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カテゴリ:PRODUCER( 33 )
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CHAKA KHAN_WHAT CHA' GONNA DO FOR ME ◇ 2009年 07月 10日
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今回は久しぶりに"PRODUCER"のカテゴリで記事を書いてみようと思います。
洋楽というジャンルにおいて、プロデューサーというと皆さんは誰を思い浮かべますか?
AOR好きな人ならば、デヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドンの名前が真っ先に頭に浮かぶかも知れませんね。確かにこの二人も素晴らしいプロデューサーには違いありませんが、どちらかと言うとこの二人はプロデューサーの色を出していくタイプですね。
しかし、プロデューサー本来の仕事というのは、ジャンルに関わらずシンガーやミュージシャンのポテンシャルをどこまで引き出せるかではないでしょうか。
そういう観点からプロデューサーを見た場合、私には大好きで尊敬に値するプロデューサーが3人います。
その3人とは、クインシー・ジョーンズ、トミー・リピューマ、そして今回の主役であるアリフ・マーディンです。

アリフ・マーディンという名前を知らなくても、彼のプロデュースしてきたアーティストの名前を見れば、その作品に知らずと触れてきている可能性は高いと思います。本当に幅広いジャンルのアーティストをプロデュースしています。
例えば、アレサ・フランクリン、チャカ・カーン、、ダニー・ハザウェイ、ロバータ・フラック、ロッド・スチュワート、リンゴ・スター、ラスカルズ、アヴェレイジ・ホワイト・バンド、ビージーズ、マンハッタン・トランスファー、ジョージ・ベンソン、カーリー・サイモン、ホール&オーツ、アニタ・ベイカー、ノラ・ジョーンズ等・・・。
とにかく凄いというか圧倒されてしまいますね(笑)
そんなアリフ・マーディンの脂の乗った時期の作品のひとつが、チャカ・カーンが1981年にリリースしたソロ第三弾となる『WHAT CHA' GONNA DO FOR ME (邦題:恋のハプニング)』です。

圧倒的な歌唱力と声量で聴く者を圧倒するチャカ・カーン。そんな彼女の魅力を120%引き出すべくアリフ・マーディンは、贅沢なまでのミュージシャンを起用し、抜群にセンスの良い選曲でアルバムを作りあげました。
まずはミュージシャンですが、Larry Williams(key、sax)、Anthony Jackson(b)、David Williams(g)、Hamish Stuart(g)、Steve Ferrone(ds)、Greg Phillinganes(key)、Mike Sembello(g)、Paulinho da Costa(per)、Dizzy Gillespie(tp)、Herbie Hancock(key)、David Foster(key)、Ronnie Foster(key)、Abraham Laboriel(b)、Michael Brecker(sax)、Randy Brecker(tp)、Hiram Bullock(g)、Richard Tee(key)等・・・、書くだけで疲れてきます(笑)
ただ単に豪華なミュージシャンを集めるだけなら簡単でしょうが、アリフ・マーディンの場合はこれらのミュージシャンを曲に合わせて起用しており、言わば必要な人材だから集めたという感じなのでしょうね。

『CHAKA KHAN / WHAT CHA' GONNA DO FOR ME』
01. WE CAN WORK IT OUT (邦題:恋を抱きしめよう)
02. WHAT CHA' GONNA DO FOR ME (邦題:恋のハプニング)
03. I KNOW YOU, I LIVE YOU (邦題:あなたに夢中)
04. ANY OLD SUNDAY
05. WE GOT EACH OTHER (邦題:愛の絆)
06. AND THE MELODY STILL LINGERS ON (NIGHT IN TUNISIA) (邦題:永遠のメロディ)
07. NIGHT MOODS
08. HEED THE WARNING
09. FATHER HE SAID
10. FATE (邦題:さだめ)
11. I KNOW YOU, I LIVE YOU (REPRISE)

ビートルズ・ナンバーのカヴァー01。ビートルズの曲をここまでFUNKYに仕上げたGreg Phillinganesのリズム・アレンジに脱帽です。とにかく格好良いの一言ですね。Greg Phillinganesによるミニ・ムーグ・ベース、Mike Sembelloのギターのカッティング、Larry Williamsのアレンジによるホーン・セクションが絶妙に絡んだグルーヴが気持ち良いです。チャカ・カーンのヴォーカルもとにかくパワフルです。

アヴェレイジ・ホワイト・バンドの名曲のカヴァー02。個人的にはオリジナルであるアヴェレイジ・ホワイト・バンドのテイクよりもこちらの方が好きですね。若干抑え気味のヴォーカルでありながらも、その声量と歌唱力に圧倒されます。Michael Breckerの渋いテナー・サックス・ソロも聴けます。

チャカ・カーンとアリフ・マーディンの共作による03。プロデュースだけでなく作曲家、編曲家としても素晴らしい才能を持っているのがアリフ・マーディンの特徴でもありますね。ヴォーカル、コーラスにとチャカ・カーンの歌声に溢れているFUNKチューンです。

軽快でAORチックなナンバー04。何とも心地良いサウンドに満たされる曲です。このアルバムではコーラスも全てチャカ・カーン一人でこなしていますが、それだけ彼女のヴォーカルを聴かせたいという想いがアリフ・マーディンにあったのかも知れませんね。Randy Breckerのフリューゲル・ホーンも印象的です。

Steve Ferroneのタイトなドラミングがたまらなくグルーヴィーな05。この曲も理屈抜きで格好良いです。デュエットの相手はMark Stevebs。この人もかなり上手いです。この曲で特に注目して欲しいのは、David WilliamsとHamish Stuartのギター・コンビです。この手のギター・カッティングがたまらく好きなんです(笑)

このアルバムの目玉と言うか、ハイライトとも言える曲が06です。ジャズ・トランペッターの大御所・Dizzy Gillespieが1940年代に作った名曲ですね。モダン・ジャズのスタンダードとも言えるこの曲を思い切りFUNKYに仕上げています。しかもDizzy Gillespie本人が参加しているだけでなく、1940年代に録音されたチャーリー・パーカーのブレイク・アルト・ソロの音源を抜き出し、Herbie Hancockがユニゾンでシンセを弾いているという凝った作品です。ミニ・ムーグ・ベースを弾いているのはDavid Fosterですし、とにかく贅沢かつご機嫌な1曲です。アリフ・マーディンのアレンジに尽きるナンバーと言えるでしょう。

タイトル通りにしっとりと聴かせるバラード・ナンバー07。FUNKYなヴォーカルもチャカ・カーンの魅力ですが、こういうバラードを歌わせても上手いの一言ですね。ファルセットの使い方など本当に絶妙です。

ミディアム・テンポの渋いナンバー08。このアルバムの特徴のひとつでもあるのですが、とにかくシンセを巧みに使っています。ちっとも嫌味が無いどころか、生のリズムとシンセが上手く融合されており、サウンド的にも厚みが出ていて素晴らしいです。恐るべしアリフ・マーディン!

サビのメロディーが印象に残るミディアム・ナンバー09。サビ以外に部分では若干地味な印象ですね。この曲でもシンセが巧みに使われています。

70年代のDISCO CLASSICSを彷彿させるダンサブルなナンバー10。大好きな1曲になってます。Richard Teeがクラヴィネットで参加していますし、Hiram Bullockの渋いギター・ソロが聴けます。でもこの曲で1番渋いのはAnthony Jacksonのベース・プレイでしょう。

とにもかくにも格好良いという言葉しか思い浮かばない1枚です。1981年のリリース当時から現在に至るまで、全く同じ思いです。感情そのものが色褪せないアルバムっていうのはそうは存在しません。本当に名作だと思います。
興味がある方はぜひ聴いてみて下さい。聴いて絶対に損はしないアルバムだと思います。
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山下 憂_EVER AFTER LOVE ◇ 2008年 03月 08日
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久しぶりに"プロデューサー"にスポットを当てて記事を書いてみようと思います。今回紹介するのはシングル盤で、山下 憂というアーティストが1994年にリリースしたものです。山下 憂というアーティストを知っている方は少ないと思います。そういう私もつい最近まで全く知りませんでしたから・・・(笑)

先日、DVDを借りにGEOへ出かけまして、ついでにCDが格安で売られているコーナーを物色中に偶然見つけたもので、最初自分の目を疑いました。380円コーナーで売られていたこのCD、丁寧に帯まで付いていたんですが、当然山下 憂という名前にはピンとこなかったんですが、プロデュースがなんとジェイ・グレイドンと書いてあるではないですか!あのジェイ・グレイドンが日本人アーティストをプロデュースしていたという事だけで、かなりの驚きだったのですが、参加しているメンバーを見てさらに驚くことになりました。
ジェイ・グレイドン(g、programming)、ビル・カントス(key)、スティーヴ・ルカサー(g)、ジョン・ピアース(b)、ジョン・キーン(ds)、クリフ・マグネス(cho)が参加しているんですよ。これはもう買うしかないだろって感じでレジへ急ぎました(笑)

シングル盤にも関わらず中田 利樹氏がきっちりとライナーを書いており、それによると山下 憂は1955年5月生れ。大学時代に"かげらふ"という名のフォーク・グループを結成し、1977年にはアマチュア・バンド・コンテストで優勝。以後はソロ活動に入り、ライブハウスを中心に活動していたようです。また同郷の先輩であるギタリストの松原 正樹にも認められ一緒にミュージック・ビジネスを進めるも、自己のプロジェクトを立ち上げるために1986年に独立。1988年にはデヴィッド・T・ウォーカーがサウンド・プロデュースを手掛けた(これはぜひ聴きたいものです)1stアルバム『GLOOMY』をリリースしたという経歴の持ち主です。
また、中田氏のライナーによると、やはり山下 憂がジェイ・グレイドンが正式にプロデュースをした最初の日本人アーティストらしいですね。それだけに貴重な音源とも言えるでしょうね。

さて、肝心の音楽ですが、これがもう直球ど真ん中といった感じのAORです。英語詞で歌っているのですが、おそらく何も知らずに聴いたら日本人だとは気付かないでしょう。それほど本場のAORに溶け込んだ素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれます。

『山下 憂 / EVER AFTER LOVE』
01. EVER AFTER LOVE
02. ONE LOVE

ジェイ・グレイドン、ビル・カントス、ヴァレリー・ホーベル3人の共作01。日本サイドのプロデューサーがグレイドン・フリークで、アル・ジャロウの「モーニン」とディオンヌ・ワーウィックの「フォー・ユー」の2曲の中間に位置するような曲をジェイ・グレイドンにリクエストして出来上がった曲らしいです。実はこの曲、以前紹介したジェイ・グレイドンのソロ・アルバム『Airplay For The Planet - The Album -』に収録されているのですが、実は山下 憂の為に書き下ろした曲だということです。ジェイ・グレイドンの打ち込みとギター、ビル・カントスのキーボードだけで演奏されていますが、まさにアル・ジャロウの「モーニン」を彷彿させる粋なAORナンバーですね。ギター・リフを聴けばきっとニヤついてしまうでしょう(笑)

ジェイ・グレイドンが書いた曲に山下 憂がサビにメロディーを加え、ケンジ・サノが歌詞を付けたというロック・テイストのAORナンバー02。リズム・セクションの中心はスティーヴ・ルカサーのギターで、タイトなジョン・キーンのドラミングと相まってライヴ感溢れる演奏が特徴です。間奏のジェイ・グレイドンのギター・ソロがとにかく格好良いの一言ですね。クリフ・マグネスのコーラスも曲を盛り上げています。ジェイ・グレイドンが全て録音に関わっているので、音質・バランスも最高です。

1994年というAORの影が薄れてきた時代に、こんなにストレートなAOR作品が作られていたというのが驚きでした。これは山下 憂が相当AORに対して思い入れが強かったのかも知れませんね。現在はどのような活動されているのかは不明ですが、元々シンガー・ソング・ライターらしいので今でも頑張っているのかも知れません。デヴィッド・T・ウォーカーのプロデュース作品の1st『GLOOMY』はぜひとも聴いてみたい1枚なので探してみたいと思っていますし、もし他の音源が存在するならば聴いてみたいアーティストです。
現在は入手困難でしょうが、機会があればぜひ聴いてみて下さい。AORファンには超お薦めの1枚です(笑)
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米光 美保_FOREVER ◇ 2007年 11月 15日
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今回は久しぶりに角松 敏生のプロデュース作品を取り上げてみようと思います。紹介するのは、1990年に東京パフォーマンスドールのメンバーとしてデビューし、1994年以降ソロ活動を始めた米光 美保の1995年リリースの通算3枚目、角松のプロデュースでは2作目となる『FOREVER』です。
アイドルとしてのデビューを飾ってはいますが、シンガーとしてのポテンシャルの高さは相当なものだと思います。おそらく角松も彼女のそういう力量を認めたからこそプロデュースを引き受けたんであろうと思います。

角松のプロデュース第一弾となる1994年リリースの『FROM MY HEART』も素晴らしいアルバムなんですが、個人的にはCITY POP色が色濃く、彼女のシンガーとしての力量を量るべく取り上げられたような2曲のカヴァー曲が収録されていて、非常に充実したアルバムに仕上がっている本作が好きですね。
全10曲の収録曲のうちカヴァー曲が2曲、故・浅野 祥之の作曲が1曲、残り7曲を角松が曲を書いています。当時活動凍結中だった角松は、米光 美保の2枚のアルバムでは1曲も詞を書いていません。この辺りも他のプロデュース作品には見られない大きな特徴と言えますね。作詞は門屋 祐美が4曲、井上 秋緒が2曲、加藤 健が1曲、米光自身が1曲書いています。アレンジはもちろん全曲角松 敏生で、打ち込み中心のサウンドが展開されています。

『米光 美保 / FOREVER』
01. ナチュラル・フーズ
02. LABYRINTH
03. ILLUSION TOWN
04. It's just a moment ~weariness~
05. 眠れない夜
06. FALL IN LOVE, IT'S FOREVER
07. YA-DA
08. Feel of you (Album version)
09. 恋は流星 SHOOTING STAR OF LOVE
10. ひとりじゃないのよ

このアルバムの目玉曲のひとつ01。あまり知られていませんが、この曲は大橋 純子のカヴァー曲です。大橋 純子&美乃家セントラル・ステイションの名義で1977年にリリースされた『RAINBOW』に収録されていました。作詞・作曲は当時美乃家セントラル・ステイションのメンバーだった土屋 昌巳。オリジナルのアレンジを大切にしながらも、打ち込みによるグルーヴはオリジナルを凌駕する程の仕上がり。米光のヴォーカルも相当頑張っていて素晴らしいのですが、やはり大橋 純子には到底敵いませんね。1度オリジナルと聴き比べると面白いと思います。角松も凄い曲を用意したものだと思いましたね(笑)

いかにも角松らしいメロディーとグルーヴ感を持った02。特にアレンジに関しては、角松自身の名曲「LUCKY LADY FEEL SO GOOD」を彷彿させ、聴いていると1986年当時の角松サウンドを連想してしまいます。

勝田 一樹の熱いサックスが印象的で、スウィング感が心地良いポップ・チューン03。このアルバムの特徴のひとつとして、角松のアレンジ曲にしてはギターを全く使用していない曲が存在することでしょう。この曲もそんな1曲です。打ち込みにホーン・セクションによって構成されたサウンドです。

シングル・カットされた04。この頃の角松の曲は本当にキャッチーなメロディーのものが多く、プロデューサーとしても脂の乗っていた時期と言えるでしょう。この曲も例に漏れず、ラップを導入したりしてヒップ・ホップの要素を取り入れながらも、軽快で耳に馴染むメロディーが秀逸だと思います。ただ、コーラスは角松が加わらず、EVEを起用したらもっと良かったかも・・・。

バラード曲05。米光 美保のヴォーカルの魅力が上手く出ているのは、こういう曲なのかも知れないと思う1曲です。数原 晋のフリューゲルのソロがたまらなく切ないですね。

小林 信吾の流麗なフェンダー・ローズのソロで始まるミディアム・ナンバー06。軽めの音の打ち込みのグルーヴで、朝の爽やかさを演出しています。小林 正弘のトランペット・ソロがフィーチャーされています。

故・浅野 祥之の作曲による07は、ゆったりしたサンバ調のリズムが心地良いナンバーです。アレンジは角松と浅野の二人の手によるもの。浅野 祥之らしい玄人好みのギター・プレイが素晴らしく、つくづく素晴らしいギタリストを失ったものだと思います。

シングル・カットされたバラード曲08。角松の他アーティストへ提供したバラード曲の中でもかなり好きな曲で、演奏もこの曲だけは村上 秀一(ds)、青木 智仁(b)、浅野 祥之(g)、小林 信吾(key)にストリングスを加え、生音を大事にしたナンバーです。やはり米光のヴォーカルの魅力はバラードかも知れません。

ご存知、吉田 美奈子の名曲のカヴァー09。1977年の名盤『TWILIGHT ZONE』に収録されていました。今聴くと多少年代を感じるものの、この曲を緩めの打ち込みグルーヴで仕上げた角松のアレンジ・センスは素晴らしいと思います。米光の声にピッタリな曲で、選曲も良かったと思います。終盤の小池 修のサックス、村田 陽一のトロンボーン、小林 正弘のトランペットのソロの掛け合いは本当に素晴らしいです。

地味な印象のバラード曲ですが、味わい深い曲10。短い曲なんですが、逆に余韻を残すような感じがアルバムの最後に相応しい曲ですね。

1997年から7年間ほど活動を休止していたようですが、2004年以降は活動を再開していて現在も頑張っているようです。本当に素晴らしいシンガーだと思いますし、もっと注目されても良いとは思うのですが・・・。角松のプロデュース作品はどれも質の高い良いアルバムが多いのですが、特に新人(あるいはそれに近い)アーティストのプロデュース作品は売れませんね(笑)
これが不思議なんですよね。きっと曲や音楽だけでなくアーティスト本人が持つ人を惹き付ける魅力も必要ということなんでしょうね。
"布石のプロデューサー"と言われる角松 敏生らしいプロデュース作品です。
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児島 未散_KEY OF DREAMS ◇ 2007年 09月 30日
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今回は、久しぶりにプロデューサーのカテゴリで記事を書いてみようと思います。紹介するアルバムは、児島 未散の1989年リリースの通算3枚目のアルバム『KEY OF DREAM』です。
児島 未散は、父が俳優の宝田 明、母がミス・ユニバース優勝の児島 明子という、いわゆるお嬢様アーティストとでも言いましょうか、恵まれた環境、遺伝子を持っている訳ですね(笑)
そんな彼女が、アイドル寄りのポップス系歌手として1985年にフォーライフ・レコードよりデビュー。同年1stアルバム『BEST FRIEND』をリリースします。翌1986年には2ndアルバム『MICHILLE』をリリースします。しかし、親の七光りも通用しなかったのか、ヒットには恵まれなかったようですね。レコード会社を移籍し、1989年に再デビューという形でリリースされたのが、林 哲司のプロデュースによる『KEY OF DREAMS』です。

児島 未散の生い立ちや名前は知っていたんですが、音楽に関してはこのアルバムを聴くまで全くノー・チェックでした。このアルバムも、BOOK OFF探索中に250円で売られており、裏ジャケットに"Produced by Tetsuji Hayashi"と書かれていたので購入したという次第です。
私の敬愛する林 哲司がプロデュースに関わっているとなれば、見過ごす訳にはいきませんから・・・(笑)
調べてみると、1stアルバム『BEST FRIEND』は全9曲がなんと松本 隆=林 哲司による作品で、アレンジは新川 博、松原 正樹が担当していたらしいのです。私だったら絶対にすぐに飛びつく布陣なのですが、どうやら当時はそれほど話題にはならなかったのかも知れませんね。実は、今このアルバムを一生懸命中古店等で探している最中なんですが、なかなか見つかりません。

今回紹介する『KEY OF DREAMS』ですが、林 哲司のプロデュースにも関わらず全10曲中で林 哲司が作曲した曲は半分の5曲のみです。残り5曲は、山川 恵津子、村田 和人、杉 真理、岸 正之、山本 達彦といったCITY POPの世界でアーティストとして活動、あるいは活動経験も持つ素晴らしい作家陣です。
林 哲司はプロデューサーとして、1stアルバムの反応が今ひとつだった事の反省も含め、練って作られたアルバムだなと感じます。プロデューサー・林 哲司のセンスの冴えを感じる1枚になっています。

『児島 未散 / KEY OF DREAMS』
01. key of dreams / 作詞:吉元 由美 / 作曲:林 哲司 / 編曲:山川 恵津子
02. なまいきCing / 作詞:吉元 由美 / 作・編曲:山川 恵津子
03. 悲しくなんて / 作詞:吉元 由美 / 作曲:林 哲司 / 編曲:山川 恵津子
04. Good-bye summer breeze / 作詞:竜 真知子 / 作曲:林 哲司 / 編曲:松原 正樹
05. 学園のDIARY / 作詞:児島 未散 / 作曲:村田 和人 / 編曲:松原 正樹
06. Sweetest joker / 作詞:吉元 由美 / 作曲:杉 真理 / 編曲:松原 正樹
07. October coast / 作詞:吉元 由美 / 作・編曲:林 哲司
08. 人の岸辺 / 作詞:吉元 由美 / 作・編曲:林 哲司
09. セピアMy true love / 作詞:児島 未散 / 作曲:岸 正之 / 編曲:松原 正樹
10. 月影のサブリナ / 作詞:吉元 由美 / 作曲:山本 達彦 / 編曲:松原 正樹

タイプライターを打つ音のSEとイントロが上手く絡んで始まるCITY POPなナンバー01。洋楽のエッセンスたっぷりのメロディー・ラインと山川 恵津子の洒落たアレンジがよくマッチした好ナンバーです。

打ち込みのリズムながらも軽快なポップ・チューン02。児島 未散のファニー・ヴォイスに似合ったナンバーですね。シンセを巧みに使ったアレンジが面白い1曲です。

アイドル系歌手に歌わせても似合いそうなキャッチーなメロディーとポップ感覚が印象的な03。サビのメロディーがいかにも林 哲司らしい曲です。山川 恵津子の打ち込みを巧みに使ったアレンジも見事です。

竹内 まりやの1stアルバム『Beginning』(1978年)に収録されていた曲のカヴァー04。このアルバムのリリース当時、成城学園に在学中だった児島 未散とデビュー当時の竹内 まりやが、キャンパスにフィットするポップスという事で林 哲司の中でイメージがオーヴァー・ラップしたのかも知れませんね。名曲ですね。

キャンパス・ポップスのど真ん中といった感じの05。村田 和人らしい明るいポップなメロディーを持った1曲です。同じキャンパス・ポップスでもデビュー当時の竹内 まりやに比べると、若干子供っぽいところがインパクトの弱さに繋がってしまっているのが残念な気がします。

日本を代表するポップス・メイカー、杉 真理が書いた底抜けに明るいポップ・チューン06。安心して聴けるナンバーですね(笑)

今の時期にピッタリなナンバー07。どことな杉山 清貴の世界にも通じるような爽やかなナンバーです。当たり前なのかも知れませんが、林 哲司の書いたメロディーに1番似合うアレンジは、やはり林 哲司自身のアレンジなんだなと感じた1曲でした。

林 哲司の本領発揮という感じのしっとりとしたバラード曲08。素晴らしいバラードなんですが、児島 未散が歌うには少々荷が重い難しい曲かも知れません。しかし、なかなか頑張って歌っていますね。良い曲です。

現在は作曲家と活躍していますが、1982年頃はアーティストとして活躍しており、密かに当時のアルバムをCD化して欲しいと願っている岸 正之が作曲したキャッチーなポップ・ナンバー09。松原 正樹のアレンジとギターが爽やかで心地良いです。

アルバム中で異色と言えばこの10でしょう。山本 達彦らしい渋いセンスが光るJAZZYなナンバーです。松原 正樹のアレンジも素晴らしく、ピアノと松原 正樹のJAZZYなギター・プレイが光っています。アダルト・ポップスという印象の1曲ですね。

さすがに林 哲司のプロデュースだけあって、バラエティに富んだ楽曲を揃えていながらもよくまとまっているアルバムだと思います。曲もアレンジも良いと思うのですが、ネックは児島 未散のヴォーカルという気がします。これだけバラエティに富んだ曲を上手く歌いこなしていると思いますし、声も悪くない・・・。
しかし、インパクトがないんですね。これは技巧的な部分よりもむしろキャラクターの弱さだったり、表現力の乏しさなのかも知れません。あるいは存在感そのものかも知れませんね。
林 哲司フリークであれば聴いておいて損の無いアルバムですし、CITY POP好きな人にも結構気に入ってもらえるアルバムだと思います。BOOK OFFなら250円程度で買えると思いますので、興味のある方は聴いてみて下さい。
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中谷 隆博_LIFE SIZE ◇ 2007年 06月 09日
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角松 敏生が自身の活動を凍結中に、プロデューサーとして活動を精力的に行っていた時代のプロデュース作品の一つ、中谷 隆博のデビュー・アルバム『LIFE SIZE』(1996年)を紹介しましょう。
九州は熊本の出身らしいですが、どういう経緯で角松のプロデュースでデビューしたのかは不明ですが、角松のレーベルであるiDEAKからリリースされています。現在はTAKAHIRO名義で活動を続けているようですが、アルバムは『LIFE SIZE』以降はリリースされていないようです。

中谷の音楽のルーツはR&B、ソウル系の音楽にあるようで、アルバム収録曲10曲中7曲が中谷の作詞・作曲によるものですが、ソウルっぽい匂いにする曲が多いように思います。残り3曲を角松が書き下ろした作品になっており、アレンジは角松が7曲、山田 洋が1曲、山田・角松コンビで2曲です。ドラムレスの打ち込みサウンドが主体ですが、中谷のハスキーな声と割りと素直な歌い方に合わせたのか、比較的角松の打ち込みにしては大人しめなのが好感が持てます。

『中谷 隆博 / LIFE SIZE』
01. gala ~ 涙色のエンジェル
02. Marionette
03. Jungle²
04. 君を忘れない
05. シェリー
06. LAST MESSAGE ~ 星の王子様が帰る日
07. MASOCHISTIC LOVE
08. カサゴ
09. Tears
10. Sailor peaple

作詞・作曲:中谷 隆博、編曲:角松 敏生によるデビュー・シングル01。アフリカン・ビートにのせたソウルフルなナンバー。勝田 一樹のサックス・ソロがフィーチャーされている他は全篇打ち込みです。

作詞・作曲・編曲:角松 敏生による02。中村 キタロー(b)、浅野 祥之(g)、勝田 一樹(sax)が参加したドライヴ感溢れるナンバーです。角松、伊藤 恵子によるコーラス・ワークがなかなか良いですね。

作詞・作曲:中谷、編曲:山田 洋、角松によるヒップ・ホップ系のアレンジが印象的な03。キャッチーなメロディーと中谷の歌声が魅力のナンバーです。間奏でのスリリングなシンセ・ソロは難波 弘之です。角松がコーラスではりきってます(笑)

作詞・作曲:中谷、編曲:山田、角松によるミディアム・メロウなナンバー04。小林 正弘を中心としたホーン・セクションと春名 正治(sax)と浅野 祥之(g)が参加しています。目立ちませんが、浅野 祥之のギター・カッティングがかなり格好良いですね。

軽快でノリの良さが特徴の05。作詞・作曲:中谷、編曲:角松によるナンバーですが、アルバム中でアレンジが1番好きな曲です。この位軽めの打ち込みサウンドだと、結構心地良いですね。間奏のトランペット・ソロは名手・数原 晋です。大好きな曲です。

作詞・作曲・編曲:角松による3rdシングル曲06。控えめなアレンジの美しいバラード曲です。吉川 忠英のアコースティック・ギターと中西 俊博のヴァイオリンが美しく響きます。

作詞・作曲・編曲:角松によるミディアム・バラード07。中谷の個性にピッタリなナンバーを書いていると思います。やはり角松にしては控えめな打ち込み、コーラス・ワークが功を奏しているのではないでしょうか。サックス・ソロは勝田 一樹です。

作詞・作曲:中谷、編曲:山田 洋によるコミカルなナンバー08。レゲエ調のアレンジとユーモラスな曲とがマッチしていて楽しい曲に仕上がっています。故郷の有明海でもカサゴ釣りを題材にした曲で、途中監視員の役で故・浅野 祥之の生声が入っています。結構好きな歌です(笑)

作詞・作曲:中谷、編曲:角松による2ndシングル曲09。アルバム中で最もポップなナンバーですね。ラテン色の強いサウンドが特徴で、勝田 一樹のサックス・ソロと伊藤 恵子のコーラス・ワークに注目して欲しい1曲。

作詞・作曲:中谷、編曲:角松によるゴスペル調のスケールの大きなナンバー10。数原 晋のホーン・アレンジと角松のリズム・アレンジが絶妙なバランスで、キャッチーなメロディーを壮大なゴスペル・ソング風に仕上げています。村田 陽一のトロンボーン・ソロ、勝田 一樹のサックス・ソロとゴスペル調のコーラス・ワークが素晴らしい1曲です。

1996年頃の角松は積極的にプロデュースの仕事をしており、良い作品を結構作っていましたが、セールス的にはいまひとつといった感じだったように思います。いつの時代でもそうですが、良い作品が売れるとは限らないのが音楽業界の難しいところですよね。角松の一連のプロデュース作品も良い作品なんですが、厳しい見方をするとインパクトに欠けてるような気がします。ヒット・チャートを支えているのは、いつの時代でも10代~20代の若者達なんですよね。その若者達が飛びつくような要素が見当たらないようにも感じます。
レコード会社も良い作品が売れることが1番望ましいのでしょうが、売れる作品を優先するのも当然な話です。今の時代、プロデューサーには厳しい時代かも知れませんね。
決して派手さはないですが、良い曲が多く歌声も良いですから気持ち良く聴けるアルバムとしてもお薦めです。現在では入手困難だと思いますが、中古店でたまに格安で見かけます。興味のある方は根気良く探してみて下さい。
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FUSE AKIRA MEETS KADOMATSU_Estimado ◇ 2007年 05月 18日
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今回紹介するのは、布施 明が角松 敏生のプロデュースで、角松のレーベルであるiDEAKから1996年にリリースしたアルバム『Estimado』です。1993年にアーティストとしての活動を凍結した角松は、自身の活動を解凍するまでプロデューサーとして積極的に活動していました。この『Estimado』が発表された1996年だけでも、角松がプロデュースした作品は覆面バンド・アガルタのメジャー・デビュー盤、中谷 隆博、神櫻(JIMSAKU)、VOCALAND、元バービー・ボーイズのKONTA等。プロデューサーとして最も充実していた時期で、作品も多彩で内容の濃い作品が多かったですね。この頃は、別にアーティストとして活動を復活せずにプロデューサーに専念しても良いだろうと、私は本気で思っていました(笑)

さて、角松と布施 明とのコラボレーションは、ラジオで角松の「君をこえる日」という曲を聴いて感動した布施 明が、自分でも歌いたいと角松側にコンタクトを取ったのがきっかけとか・・・。
1980年代に入り、歌謡曲の衰退と共に布施 明にように実力のあるシンガーでも、その活躍の場が少なくなっていたのは明白で、そんな時期に自分がいくらアルバムをリリースしたくても所属レコード会社からOKが出ないのは容易に想像出来ます。そこで角松は自分のレーベルからリリースすることにしたんでしょうね。ですから布施 明という個人名では契約上の問題もあって、「FUSE AKIRA MEETS KADOMATSU」というコラボ名義にしたんだと思います。

このアルバムがリリースされた当時、このアルバムが脚光を浴びればいいなと本気で思っていました。
実力があってもセールス的に見込めなければアルバム・リリースさえ困難という日本の音楽業界に一石投じて欲しかったのだと思います。売れないのはシンガーの問題ではなく、取り巻く制作スタッフの問題でもあるんだよと気付いて欲しいと思っていました。

このアルバムの帯には「新生・布施 明のスタイリッシュA・O・Rここに誕生!!」とあります。布施 明の歌の実力をAORなサウンドで蘇らせようという試みは成功だったと思いますし、難無く歌いこなしてしまう布施 明の実力に改めて驚かされました。

『FUSE AKIRA MEETS KADOMATSU / Estimado』
01. IF YOU LOVE SOMEBODY
02. MISTY CONNECTION
03. ありがとう
04. L' Air du Temps
05. TEA FOR TWO ~二人でお茶を~
06. 霧の摩周湖 INTERLUDE
07. 君をこえる日
08. AROUND THE WORLD
09. ありがとう (Ultra SETAGAYA Mix)

角松の作詞・作曲・編曲によりビートの効いたAORチューン01。今 剛のギター・ソロが素晴らしく、布施 明の伸びやかな声も気持ち良いナンバーです。出来れば打ち込みではなく、生ドラムでグルーヴを出した方がもっと良かったかも・・・。

アルバム中で1番好きなナンバー02。角松の作品です。私個人的な感想ですが、おそらく布施 明のヒット曲「君は薔薇より美しい」を意識して作ったのではないかと思っています。メロディーもキャッチーですし、「君は薔薇~」のミッキー吉野のアレンジに通じるものがあって楽しいですね。小池 修のサックスも素晴らしいのですが、途中のラップは必要無かったと思います。

細野 晴臣の作詞・作曲による小坂 忠のナンバーのカヴァー03。シングル・カットされた曲ですね。ヒップ・ホップ風なアレンジが絶妙にメロディーに似合ってます。意図的に丁寧に歌っている布施 明の歌も印象的です。この曲でラップを入れているのはOKだと思います(笑)

角松作品04は、バラード・ナンバーです。村上 秀一が参加しており、間奏では故・浅野 祥之のエモーショナルなギター・ソロを聴くことが出来ます。こういうスケールの大きな歌は、布施 明の最も得意とするところで期待通りの歌を聴かせてくれます。

布施 明の作詞、角松の作・編曲による軽快なミディアム・ナンバー05。村上 秀一のカチッとしたリズムが心地良いAORなナンバーです。村田 陽一のトロンボーンがフィーチャーされています。

布施 明の代表曲を大胆にアレンジし、インタールードとして使用した06。

布施 明の思い入れの強い07は、角松自身が1992年にリリースした曲ですね。正直なところ、角松のオリジナルよりも歌・アレンジ共に布施ヴァーションの方が好きですね。吉川 忠英の柔らかなアコースティック・ギターの音色と八木 のぶおのハーモニカ、後半での角松との合唱が心に沁みます。エンディングで角松のギター・ソロも印象的です。

アフリカン・ビートのノリが心地良いポップ・チューン08。当時の角松の作る曲は、ある意味ストレートなポップ且つキャッチーなメロディーの曲が多かったと思うのは私だけ?(笑)

03を内沼 映二と角松の手によってリミックスされた09。

このアルバムの為に書き下ろされた角松の曲(メロディー)は好きですね。AORな作品と呼ぶに相応しいとも思います。しかし、アレンジに関しては疑問なんですね。
と言うのも、このアルバムで聴けるサウンドは、角松の音楽が好きな人には抵抗無く受け入れられると思いますが、古くからの布施 明ファンには果たして受け入れられたのか?と・・・。
打ち込みではなく、バンド・サウンド(もちろんお金はかかりますけど)による丸いサウンドであったならより極上なAOR作品になって、年配の方にも聴き易かったのではないかなと思います。
それでも新生・布施 明の存在の証明としては申し分の無いアルバムですね。
角松の数あるプロデュース作品の中で、あまり語られる事の少ないアルバムですし、個人的に好きなアルバムなので今回取り上げてみました。
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PATTI AUSTIN_HAVANA CANDY ◇ 2007年 05月 09日
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最近、プロデューサーのカテゴリで記事を書いていないことに気付き、過去の記事を読み返してみたところ、大好きなのにまた登場していないプロデューサーがいました。
今回はそのプロデューサーの作品を紹介します。そのプロデューサーは、デイヴ・グルーシンです。FUSIONの立役者とも言える作曲家、アレンジャー、プロデューサーであり、素晴らしいキーボード・プレイヤーであるデイヴ・グルーシンが1977年にプロデュースした作品で、素晴らしいシンガーのパティ・オースティンの2ndアルバム『HAVANA CANDY』です。
共同プロデュースは、デイヴ・グルーシンと言えばお馴染みのエンジニア、ラリー・ローゼン。

以前、パティ・オースティンのデビュー・アルバム『END OF RAINBOW』を紹介しましたが、その時のプロデューサーはクリード・テイラーでした。今回のCTIからの第2弾『HAVANA CANDY』では、デイヴ・グルーシンのアレンジャーとしての才能と、パティ・オースティンのソング・ライティングの才能が上手く噛み合い、前作以上のFUSION色の強いサウンドとパティ・オースティンの極上のヴォーカルが堪能出来る1枚です。

デイヴ・グルーシンの繊細で緻密なサウンドを支えているのは、
Drums : スティーヴ・ジョーダン
Bass : ウィル・リー、アンソニー・ジャクソン、フランシスコ・センテノ、フランク・グラヴィス
Guitar : エリック・ゲイル、スティーヴ・カーン、ヒュー・マクラッケン
Keyboards : デイヴ・グルーシン、リチャード・ティー
Percussion : ラルフ・マクドナルド
Sax : マイケル・ブレッカー、ロニー・キューバー
Flute : デイヴ・ヴァレンティン
という豪華メンバーです。

『PATTI AUSTIN / HAVANA CANDY』
01. THAT'S ENOUGH FOR ME (私は満足)
02. LITTLE BABY
03. I JUST WANT TO KNOW
04. HAVANA CANDY
05. GOLDEN OLDIES (素晴らしいオールディーズ)
06. I NEED SOMEBODY (誰か愛して)
07. WE'RE IN LOVE (恋の気分)
08. LOST IN THE STARS

パティ・オースティンとデイヴ・グルーシンの共作によるメロウ・ナンバー01。これは名曲ですね。リー・リトナーがアルバム『The Captain's Journey』でカヴァーしてるので知っている人もいるでしょう。シンセ・ソロやギターのリフが印象的ですが、ソウルフルなパティ・オースティンのヴォーカルが素晴らしい1曲。

ミディアム・アップ・テンポのソウルフルなナンバー02。リチャード・ティーらしいピアノ・プレイ、マイケル。ブレッカーの熱いサックス・ソロがこの曲のハイライトですね。シャウト気味のヴォーカルと二重唄の迫力が凄いです。パティのオリジナル曲です。

マイケル・ブレッカーの哀愁漂うサックス・ソロで始まるスロー・バラード03。この曲では艶のあるしっとりとした歌声を聴かせてくれます。美しいストリングスとエリック・ゲイルの渋いギターが印象的です。パティのオリジナル。

アルバム・タイトル曲04は、陽気なカリプソのリズムの楽しいナンバーです。Hi-Fi SETがカヴァーしていましたね。ティンパレスと軽快なフルートを聴かせてくれるのは、デイヴ・ヴァレンティンです。抑え気味ですが、ホーン・セクションのプレイが曲を盛り上げています。パティの後半のスキャットも聴き所です。パティのオリジナル。

観客の大歓声と拍手のSEを入れていかにもライブ風に仕立てた05は、オールディーズ風なロック・ナンバーです。圧巻はマイケル・ブレッカーのサックスとパティ・オースティンのスキャットのユニゾンですね。パティのヴォーカルに圧倒されます。パティのオリジナル曲です。

ゴスペル・タッチのバラード曲06。エリック・ゲイル、リチャード・ティーの二人のプレイがフィーチャーされたStuffっぽいサウンドが魅力なナンバーです。デイヴ・グルーシンは控えめなプレイに徹していて、二人の素晴らしい演奏に花を添えています。パティのオリジナル曲。

メロウなミディアム・ナンバー07。この曲でのデイヴ・グルーシンのアレンジは、オーソドックスなもので控えめな感じさえしますが、パティのヴォーカルが極めて淡々としたストレートな歌い方なのでこの方がしっくりきます。この辺りのセンスの良さを感じますね。これもパティのオリジナル曲です。

最後を飾るの10は、1946年に作られたスタンダード・ナンバーのカヴァーです。ストリングスとデイヴ・グルーシンのピアノの美しい音色にうっとりさせられます。ドラマティックなパティの歌声を堪能できる1曲。

どんなタイプ、ジャンルの曲でも歌いこなしてしまう歌唱力、表現力の素晴らしさは、もはや多くを語る必要は無いでしょう。それより1番驚いたのは、彼女のソング・ライターとしての素晴らしい才能ですね。
1stアルバムでもその才能は輝いていましたが、このアルバムではその輝きに磨きがかかっていますね。
全8曲中1曲がカヴァー、1曲がデイヴ・グルーシンとの共作以外、全てパティ・オースティンの作詞・作曲なんですね。アルバムを聴いてもらえれば分かりますが、本当に良い曲を書いています。これだけの曲が書けて、これだけの歌が歌えるのですから・・・、溜息しか出ません(笑)
今から30年前の作品ですが、FUSION好きな人にもAOR系の好きな人にも気に入ってもらえるアルバムだと思います。名盤ですよ!
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毎回好きなアルバムを紹介するブログなので、時には洋楽系のアルバムも紹介しているのですが、正直なところ邦楽(J-POP)に比べると洋楽には疎いのです(笑)
そんな私が洋楽のアルバムを購入する基準は、友人・知人に薦められたり、音楽雑誌やブログ仲間の皆さんの記事を参考にするといった感じです。そして実際にレコード店や中古店で洋楽アルバムを購入する場合、その多くがいわゆる"クレジット買い"ですね。
アルバムの主役となるアーティストの事など知らなくても、参加しているミュージシャン、作家、アレンジャー、プロデューサーが自分好みなら買ってしまうというものです。特にAORがブームとなった1970年代後半から1980年代前半にかけて、私と同じようにクレジット買いしていた洋楽ファンも多いのではないでしょうか(笑)

今回紹介するアルバムも典型的な"クレジット買い"の1枚です。購入の決めてとなったクレジットに書かれていた人物はと言うと、敏腕プロデューサーであるトミー・リピューマでした。
FUSION系の音楽も大好きな私にとって、トミー・リピューマというプロデューサーは別格という感じの人ですし、実際トミー・リピューマのプロデュース作品は全てお気に入りのアルバムでしたから、トミー・リピューマのプロデュースであれば何の心配もせず買える訳です。

前置きが長くなりました(汗)が、今回紹介するアルバムはダン・ヒックス&ヒズ・ホット・リックスが1972年にリリースした3rdアルバム『STRIKING IT RICH』です。トミー・リピューマがプロデュースしているという理由だけで購入しましたから、ダン・ヒックスの事なんて全く知りませんでした。どんな経歴、どんな音楽ジャンルなのかも知らずに購入しましたが、やはりトミー・リピューマがプロデュースしているだけはありますね。大当たりの1枚でしたね。
彼等の音楽を説明するのは非常に難しいのですが、アコースティック・スウィングとかカントリー・スウィングと言ったら分かりやすいかも知れません。
サイケデリック、オールド・ジャズ、ヒルビリー、フォーク、ハワイアンという様々な要素が盛り込めれており、実に聴いていて心地良い音楽を届けてくれるのです。

アコースティック・ギター2本(リード、リズム)、ヴァイオリン、ウッド・ベース、女性コーラス2人の6人編成で、多少のパーカッションは使うもののドラム・レス。それなのに実に気持の良いスウィングを披露してくれます。余計な事は一切考えずに、ただ気持ち良さだけに浸っていられるアルバムですね。

『DAN HICKS AND HIS HOT LICKS / STRIKING IT RICH』
01. YOU GOT TO BELIEVE
02. WALKIN' ONE AND ONLY
03. O'REILLY AT THE BAR
04. MOODY RICHARD (The Innocent Bystander)
05. FLIGHT OF THE FLY
06. I SCARE MYSELF
07. PHILLY RAG
08. THE LAUGHING SONG
09. CANNED MUSIC
10. I'M AN OLD COWHAND (From the Rio Grand)
11. WOE, THE LUCK
12. PRESENTLY IN THE PAST
13. SKIPPY'S FAREWELL
14. FUJIYAMA

思わず体が左右に揺れてしまうスウィンギーな01。
マリア・マルダーがアルバム『MARIA MULDAUR』でカヴァーしていた名曲02。
酒に酔ったおじさんがご機嫌で歌っているような陽気な03。
ニック・デカロのストリングス・アレンジの美しさと、シド・ペイジのヴァイオリンのサイケ風な演奏が際立つ04。
カントリー調でスピーディーな演奏が渋いインスト・ナンバー05。
またもシド・ペイジがヴァイオリンを弾きまくるジプシー風06。
タイトル通り底抜けに明るいカントリー・ソング08。
なんともゆったりとした気分にさせてくれる09。
一気に南国気分にさせてくれるハワイアン調の10。
一転してスパニッシュな香り漂う11。
どこか懐かしい感じのするフォーク・ソング風な12。
笑っちゃう位にテンションの高い歌が笑える13等・・・・。

国籍や音楽のジャンル等は全く無視、とにかく楽しい歌があればそれで十分みたいなアルバムです。リード・ギターを担当するジョン・ガートンとヴァイオリンのシド・ペイジの確かなテクニックが緊張感あふれる演奏と、ダンや女性コーラスの緩い感じのヴォーカルが絶妙なマッチングです。とにかくこの気持ち良さは聴かないと伝わらないかも知れません。興味があったらぜひ聴いてみて下さい。

それにしてもトミー・リピューマの懐の広さに驚くのと同時に、1971年という時代の録音にも関わらずクリアな音であること(エンジニアはBruce Botnickですから当然かも)やニック・デカロのストリングス・アレンジの素晴らしさが、このアルバムをより心地良いものにしてくれている気がします。
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桑田 佳祐プロデュースによるサザンオールスターズの紅一点、原 由子の1stソロ・アルバム『はらゆうこが語るひととき』を紹介します。
サザンオールスターズの3枚目『タイニイ・バブルス』と4枚目『ステレオ太陽族』との間の時期(1981年4月)にリリースされました。このアルバムがリリースされた翌年、桑田 佳祐と結婚しましたね。

クリスマス企画も継続中ですから、もちろんクリスマス・ソングも当然収録されています(笑)
このアルバムの特徴を一言で言うなら、ごった煮。POPS、JAZZ、昭和歌謡、民謡等の様々な音楽スタイルを取り入れた、バラエティに富んだアルバムになっています。
私は、1981年のこのアルバムがリリースされた当時、アルバムを聴いて感じた率直な感想は、原 由子のヴォーカリストとしての可能性と桑田 佳祐のソング・ライティングの才能の豊かさでしたね。はっきり言ってハチャメチャなんですよ。でも決して悪い意味ではありません。おそらく、プロデューサー・桑田 佳祐は、原 由子の可能性を探る意味もあって、様々な曲を用意したんじゃないかと思ってます。アルバムとしての纏まりは感じませんが、新鮮でインパクトは十分でした。

『原 由子 / はらゆうこが語るひととき』
01. My Baby Shine on Me
02. おしゃれな女(Sight of my court)
03. I LOVE YOU はひとりごと
04. しっかりJhon-G
05. うさぎの唄
06. がんばれアミューズ
07. いにしえのトランペッター
08. Loving You
09. 幸わせなルースター
10. Last Single X'mas

桑田の書いたポップ・チューン01。アルバムの冒頭を飾るに相応しい明るい曲調です。斎藤 誠のギターで参加しているおかげで、サザンとは違ったサウンドになっています。
斎藤 誠の作詞・曲によるボッサ調の洒落たナンバー02。これは良い曲です。こういう曲調に原 由子の声は、よく似合う気がします。
昭和歌謡ムード満点の03。こんな曲は桑田にしか書けませんね。しかし、こういうスケベな歌詞を女性に歌わす桑田も桑田ですが、平然と歌ってしまう原 由子も恐ろしいですね(笑) 大体オカマのナレーション入りの曲なんて、他にありますか?恐ろしい話ですが、シングル・カット曲です。
原 由子の作詞・曲による04。なかなか面白い曲ですね。どことなく哀愁のあるメロディーで、フォーク・ソングっぽいところもあり、癒し系の曲と言えるかも知れません。
作詞/関口 和之、作曲/宇崎 竜童による05。もうこれは立派な民謡ですね。不思議に原 由子の歌声にぴったりと嵌っているのが面白いです.
自分所属事務所の社員、役員の事を歌った06。作詞は桑田、作曲は桑田とジャズ・ピアニストの八木 正生の共作です。八木 正生によるスウィング・ジャズ風アレンジがお洒落ですが、それにしても自分の会社の役員に意見するような歌を作って、歌わせてしまうという怖いモノ知らずの桑田が恐ろしいです(笑)
07も06と同じく作詞が桑田、作曲が桑田・八木のコンビによる4ビート・ジャズ風なナンバー。途中で桑田のサッチモの物真似が聴けます。
原 由子作詞、演奏しているメンバーで作曲したポップ・チューン08。キャッチーなメロディーで、好きな曲のひとつです。ウエスト・コースト風なサウンドが爽やかで、原 由子の声質を活かした曲だと思いますね。
02の短いインストに続く09は、原 由子の作詞・曲のナンバーです。ウエスト・コースト・ロックやサザン・ロックの影響を感じるロック色の強い曲です。

さて最後は、クリスマス・ソング10です。作詞/桑田 佳祐、作曲/桑田 佳祐、八木 正生、編曲/八木 正生による美しいメロディーとJAZZYなアレンジが印象的なクリスマス・ソングです。毎年クリスマスが近くなると必ず聴きたくなるナンバーです。この曲のタイトル「Last Single X'mas」というのも意味深だと思いませんか?この曲のレコーディングの時には、桑田と原は結婚することが決まっていたんじゃないかと思います。だから「独身最後のクリスマス」になったんでしょうね。

オリジナルのクリスマス・ソングというのは、歌詞やメロディーももちろん大事ですが、それらしい雰囲気を出すアレンジが凄く重要なファクターだと思っています。
そう言った意味では、このアルバムのクリスマス・ソング10は八木 正生のアレンジが大きい役割を担っていると思います。アレンジャーというのは難しい仕事ですね。

次回は、オリジナルのクリスマス・ソングの中でも大好きなアレンジの曲を紹介しようと思っています。
お楽しみに(笑)
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SONIA ROSA_Samba Amour ◇ 2006年 11月 18日
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私の大好きなサウンド・クリエーターである大野 雄二が、1979年にプロデュースしたソニア・ローザのアルバム『Samba Amour』を紹介します。大野 雄二は、ルパン三世の音楽や映画「人間の証明」の音楽等で、作曲家としての知名度が高いですが、アレンジャー、ジャズ・ピアニスト、プロデューサーとしても素晴らしい才能を発揮している人です。
このブログでも、既に大野 雄二関連のアルバム、『SPACE KID』『Original Soundtrack from LUPIN Ⅲ』の2枚を紹介しました。

ソニア・ローザは、10代で自国ブラジルでデビュー。その後、日本のレコード会社に認められ、1970年にアルバム『SENSITIVE SOUND OF SONIA ROSA』で日本デビューします。1967~1969年頃は、日本でボサノヴァが大流行したらしく、その影の立役者があの渡辺 貞夫だったという事です。このソニアの1stアルバムも渡辺 貞夫の全面的なバック・アップを受けて制作されたもののようです。その後、渡辺 貞夫のバンドで暫くの間、歌っていたようです。ソニアは、ギターを弾くし作曲もするのですが、譜面が全く読めず全て自己流だったらしく、渡辺 貞夫のバンドに在籍していた頃は、渡辺から「譜面を勉強しろ!」と叱られたとか・・・(笑)
渡辺のバンドに在籍中、大野 雄二と出会い1979年にこのアルバムがリリースされるに至ったようですね。
やはり本格的なジャズの渡辺 貞夫よりも、FUSION色の強い大野 雄二の方が、ソニアのコケティッシュな独特な声や、自由奔放な雰囲気を上手く活かした作品を制作している気がします。

『SONIA ROSA / Samba Amour』
01. Te Quero Tanto (I Love You, So)
02. 夏のイマージュ
03. Fim De Semana (Weekend)
04. Last Samba
05. Charlie, My Darling
06. Tudo E Voce (All Of You)
07. Fei Jao Queimou (Black Beans)
08. 東京イン・ザ・ブルー
09. Ressalva (Melancholy)
10. Tao So・・・(Always Alone)
11. Socorro Taro! (Help Me, Taro!)
12. Te Quero Tanto (I Love You, So)

イントロを聴いただけで、大野 雄二と判るアレンジの01。作曲も大野 雄二ですが、美しいメロディーのバラード曲で、松木 恒秀のE.ギターと中牟礼 貞則のガット・ギターのコンビネーションがたまらなく格好良いナンバーです。
竜 真知子作詞・大野 雄二作曲による日本語詞のナンバー02。ソニアの声とキュートな感じのメロディーがよくマッチしています。夏の昼下がりにぴったりな感じですね。
ソニアの作詞・曲による03。ブラジルの香り漂うボッサ・ナンバーです。サックスと松木、中牟礼のアコースティック・ギターとガット・ギターのコンビが活躍しています。
大野 雄二作曲によるスロー・サンバ04。美しいストリングス・アレンジと、ナイロン弦でボッサ、サンバ調の曲を弾かせたら右に出る人はいないだろう中牟礼のギターが印象に残ります。間奏での数原 晋のトランペット・ソロも沈むゆく夕陽を連想させてくれるようです。
竜・大野コンビによる日本語詞ナンバー05。ムードたっぷりのバラード曲です。お洒落な都会的なイメージのナンバーだと思います。
ソニアの作詞・曲の06。どこかヨーロピアンな香りのするバラード曲です。
テンポのあるボッサ曲07。ソニアの書いた曲で、何とも可愛らしいソニアのヴォーカルが光る1曲です。
竜・大野コンビによる3曲目の日本語詞のナンバー08。これは良い曲ですね。どこか歌謡曲ぽいメロディーに、渋いリズム・アレンジと美しいストリングスが真夜中の東京のイメージにぴったりです。日本語で歌うソニアの歌は、すごく魅力的に感じます。
ソニアの作品09。囁きかけるようなソニアのヴォーカルが印象的なスロー・ナンバー。
満天の星の下で聴いているような錯覚に陥る10。途中まではまるで子守唄を聴いているようです。アレンジに変化があって面白い曲ですね。
ソニアの息子TAROも登場する11。明るい曲調で、いかにも大野 雄二らしい親しみやすいメロディーが印象的です。TARO君のスキャットと親子の会話が楽しいですよ(笑)
01のリプライズである12。01よりもシックでシンプルですが、味わい深い仕上がりです。

本来、夏向けのアルバムなんですが、今週は仕事が超ハードで疲れきっていて、そんな時こういう癒し系のアルバムが聴きたくなります。
ソニアの歌声が素晴らしく、これほどまでに疲れを癒してくれる歌声というのを他に知りません。また、ソニアの声と大野 雄二の楽曲、アレンジとの相性が抜群ですね。名作だと思います。
しかし、残念ながらこれほど相性が良いのにも関わらず、ソニア・大野コンビによるアルバムは、この作品以降作られていないのが残念です。
現在では入手困難なCDですが、中古店等で見かけたら迷わずに購入する事をお薦めします。癒されますよ!
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