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カテゴリ:洋楽系( 134 )
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ブログを始めてから今までに900件近い記事をエントリーしてきましたが、この歳になってくると記憶力というのが衰えてきており、まだ紹介していないアルバムを既に紹介したものとばかり思い込んだり、逆に既に紹介したアルバムなのに記事を書き始めてから気付いたりということが間々有ります。これを世間一般では老い、またはボケたというのでしょうね(笑)
今回紹介するアルバムも、AORの名盤として誉の高い1枚でしたので、てっきり紹介済みだと思い込んでおり、最近このアーティストの別のアルバムを書こうとした時にまだ未紹介だったと気付いたというものです。
歳は取りたくないですね~。

さて、そのAORの名盤と誉の高いアルバムとは、ロビー・デュプリーが1980年にリリースした1stアルバム『ROBBIE DUPREE (邦題:ふたりだけの夜)』です。70年代に組んでいたバンドはロビー以外は黒人だったという話もあり、R&Bに傾倒していたというのを窺わせますし、実際ブルー・アイド・ソウルという呼び名に相応しいロビー・デュプリーのヴォーカルの魅力が詰った1枚になっています。

元クラッキンのピーター・バネッタとリック・チューダコフのコンビがプロデュース。メンバーは、ピーター・バネッタ(ds、per)、リック・チューダコフ(b)、ビル・エリオット(key)、ロバート・パーマー(g)、ミゲル リベラ(per)が中心で、ゲストとしてビル・ラバウンティ(key、cho)や元クラッキンのレスリー・スミス(per)等というAOR好きにはお馴染みのアーティストが参加しています。
ロビー・デュプリーのソング・ライターとしての非凡な才能や、ソウルフルなヴォーカルは勿論魅力なんですが、アレンジが洗練されていて何よりもコーラス・ワークが見事だなと思っている1枚です。

『ROBBIE DUPREE / ROBBIE DUPREE (邦題:ふたりだけの夜)』
01. Steal Away (ふたりだけの夜)
02. I'm No Stranger
03. Thin Line
04. It's A Feeling
05. Hot Rod Hearts
06. Nobody Else
07. We Both Tried
08. Love Is A Mystery (恋はミステリー)
09. Lonely Runner (孤独なランナー)

名曲01。全米チャート6位を記録した大ヒット曲で、ロビー・デュプリーと言えばこの曲という印象が強いですね。ドゥービー・ブラザーズの「What A Fool Believes」のリズムのパクリと言われていますが、当時このリズム・パターンは国内外問わずあちこちで使われてましたからね。それよりそのリズム・パターンを実に上手く使って良い曲に仕上げているなと感心してます。誰のアイディアなのかフェード・インで始まるというのもセンスの良さを感じます。

シャッフル・ビートが小気味良い02。何と言ってもピーター・バネッタのドラミングが良いですね。そしてジェリー・ピーターソンのサックスもAORな雰囲気を一層盛り上げています。リズム隊の活躍があってこそのナンバーと言えるでしょう。

ソウルフルなロビー・デュプリーのヴォーカルと、コーラス・ワークが光るセンチメンタルなバラード曲03。メロディアスなギター・ソロも良いですね。

ギターのリフやカッティングを上手く使ったミディアム・バラード曲04。ロビー・デュプリーはヴォーカルのみならず、味のあるハーモニカも披露しています。この曲もコーラス・ワークが素晴らしいです。

ビル・ラバウンティの作品05。個人的に大好きな1曲です。軽快でキャッチーなメロディーで、ウエスト・コースト・サウンドに包まれたまさにAORなナンバーです。コーラス・ワークもどこかビーチ・ボーイズ風な感じですし、ギター・ソロもフレーズ重視といった感じで聴いていて心地良くなれる1曲です。

季節でいうなら初夏が1番似合いそうな爽やかなナンバー06。ドライヴィング・ミュージックとして最適な1曲だと思います。気持ち良さそうに歌うロビーのヴォーカル、美しいコーラス・ワーク、軽快なリズム・アレンジ等魅力が一杯のナンバーだと思います。

ビル・チャンプリンが1978年にリリースした『SINGLES (邦題:独身貴族)』に収録されていた名バラードのカヴァー07。デヴィッド・フォスターとビル・チャンプリンの共作曲です。ビルの歌も良かったですが、ロビーのヴォーカルもなかなかです。03とこの曲のアレンジを担当しているのが、ビル・エリオットなんですが本当に渋いアレンジだと思います。特にコーラスのアレンジは見事ですね。

軽やかなアレンジが光るナンバー08。サビのメロディーが印象的なナンバーです。ロビーの優しげなヴォーカルが曲調によく似合っています。

ブルージーなギター・プレイが都会的で、お洒落なAORナンバーに仕上がっているミディアム・チューン09。アルバムを通して言えることなんですが、実にコーラスの使い方が上手いですね。男性陣のみのコーラスなんですが、くどさが無く爽やかで美しいんですよね。

AORが好きな人にしてみれば何を今更って感じのアルバムなんですが、やはり1stアルバムでこれだけ完成度が高く、全曲ハズレ無しといった素晴らしいアルバムを紹介しない訳にはいきません(笑)
このアルバムの完成度の高さというのは、ピーター・バネッタとリック・チューダコフのプロデュースの手腕、ロビー・デュプリーのソング・ライティングの才能やソウルフルな歌声、バックを支えるミュージシャンの技術の全てが上手く噛み合ったからこそ出来たものだと思います。
しかし、私は決してそれだけでなく77年頃~82、83年頃までの5~6年の間に存在した(と私が勝手に思っているのですが・・・)時代という不思議なパワーがそこに加わっていたように感じるんです。言い換えればタイミングなのかも知れませんが、何故か時代のパワーを感じてしまう1枚です。
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今回紹介するのは、カイリー・ミノーグが1988年にリリースしたデビュー・アルバム『KYLIE (邦題:ラッキー・ラブ)』です。最近、洋楽の紹介が増えてますね・・・。私のブログでは珍しいことなんですが、1週間程前だったかTVの音楽番組でカイリー・ミノーグが出演してまして、あの「I SHOULD BE SO LUCKY (ラッキー・ラブ)」を歌っているのを見て懐かしくなり、CD棚から引っ張り出して聴いていたもので、折角なら紹介してみようと思った訳です(笑)

TVで見たカイリーは、さすがに今年で40歳とのことで老けてましたね。と言っても洋楽に疎い私はこの1枚以外は聴いたことがありませんし、彼女がどんな経歴かもよく知りません。ただ、「I SHOULD BE SO LUCKY (ラッキー・ラブ)」は、日本がバブル景気の最中に流行った曲で、当時は嫌というほど耳にした曲でした。ですから私にはバブル景気とこの曲が密接に結びついているんですよね。そして、やはりバブル絶頂期に大人気だったWINKも、このアルバムに収録されていた「TURN IT INTO LOVE (愛が止まらない)」をカヴァーして大ヒットさせたのも強い印象として頭に残っています(笑)

カイリーは、オーストラリア生まれで、11歳の頃から女優として活躍していたようです。14歳の時に人気TVドラマ『ネイバーズ』のシャーリーン役で人気爆発し、19歳の時に、オーストラリアのインディーレーベルから”ロコモーション”のカヴァーでデビュー。これが大ヒットしたのだそうです。ドラマ『ネイバーズ』はイギリスでも放映され大ヒット。イギリスでの知名度が上がり、当時勢いのあったイギリスのプロデューサー・チーム"ストック・エイトケン・ウォーターマン"の目にとまり、1988年に「I SHOULD BE SO LUCKY (ラッキー・ラブ)」でデビューという経歴のようですね。このアルバムは、シングル曲が6曲も含まれていることもあり700万枚ものセールスを記録したとか・・・。ストック・エイトケン・ウォーターマンらしい軽快でキャッチーでナンバーが揃っていて聴きやすいですね。私の年代よりも30歳代の人の方が思い入れが強いかも知れませんね。

『KYLIE MINOGUE / KYLIE (邦題:ラッキー・ラブ)』
01. I SHOULD BE SO LUCKY (ラッキー・ラブ)
02. THE LOCO-MOTION
03. JE NE SAIS PAS POURQUOI (涙色の雨)
04. IT'S NO SECRET (ノー・シークレット)
05. GOT TO BE CERTAIN (恋は急がず)
06. TURN IT INTO LOVE (愛が止まらない)
07. I MISS YOU (元気にアイ・ミス・ユー)
08. I'LL STILL BE LOVING YOU
09. LOOK MY WAY
10. LOVE AT FIRST SIGHT

今回は全曲でなく、数曲だけピック・アップしてレビューします。(完全に手抜きです・・・笑)

お馴染みのナンバー01。これほど耳に残る曲というのも珍しいかも知れませんね。バブル全盛期に、この曲に合わせてディスコのお立ち台で踊っていたお姉さん達もあれから20年経って、どんな風に変わっているんでしょう?(笑)

アルバム唯一のカヴァー曲02。沢山のカヴァーが存在する曲ですが、私の1番好きなカヴァーはやはりグランド・ファンクです。カイリー・バージョンのディスコ・ビートに乗せ、軽快に仕上がっています。当時のディスコ・ブームなら頷けます。

ポップ色の強い04。割と好きな曲のひとつです。打ち込みのリズムは他と同様ですが、ギターのカッティングを全面に出し、ポップ色を強めた感じのアレンジが良い感じですね。

WINKでもお馴染みの06。これは確かにメロディーが魅力的ですね。ストック・エイトケン・ウォーターマンの本領発揮といった感のある1曲です。それにしてもWINKにこの曲をカヴァーさせた制作スタッフのセンスはたいしたものですね。WINKの歌も聴き直してみましたが、俄然WINKの方がこの曲は似合ってる気がします。名曲と言える曲だと思っています。

跳ねた感じのリズム・アレンジが心地良いポップ・チューン07。不思議なんですが、こういう曲調でのカイリーのヴォーカルは実に魅力的に聴こえるんですよね。

振り返ってみると、80年代というのは面白い時代でしたね。もちろん音楽においてもです。本当に色んな音楽形態が登場した10年間だったように思います。私の好みで言えば、やはりAORやCITY POP関連の音楽が好きなので80年代半ば頃までの音楽が1番魅力的でしたが、カイリー・ミノーグやWINKの音楽もバブル景気時代の思い出とリンクしていて、たまに聴くと楽しいですね。
また別の機会に、今度はWINKでも紹介してみようかとも思い始めてます(笑)
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RANDY GOODRUM_FOOL'S PARADISE ◇ 2008年 01月 26日
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今回紹介するのは、1970年代にソング・ライターとして頭角を表したランディ・グッドラムが満を持してという感じで1982年に放ったソロ・デビュー・アルバム『FOOL'S PARADISE』です。AOR好きな人には、ソロ・アーティストとしてよりもソング・ライターとしてお馴染みかも知れませんね。そういう私も彼のソロ・アルバムを聴いたのは最近になってからのことなんです。ただソング・ライターとしては、マイケル・ジョンソン、アン・マレー、マイケル・マクドナルド、スティーブ・ペリー、ジョージ・ベンソンへの楽曲を提供していましたし、マイケル・マッサーとかデヴィッド・フォスターといった大物作曲家・プロデューサーから請われてコラボしたりしていたので、その名前は当然知っていましたし、注目していた一人でした。

ランディ・グッドラムは、日本のアーティストとも結構関わりがあって、松田 聖子の1988年のアルバム『Citron』(デヴィッド・フォスターのプロデュース)や1985年のオフコースのアルバム『Back Streets of Tokyo』でも彼の名前を見つけることが出来ますし、先日紹介した小田 和正のカヴァー・ソング集『Love Story ; Kazumasa Oda Songbook』では素晴らしい歌声も聴かせてくれました。

さて、本題に入ります。『FOOL'S PARADISE』は、プロデュースはスティーリー・ダンのエンジニアとして有名なエリオット・シャイナーとランディの共同名義です。参加しているミュージシャンは、私の所有している1991年リリースのCDにはクレジットが無いのですがライナーによると、ジェフ・ポーカロ(ds)、ニール・ジェイスン(b)、スティーヴ・カーン(g)等が参加しているようです。ソング・ライティングの才能は既に証明されていましたが、シンガーとして素晴らしい歌声を聴かせてくれています。デビュー・アルバムにも関わらず、力みが無く優しく知的な歌声は確かにランディの魅力と言えるかも知れません。

『RANDY GOODRUM / FOOL'S PARADISE』
01. WE'RE SO CLOSE
02. ONE MORE FOOL
03. SAVIN' IT UP
04. WIN BACK YOUR HEART
05. DUES
06. ONE STEP AHEAD OF THE BAD NEWS
07. SECOND CHANCE AT LOVE
08. FOOL'S PARADISE
09. TIME TO SAY I'M SORRY
10. HELLBENT FOR MEXICO

イントロのエレピの音からAOR色全開で、あのビル・ラバウンティの名曲「LIVIN' IT UP」を彷彿させる渋いナンバー01。この曲を共作しているベッキー・フォスターがビル・ラバウンティの奥さんだというのも何かの因縁でしょうか(笑)

ボビー・コールドウェル風な作品02。優しく伸び伸びと、しかもスウィング感のあるヴォーカルが何とも言えず心地良いです。女性コーラスを上手く使っていて、とても軽快でJAZZYな味わいのあるAORナンバーに仕上がってます。

美しいストリングスとコーラス、メロディー・ラインを持ったバラード・ナンバー03。美しい中にも明るい雰囲気を持ったサウンドやメロディーが、ランディの歌声とよくマッチしています。ランディのソング・ライターとしての才能を感じさせる1曲ですね。

電話での会話をテーマにした04。洒落た場面設定の歌詞が印象的です。ジェフ・ポーカロ(おそらくですが)のドラミングが見事です。

冴えないBARで弾き語りをしているミュージシャンの姿や野望を歌った05。冴えない現状といつかスポット・ライトを浴びてやるという野望とが、ランディのヴォーカルから感じ取れるほど表現力が豊かなヴォーカルが魅力です。

サイレンのようなSE(シンセ)が印象的な、軽快で渋いAORナンバー06。ポーカロらしいドラミングと、スティーヴ・カーンらしいトーンのギター・ソロが素晴らしいの一言です。

メアリー・マクレガーとのデュエット・ナンバー07。イントロのリフから期待させてくれます。ストリングスの美しさが際立っていて、ランディとメアリーの優しい歌声に癒されるようなバラード・ナンバーです。

アルバム・タイトル曲08。メリハリの効いたアレンジが素晴らしい1曲。サウンドとは裏腹にあくまでランディのヴォーカルは優しくマイルドなのが良いですね。

甘いバラード・ナンバー09。まさにバラードの王道といった感じの仕上がりになっています。アルバム収録曲の中で最もランディの声にフィットしているのが、この09という気がします。ベタな感じはしますが、良い曲には違いありません。

ラスト・ナンバー10。ライナーにも書かれてましたが、本来なら09で終わる方がスマートな感じがするのですが、あえて最後にちょっとFUNKYなナンバーを持ってきているのも洒落ています。

ソング・ライターとしての実績は十分なので、あえてアーティスト、ヴォーカリストとしてのランディ・グッドラムの魅力を表面に出したといった感のある本作ですが、結果的にそれが大成功だったと思います。とにかくランディのヴォーカルの心地良さは格別で、聴くほどに味わい深さをましていくような作品に仕上がっています。名曲03のように、他のアーティストにカヴァーされている曲を中心に楽曲の良さも光っていますし、AORアルバムとしてかなりの傑作だと思います。落ち着いた雰囲気で音楽を楽しみたいという大人のリスナーにはお薦めの1枚です。
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PETER ALLEN_BI-COASTAL ◇ 2008年 01月 20日
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今回紹介するのは、オーストラリア生れの素晴らしいポップス・シンガー兼ソング・ライターであるピーター・アレンが、AORブームの真っ只中の1980年にリリースした『BI-COASTAL』です。
AORファンには既にお馴染みかも知れませんが、あのデヴィッド・フォスターのプロデュースによって制作されたAORの王道を行く傑作アルバムです。元々ピーターはAOR系のシンガーでは無いと思うのですが、当時のAOR旋風吹き荒れる時代背景もあり、AORの中心的存在のデヴィッド・フォスターにプロデュースを依頼したというのも自然の流れだったのかも知れません。そして、優れたシンガー・ソング・ライターであるピーター・アレンと天才肌のアレンジャー、プロデューサーであるデヴィッド・フォスターが手を組んだのですから、出来上がったアルバムが悪い訳がありません。

デヴィッド・フォスターがプロデュースとなれば、おのずとエアプレイ、TOTO関連を中心とした素晴らしいミュージシャンが集まってきます。一応紹介しておきますと、Drumsにはエド・グリーン、ラルフ・ハンフリー、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ヴェガ、Bassにはマイク・ポーカロ、デイヴ・マクダニエル、Guitarにはスティーヴ・ルカサー、ジェイ・グレイドン、デヴィッド・ウイリアムス、リッチー・ジトー、Keyboardsにはデヴィッド・フォスター、トム・キーン、ピーター・アレン、Background Vocalsにはペイジズといった具合です。まだまだ有名ミュージシャンが参加していますが割愛します(笑)

『PETER ALLEN / BI-COASTAL』
01. ONE STEP OVER THE BORDERLINE
02. FLY AWAY
03. BI-COASTAL
04. I DON'T GO SHOPPING
05. HIT IN THE HEART
06. I COULD REALLY SHOW YOU AROUND
07. SOMEBODY'S ANGEL
08. SIMON
09. PASS THIS TIME
10. WHEN THIS LOVE AFFAIR IS OVER

エアプレイっぽいサウンドを彷彿させる01。ピーター・アレン、トム・キーン、デヴィッド・フォスターの共作です。トム・キーンの力強いピアノと美しすぎるペイジズのコーラス・ワークが特徴で、まさにAORなナンバー。

元々は、竹内 まりやの1980年リリースのアルバム『LOVE SONGS』の為にピーター・アレンとキャロル・ベイヤー・セイガーの二人が書き下ろした曲なんですが、ここではデヴィッド・フォスターが手を加えており、竹内 まりやヴァージョンとはサビの部分以外はかなり変わっています。
よりAOR色が強くなってメロウな雰囲気に仕上がっています。聴き比べると面白いと思いますよ。

アルバム・タイトル曲03。個人的に大好きなナンバーです。01と同じピーター、トム、デヴィッドとの共作曲で、とにかく軽快でメロディアスなナンバーです。ジェリー・ヘイのホーン・アレンジが格好良いの一言ですし、ルークのギターのバッキング、マイク・ポーカロのベース・プレイやゲイリー・ハービックのサックス・ソロも鳥肌モノです。

ピーター・アレンとデヴィッド・ラズリーの共作によるバラード曲04。大人にぴったりなムード溢れるバラードで、ピーター自身の弾くピアノも美しいですし、ストリングスの使い方も実に見事な1曲です。ロン・プライスによるサックス・ソロにも注目です。この曲はディオンヌ・ワーウィックやラベルのサラ・ダッシュもカヴァーしているようです。

ロック色の強い05は、ピーター・アレンとデヴィッド・フォスターとの共作ナンバーです。こういうロック・ナンバーには欠かせないのがジェフ・ポーカロのドラムとルークのギターですね。タイトなジェフのドラミングは流石です。ペイジズのコーラスも本当に美しいですね。

重厚なサウンドが印象的なポップ・ロック・ナンバー06。これもお気に入りの1曲なんです。カルロス・ヴェガのヘヴィーなドラミングとリッチー・ジトーのギターのコンビネーションが最高に格好良いんです。デヴィッド・フォスターとジェリー・ヘイの二人によるストリングス・アレンジが素晴らしく、美しさではなく迫力のあるストリングスが味わえます。

04と同じピーター・アレンとデヴィッド・ラズリーの共作による極上のバラード曲07。美しいメロディー・ラインが印象的で、ピーター・アレンのローズとデヴィッド・フォスターのピアノの絡み合いが心地良いです。しかし、1番美しいのはペイジズのコーラスかも知れません。

ピーター・アレンが1968年に書いたというバラード曲08。当時の奥方、ライザ・ミネリに捧げた曲らしいです。ピーター・アレンのローズとデヴィッド・フォスターとトム・キーンによるシンセという3人のみで演奏されているのですが、曲に実によく合ったアレンジであまりの美しいメロディーと演奏にうっとりします。

ジェフ・ポーカロのハネたドラミングが印象的な軽快かつグルーヴィーなナンバー09。ピーター・アレン、キャロル・ベイヤー・セイガー、デヴィッド・フォスターの共作です。ルークとジェイ・グレイドンの2本のギターも贅沢ですが、ソロではジェイ・グレイドンならではのプレイを披露してくれます。演奏がとにかく格好良いですね。

10は最後に相応しいドラマティックで美しいバラード曲です。ピーター・アレンとデヴィッド・フォスターの共作。デヴィッド・フォスターらしいキーボード・ワークが冴えていますし、ホーン・セクションやストリングス、ペイジズのコーラスの美しさは勿論のこと、ルークのギター・ソロに至るまでまさに完璧なアレンジだと思わせるナンバーですね。この頃のフォスターはまさに神懸っているとしか思えません(笑)

やはりデヴィッド・フォスターの手腕に唸ってしまうアルバムなんですが、注目したいのが作曲やプレイヤーとしても良い仕事をしているトム・キーンでしょう。当時トムはまだ16歳くらいだったらしいですね。恐るべし16歳です。16歳でこれだけの曲が書けて、デヴィッド・フォスターと並んで仕事をしているというのが何とも凄いの一言です。
そしてもう一つ注目したいのがペイジズのコーラスです。私が今まで聴いてきたペイジズのコーラスの仕事の中では、このアルバムでの仕事が最高だと思います。大袈裟かも知れませんが、ペイジズのアルバムでもこれだけ美しいコーラス・ワークは滅多に聴けません。本当に素晴らしいコーラスです。
私が好きなCITY POPやAORというのは、楽曲の良さ、演奏(アレンジ)の良さ、歌の良さの三つのどれが欠けても成立しないと思っているのですが、この『BI-COASTAL』は3拍子が完璧なまでに揃ったアルバムと言えると思います。
AOR好きな人やデヴィッド・フォスター・フリークだったら絶対に聴いて欲しいアルバムです。
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THE SINGERS UNLIMITED_A CAPELLA ◇ 2008年 01月 10日
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今回紹介するのは、1967年にシカゴで結成されたコーラス・グループ"THE SINGERS UNLIMITED"が1974年にリリースした全篇ア・カペラによるアルバム『A CAPELLA』です。
THE SINGERS UNLIMITEDは、ジーン・ピュアリング、ドン・シェルトン、レン・ドレッスラー、ボニー・ハーマンの男性3名女性1名で構成されています。
以前、彼等が1972年にリリースしたア・カペラによるクリスマス・アルバム『Christmas』を紹介しましたが(過去記事はコチラ)、全篇ア・カペラのアルバムとしては2作目になるようです。

人間の声の魅力、可能性を感じることが出来るコーラスというのが結構好きなので、機会があれば色んなアルバムを聴きたいと思ってます。THE SINGERS UNLIMITEDは、クリスマスに似合うアルバムをCD店で探していて、たまたま『Christmas』を見つけたのが出会いでした。そのコーラスの美しさに感動して他のアルバムも聴きたいと思っていたんですが、機会がありませんでした。先日BOOK OFFで、この『A CAPELLA』が500円で売られているのを発見、速攻で購入した次第です(笑)
THE SINGERS UNLIMITEDの魅力は、美しさを徹底的に追求したコーラス・ワークです。4声に拘らず、多重録音を駆使したコーラスは素晴らしいの一言です。

『THE SINGERS UNLIMITED / A CAPELLA』
01. BOTH SIDES NOW (青春の光と影)
02. LONDON BY NIGHT (夜のロンドン)
03. HERE, THERE AND EVERYWHERE
04. LULLABY
05. MICHELL
06. THE FOOL ON THE HILL
07. EMILY
08. SINCE YOU ASKED
09. MORE I CAN NOT WISH YOU (もう望めない)
10. TRY TO REMEMBER

唯一の女性ヴォーカルであるボニー・ハーマンをフィーチャーした美しいコーラス・ワークが耳に心地良い01。ジョニ・ミッチェルの作詞・作曲の名曲ですね。TV-CM等で使われることの多い曲なので、知っている人も多いでしょう。

美しい旋律とハーモニーが印象的な02。実際に行った事が無いので何とも言えないのですが、ロンドンの夜景って美しいのだろうな想像が膨らむ、そんな1曲です。

ビートルズの1966年のアルバム『REVOLVER』に収録されていた名曲中の名曲03。ビートルズの数多い曲の中で最もコーラス向きの1曲ではないでしょうか。ここでも素晴らしいハーモニーを聴かせてくれます。

ジーン・ピュアリングのオリジナル曲04。歌詞はありませんが、優しく美しいメロディーが印象的な小作品。

05もビートルズの名曲ですね。1965年のアルバム『RUBBER SOUL』に収録されていますが、あの"イエスタデイ"と並んで人気、知名度の高いバラード曲です。オリジナルよりもかなりテンポを落としてのコーラス・ワークの美しさは絶品です。

続く06もビートルズ・ナンバーです。これも名曲ですね。考えてみれば、ビートルズというのは名曲しか残していないので当然ですかね(笑) 1967年の『MAGICAL MYSTERY TOUR』に収録されていました。多重録音によるコーラス・ワークは厚みがありますが、あくまでも美しさに拘ったアレンジが見事です。

「卑怯者の勲章」という映画のテーマだという07。オリジナルは知りませんが、アンディ・ウィリアムスが歌ってヒットしたそうです。作曲は「いそしぎ」でも知られるジョニー・マンデルです。

女性フォーク・シンガー、ジュディ・コリンズの作品08。ボニー・ハーマンのヴォーカルが光っている1曲です。

"息の合った"という言葉がありますが、それはまさにコーラスの為にあるような言葉かも知れませんね。そんな事を感じさせる息の合ったコーラスが魅力の09。

10も有名な曲です。タイトルだけではピンとこないかも知れませんが、馴染みのあるメロディーだと思います。ミュージカル「ファンタスティック」の中で唄われた曲で、作詞がトム・ジョーンズ、作曲がハーヴィ・シュミットです。

様々なコーラス・スタイルが存在するので一概には言えないと思うのですが、それでも私の中ではコーラスというのは美しいものであって欲しいと願っています。ましてや無伴奏によるコーラスにおいては、人間の声の魅力が最大限に活かされた美しいコーラス・ワークが大切だと思っています。そんな様々な魅力を聴かせてくれるのがTHE SINGERS UNLIMITEDです。夜寝床に入って、ヘッドフォンで聴けば心地良い眠りにつけること請け合いですよ(笑)
たまにはコーラスも良いものですから、ぜひ機会があったら聴いてみて下さい。
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THE BEATLES_THE BEATLES 1967~1970 ◇ 2007年 12月 20日
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いつもお世話になっているmartha1961さんのブログ"MUSIC BOX"の12月16日付けの記事で、ビートルズの通称『青盤』が紹介されていまして、その記事を読んで30年以上も前の思い出が蘇り、私も今回取り上げることにしました。
その思い出のアルバムが、ビートルズの1973年にリリースされた2枚組のベスト・アルバム『THE BEATLES 1967~1970』です。ビートルズ好きな人には、『青盤』として親しまれているアルバムです。このアルバムと同時にリリースされた『THE BEATLES 1962~1966』は、通称『赤盤』と呼ばれてました。

思い起こせば、私がビートルズに出会ったのが今から35年程前のこと。当時は中学生でした。すなわちこのベスト盤がリリースされた時代とほぼ同時期にビートルズを聴き始めたことになります。既にビートルズは解散していましたが、ソロ活動が活発になり始めた頃で、それこそ朝から晩まで"ビートルズ漬け"の毎日を過ごしていたんです。
ただ、中学生の少ないお小遣いですから、欲しいアルバムをすぐに手に入れるという訳にはいかず、お小遣いを貯めたり、お年玉でたまに買うのが精一杯でした。私は、ビートルズに関しては断然後期派(このアルバムに収録されている曲が、まさに後期です)でしたので、こつこつと後期のアルバムを揃えようと思っていた矢先、このアルバムがリリースされたんですよね。これには飛び付きました(笑)
ビートルズの後期のアルバムを全部揃えるまでは、本当に活躍してくれたアルバムでした。今では死語になってしまいましたが、まさしく"擦り切れる程聴いた"LPレコードだったんです。

『THE BEATLES / THE BEATLES 1967~1970』
Disc.1
01. Strawberry Fields Forever
02. Penny Lane
03. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
04. With A Little Help From My Friends
05. Lucy In The Sky With Diamonds
06. A Day In The Life
07. All You Need Is Love
08. I Am The Walrus
09. Hello, Goodbye
10. The Fool On The Hill
11. Magical Mystery Tour
12. Lady Madonna
13. Hey Jude
14. Revolution
Disc.2
01. Back In The USSR
02. While My Guitar Gently Weeps
03. Ob-La-Di, Ob-La-Da
04. Get Back
05. Don't Let Me Down
06. The Ballad Of John And Yoko
07. Old Brown Shoe
08. Here Comes The Sun
09. Come Together
10. Something
11. Octopus's Garden
12. Let It Be
13. Across The Universe
14. The Long And Winding Road

決して手抜きでは無く、ビートルズの曲をレビューするなんぞ恐れ多くて出来ません(笑)
正直な話、ビートルズの曲に関しては好き嫌いという次元を超えて聴いてしまうので、"この曲が好き"、"あの曲が嫌い"というのが全く無いのがビートルズなんです。
公式なサイトによると『赤盤』、『青盤』の選曲は、キャピトル・レコードがジョージに選曲を依頼したもので、『赤盤』26曲と『青盤』28曲の合計54曲が収録されており、公式曲213曲のほぼ4分の1にあたるそうです。
このアルバムを聴くと、ライブ活動を一切止めて、スタジオ・ワークに専念したからこそ成し得た高い音楽性を持った曲が多いことに驚かされます。これは、彼等4人の創作意欲が膨らんできた結果なんでしょうね。ライブでの再現性を考えず、自由奔放に音楽に取り組んだ結果、音楽史上に燦然と輝く数々の名曲を残すことになったのだと思います。4人の音楽性は、"前期"とは比べものにならないくらいに高くなってますね。特にジョージに関しては、その才能が開花したのが"後期"かも知れません。『赤盤』ではジョージの曲は1曲も入っていませんが、『青盤』では4曲入っており、しかも名曲ばかりですよね。
ただ、個人的にはジョージの作るインド音楽の影響の色濃い「Within You Without You」、「The Inner Light」みたいな曲も大好きなので、どちらか1曲は入れて欲しかったですけど・・・。
ビートルズのアルバムを聴いた後の感想はいつも同じです。「凄いグループだな~」とただそれだけです(笑)
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CELINE DION_THESE ARE SPECIAL TIMES ◇ 2007年 12月 03日
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今回紹介するのは、毎年12月に入ると必ず聴きたくなるし、実際によく聴くアルバムです。セリーヌ・ディオンが1998年にリリースしたクリスマス・アルバム『THESE ARE SPECIAL TIMES』です。今年の11月にLegacy Editionとしてリイシューされたようですね。
私の持っているのは、1998年盤の輸入盤です。セリーヌ・ディオンの歌の上手さに関して、今更言及するつもりはございません(笑)
とにかく素晴らしいクリスマス・アルバムです。伝統的なクリスマス・ソングとオリジナル曲がバランス良く収録されており、しっとりと聴かせる曲をデヴィッド・フォスターがプロデュースを受け持ち、テンポのある曲をリック・ウェイクが受け持っているのが特徴と言えます。他にもブライアン・アダムスやR.ケリーがプロデュースしている曲もあります。これだけでも十分に贅沢なアルバムなんですが、アンドレア・ボチェッリとR.ケリーとのデュエット曲もありますし、ミックスがウンベルト・ガティカというのですから、まさしく申し分の無いアルバムですね。

アルバムに収録されているのは16曲ですから、たっぷりとセリーヌの歌声を堪能できます。しかし、曲毎にレビューを書くには16曲はかなりしんどい訳で・・・。今回は、お馴染みのクリスマス・ソング、トラッドや定番曲となっているクリスマス・ソングに絞ってレビューさせてもらいます。はっきり言って手抜きです(笑)
タイトルが赤字になっている曲をレビューしますが、デヴィッド・フォスターのプロデュースが6曲、リック・ウェイクのプロデュースが3曲です。

『CELINE DION / THESE ARE SPECIAL TIMES』
01. O Holy Night
02. Don't Save It All For Christmas Day
03. Blue Christmas
04. Another Year Has Gone By
05. The Magic Of Christmas Day (God Bless Us Everyone)
06. Ave Maria
07. Adeste Fideles (O Come All Ye Faithful)
08. The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)
09. The Prayer
10. Brahms' Lullaby
11. Christmas Eve
12. These Are The Special Times
13. Happy Xmas (War Is Over)
14. I'm Your Angel
15. Feliz Navidad
16. Les Cloches Du Hameau

讃美歌第二編219番 「さやかに星はきらめき」として広く知られる01。デヴィッド・フォスターのピアノと美しいストリングスをバックに、セリーヌが歌い上げます。星を見上げながら聴きたいような澄んだ声に魅了されます。セリーヌらしい熱唱が聴ける曲でもあります。

1949年にラス・モーガンが、1957年にエルビス・プレスリーが取り上げて大ヒットした、もはやスタンダードと言っても不思議では無い名曲03。デヴッド・フォスターのJAZZYなアレンジが秀逸で、特にダイアナ・クラールのピアノは素晴らしいの一言です。大人のクリスマスです(笑)

これも多くの人に愛されているグノー作曲による06。この歌唱を聴けただけでも、このアルバムを買って良かったと思った曲です。デヴィッド・フォスターがセリーヌの歌唱が際立つように、アレンジを施しているのがよく解ります。心が洗われる歌というのは、こういう曲なんでしょうね。

讃美歌111番 「神の御子は今宵しも」として知られる07。あの山下 達郎もカヴァーしていた曲で、私自身も大好きな讃美歌のひとつです。パイプ・オルガンとオーケストレーション、そして合唱団も加わって、素晴らしい仕上がりになっています。

アメリカのジャズ界の巨匠メル・トーメが1944年に作曲したクリスマスソング08。名曲ですね。ナット・キング・コールが歌ってからは、もはやスタンダードとなった曲です。この曲もジャズ・カルテットの演奏を軸に、美しいストリングスが彩りを添え、セリーヌがしとやかに歌うという、実に美しい仕上がりです。デヴィッド・フォスター恐るべしです(笑)

10も「ブラームスの子守唄」と知られる名曲ですね。さすがに子守唄だけあって、あまりの心地良さに眠ってしまいそうになります。

ジョン・レノンの名曲のカヴァー13。ジョンらしいメッセージが込められたクリスマス・ソングで、もちろん私も大好きな1曲です。リック・ウェイクのプロデュース曲で、アレンジはリックと、AOR好きな人にはお馴染みのスティーヴ・キプナーの二人の手によるもの。打ち込みを使っていながらも柔らかなサウンドで、どこかゴスペルっぽく仕上げています。胸に沁みる1曲ですね。

ホセ・フェリシアーノの作ったクリスマス・ソングのカヴァー15。ラテン系の国ではお馴染みのクリスマス・ソングだそうです。この曲ではセリーヌの家族がコーラスで参加しており、ラテン調の明るい曲調を皆で楽しそうに歌っているのが印象的ですね。心が暖まるナンバーです。

10と同じブラームス作曲の16。この曲に関してはあまり詳しく知りませんが、フランス語で歌われています。15と同じくセリーヌと家族が一緒に歌っているアット・ホームな1曲です。

今回はオリジナル曲のレビューはしませんでしたが、オリジナル曲も魅力的なものばかりです。恋人や夫婦水入らずで過ごすクリスマスならデヴィッド・フォスターのプロデュース曲を、家族や仲間とワイワイ過ごすならリック・ウェイクのプロデュース曲をBGMに流すと良いかも知れません。数多いクリスマス・アルバムの中でも、素晴らしい内容で多くの人に自信を持ってお薦め出来る1枚です。これから聴いてみたいと思っている人は、リイシューされたLegacy Editionが良いかも知れません。
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久しぶりの洋楽ネタになります。今回紹介するのは、1979年5月にリリースされたアース・ウインド&ファイアーの絶頂期のアルバムで、彼らにとってもターニング・ポイントとなった作品として知られる名盤『I AM (邦題:黙示録)』です。リーダーのモーリス・ホワイトは、1978年に自らのレーベル"ARC"を立ち上げて、アース・ウインド&ファイアーはもちろんのこと、このアルバムにも参加しているエモーションズ等のアルバム制作に始めていました。
プロデューサーとしてのモーリス・ホワイトの制作活動のにおいて、新しいインスピレーションを得ようという意図があったのかも知れませんが、それまでブラックの本流と言われてきたアース・ウインド&ファイアーに、デヴィッド・フォスターという白人のサウンドを取り入れ、それまでにないユニークなアルバムとなったのが本作と言えるのではないでしょうか。

やはりこのアルバムのキーマンは、デヴィッド・フォスターでしょう。収録曲9曲中6曲のソング・ライティングに関わっていますし、もちろんプレイヤーとしても参加しています。アース・ウインド&ファイアーの本来持つブラック・コンテンポラリーな部分と、デヴィッド・フォスターの都会的で洒落たAORな部分が見事に融合したサウンドが、このアルバムの1番の魅力なんでしょうね。
デヴィッド・フォスター以外にも、スティーヴ・ルカサー(g)、スティーヴ・ポーカロ(synth.programming)、ジェリー・ヘイ(tp、horn arrangements)という白人ミュージシャンが参加しているのも興味深いですね。

『EARTH, WIND & FIRE / I AM (邦題:黙示録)』
01. IN THE STONE ~ Interlude (石の刻印~間奏曲)
02. CAN'T LET GO (旋風の使者)
03. AFTER THE LOVE IS GONE
04. LET YOUR FEELING SHOW (天空に捧ぐ)
05. BOOGIE WONDERLAND
06. STAR
07. WAIT
08. ROCK THAT!
09. YOU AND I

オープニングを飾るのに相応しいFUNKYなナンバー01。モーリス・ホワイト、デヴィッド・フォスター、アリー・ウィリスの共作ナンバーです。軽快なギター・カッティングにキレの良いホーン・セクションがとにかく格好良いですね。この曲のホーン・アレンジはジェリー・ヘイです。この辺りも従来のアースでは無いぞという印象を抱かせます。ストリングス・アレンジはデヴィッド・フォスターです。

間奏曲を挟んでのノリの良いPOP FUNKといった感じの02。モーリス・ホワイト、アリー・ウィリス、そしてアースの影の立役者だったとも言えるビル・マイヤーズの共作です。この曲ではアースではお馴染みのTOM TOM84のホーンとストリングスのアレンジを担当しています。

AORファンにもお馴染み名バラード曲03。デヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、ビル・チャップリンという白人チームの曲を取り上げたこと自体凄いことでしたね。曲自体もう何も言いません。10年に1度出るか出ないかの曲ではないでしょうか・・・。ドン・マイリックのサックス・ソロが渋いですね。

モーリス・ホワイト、デヴィッド・フォスター、アリー・ウィリスの共作ナンバー04。イントロのギター・カッティングだけで私なんぞノック・アウト状態です。こういうリズムはアース・ウインド&ファイアーならではですね。TOM TOM84のホーン、ストリングス・アレンジも良いですが、リズム・アレンジが最高に格好良いナンバーです。

大ヒット・シングル曲05。当時ディスコで、私もこの曲で踊ってました(笑)。12インチ・シングルは9分を越す大作でしたが、ここではショート・ヴァージョンが収録されています。この曲は、個人的に興味深い曲でしたね。まず、エモーションズという女性コーラスを採用していること。そしてこの曲を作曲したのがジョン・リンドだということです。あの伝説のグループ、"フィフス・アヴェニュー・バンド"のメンバーだった彼が、こんなご機嫌なFUNKYなナンバーを書いていたのには驚かされました。

キャッチーなメロディー、軽快なリズムが心地良いナンバー06。何と言ってもフィリップ・ベイリーの美しいファルセット・ヴォイスが印象的です。ラムリー・マイケル・デイヴィス(読み方あってるのか疑問ですが・・・汗)のトランペット・ソロも聴き所です。

モーリス・ホワイト、デヴィッド・フォスター、アリー・ウィリスの共作によるミディアム・バラード・ナンバー07。デヴィッド・フォスターの影響が色濃く出た曲かも知れませんね。モーリス・ホワイトは、デヴィッド・フォスターに対する信頼の度合いの高さの表れなのかも知れませんね。

モーリス・ホワイト、デヴィッド・フォスターの共作によるインスト・ナンバー08。この曲もデヴィッド・フォスターが中心に作られた曲という気がします。ロック色の強いギターは、おそらくスティーヴ・ルカサーだろう思います。ジェリー・ヘイのホーン・アレンジが光っています。

ほぼ08からメドレー形式で始まるミディアム・ナンバー09。モーリス・ホワイト、デヴィッド・フォスター、アリー・ウィリスの共作です。リズム・アレンジとTOM TOM84のホーン・アレンジとの絶妙のバランスが何とも洒落たサウンドを作り上げています。派手さはありませんが、個人的には結構好きな曲です。

名盤と呼ばれているアルバムに共通しているのは、どれもアルバム1枚があっと言う間に聴き終えてしまうことでしょうね。つまりアルバム1枚が短く感じるというような・・・。まさにこのアルバムもそんな1枚で、私の個人的見解ですが、やはり本作と前作『ALL'N ALL (太陽神)』辺りがアース・ウインド&ファイアーの絶頂期だったろうと思いますね。これ以降も「LET'S GROOVE」等のヒット曲はありましたが、アルバムの完成度としては今ひとつという気がします。
洋楽ファンで、このアルバムを聴いていない人は少ないかも知れませんが、もし未聴ならばぜひとも聴いて欲しいアルバムです。もちろんAORファンにもですが・・・。
自信を持ってお薦め出来る1枚です。
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QUINCY JONES_Q'S JOOK JOINT ◇ 2007年 11月 09日
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今回紹介するのは、アメリカを代表する偉大なプロデューサーであるクインシー・ジョーンズが1995年にリリースしたソロ・アルバム『Q'S JOOK JOINT』です。彼のソロ・アルバムは、この『Q'S JOOK JOINT』以降リリースされていません。つまり12年も新作がリリースされていない訳ですね。少し寂しい気もしますが、今年で74歳になるクインシー・ジョーンズ。『Q'S JOOK JOINT』のリリース時でも62歳だったんですよね。会社員であれば定年を迎え、悠悠自適な暮らしをしていても不思議ではない年齢ですから・・・。そういう観点でこのアルバムのジャケット写真を見ると、貫禄さえ感じるクインシーの記念撮影のようにも見えますし、CDを聴けば彼の多くの仲間や友人、秘蔵っ子達が集まって作られたアルバムで、まさにクインシーの集大成とも言える内容になっていて、彼の中では一区切りのアルバムだったのかも知れませんね。

とにかく参加しているアーティストの凄いのなんのって!レイ・チャールズ、スティーヴィー・ワンダー、ハービー・ハンコック、ヒューバート・ロウズ、ナンシー・ウィルソン、タミア、ブランディ、ブライアン・マックナイト、テイク6、フィル・コリンズ、グロリア・エステファン、パティ・オースティン、ナオミ・キャンベル、ロン・アイズレー、チャカ・カーン、ベビーフェイス、バリー・ホワイト等々・・・、書くのが面倒なのでこれ以上は書きません(笑)
プロデュースはもちろんクインシーですが、アソシエイト・プロデューサーにはロッド・テンパートンの名前が載っていますし、もちろんクインシー・サウンドの軸となる人物であるグレッグ・フィリンゲインズも参加しています。とにかく今の季節にもぴったりで超が付くお薦め盤です。

『QUINCY JONES / Q'S JOOK JOINT』
01. JOOK JOINT INTRO
02. LET THE GOOD TIMES ROLL
03. COOL JOE, MEAN JOE (KILLER JOE)
04. YOU PUT A MOVE ON MY HEART
05. ROCK WITH YOU
06. MOODY'S MOOD FOR LOVE
07. STOMP
08. JOOK JOINT REPRISE
09. DO NOTHIN' TILL YOU HEAR FROM ME
10. IS IT LOVE THAT WE'RE MISSIN'
11. HEAVEN'S GIRL
12. STUFF LIKE THAT
13. SLOW JAMS
14. AT THE END OF THE DAY (GRACE)
15. JOOK JOINT OUTRO

凄い顔触れが喋ってる(?)だけの01。印象的なのは、クシンシーの恩人とも言える俳優・マーロン・ブランドさえも参加していることでしょうか。

JAZZとロックン・ロールが融合したような02は、ヴォーカルにスティーヴィー・ワンダー、U2のボノ、レイ・チャールズに迎えたナンバー。グラント・ガイスマンのギター・ソロが格好良いです。

ジョン・ロビンソンの軽快なリズムとポール・ジャクソン.Jrのギター・カッティングが心地良い03。ハービー・ハンコックのキーボード・ソロ、ヒューバート・ロウズのフルートのソロも聴けます。トーン・ロック、クイーン・ラティファンのラップ、ナンシー・ウィルソンのヴォーカルがフィーチャーされています。

ロッド・テンパートンの書いたバラード曲04。確かこれがデビューとなったタミアが素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれます。

マイケル・ジャクソンの名曲のカヴァー05。クインシーの息子のQDⅢが共同プロデュースしており、プログラミングにも参加。フィーチャリング・ヴォーカルはブランディとヘヴィD。ワー・ワー・ワトソンとポール・ジャクソン.Jrのギターが最高に格好良くて、オリジナルよりも当然ヒップ・ホップ色が強いのですが、これがまた格好良いんですよね。

ジョージ・ベンソンが『GIVE ME THE NIGHT』でもカヴァーしていた名曲06。ブライアン・マックナイト、ラシェル・フェレル、テイク6、ジェームス・ムーディーがフィーチャーされており、素晴らしいヴォーカルとコーラスを披露してくれます。ジェームス・ムーディーのサックス・ソロはまさに絶品です。

ブラザーズ・ジョンソンの全米No.1になった名曲のカヴァー07。これがまた最高にノリの良いアレンジです。クーリオ、YO-YO、チャカ・カーン等をフィーチャーして、ラップを中心にしながらもチャカ・カーンが凄い喉を聴かせます。グレッグ・フィリンゲインズのシンセ・ベースやハービー・ハンコックのソロも聴ける贅沢な1曲。

インタールード的な08をはさみ、フィル・コリンズのヴォーカルをフィーチャーしたデューク・エリントンのナンバー09。これがまた渋いんですね。ジョシュア・レッドマンのサックス・ソロ、ジェリー・ヘイのトランペット・ソロを中心にホーン・セクションが素晴らしいナンバーです。

軽快なR&Bナンバー10。グロリア・エステファンとウォーレン・ウィービーのヴォーカルがフィーチャーされています。最初から最後まで、マイケル・トンプソンのギター・プレイが光るナンバーですね。

R・ケリーの作品11。メロウなナンバーで、R.ケリー、ロン・アイズレー、アーロン・ホール、チャーリー・ウィルソン、ナオミ・キャンベルがフィーチャーされています。ブランドン・フィールズのサックス・ソロも良いですよ。

セルフ・カヴァーとなる名曲12。チャーリー・ウィルソン、レイ・チャールズ、ブランディ、チャカ・カーン、アシュフォード&シンプソンがフィーチャーされています。打ち込みなんですが、チープな感じにならないのがクインシーの凄い所ですね。カーク・ウェイラムのサックス・ソロやゴスペル調なコーラス等聴き所満載です。

天才・ロッド・テンパートンの作品13。タイトル通りのスロー・バラードです。アレンジの渋さとベビーフェイス、SWVの美しいヴォーカルが光ります。終盤のバリー・ホワイトの低音の語りが印象的です、ホーン・セクションにトム・スコットが参加しています。何と贅沢な・・・(笑)

トゥーツ・シールマンスの美しすぎるハーモニカの音色とバリー・ホワイトの低音の囁きで始まる14。美しいバラード曲です。マーヴィン・ウォーレンがシンセ、シンセ・ベース、コーラスにと大活躍しています。しかし、やはり主役はトゥーツ・シールマンスですね。

14の流れのままエンディング15で幕を閉じます。

当時、62歳という還暦を過ぎたおじさんが作ったアルバムとは思えませんね(笑)
クインシーの作り出すサウンドは皆、煌びやかでソフトで優しいものですね。だからいつ聴いても古臭く感じないのでしょう。裏方に徹して決して前面に出て歌ったり演奏したりはしませんが、良い音楽・サウンドを作るということに専念している姿勢は尊敬に値します。本当に素晴らしいクリエイターであり、素晴らしいプロデューサーですよね。ファンの勝手な希望ですが、まだまだこれからも素晴らしい音楽・サウンドを届けてくれる事を切に願っています。R&Bが好きな人はもちろん、AOR好きな人やFUSIONが好きな人にも聴いて欲しいなと思う1枚です。秋の夜のBGMにお薦めの1枚です。
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MICHAEL JACKSON_THRILLER ◇ 2007年 11月 02日
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今回紹介するのは、まさにモンスター級のアーティストが放ったモンスター・アルバムです(笑)
全世界で1億枚以上のセールスを記録し、ギネスにも認定されているマイケル・ジャクソンの1982年リリースのアルバム『THRILLER』です。何を今更という感もありますが、やはり80年代を象徴するアルバムですし、個人的にもよく聴いていたアルバムなので紹介してみたくなりました。正直なところ、マイケル・ジャクソンのアルバムで1番好きなのは1979年リリースの『OFF THE WALL』なんですが、「THRILLER」のPVも含めてインパクトの強さと全9曲中7曲がシングル・カットされたというバリエーション豊かな楽曲が楽しめるという他には無いパワフルなアルバムでしたね。

幼少の頃から音楽的には高いポテンシャルを有していたマイケル・ジャクソンが、名匠・クインシー・ジョーンズとタッグを組んで作り上げたアルバムですから悪い訳はありません。前作『OFF THE WALL』で初めてクインシー・ジョーンズと組み、シンガーのみならずソング・ライターとしての才能も開花し始めたマイケルが、『OFF THE WALL』から3年という十分な時間を費やして制作しただけのことはあります。マイケルの最も脂が乗っていた時の作品と言っても過言では無いでしょうね。
最近では音楽以外の事で話題を提供することの多いマイケルですが、このアルバム・ジャケットの写真で見られる自信と輝きを忘れないで欲しかったですね。この顔のどこが気に入らなかったのでしょうか?今よりよっぽど良い顔しているのに・・・(苦笑)

『MICHAEL JACKSON / THRILLER』
01. WANT TO BE STARTIN' SOMETHIN' (スタート・サムシング)
02. BABY BE MINE
03. THE GIRL IS MINE
04. THRILLER
05. BEAT IT (今夜はビート・イット)
06. BILLIE JEAN
07. HUMAN NATURE
08. P.Y.T. (PRETTY YOUNG THING)
09. THE LADY IN MY LIFE

アルバムからの第4弾シングルとなった01。マイケル・ジャクソンの作品です。ダンサブルなリズムが心地良いナンバーで、グレッグ・フィリンゲインズ、マイケル・ボディカー等のシンセ・サウンドとデヴィッド・ウィリアムスのギター・リフがこの曲の要ですね。

私が敬愛する天才ソング・ライター、ロッド・テンパートンの作品02。グレッグ・フィリンゲインズ、マイケル・ボディカー、デヴィッド・ペイチによる分厚いシンセ・サウンドにレオン・ンドゥグ・チャンクラーの正確なリズム。シンプルながらロッド・テンパートンのリズム・アレンジが光っています。

マイケル・ジャクソンの作品で、ポール・マッカートニーとのデュエット・ナンバー03。このアルバムからの第1弾シングルでした。メロディアスなナンバーですね。グレッグ・フィリンゲインズ、デヴィッド・ペイチ、デヴィッド・フォスター、スティーヴ・ポーカロ、ディーン・パークス、スティーヴ・ルカサー、ルイス・ジョンソン、ジェフ・ポーカロという豪華過ぎるメンバーがバックを務めています。特にディーン・パークスとスティーヴ・ルカサーのギター・サウンドが爽やかです。

まるで映画のような大作PVと共に一世を風靡した04。第7弾シングル曲で、天才・ロッド・テンパートンの作品です。この曲もシンセを巧みに使ったアレンジが見事です。私はこの曲の影の主役は不気味なナレーションを聴かせてくれたヴィンセント・プライスだと思うのですが、如何でしょう?(笑)

第3弾シングル曲05。マイケル・ジャクソンの作品で、ロック色の強いアレンジが印象的なナンバーですね。マイケルのソング・ライティングの才能の高さを感じます。ジェフ・ポーカロのタイトなドラミングに、スティーヴ・ルカサーとポール・ジャクソン.Jrという2本のギターに加え、エディ・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロをフィーチャーしているという贅沢な1曲。これで悪い訳が無いですね。

第2弾シングル曲06。マイケルの作品で、ある意味で代表作と言っても良いでしょうね。シンプルなアレンジに乗せて歌うマイケルの歌声に魅了されます。ディーン・パークスのギター・カッティングが何とも心地良くて大好きなんです。

第5弾のシングル曲07。Michael Jackson Meets TOTOといったナンバーですね。都会的な洒落たサウンドが印象的なバラード・ナンバーです。デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ポーカロ、スティーヴ・ルカサーの3人によるアレンジが秀逸です。

第6弾シングル曲08。ジェイムス・イングラムとクインシー・ジョーンズの共作です。軽めのサウンドながらもノリの良いアレンジが素晴らしいですね。ジャネット・ジャクソン、ラ・トーヤ・ジャクソンが参加しています。個人的にはルイス・ジョンソンのベースに耳を奪われますが・・・(笑)

ロッド・テンパートン作のバラード・ナンバー09。AOR風なアレンジで、何とも心地良く耳に溶け込んでくる曲です。アルバムの最後に相応しい1曲ではないでしょうか。

今回レビュー記事を書くにあたって久しぶりにじっくり聴き直しましたが、やはり文句無しの傑作ですね。最近マイケルの音楽を聴いてないなという人は、たまには引っ張り出して聴いてみては如何でしょう?新しい発見があるかも知れませんし、良い作品はどんな時代でも良いと実感出来るのではないでしょうか。
クインシー・ジョーンズの手腕と、80'sというまさに時代が作り出した傑作だと思います。クインシーのプロデュース作品はいずれも楽曲、演奏(アレンジ)、歌の三拍子揃ったものばかりですが、このアルバムもその代表格の1枚でしょうね。
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