私としては、メロディー・アレンジ共に懐かしく感じます。地味ですが良い曲です。

いつの時代も変わらないと思いますが、音楽を取り巻く環境の真ん中にいるのは常に10代、20代の若者達でしょう。
70年代においても状況は同じでした。そんな中においてこのアルバムは、30代以上の大人が楽しめるアルバムを作りたい、古いナンバーの中にも素晴らしい曲が沢山あるということを、若い世代に伝えていきたいという強い意志を感じるのです。
ロックに夢中になっている若者達が、たとえ今聴いてもピンと来なくても、大人になった時に聴いてもらえたらそれで良いみたいな暖かさが滲み出ている、そんなアルバムです。こういうアルバムが後世に聴き継がれていくと嬉しいですね。
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今回紹介するのは、盟友ロジャー・ニコルズと組んでポップス史上に数々の名曲を残してきたシンガー・ソング・ライター、ポール・ウィリアムスが1971年に発表した通算2作目、A&M第一弾となるアルバム『JUST AN OLD FASHIONED LOVE SONG』です。

1959年生れの私は、このアルバムがリリースされた頃は中学校へ入学した頃で、初めて英語を学び、ラジオも聴き始め、ビートルズに出会ったのもこの頃でした。それまで遠い存在だった洋楽が身近に感じ始めた頃で、試験勉強の時に聴いていたラジオから流れてくる洋楽の数々に新鮮な感動を味わっていました。
ポール・ウィリアムスのこのアルバムを聴くと、1970年代初頭の古き良き時代のポップスを思い出させてくれ、ノスタルジックな気分にさせてくれます。

歌手、ソングライター、俳優として活躍していたポール・ウィリアムスですが、決して容姿が良い訳では無いですし歌だって上手いとは言い難いのですが、逆にそれが素朴で味わい深いものになっていて、聴いていると不思議と心が和むんですよね。
彼が脚光を浴びるようになったのは、やはり盟友ロジャー・ニコルズとコンビを組んでヒット曲を量産したことでしょうね。モンキーズの「サムデイ・マン」、カーペンターズの「雨の日と月曜日は」や「愛のプレリュード」等数多い名曲を残してきたのは周知の通りです。
そんなポール・ウィリアムスが、ロジャー・ニコルズのプロデュースで1stアルバム『サムデイ・マン』を1970年にリリースしますが、あまり注目されなかったようですね。
A&Mに移籍してリリースされたのが本作です。プロデュースは、パブロ・クルーズ等のプロデュースを手掛けていたマイケル・ジェームス・ジャクソン。アルバム収録曲全11曲中、ロジャー・ニコルズとの共作が3曲、ポール・ウィリアムスの作詞・作曲作品が7曲、グラハム・ナッシュのカヴァー曲が1曲という構成になっています。参加ミュージシャンは、クレイグ・ダーギ(key)、ラス・カンケル(ds)、リーランド・スクラー(b)、チャールズ・ラーキー(b)、デヴィッド・スピノザ(g)、トム・スコット(sax)等で最小限の編成によるシンプルなサウンドが特徴です。

『PAUL WILLIAMS / JUST AN OLD FASHIONED LOVE SONG』
01. WAKING UP ALONE (伝説の女)
02. I NEVER HAD IT SO GOOD (こんな恋ってはじめて)
03. WE'VE ONLY JUST BEGUN (愛のプレリュード)
04. THAT'S ENOUGH FOR ME (光りある道)
05. A PERFECT LOVE
06. AN OLD FASHIONED LOVE SONG
07. LET ME BE THE ONE (あなたの影になりたい)
08. SIMPLE MAN
09. WHEN I WAS ALL ALONE (ひとりぼっちだった時は)
10. MY LOVE AND I (愛と私)
11. GONE FOREVER

歌手・ポール・ウィリアムス唯一のヒット曲と言われている01。しっとりと始まり徐々に盛り上がっていくドラマティックなナンバーです。朴訥なヴォーカルが味わい深いナンバーです。

リタ・クーリッジ、バーバラ・ストライザンドも取り上げていた02。ロジャー・ニコルズとの共作ですね。美しい旋律のバラード曲です。こういうシンプルな演奏と朴訥なヴォーカルというのが'70年代のポップスというイメージが私の中には根強いんです。

カーペンターズが大ヒットさせたことでお馴染みの03。この曲もロジャー・ニコルズとの共作ナンバーです。元々は銀行のCMソングとして書かれた曲らしいですね。ここではアコースティック・ギターとピアノを軸にしたシンプルなサウンドをバックに淡々と歌い上げています。誰が歌おうが名曲は名曲、まさにそんなことを感じる1曲です。

アコースティックなサウンドを軸にしっとりと歌われる04。どことなく儚げで淋しい雰囲気が漂うナンバー。

フォーキーな味わいのある05。どこが良いと言われても難しいのですが、つい聴き入ってしまう、そんなタイプの曲ですね。深夜、物音のしない静かな部屋で聴きたくなります。

スリー・ドッグ・ナイトが'71年に大ヒットさせたことでお馴染みの06。ディキシーランド風なアレンジが陽気で楽しく、アルバムの中で最も明るいタッチのナンバーに仕上がっています。良い曲ですね。

ロジャー・ニコルズとの共作による07は、カーペンターズを始め多くのアーティストが取り上げている曲です。派手さはありませんが、サビのメロディーが印象的で良い曲ですね。

グラハム・ナッシュの'71年のソロ・アルバムに収録されていたナンバーのカヴァー08。実にポール・ウィリアムスの声やキャラクターにピッタリの選曲だと思います。しんみりとした美しいバラード曲です。

静かなバラード曲09。決して上手くは無いポール・ウィリアムスのヴォーカルですが、その存在感は凄いですね。アレンジの妙と言えるかも知れませんが、ヴォーカルが際立っているナンバーです。

アップ・テンポのナンバー10。リズムを強調したアレンジですが、緩急のある演奏がスケールの大きな曲にしている感じがします。バラード曲よりも溌剌とした伸びやかな歌声が印象的です。トム・スコットのサックス・ソロが渋いです。

セルジオ・メンデスも取り上げた11。静かで美しくメロディアスなバラード・ナンバーです。

ロックでも無く、R&Bでも無く、まさに'70年代のポップスという感じで、しかもほのかにウエスト・コーストの香り漂う名盤だと思います。今の時代に売れる音楽だとは思いませんが、私の音楽遍歴の中において決して忘れることの出来ないアメリカのポップスを感じさせてくれるアルバムで、これからも大事に聴いていきたい作品です。
'70年代~'80年代の音楽を、洋楽・邦楽問わずリアル・タイムで肌で感じ、聴いてこれたという事実は、私にとって大きな財産だと思っています。10代~20代という難しい年頃でありながら、親に反抗したり、不良になる暇も無いくらいに音楽に没頭していた時代でした。今一応まともな大人として生活出来ているのも、大袈裟かも知れませんがこの頃の音楽に出会ったお陰かも知れませんね(笑)
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THE DOOBIE BROTHERS_MINUTE BY MINUTE ◇ 2008年 02月 28日
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今回紹介するのは、AORの超名盤として知られるドゥービー・ブラザーズの9thアルバム『MINUTE BY MINUTE』(1978年)です。1970年代中盤にグループに参加したマイケル・マクドナルドの音楽性が開花し、グループの中心人物となった決定的な1枚と言えるでしょう。ご存知、名曲「What A Fool Believes」はグラミー賞を獲得、グループを代表する1枚になっています。洋楽好きな人には何を今更って感じのアルバムかも知れませんね。

私は洋楽に関しては詳しくないのですが、デビュー以来グループの中心人物で有能なソング・ライターでありヴォーカリストのトム・ジョンストンが病気とになって、その穴を埋めるべく活躍していたのがマイケル・マクドナルドやパット・シモンズ。そしてサウンド自体もウエスト・コースト・ロックから都会的でファンキーかつソウルフルなものへ変化していったようです。古くからのドゥービーのファンには、マイケル・マクドナルド色の強いサウンドに馴染めない人も多かったとか・・・。
私の場合は、トム・ジョンストンが中心だった1973年頃の「チャイナ・グローブ」も「ロング・トレイン・ランニング」にリアル・タイムで胸躍らせましたし、本作においてもその洒落たAORサウンドに鳥肌を立てていまして、結局良いモノは良いと納得してしまっています(笑)

『THE DOOBIE BROTHERS / MINUTE BY MINUTE』
01. Here To Love You
02. What A Fool Believes (ある愚か者の場合)
03. Minute By Minute
04. Dependin' On You
05. Don't Stop To Watch The Wheels (轍を見つめて)
06. Open Your Eyes
07. Sweet Feelin'
08. Steamer Lane Breakdown
09. You Never Change
10. How Do The Fools Survive?

マイケル・マクドナルドの躍動的なピアノによるリズム・リフとソウルフルな歌声が印象的な01。ツイン・ドラムの迫力を活かしたアルバムの冒頭としては最高の1曲ではないでしょうか。

今更詳しいレビューの必要の無い名曲02です。このリズム・パターンは本当に多くのアーティストが流用(悪く言えばパクリですが・・・汗)していましたね。日本でも当時、このパターンを使った曲が多かったですよね。それにしても「ある愚か者の場合」という邦題は如何なものか(笑)

続く03も名曲ですね。冒頭から3曲続けてマイケル・マクドナルド色が全開で、聴く者をぐいぐい惹き込みます。それにしてもポップでありながらFUNKYな曲を書かせると、マイケルは抜群なセンスを発揮しますね。

どことなく懐かしさを感じさせるソウルフルなナンバー04。この曲のリード・ヴォーカルはパット・シモンズです。パットも実に良い声していますね。ピアノのリズムと間奏でのギター・ソロ、美しいコーラス・ワークが格好良いですね。ニコレット・ラーセンがコーラスで参加しています。

ジェフ・バクスターのギター・リフが格好良いシャッフル・ビート・ナンバー05。こういうロック調の曲では、やはりパット・シモンズのヴォーカルが似合います。加えてトム・ジョンストンがゲスト・ヴォーカルとして参加しているというのも嬉しいですね。

マイケル・マクドナルドがリード・ヴォーカルを勤める06。ポップでキャッチーなナンバーです。この曲もマイケル節が炸裂した1曲ですね。

典型的とも思えるウエスト・コースト・サウンドが心地良い07。パット・シモンズとニコレット・ラーセンのデュエットも聴き所のひとつです。何故かホッとする1曲です(笑)

パット・シモンズの書いたインスト曲08。これがまたご機嫌なナンバーで、いわゆるブルーグラスなんですが、アコギではなくエレキを使っているところが面白いですね。パット・シモンズとジェフ・バクスターのギターが最高に格好良いです。

パット&マイケルのツイン・ヴォーカルが光る09。どこか都会的な感じがするので、マイケル・マクドナルドの書いた曲みたいですが、パット・シモンズが書いた曲です。聴き込むほどに魅力が増してくるそんな曲ではないでしょうか。

マイケル・マクドナルドとキャロル・ベイヤー・セイガーの共作によるポップ・ファンク・チューン10。圧巻は終盤のジェフ・バクスターのギター・ソロですね。まさに弾きまくっているという感じのソロ・プレイで、ブルージーな香りが漂い本当に格好良いの一言ですね。

このアルバムの凄いところは、昔のドゥービーを彷彿させる曲があったり、ポップなFUNKナンバーがあったり、ブルーグラスがあったりと起伏に富んでいるにも関わらず、アルバムとしてまとまっていて聴いていても浮き上がった感じのする曲が無いということなんですね。
これはプロデューサーであるテッド・テンプルマンの手腕と、マイケル・マクドナルドとパット・シモンズの二人の優れたソング・ライターの活躍が大きく影響していると思います。まさに捨て曲無しの名盤ですね。
AORが好きな人で、このアルバムを聴いていないという人は少ないとは思いますが、もし未聴の方がいらしたらぜひ聴いて下さい。いや聴くべきアルバムだと思います(笑)
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STEELY DAN_Gaucho ◇ 2008年 02月 21日
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今回紹介するのは、あの音楽史上の燦然と輝く1977年の名盤『Aja』から3年、まさに満を持してという感じでリリースされたスティーリー・ダンの『Gaucho』(1980年)です。前作『Aja』は大好きで本当に聴きまくったアルバムでしたが、このアルバムも負けずとも劣らない程好きな作品です。
個人的にはスタイリッシュという観点から言えば前作以上だと思っている位です。相変らず凝ったアレンジなのですが、変にゴチャゴチャしていないスッキリとしたサウンドで、よりメロディー・ラインを強調したようなアレンジが本当に素晴らしいと思います。
その一つの例としては、ドラムでしょうか。前作ではスティーヴ・ガッドの素晴らしいプレイにも代表されるように、ドラマーのテクニックを全面に出した感じでしたが、今回は"おかず"を極力抑えてリズム・キープ重視みたいな演奏が多くて、聴いていてシンプルかつスマートな印象を受けました。

『Aja』から3年もの日数を費やして作られた『Gaucho』ですが、色んな逸話があるみたいですね。
本作に収録されているのはたった7曲ですが、レコーディングされた曲は50~60曲にも及び、加えて1曲で数パターンのアレンジやミュージシャンを変えて録音していたという話や、高価なレコーディング・スタジオを1年間もの間、同じ時間帯で同じスタジオを貸切にしていたとか、当時としては破格とも言える1億円の制作費をかけたとか・・・。実に恐ろしい話ばかりですね(笑)
でも実際にアルバムを聴くと、こんな逸話でさえも「良いアルバムを作るのに金を惜しみなく使うの当たり前」と妙に納得させらてしまうほど、完璧とも言えるクオリティの高さに驚かされます。
前作同様、素晴らしいミュージシャン(いちいち書き写すのが大変なので省略させて下さい・・・笑)を集め、まさに適材適所といったミュージシャンの起用には、フェイゲン=ベッカーのセンスの良さを感じますね。

『STEELY DAN / Gaucho』
01. Babylon Sisters
02. Hey Nineteen
03. Glamour Profession
04. Gaucho
05. Time Out Of Mind
06. My Rival
07. Third World Man

イントロから聴く者を引き込む魅力を持った01は、まさにアルバムのトップを飾るに相応しい1曲ですね。とにかくバーナード・パーディのスロー・シャッフルのドラミングが素晴らしいですね。あのジェフ・ポーカロが彼のシャッフル・ビートをお手本にしたとか・・・。ドン・グロルニックのローズのプレイや地味なんですが堅実なチャック・レイニーのベース、絶妙なスティーヴ・カーンのギター・カッティング、そしてパティ・オースティン等のコーラス・ワーク等非の打ち所の無い演奏という感じがします。

全米10位を記録したアルバムからの1stシングル曲02。スティーリー・ダンにしては明るい感じのする曲ではないでしょうか。リック・マロッタのリズム・キープに徹したドラミング、ヒュー・マクラッケンの渋いギター・プレイが印象的です。ドナルド・フェイゲンのエレピ、シンセのプレイも良いですね。パーッカションでヴィクター・フェルドマンとスティーヴ・ガッドが参加しているというのも贅沢ですね。

浮遊感漂うイントロが何とも魅力的な03。スティーヴ・ガッドとアンソニー・ジャクソンのリズム隊による堅実なリズム、浮遊感を演出するドナルド・フェイゲンのエレピにシンセ、スティーヴ・カーンのギター・カッティングや彼らしいソロ、ロブ・マウンジーのJAZZYなピアノ・ソロ、トム・スコットとマイケル・ブレッカーの二人によるホーン・セクション(ホーン・アレンジはトム・スコット)等聴き所満載な1曲です。

トム・スコットのテナーが心地良く歌っているイントロが格好良いアルバム・タイトル曲04。ロブ・マウンジーのピアノも素晴らしく、ジェフ・ポーカロの絶妙なドラミングも格好良いのですが、ウォルター・ベッカーのベースのプレイ、ギター・ソロが素晴らしく、ベッカーのミュージシャンとしてのスキルの高さを感じさせる曲。

参加しているミュージシャンの顔触れだけでノック・アウト状態の2ndシングル曲05。リック・マロッタ(ds)、ロブ・マウンジー(p)、ヒュー・マクラッケン(g)、元ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーのギター・ソロ(おそらくお得意のフィンガー・ピッキングでしょうね)、ブレッカー・ブラザーズ(tp、sax)、ダヴィッド・サンボーン(sax)、ロニー・キューバー(sax)、マイケル・マクドナルド(cho)、パティ・オースティン(cho)、ヴァレリー・シンプソン(cho)という顔触れですよ。どう思います?(笑)

エスニックな香りが漂い、独特なゆるい感じがたまらないナンバー06。聴けば聴くほど味わい深い曲ではないでしょうか。スティーヴ・ガッドとアンソニー・ジャクソンのリズム隊をバックに、ドナルド・フェイゲンの渋いオルガン・プレイ、ハイラム・ブロックとあのリック・デリンジャーの二人によるギターのバッキング、スティーヴ・カーンならではのギター・ソロ・プレイが曲を盛り上げています。

とにかくラリー・カールトンのギターに尽きる07。ここでのラリー・カールトンのソロ・プレイは、彼の数多いプレイの中でも大好きなプレイのひとつです。スティーヴ・ガッド、チャック・レイニー、ジョー・サンプル、スティーヴ・カーン、ロブ・マウンジーといった凄いメンバーが揃っていますが、やはりラリー・カールトンのプレイの前ではちょっと影が薄い感じになってしまいますね。私の場合、ギターばかりに神経が集中してしまいフェイゲンの歌をほとんど聴いてません(笑)

とにかく素晴らしいという言葉しか思い浮かばないアルバムですね。
フェイゲン=ベッカーの書く聴く度ごとに魅力的に聴こえてくるメロディーやアレンジ、素晴らしいミュージシャン達の入魂の演奏、ロジャー・ニコルズを筆頭にビル・シュニー、エリオット・シャイナー等エンジニアによる最高の録音とミックス、総合的なまとめ役であるプロデューサーのゲイリー・カッツの手腕の全てが、このアルバムのクオリティの高さに直結しているのを感じます。
ロック好き、AOR好きな人、FUSION好きな人には何を今更って感じのアルバムでしょうが、もしまだ聴いたことの無い方がいらっしゃったら絶対に聴く事をお薦めします。これを聴かずにいるのは、音楽を愛する人にとっての大きな損失だと思いますよ(ちょっと大袈裟ですね・・・笑)
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