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カテゴリ:洋楽系( 134 )
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何故かJAZZというと秋~冬というイメージが、どういう訳か私にはあります(笑)
ですからこの時期になるとJAZZっぽいサウンドが聴きたくなってきます。そこで今回選んだアルバムがバリー・マニロウが1994年にリリースした、ビッグ・バンドと組んでまさにビッグ・バンド黄金時代の雰囲気を堪能させてくれるアルバム『SINGIN' WITH THE BIG BANDS』です。

バリー・マニロウは、「哀しみのマンディ」、「歌の贈りもの」、「想い出の中に」、「コパカバーナ」、「涙色の微笑み」等のヒット曲で知られるシンガー、ソングライター、プロデューサーですね。
1973年のデビュー以来、精力的に活躍しているバリーが昔から好きで聴いていたというJAZZ、しかもビッグ・バンド黄金期のヒット曲で今もなおスタンダードとして広く親しまれている名曲を、ヒットさせたそれぞれのバンドと共演、歌っているのが本作です。
共演しているビッグ・バンドは以下の通りです。
①THE GLENN MILLER ORCHESTRA (グレン・ミラー楽団)
②THE HARRY JAMES ORCHESTRA (ハリー・ジェームス楽団)
③THE TOMMY DORSEY ORCHESTRA (トミー・ドーシー楽団)
④THE JIMMY DORSEY ORCHESTRA (ジミー・ドーシー楽団)
⑤THE DUKE ELLINGTON ORCHESTRA (デューク・エリントン楽団)
⑥LES BROWN AND HIS BAND OF RENOWN (レス・ブラウン・バンド)
⑦THE BENNY GOODMAN ORCHESTRA (ベニー・グッドマン楽団)
しかし、ご存知の通りグレン・ミラー、ハリー・ジェームス、トミー・ドーシー、ジミー・ドーシー、デューク・エリントン、ベニー・グッドマンというバンド・リーダーは既に他界していますが、楽団としては現在も残っているので共演が可能だったという訳ですね。

『BARRY MANILOW / SINGIN' WITH THE BIG BANDS』
01. Singin' With The Big Band
02. Sentimental Journey
03. And The Angels Sing (天使は歌う)
04. Green Eyes
05. I Should Care
06. Don't Get Around Much Anymore
07. I Can't Get Started (言い出しかねて)
08. Chattanooga Choo Choo
09. Moonlight Serenade
10. On The Sunny Side Of The Street (表通りで)
11. All Or Nothing At All
12. I'll Never Smile Again
13. I'm Gettin' Sentimental Over You (センチになって)
14. Don't Sit Under The Apple Tree (二人の木陰)
15. (I'll Be With You) In Apple Blossom Time
16. Where Does The Time Go?

バリー・マニロウのオリジナル曲01。スウィンギーで楽しい雰囲気を持った曲で、アルバム・タイトル曲です。

数え切れない位のカヴァーが存在する名曲02。1944年に作られたナンバーで、当時の専属歌手ドリス・デイをフィーチャーしたレス・ブラウン楽団の大ヒット曲です。バリーは本家とも言える⑥との共演です。

1930年代に作られた古いナンバーで、ベニー・グッドマン楽団のヒット曲03。もちろん⑦との共演です。

1929年に作られ、1941年にジミー・ドーシー楽団のレコードがヒットしたという04。④との共演で、デュエット相手はローズマリー・クルーニー。

数多くレコーディングされた1945年の作品05。

デューク・エリントンの作曲による1940年の作品06。バリーとの共演はもちろん、デュークの長男マーさーが率いる⑤ですね。

1938年にトランペット奏者バニー・ベリガンが自身の楽団のレコーディングでヒットさせた07。

1941年の映画「銀嶺セレナーデ」の主題歌で、グレン・ミラー楽団のレコードが大ヒットした08。ここではもちろん①との共演を果たしています。日本では細野 晴臣がカヴァーしたことでも有名ですね。

名曲中の名曲09。グレン・ミラー楽団のテーマ曲とも言えるナンバーですね。1939年の作品です。

1945年のトミー・ドーシー楽団のヒット曲10。③との共演です。

1939年に当時の専属歌手だったフランク・シナトラをフィーチャーしたハリー・ジェームス楽団のヒット曲11。②との共演です。

フランク・シナトラとパイド・パイパーズをフィーチャーしたトミー・ドーシー楽団のミリオン・ヒット・ナンバー12。③との共演です。

1936年にトミー・ドーシー楽団のレコードがヒット、以降ドミー・ドーシーのテーマ曲になっていたという13。

1942年にグレン・ミラー楽団のレコードがヒットして有名になった14。①との共演で、デブラ・バードのヴォーカルもフィーチャーされている明るい曲です。

1920年に作られ、1941年にアンドリュース・シスターズのレコードがヒットしたという15。

最後の16はバリー・マニロウのオリジナル・ナンバー。

収録曲が1940年代あるいはそれ以前の曲が中心なので、いくら50歳間近な私とて知らなかった曲も当然ながら多いです。しかし、タイトルでは分からなくても聴いた事があるという曲も多いのも事実です。この手のアルバムっていうのは、眉間に皺を寄せて聴くのも良いのでしょうが、やはり秋の夜長に読書やお酒のお供にBGM的に聴くのがピッタリかも知れません。
今月24日に、70年代ポップスの名曲の数々を歌った新作『ザ・グレイテスト・ソングス・オブ・ザ・セヴンティーズ』をリリースしたばかりのバリー・マニロウ。
丁度タイムリーなネタだということで今回取り上げてみました(笑)
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TOTO_TOTO (邦題:宇宙の騎士) ◇ 2007年 10月 04日
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今回紹介するアルバムは、AORを語る上で絶対に外すことの出来ないくらいに重要な作品だと思います。その作品とは、1978年にリリースされたTOTOの1stアルバム『TOTO (邦題:宇宙の騎士)』。
何故、このアルバムがAORにおいて重要な作品なのか・・・。それは、仕上がりの良さに関してAOR屈指のアルバムであることはもちろんですが、TOTOというグループがAORを裏で支えてきた凄腕ミュージシャンの集合体であること、それが大きな意味を持っている訳です。

ボズ・スキャッグスの名盤『Silk Degrees』(1976年)で、素晴らしい演奏を聴かせてくれたデヴィッド・ペイチ(key)とジェフ・ポーカロ(ds)の二人を中心に、L.A.で活躍するセッション・ミュージシャン6人が集まったTOTO。それまでのセッションにおけるメンバーへの信頼度がかなり高いものだったことは、ボズのアルバム等で実証されていると思いますし、TOTOとしてデビューして『TOTO (邦題:宇宙の騎士)』という素晴らしいアルバムをリリースしたことで、それまで以上に彼らのセッション・ミュージシャンとしての地位が上がり、以降数々のレコーディングに引っ張りだこの状態になったのは周知の通りです。
つまりTOTOが、表舞台と裏方の両方でAORを牽引してきたと言っても良いのではないでしょうか。

今更紹介の必要は無いかも知れませんが、このアルバムのリリース当時のメンバーは、デヴィッド・ペイチ(key)、ジェフ・ポーカロ(ds)、ジェフの弟であるスティーヴ・ポーカロ(key)、デヴィッド・ハンゲイト(b)、スティーヴ・ルカサー(g)、ボビー・キンボール(vo)の6人です。6人全てが名プレイヤーですが、TOTOとしてのキーマンは、やはりソングライターとして非凡な才能を発揮しているデヴィッド・ペイチと、TOTOサウンドの軸となる素晴らしいドラミングを披露しているジェフ・ポーカロの二人と言えますね。

『TOTO / TOTO (邦題:宇宙の騎士)』
01. CHILD'S ANTHEM (子供の凱歌)
02. I'LL SUPPLY THE ONE (愛する君に)
03. GEORGY PORGY
04. MANUELA RUN
05. YOU ARE THE FLOWER
06. GIRL GOODBYE
07. TAKIN' IT BACK (ふりだしの恋)
08. ROCKMAKER
09. HOLD THE LINE
10. ANGELA

プログレッシヴ・ロックといった趣きのドラマティックなインスト曲01。デヴィッド・ペイチの作曲によるナンバーで、これからどんな音楽を聴かせてくれるのだろうかという期待感を持たせる曲です。短い曲ですが、曲の構成、アレンジがよく練られていて、特にシンセが巧みに使われていて印象的です。

ルークのハードなギター・ワークで始まり、軽快なギター・カッティングが心地良いポップなナンバー02。ロックとポップを上手く融合させたようなアレンジが見事です。

AOR史に残る名曲だと思っているメロウなナンバー03。多くのアーティストにカヴァーされています。ヴォーカルとギターとピアノのユニゾンがたまらなく気持ち良くて大好きなんですが、忘れてならないのはゲスト・ヴォーカルのシェリル・リンの存在です。彼女のヴォーカルを加えたことで、より曲が引き締まったという感じがしますね。

軽快なポップ・チューン04。キャッチーなメロディーが魅力な曲ですが、アレンジは軽快ながらもけっして単調ではなく、凝ったものになっているのがいかにもTOTOらしいですね(笑)

何と形容して良いのか難しいですが、とにかく渋いナンバー05。ピアノのリフやルークのギター・ソロが印象的です。この曲でのギター・ソロは結構好きなソロです。フルートを吹いているのはジム・ホーンでしょうか・・・。

宇宙空間を彷彿させる重厚なシンセ・サウンドとジェフのドラミング、ルークのリフが格好良いロック色の強いナンバー06。ダイナミックなナンバーです。

スティーヴ・ポーカロの作品07。しっとりと聴かせるミディアム・ナンバーです。FUSION色の強いアレンジが洒落ていて、ルークのメロディアスなアコースティック・ギター・ソロが素晴らしいですね。

タイトルとは裏腹に軽快なポップ・チューン08。日本風で言うならCITY POP色全開の1曲でしょう。オーソドックスな感じですが、これがまた絶妙な心地良さですね。この頃のルークのギターは本当に気持ち良いフレーズのオン・パレードといった感じです。

TOTOとしての初シングル曲で、全米5位を記録したTOTOの代表曲のひとつ09。さすがに1stシングルだけあって、インパクトもありますし何よりTOTOらしさを凝縮したようなアレンジは見事の一言ですね。

フォルクローレ風なイントロで始まるバラード曲10。エレクトリック・シタールを使ってフィリー・ソウル風な味付けも施したり、途中で力強いリズムを挿入したり、一筋縄でいかない展開が面白いナンバーです。

TOTOは数多くの素晴らしいアルバムをリリースしており、2nd『Hydra』(1979年)やグラミー賞を獲得した名盤『TOTO Ⅳ』(1982年)も大好きなアルバムなんですが、1枚を選べと言われたらやはりこの1stを選びますね。初めて聴いた時の衝撃は今でもはっきりと憶えています。メロディアスな曲なのにアレンジは凝っているし、何と言っても演奏力の凄さはまさに驚きでした。不思議と何度聴いても厭きのこないアルバムなんですよね。これからもずっと聴き続けていくであろう、私にとって大事なAORアルバムの1枚です。
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9月も終りに近づいてようやく秋らしくなってきましたね。今回紹介するのは、そんな秋にお似合いの1枚だと思います。ポール・デイヴィスが1980年にリリースした通算6枚目となるアルバム『PAUL DAVIS (邦題:パステル・メッセージ)』です。

ポール・デイヴィスの名前が日本で広く知られるようになったのは、田中 康夫のベスト・セラー小説「なんとなく、クリスタル」(1981年)の中で、彼の代表曲でもある「I GO CRAZY」が使われていたのがきっかけだと聴いています。残念ながら、私は「なんとなく、クリスタル」の小説も読んでいませんし映画も観ていませんが、ポール・デイヴィスを知ったのは「なんとなく、クリスタル」のヒット以降ですから、この作品がポール・デイヴィスの知名度を上げたのは間違いないでしょうね。今回紹介する『PAUL DAVIS (邦題:パステル・メッセージ)』は、日本でのデビュー盤となったアルバムで、「なんとなく、クリスタル」が発売、ヒットする1年も前のことなんですね。

ジャケット写真のイメージでは、AORというよりもカントリー系のアーシーな音楽を聴かせるアーティストを連想させるポール・デイヴィスですが、「DO RIGHT (邦題:パステル・メッセージ)」を含むメロウなAORを聴かせてくれる好アルバムです。

『PAUL DAVIS / PAUL DAVIS (邦題:パステル・メッセージ)』
01. DO RIGHT (パステル・メッセージ)
02. CRY JUST A LITTLE
03. HE SANG OUR LOVE SONG (色あせし恋)
04. ALL THE WAY
05. TOO SLOW TO DISCO
06. LET ME KNOW IF IT'S OVER
07. DO YOU BELIEVE IN LOVE
08. SO TRUE (真実)
09. WHEN EVERYTHING ELSE IS GONE (すべてを投げ出して)

1977年のアルバム『SINGER OF SONG - TELLER OF TALES』に収録されていた「I GO CRAZY」、1981年のアルバム『COOL NIGHT』に収録されていた「COOL NIGHT」に肩を並べる名曲01。スローで始まり、テンポ・アップする軽快なナンバーで、後半でのコーラス・ワークが印象的なナンバーですね。

しっとりと聴かせる02は、キャッチーなサビのメロディーが耳に残る1曲。ポール・デイヴィスの書くメロディーの特徴としては、サビがとにかくキャッチーなメロディーだということでしょうね。この曲においても、サビまでのメロディーとサビのメロディーでは段違いにサビのメロディーがキャッチーですね。

女性コーラスを巧みに使ったメロウなナンバー03。コーラスの使い方とサックス・ソロが印象に残るミディアム・ナンバーです。

ゆったりとしたリズムが心地良い04。シンセを効かせたアレンジが、何とも言えぬ心地良さを運んできます。地味なタイプな曲ですが、この緩さがたまらない1曲でもあります(笑)

軽快なディスコ・ビートとシンセ・サウンドが特徴の05。ジャケット写真の風貌からは想像出来ないサウンドです。いかにもというディスコっぽいサウンドではないところが絶妙と言えるナンバーです。

ミディアム・テンポの軽快なAORナンバー06。よくまとまったアレンジだと思います。

ピーボ・ブライソンとの共作07。洒落たナンバーで、リズムのリフやコーラス・アレンジがAORな雰囲気を一層盛り上げています。まさにメロウなナンバーですね。

ウィル・ブールウェアの作品08は、ポールの書く曲とは一味違ったAORナンバーです。FUSION界で活躍するブールウェアだけあって、洗練されたサウンドとメロディーが印象的です。元々、インスト・ナンバーだったらしい曲です。

同じくウィル・ブールウェアの作品09。アルバムの最後に相応しいメロウなバラード曲です。ポール・デイヴィスはSSWのイメージが強いですが、ヴォーカリストとしても素晴らしい逸材だと感じさせてくれる曲ですね。

ポール・デイヴィスのアルバムを聴いていつも思うのは、決して震えがくるような感動やインパクトは無いのですが、澄んだ声と清楚な雰囲気はまさにメロウと言った形容詞がピッタリで、回数を聴く毎にその独特な心地良さに酔ってしまいます。派手さは無いけれど、耳に馴染み易いメロディーもその心地良さを一層引き立ててくれています。
ヒンヤリとした秋の夜長に、ひっそりと聴きたいようなアルバムです。2002年に再発されるも現在では入手困難なようですね。違いの分かるの大人の為のAOR作品だと思います(笑)
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AL JARREAU_THIS TIME ◇ 2007年 09月 19日
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今回紹介するのは、1980年にリリースされたアル・ジャロウの通算5枚目となるアルバム『THIS TIME』です。アル・ジャロウと言えばJAZZのフィールドで活躍してきたヴォーカリストで、1978年には『Look to the Rainbow』が、1979年には『All Fly Home』がグラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞しており、まさにJAZZ界を背負っていたと言っても大袈裟では無かった存在でした。

そんなアル・ジャロウが、当時上り調子で勢いのあったジェイ・グレイドンをプロデューサーに迎え、AORの世界へ乗り込んだ記念すべきアルバムがこの『THIS TIME』です。以降ジェイ・グレイドンは、1981年には『Breakin' Away』、1983年には『Jarreau』、『High Crime』と立て続けに4作をプロデュースしています。

『THIS TIME』では、ジェイ・グレイドンはソング・ライティングには関わっておらず、アレンジと演奏の部分で大きく貢献しています。まだ、初顔合わせということもあってお互いに遠慮と言うか、気を使っていたのかも知れませんね(笑)
このアルバムのハイライトは、やはりReturn to Foreverの名曲でチック・コリア作の「SPAIN」に歌詞を付けて歌っているというところでしょう。この曲目当てにこのアルバムを購入した人も多かったと聞きます。
勿論それだけではないのは聴いてもらえれば分かると思いますが、良く出来たアルバムです。

『AL JARREAU / THIS TIME』
01. NEVER GIVIN' UP
02. GIMME WHAT YOU GOT
03. LOVE IS REAL
04. ALONZO
05. (IF I COULD ONLY) CHANGE YOUR MIND
06. SPAIN (I CAN RECALL)
07. DISTRACTED
08. YOUR SWEET LOVE
09. (A RHYME) THIS TIME

アル・ジャロウとトム・キャニングの共作01は、軽快なノリが心地良いポップなナンバーです。アレンジは、グレッグ・マティソン、アル・ジャロウ、トム・キャニングの3人で、グレッグ・マティソンのピアノのプレイ、エイブラハム・ラボリエルの渋いベース・ランニングが聴き所です。アル・ジャロウのリード・ヴォーカルを凌駕するほどのコーラス・ワークも見事です。

01と同じアルとトムの共作による都会的で洗練されたナンバー02。アレンジは、ジェイ・グレイドンにアルとトムの3人。リズム・アレンジがまさにAORそのもので、デヴィッド・フォスターのピアノが印象的です。ジェイ・グレイドンも目立ちませんがセンスの良いバッキングが光っています。

トム・ケロック、アル・ジャロウ、トム・キャニングの共作03。展開とメロディーが面白いポップなナンバーです。ディーン・パークスとジェイ・グレイドンのギター、デヴィッド・フォスターのローズ、トム・キャニングのピアノ等素晴らしいプレイが随所で聴くことが出来ますが、圧巻はホーン・セクションとアル・ジャロウのスキャットとのユニゾンは鳥肌モノです。

アル・ジャロウの作品04は、スケールの大きさを感じるバラード曲です。ジェイ・グレイドンとアル・ジャロウのアレンジが素晴らしいです。しかし、ジェイは演奏には加わっていません。ギター・レスの演奏です。グレッグ・マティソンのシンセ、トム・キャニングのローズ、ラルフ・ハンフリーのドラミングの凄さを感じます。印象深い1曲。

アリー・ウィリスとトム・キャニングの共作による美しいバラード曲05。04とは違って落ち着いた雰囲気が良いですね。伸びやかに歌うアル・ジャロウのヴォーカルが秀逸です。大都会の夜景にピッタリくるような素晴らしいアレンジはトム・キャニング。

アルバムの1番の目玉曲06。そうあの「SPAIN」です。スティーヴ・ガッド(ds)、エイブラハム・ラボリエル(b)、ラリー・ウィリアムス(key)の3人のみの演奏でこの迫力。そしてまるで楽器のように自由自在に歌いまくるアル・ジャロウのヴォーカルが圧巻です。とにかく3人で奏でているとは思えない演奏が凄いです。ガッドのドラミングはもはや人間技とは思えないですし、サックスだけでなくキーボードの腕前も相当なラリー・ウィリアムスのプレイも素晴らしいですね。

心地良いグルーヴ感に包まれたミディアム・チューン07は、アル・ジャロウの作品です。洒落たアレンジは、ジェイ・グレイドンとアルの二人によるもの。ガッドとエイブのリズム隊による極上のグルーヴに、ジョージ・デュークのローズ、ジェイ・グレイドンのギター全てのバランスが良い演奏だと思います。

トム・ケロック、アル・ジャロウ、トム・キャニングの共作08。爽やかなミディアム・ナンバーです。今までの曲の中でもジェイ・グレイドンのギターが1番輝いている曲かも知れません。スティーヴ・ガッドのドラミングは、歌モノのバックで光る叩き方というのを知っているかのようなドラミングですね。

アルバム・タイトルの09は、アール・クルーとアル・ジャロウとの共作曲です。いかにもアール・クルーらしいメロディー・ラインの美しいナンバーです。もちろんガット・ストリングス・ギターはアール・クルーで、素晴らしいソロも聴かせてくれます。煌びやかなフェンダー・ローズはデヴィッド・フォスターが弾いています。木漏れ日溢れる晩秋から冬の午後に聴きたい、そんな1曲です。

次作『Breakin' Away』を含む3作品に比べると、ジェイ・グレイドンの色が1番薄い作品と言えるでしょう。
それでもこれだけの完成度と充実した内容のアルバムを制作するのですから、ジェイ・グレイドンのプロデューサーとしての手腕は相当なものですね。
私はあえてジェイ・グレイドン色を抑えたんだろうと思います。おそらくアル・ジャロウは『THIS TIME』の1枚だけでジェイ・グレイドンのプロデュースを終らすつもりは無かったのだと思います。
それまでJAZZ界で歌ってきたアル・ジャロウが、いきなりAORというのも聴く側に抵抗感を与えてしまいかねない・・・。その辺を考慮して、JAZZとAORの橋渡し的なアルバムを目論んだのではないでしょうか?
そう考えると、尚更このアルバムが素晴らしいアルバムだと思えてきます。
秋から冬にかけて聴くにはピッタリな1枚だと思います。静かな秋の夜長にお薦めの1枚です。
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今回紹介するのは、1991年にリリースされたジェイ・グレイドン率いるPLANET 3の唯一のアルバム『A HEART FROM THE BIG MACHINE』です。メンバーは3人、
ジェイ・グレイドン : ギター、キーボード、プログラミング
クリフ・マグネス : ヴォーカル、リズム・ギター、キーボード、プログラミング
グレン・バラード : キーボード、プログラミング

ジェイ・グレイドンは勿論のこと、他の2人もソング・ライター/プロデューサーとして活躍していたらしく、いわゆる音作りの職人が集まったユニットと言えるでしょう。プロデュースがPLANET 3名義になっているところからも、そんな雰囲気は伝わってきます。
PLANET 3のサウンドをジェイ・グレイドンは、「Chicago meets Def Leppard」と語っているように、アグレッシヴな割とハードなギター・サウンドを軸としたポップ・ミュージックを展開しています。
要するに美しいメロディーとロック・サウンドの融合みたいな感じでしょうか。リズムは基本的には打ち込みなので単調になりがちなんですが、ジェイ・グレイドンの素晴らしいギターのおかげで安っぽくはなっていなのはさすがです。

『PLANET 3 / A HEART FROM THE BIG MACHINE』
01. BORN TO LOVE
02. FROM THE BEGINNING
03. INSINCERE
04. CRIMINAL
05. I DON'T WANT TO SAY GOODNIGHT (永遠の夜を君と)
06. WELCOME TO LOVE
07. THE DAY THE EARTH STOOD STILL
08. ONLY YOUR EYES
09. MODERN GIRL
10. I WILL BE LOVING YOU

打ち込みの軽快なリズムに乗せ、冒頭からジェイ・グレイドンのギター・ソロが聴ける01。ロック・フィーリング溢れるギター・サウンドと、クリフ・マグネスのハイ・トーンのヴォーカルが上手くマッチしていて心地良く聴けるナンバーです。

幻想的なイントロが印象的な02。ディストーションを効かせたギター・サウンドがロック・ナンバーですね。演奏はハードなんですが、クリフのヴォーカルが全体の雰囲気を和らげています。この曲でもジェイ・グレイドンのギター・ソロが炸裂します。

ライブでの演奏しているかのようなSEを入れた美しいバラード曲03。スケールの大きさを感じるナンバーで、間奏でのジェイのギター・ソロはハードな音色ながらも美しいフレーズの素晴らしい演奏です。

軽やかなテクノ・ポップといった感じの04。打ち込み色を前面に出した曲ですが、メロディーによく似合っていて面白い仕上がりになっています。リフを巧みに使うあたりジェイ・グレイドンらしく、ソロがまた良いのです。

当時、TBS系の人気TV番組「世界ふしぎ発見!」のテーマ曲だったバラード曲05。エアプレイ時代を彷彿させるメロディアスなナンバーです。まさにAORな1曲で、シングル・カットされました。

ジェイ・グレイドンのギターが前面に出たミディアム・ポップ・ナンバー06。ギター・リフもクリアな音色とディストーションを効かせた音色を巧みに使い分けています。雰囲気が大好きな曲です。

クリフのヴォーカルとコーラス、ジェイのギターが耳に残る大人の雰囲気を持ったポップ・ナンバー07。個人的にサビのメロディーが大好きです。

しっとりと聴かせるバラード曲08。静かで落ち着いた雰囲気の中、クリフが熱唱しています。間奏でのリリカルなアコースティック・ギターの短いソロが光るナンバー。

意図的に打ち込みを前面に出し、弾けるようなポップな雰囲気が楽しい09。80年代半ば以降の流行った感じのポップ・ナンバーですね。この曲ではジェイ・グレイドンはバッキングに徹しています。

日本でのLEVI'SジーンズのCMの為に書き下ろされたという10。スケールの大きなミディアム・バラード曲です。唯一この曲のみ、ジョン・ロビンソンがドラムを叩いています。聴き所は何といってもジェイのギター・ソロです。このソロを初めて聴いた時は鳥肌が立ちました(笑)

以前紹介したAORの超名盤であるエアプレイの『AIRPLAY』でのジェイ・グレイドンは、どちらかと言うとソング・ライティングとサウンド・メイキングに徹底的の拘っていたように思います。
しかし、本作では曲作りは他の2人に任せて、ひたすらギターを弾くということに拘ったギタリストとしてのジェイ・グレイドンが存在します。しかも、彼のプロデュース作品ではあまり聴くことの出来ないようなハードでロック色の強いギターを堪能出来ます。ギタリストとしてのジェイ・グレイドンが好きな私としてはたまらない1枚になっています(笑)
曲の完成度で言えば、到底『AIRPLAY』には敵わないと思いますが、ギター・プレイに関しては圧倒的に本作に軍配が上がりますね。ジェイ・グレイドンのギターが好きな人はぜひ聴いて欲しい1枚です。
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KARLA BONOFF_KARLA BONOFF ◇ 2007年 09月 07日
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今日紹介するのは、1977年にリリースされたカーラ・ボノフのデビューアルバム『KARLA BONOFF』です。今年の7月に紙ジャケで再発され、多くのブログでも紹介されていましたね。
しかし、私の所有しているのは輸入盤のプラ・ケースです(笑)
リマスターで音が良くなっているのは分かるのですが、同じアルバムを買い直すのであれば他のアーティストなど幅広く聴きたいという願望がありまして、このCDで我慢してます。

カーラ・ボノフと言えば、1979年リリースの2ndアルバム『Restless Nights (邦題:ささやく夜)』が人気が高いようですが、私は結構この1stが何故か好きなんですよね。
この1stがリリースされた当時、リンダ・ロンシュタットの1976年リリースのアルバム『Hasten Down The Wind (邦題:風にさらわれた恋)』に収められた3曲、「Someone To Lay Down Beside Me」、「Lose Again」、「If He's Ever Near」の作者ヴァージョンが聴けるということで話題になったようです。
リンダの歌い上げるような歌唱法とは違って、素朴という言葉がぴったりくるカーラ・ボノフのヴォーカルが魅力的です。

プロデュースは、当時リンダの参謀の一人だったケニー・エドワーズです。本作はケニー・エドワーズのプロデューサーとしてのデビュー作だったようです。バックのメンバーはラス・カンケル(ds)、マイケル・ボッツ(ds)、リーランド・スクラー(b)、アンドリュー・ゴールド(g / key)、ワディ・ワクテル(g)、ダン・ダグモア(g)、ジェイ・ワインディング(key)、スティーヴ・フォアマン(per)、グレン・フライ(cho)、J.D.サウザー(cho)、そしてリンダ・ロンシュタットももちろんコーラスで参加しています。

『KARLA BONOFF / KARLA BONOFF』
01. SOMEONE TO LAY DOWN BESIDE ME
02. I CAN'T HOLD ON
03. LOSE AGAIN
04. HOME
05. FACES IN THE WIND
06. ISN'T IT ALWAYS LOVE
07. IF HE'S EVER NEAR
08. FLYING HIGH
09. FALLING STAR
10. ROSE IN THE GARDEN

カーラ・ボノフ自身のプレイによるピアノで始まる01。ワディ・ワクテルのギターとストリングスに耳を奪われますが、よく聴くとカーラのピアノ・プレイも悪くないですね。素朴なカーラのヴォーカルにお似合いの1曲です。

アルバムの中ではアップテンポの曲で、明るい感じのウエスト・コースト・ロック・ナンバー02。アンドリュー・ゴールドがギターで大活躍している1曲。

ピアノの弾き語りスタイルで歌われている03。リンダ・ロンシュタットのヴァージョンとはまったく異なる雰囲気です。でもこれが実にシンプルで沁みてきます。もちろんピアノはカーラ自身です。

穏やかな気持ちにさせるカントリー・ナンバー04。ジョン・ウェア(ds)とエモリー・ゴーディ(b)というカントリー系のミュージシャンを迎えて、アンドリュー・ゴールドとケニー・エドワーズのアコースティック・ギターとダン・ダグモアのスティール・ギターがカントリー色をより一層濃くしています。

しっとりと聴かせるバラード曲05。どこか哀愁のある曲調をカーラが歌うと、より切なく聴こえてきます。

名曲06。こういうポップな曲も書けるのですから、素晴らしいソング・ライターとしての才能を持っていますね。ワディ・ワクテルのギターとカーラ・ボノフとウェンディ・ウォルドマンによるコーラスが印象的です。

カーラ・ボノフのお世辞にも上手いとは言えぬアコースティック・ギターを軸にした07。ジェイ・ワインディングのピアノと、ケニー・エドワーズ、グレン・フライ、J.D.サウザーの3人によるコーラスのおかげで安っぽくなっていません(笑)

ウエスト・コースト風なサウンドの08。カントリーっぽさもありますが、ポップなメロディーなんでコテコテのカントリーという感じでもない、不思議な魅力のナンバーです。

カーラ・ボノフのアコースティック・ギター、ケニー・エドワーズのアコースティック・ギターとベース、そしてアンドリュー・ゴールドのハーモニウムという実にシンプルな09。でも物足りなさは全然感じないですね。

カーラ・ボノフのピアノをフィーチャーしたバラード曲10。どちらかと言えば地味な演奏ですが、カーラ・ボノフにはお似合いなんですよね。決して派手なサウンドは彼女には必要無いのかも知れませんね。コーラスでリンダ・ロンシュタットが参加しています。

非常に地味なアルバムだと思いますね。演奏も垢抜けない感じですし、本来ならば私が好きな路線とは違うんですよね。でも、何故か惹かれるし、聴いていると癒されますね。
これはプロデューサーのケニー・エドワーズが、カーラ・ボノフをどうすれば1番輝くかを見抜いた上で、このようなアルバムを制作したんだと思います。
聴いてもらえれば分かると思いますが、このアルバムの主役はカーラ・ボノフです。当たり前のようですが、こういうアルバムって結構少ないのではないでしょうか。
台風の夜、部屋で静かにこのアルバムを聴くのも一興かも知れません(笑)
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VALERIE CARTER_WILD CHILD ◇ 2007年 08月 30日
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女性アーティスト(シンガー)の作品をAORと定義するのは、男性アーティスト(シンガー)よりもはるかに難しい気がします。AORの魅力のひとつである洗練されたミュージシャンの演奏とヴォーカルとの調和、あるいはバランスの良さという点で考えると、歌が上手すぎても駄目ですし、逆に演奏ばかりが目立ってしまってもAORに成り得ない訳です。感情表現の素晴らしい女性シンガーが歌い上げてしまうと、それでもうAORでは無くなってしまう・・・、そんな感じでしょうか。

そんな中、今回紹介するヴァレリー・カーターの1978年にリリースされた2ndアルバム『WILD CHILD』は、AOR好きな人も納得のAOR作品と言えるアルバムでしょう。
何とも無味乾燥なアルバム・ジャケットで、インパクトは強いけれど決してお洒落なイメージはありません。しかし、アルバムに詰った楽曲はどれも素晴らしいものばかりです。
プロデュースは、当時エルトン・ジョンのバンドで活躍していたキーボード奏者のジェイムス・ニュートン・ハワードが担当し、バックにはジェフ・ポーカロ(ds)、デヴィッド・ハンゲイト(b)、チャック・レイニー(b)、スティーヴ・ルカサー(g)、レイ・パーカー.Jr.(g)、ジェイ・グレイドン(g)、ヴィクター・フェルドマン(key / per)、ジェイムス・ニュートン・ハワード(key)といった豪華な顔触れが揃っています。曲もバラエティに富んでおり、聴き込んでも厭きのこない素晴らしいアルバムに仕上がっています。

『VALERIE CARTER / WILD CHILD』
01. CRAZY
02. DA DOO RENDEZVOUS (ランデブー)
03. WHAT'S BECOME OF US
04. TAKING THE LONG WAY HOME (家路)
05. LADY IN THE DARK (暗闇の中の女)
06. THE STORY OF LOVE (恋物語)
07. THE BLUE SIDE
08. CHANGE IN LUCK
09. TRYING TO GET TO YOU (あなたをつかまえたい)
10. WILD CHILD

軽く弾むようなリズムが心地良いナンバー01。ジェフ・ポーカロとデヴィッド・ハンゲイトによるリズム隊のかっちりとしたリズムに乗せ、ルークのギターがバッキングにソロにと大活躍する1曲です。ヴァレリー自身によるコーラスも美しいですね。

チャック・レイニーのベース・プレイ、そしてスティーヴ・ルカサー、レイ・パーカー.Jr.、フレッド・タケットの3人のギタリストのプレイが光る02。サビのメロディーがとてもキャッチーで、ヴァレリーのヴォーカルも可愛らしくて良いですね。レイ・パーカー.Jr.のギター・ソロは絶品です。こういう曲をAORと呼ばずに何と呼ぶって感じの1曲(笑)

03もメロディーが素晴らしいミディアム・ナンバー。間奏でのジェイ・グレイドンのギター・ソロがマイルドで、いかにもジェイ・グレイドンらしくて印象的です。ヴァレリーのヴォーカルが際立ったナンバーです。

しっとりとしたヴォーカルが魅力の04。エレピ主体の前半から、徐々に盛り上がるアレンジが面白く、哀愁漂うドン・メリックのサックス・ソロが印象的です。

TOTOっぽいサウンドがたまらない05。ジェフ・ポーカロのドラミング、ルークのギター、ジェイム・ニュートン・ハワードのピアノのプレイが素晴らしいのですが、特にルークのギター・ソロは彼のソロ・プレイの中でも歌心が前面に出た素晴らしいプレイだと思います。

FUNKYかつソウルフルなナンバー06。個人的にはこういう曲が大好きなんです。TOM TOM 84アレンジによるホーン・セクションとルークのバッキングがとにかく格好良いですね。ヴァレリーも難しい曲ですが、難なく歌いこなしています。

デヴィッド・ラズリーが作曲、コーラスに参加している素晴らしいバラード曲07。メロディーの美しさとジェイ・グレイドンらしいギター・リフが印象的なナンバーです。

都会的で洒落たアレンジが心地良いミディアム・ナンバー08。目立ちませんが、チャック・レイニーのベースが素晴らしいですね。ルークのギター・カッティングも軽快ですし、ヴィクター・フェルドマンのピアノのプレイにも注目して欲しい1曲。

ホーン・セクションをフィーチャーしたスケールの大きさを感じるバラード曲09。ジェイムス・ニュートン・ハワードのエレピのプレイ、ドン・メリックのエモーショナルなサックス・ソロ、TOM TOM84の洒落たホーン・アレンジ、そして抑え気味に歌うヴァレリーのヴォーカルのバランスが絶妙な素晴らしいナンバーです。

アルバム・タイトル曲10。しっとりとした大人の味わいのあるバラード・ナンバーで、ヴァイブやマリンバを巧みに使ったアレンジが素晴らしい1曲。曲中でデヴィッド・ハンゲイトのベース・ソロが聴けるのも魅力です。

AORの魅力である楽曲・演奏・歌という3拍子揃った素晴らしいアルバムです。とにかく捨て曲無しで、それぞれの楽曲で違った表情を見せるヴァレリー・カーターのヴォーカルが凄いですよ。本当はもっと歌い上げることも出来るのでしょうが、あえて抑え気味にしているのが正解だったような気がします。
AOR好きな人には、ジェイ・P・モーガンの『JAYE P. MORGAN』と並んで1度は聴いて欲しい傑作アルバムです。自信を持って推薦できる作品なので、興味のある方はぜひ聴いてみて下さい。
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BOZ SCAGGS_DOWN TWO THEN LEFT ◇ 2007年 08月 18日
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今回紹介するのは、1977年にリリースされたボズ・スキャッグスのAORの名盤3部作のひとつ、『DOWN TWO THEN LEFT』です。既に3部作の1作目となる『SILK DEGREES』(1976年)と3作目となる『Middle Man』(1980年)は紹介しました。既に紹介した2枚に比べると、比較的地味な印象を持たれがちな本作ですが、なかなかどうして素晴らしい作品で名盤と呼ぶに相応しい仕上がりになっています。結構、このアルバムが1番好きだという人も多いのではないでしょうか。

プロデュースは、『SILK DEGREES』に続いてジョー・ウィザート。『SILK DEGREES』からの大きな変化は、アレンジャーがデヴィッド・ペイチからマイケル・オマーティアンに代わったことでしょう。マイケル・オマーティアンのアレンジにより、前作よりも一層都会的で洒落たサウンドになったと思います。
参加ミュージシャンは、マイケル・オマーティアン(arr、key)、ジェフ・ポーカロ(ds)、デヴィッド・ハンゲイト(b)、スコット・エドワード(b)、ジェイ・グレイドン(g)、レイ・パーカーJr.(g)、スティーヴ・ルカサー(g)、ジャイ・ウインディング(key)、ボビー・キング(cho)等です。

『BOZ SCAGGS / DOWN TWO THEN LEFT』
01. Still Falling For You
02. Hard Times
03. A Clue
04. Whatcha Gonna Tell Your Man
05. We're Waiting
06. Hollywood
07. Then She Walked Away
08. Gimme The Goods
09. 1993
10. Tomorrow Never Came / Tomorrow Never Came (Reprise)

前作での「Lowdown」を彷彿させるナンバー01。R&B色が強いながらも軽快なアレンジが心地良いですね。ホーン・セクションとコーラスのアクセントが効いていますし、ジェフ・ポーカロとデヴィッド・ハンゲイトのリズム隊のコンビネーションが素晴らしいです。

レイ・パーカーJr.のリズム・ギターとジェフ・ポーカロのへヴィーなドラムが印象的な名曲02。シングル・カットされた曲ですね。黒人コーラス隊美しい歌声とボズの癖のあるヴォーカルの対比が面白く、一層都会を感じさせてくれます。この曲のボズのギター・ソロを聴いていると、松原 正樹が『NEW YORK』というアルバムでカヴァーしたインスト・バージョンが聴きたくなってしまいます(笑)

軽快なリズムが心地良い03は、コーラスに被せてボズのヴォーカルが入ってくるアイディアが面白いですね。スティーヴ・ルカサーがメロディアスなギター・ソロを聴かせてくれます。

しなやかなメロディとファンキーなサウンドが融合した洒落たAORナンバー04。スコット・エドワードのベース・プレイとジェフ・ポーカロのドラミングが光るナンバーです。それに加えて間奏でのボズが披露するギター・ソロが結構イケてますね。

幻想的なアレンジが印象的な大作05。インパクトはありませんが、聴きこむほどに魅力的に思えてくる不思議なナンバーです。名手・チャック・フィンドレイのフリューゲル・ホーンと、終盤でのジェフのドラミングは圧巻です。アルバム中で最も長い曲で6分を超えています。

06もシングル・カットされた曲で、ポップなメロディーとイントロから軽快なリズムが、アレンジャーのマイケル・オマーティアンのセンスを感じさせる1曲です。優雅なストリングスとヴィクター・フェルドマンのヴァイブがより一層味わい深い曲にしてくれている気がします。

私の大好きなメロウ・ナンバー07。キャッチーなメロディーとボズのハイ・トーンなヴォーカル、美しいストリングスとコーラスがまるで心地良い風のようです。レイ・パーカーJr.の軽快なギター・カッティングとジェイ・グレイドンのギター・ソロがたまりません。

どこかスティーリー・ダンを思い出させるナンバー08。ホーン・セクションを効かせ、アグレッシヴな感じに仕上がっています。ハイライトは、やはりルークのギター・ソロでしょう。この手の曲でのボズのヴォーカルは、実に溌剌としていますね。ジェフ・ポーカロのティンパレスのプレイにも注目です。

ピアノとシンセによるプログレッシヴなイントロに続いて、ご機嫌なシャッフル・ビートが炸裂する09。ボズのシャッフル・ビートはよく似合いますね。そして、シャッフル・ビートと言えばジェフ・ポーカロ。聴いているだけでも体が上下に揺れてきます(笑)

しっとりとしたバラード曲10。あまり起伏を感じさせないメロディーなので、どうしても地味に感じてしまいます。サビのメロディーは良いのですが・・・。少し惜しい気がしますが、アルバムのラストには似合っている1曲です。

このアルバムが、地味な印象を与えてしまうのはバラード曲に原因があると思われます。
収録されているバラードは決して悪い曲ではないのですが、どうしても『SILK DEGREES』の「We're All Alone」や「Harbor Lights」や、『Middle Man』の「You Can Have Me Anytime」のような人の心を打つバラード曲が無い分、印象が薄くなってしまうのかも知れません。
バラード以外は他のアルバムと比較しても劣らない好ナンバーばかりなので、余計残念ですね。
今日の夜は涼しくて幾分過ごしやすいです。涼しくなると何故かボズの歌声が聴きたくなります。
猛暑の中でのボズの歌声は若干辛いものがあるので・・・(笑)
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DAVID POMERANZ_THE TRUTH OF US ◇ 2007年 08月 10日
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今回紹介するのは、2006年12月に初のCD化となったデヴィッド・ポメランツの1981年リリースのアルバム『THE TRUTH OF US (邦題:涙のくちづけ)』です。

このアルバムの中の名曲「THE OLD SONG」が、田中康夫が1980年に発表した小説「なんとなくクリスタル」の映画化された際にサウンド・トラックに使用されたり、SMAPの草薙 剛と瀬戸 朝香が主演の1997年のドラマ「成田離婚」で使われたりしていたようです。私は映画もドラマも観ていなかったので状況はよく分かりませんが・・・。ただ、今回のCD化によって本当に何年振りかでデヴィッド・ポメランツの声を聴く事が出来たのは嬉しかったですね。
このアルバムが発売された当時、洋楽好きな友人がカセットに録音してくれたのを聴いていたのですが、いつの間にかカセットも行方不明・・・。今回CD化されたということで懐かしさもあり、発売と同時に購入しました。発売後半年以上経ってしまいましたが、今回紹介させてもらいます。

AORなアルバムであることは間違い無いのですが、どうしてもデヴィッド・ポメランツ=バラード曲というイメージが強く、線の細いヴォーカル・スタイルのせいかも知れませんが、私の中では、このアルバムをAORという意識では捉えていませんでした。どちらかと言うと、バリー・マニロウのようなポップス系アーティストという印象でしたが、改めてCDで聴き直すと紛れもないAORなアルバムでしたね(笑)
デヴィッド・ポメランツのソング・ライターとしての素晴らしい才能を感じさせる楽曲が詰ったアルバムです。

『DAVID POMERANZ / THE TRUTH OF US』
01. THE OLD SONG
02. ASK ME TO SAY, "I DO" (AND I WILL)
03. THIS IS WHAT I DREAMED
04. MY BUDDY AND I
05. THE TRUTH OF US
06. FAT
07. OLD HOME TOWN
08. HIT THAT TARGET
09. CLOUD OF MUSIC

バリー・マニロウがカヴァーしてヒットした名曲バラード01。イントロのピアノのフレーズから聴く者を惹き付ける魅力のある曲ですね。失恋した時に尾を引くのは女性よりもむしろ男・・・。訳詞を読むと男として共感出来る部分が多いですね(笑)

デヴィッド・ポメランツのピアノのリフが印象的な軽快なポップ・チューン02。カルロス・ヴェガのドラミングも軽やかで、コーラス・ワークも美しさも際立ちます。しかし、この曲の影の主役は、パウリーニョ・ダ・コスタのパーカッションではないでしょうか。

壮大なスケールと美しいメロディー・ラインと持ったバラード曲03。美しいストリングスの音色と、おそらくリー・リトナーであろうギター・ソロが曲を盛り上げています。

ラグタイム風なナンバー04。1930年代のアメリカを彷彿させる曲と言えるでしょう。クラリネットや実際のタップ・ダンスの靴音を入れたり。観客の声を入れたりして酒場で盛り上がっている楽しげな雰囲気が楽しいナンバーです。

ポメランツの真骨頂発揮といった感のあるアルバム・タイトル曲であるバラード曲05。ストリングスも美しいのですが、イングリッシュ・ホーン、フレンチ・ホーンやピッコロ・トランペットというホーン・セクションを巧みに使ったアレンジが秀逸です。

アルバムの中では異色な光りを放っている06。JAZZYな香りが漂う、実に渋いナンバーです。この曲では、ポメランツはアコースティック・ギターを弾いていますが、実に良い味を出しています。かなり緻密で凝ったアレンジが素晴らしいナンバーです。大好きなナンバーなんですが、これぞAORといった印象の曲ですね。

優しいサウンドに包まれ、懐かしい故郷へ帰ってきたような郷愁感がたまらない07。エレピの柔らかな音色とハーモニカの音色が胸に沁みます。

ピアノのリフがチャンキーだったり、アコースティックなサウンドとエレクトリックなサウンドが交錯する変化のあるアレンジが面白いナンバー08。不思議な曲です。

最後を飾る09は、やはりバラード曲です。シンプルなサウンドと繊細なポメランツのヴォーカルが魅力です。フリューゲル・ホーンが良い隠し味になっています。じっくりとヘッドホンで聴きたいナンバーです。

どんな時間帯に聴いても似合いそうな感じのアルバムですが、個人的には雑音の少ない時に聴くのが1番良いと思います。そうなると深夜というケースが多くなってしまいますが・・・。アレンジもヴォーカルも凄く繊細な感じなので、その辺りをじっくりと聴いて欲しいと思います。
私自身、このアルバムはBGM的に聴くというよりも、神経を集中して聴きたい作品なんですね。
たまにはムーディーな夜を過ごしたいという方にはお薦めの1枚です。
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ブログを始めて1年10ヶ月余り、710件におよぶ記事を書いてきました。紹介したアルバムというのは大抵覚えているのですが、中には歳のせいで記憶が曖昧になっているものも・・・(笑)
自分では既に紹介済みだと勝手に思い込んでいて、実は紹介していなかったというアルバムを今回紹介させていただきます。1970年代~1980年代のAORが好きだと言っておきながら、このアルバムを紹介していないというのは恥ずかしいくらいの作品かも知れません。
1980年にリリースされたエアプレイのワン&オンリー・アルバム『AIRPLAY (邦題:ロマンティック)』です。

AORが好きな人には今更説明の必要も無いでしょうが、エアプレイはデヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、トミー・ファンダーバーグの3人によるユニットです。当初は、デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンの二人で始動し、ジェイ・グレイドンがリード・ヴォーカルを担当していたのが思った以上のハード・ワークに急遽ヴォーカリストを探し、トミー・ファンダーバーグが加入した経緯があるようです。

デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンという優れたサウンド・クリエイターが作り上げた素晴らしい楽曲、彼等の理想とするサウンドを現実のものとする為に集められたミュージシャンは、既に1978年にスタジオ・ミュージシャン軍団としてデビューを飾り、人気を博していた"TOTO"から、ジェフ・ポーカロ(ds)、デヴィッド・ハンゲイト(b)、スティーヴ・ルカサー(g)、スティーヴ・ポーカロ(synth.programming)が参加、他にもマイク・ベアード(ds)、レイ・パーカーJr.(g)、ビル・チャンプリン(cho)、トム・ケリー(cho)等が参加しています。

入念に検討され、丹念に作られた楽曲、緻密に計算されつくしたアレンジ、演奏は、まさにAORの最高峰に位置するアルバムと言えると思います。そこにはライブでの演奏を考慮したサウンド作りをしているTOTOとは違って、レコーディングにおける最高の音作りを目指しているエアプレイならではの緻密なサウンドが詰っています。とにかく完成度の高いアルバムです。

『AIRPLAY / AIRPLAY (邦題:ロマンティック)』
01. STRANDED
02. CRYIN' ALL NIGHT
03. IT WILL BE ALRIGHT
04. NOTHIN' YOU CAN DO ABOUT IT (貴方には何も出来ない)
05. SHOULD WE CARRY ON
06. LEAVE ME ALONE
07. SWEET BODY
08. BIX
09. SHE WAITS FOR ME (彼女はウェイト・フォー・ミー)
10. AFTER THE LOVE IS GONE

ハイ・トーンのコーラス・ワークで始まるロック・ナンバー01。私の個人的な考えですが、こういうロック色の強い曲でイニシアチブを握っているのはデヴィッド・フォスターだという気がします。ジェフ・ポーカロのタイトなドラミング、ルークのギターのバッキングにジェイ・グレイドンのソロ、デヴィッド・フォスターの強いタッチのピアノのアンサンブルが素晴らしいナンバーです。

練られたアレンジの素晴らしさにただ驚かされる02。この曲のサウンドに影響を受けたアーティストも沢山いることでしょう。日本では林 哲司の作品の中に、この曲の影響を受けたであろう楽曲がありますね。この曲は明らかにジェイ・グレイドン主導の曲という感じがします。ジェイ・グレイドンのヴォーカルもなかなか頑張ってます。

美しいメロディー・ラインを持ったバラード曲の名曲03。まさにバラード曲というのはこういうアレンジで、サビでいかに曲を盛り上げていくのかという見本のような曲と言えるかも知れません。間奏でのジェイ・グレイドンならではのギター・ソロが堪能できます。

1979年のマンハッタン・トランスファーのアルバム『Extensions』に提供した曲のセルフ・カヴァー04。ヴォーカルだけで言えば、マントラの方が圧倒的に素晴らしい出来ですが、実にエアプレイの色が強く出ているアレンジは大好きです。マントラ・ヴァージョンと聴き比べると楽しい1曲です。

AORらしいメロウなバラード曲05。シンプルな音なんですが、コーラス・ワークとギターを巧みに使ったアレンジは決してシンプルな印象は無く、逆にスケールの大きさを感じさせますね。

徹底的にギター・サウンドに拘ったと思われる06。オーヴァー・ダヴを繰り返し、ライブでの再現性は難しいであろう緻密なアレンジが際立った1曲だと思います。全篇でジェイ・グレイドンのギターが大活躍する1曲。

ギター・リフが印象的な軽快なナンバー07。ロック・ナンバーでありながらも重くなく、軽快な印象に仕上がっています。本来のAORと呼ぶに相応しいナンバーかも知れません。

ジェリー・ヘイのホーン・アレンジが光る08。当時まだ無名だったトミー・ファンダーバーグのヴォーカリストとしての実力が窺えるナンバーですね。

ジェイ・グレイドンらしいポップな曲とヴォーカルが魅力の09。私の中では、ロックが好きなデヴィッド・フォスター、ポップスが好きなジェイ・グレイドンという風に別れていまして、この曲は特にジェイ・グレイドンらしさを感じる1曲になっています。

EW&Fに提供して大ヒットした名曲のセルフ・カヴァー10。EW&Fヴァージョンよりもリズムを協調したアレンジになり、キレのあるサウンドが印象的です。この曲は、リズム・アレンジの他にもストリングス・アレンジの美しさとジェリー・ヘイとデヴィッド・フォスターのアレンジによるホーン・セクション無しでは成立しませんね。

本当かどうかは不明ですが、このアルバムがリリースされた当時、日本のレコード会社の間でプロデューサーやディレクターが集まり、このアルバムについての研究会が開かれていたというのを聴いたことがあります。その話の真偽は別にしても、多くのミュージシャンや制作に携わる業界人に影響を与えていたのは間違い無い事実だと思います。
洋楽好きな方でこのアルバムを聴いていない人は少ないと思いますが、もし未聴でしたらAORのバイブルとも言われる作品なので、ぜひ聴いてみて下さい。
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