今回取り上げるのは、日本を代表するギタリストの一人である森園 勝敏が1985年にリリースした『4:17p.m.』です。既に当ブログでもこのアルバムから、「PRIVATE SUMMER」、「JASMIN」の2曲の音源を紹介しましたが、収録曲9曲の内7曲がヴォーカル曲でCITY POP/J-POPという印象の強い傑作であると思っている1枚です。
私と同年代の方だと森園 勝敏というと"四人囃子"を思い浮かべる人も多いでしょうし、やはりギタリストというイメージが強いと思います。そんな彼がこのアルバムでは決してお世辞にも上手いとは言い難いのですが、なかなか味わい深いヴォーカルを聴かせてくれます。もちろん控え目ではありますが、ギター・プレイも楽しめます。ベタな言い方をすれば"一粒で二度おいしい"みたいなアルバムに仕上がっています(笑)
面白いのは、本作以前のアルバムはFUSIONレーベル"ELECTRIC BIRD"からリリースされていましたが、本作はビクターの洋楽レーベル"JVC"からリリースされているということですね。目指したのはやはり大人が楽しめるAOR系の音楽ということだったんでしょうね。
私はこのアルバムを聴いて、森園 勝敏はギタリストとしては勿論ですが、ソングライターとしても素晴らしい素質を持っているなと感じました。
参加ミュージシャンは、渡嘉敷 祐一(ds)、青山 純(ds)、鈴木 徹(ds)、岡沢 章(b)、伊藤 広規(b)、渡辺 健(b)、野力 奏一(key)、佐山 雅弘(key)、松浦 義和(key)、マック清水(per)、MALTA(sax)、宮本 典子(cho)、遠藤 ケロ(cho)等です。
これからの季節にピッタリな1枚でお薦めのアルバムなんですが、現在では入手困難なようです。もし聴く機会があったらぜひ!
『森園 勝敏 / 4:17p.m.』
01. PRIVATE SUMMER
02. SHADOW OF THE NIGHT
03. ACCIDENT LOVE
04. AFTER THE RAIN
05. THE BLUE HEAVEN
06. JASMIN
07. SMALL CIGARETTE
08. やるせナイトのB.G.M.
09. WET PAVEMENT
ピックアップ曲:
「SHADOW OF THE NIGHT」 / 作詞:梅本 洋一、作曲:森園 勝敏、編曲:森園 勝敏、新田 一郎、茂木ユタカ
都会的でグルーヴィーなAORナンバーです。個人的に大のお気に入りナンバーで、青山&伊藤の重厚なリズム隊にホーン・セクションが絡み、渋い森園のヴォーカルを宮本&遠藤のFUNKYなコーラスが盛り上げるというアレンジが絶妙な1曲です。夜のドライブで聴きたい、そんな1曲です。
「ACCIDENT LOVE」 / 作詞:梅本 洋一、作・編曲:森園 勝敏
シンプルなバンド・スタイルの演奏なんですが、何とも心地良い風のような曲に仕上がっています。森園のヴォーカルも曲の雰囲気によくマッチしていますね。青山 純と森園のギター・プレイは光っています。
「AFTER THE RAIN」 / 作・編曲:森園 勝敏
夏のスコールの後の爽やかな空気感を感じる極上のインスト・ナンバーです。森園 勝敏のエレアコの音色・プレイと野力 奏一のピアノのプレイに酔いしれてしまう1曲です。私が夏になるとFUSION系の音楽を聴きたくなるのは、こういう曲があるからなんですよね(笑)
「THE BLUE HEAVEN」 / 作詞:梅本 洋一、作曲:森園 勝敏、編曲:森園 勝敏、佐藤 允彦
今ひとつヴォーカルが弱い感じが否めませんが、とにかく佐藤 允彦のアレンジによるストリングスの美しさが際立っているボッサ・テイスト・ナンバーです。メロディー自体も悪くないのですが、ヴォーカルにメロウな感じを出し過ぎって感じが残念です。渋い作曲なのに・・・惜しい。
「SMALL CIGARETTE」 / 作詞:梅本 洋一、作曲:森園 勝敏、編曲:森園 勝敏、野力 奏一
JAZZYなワルツ・ナンバーです。森園 勝敏、佐山 雅弘、渡嘉敷 祐一、岡沢 章の4人によるJAZZYなプレイが実に心地良いです。森園のギターが良いですね。本当に器用なギタリストです。
本当に収録曲全てが魅力的で心地良い曲が揃っており、捨て曲無しの傑作だと思います。夏の夕暮れ時から夜にかけて聴けば、心地良い一時が過ごせること請け合いです。ぜひとも再発して欲しい1枚です。
このアルバムは、気分を気持ち良くさせてくれる曲が詰まってます。
ぜひ機会があったら聴いてみて下さい。
じょんさんの仰るように、歌というのは決して技術的なことばかりではなく、個性とか雰囲気というのも重要なんでしょうね。