決して歌詞はどうでも良いということでは無いのですが、あくまでも興味の対象がサウンドになってしまったに過ぎないのですが・・・。
この頃から歌詞カードを読んだりしていても内容を深く理解しようという感じは無くなってしまいました。
ただ、さだまさしのように歌詞を聴かせることに長けたアーティストの曲は、ちゃんと頭に歌詞が入ってきます(笑)
まるで歌詞に無頓着な私ですが、CITY POP系の音楽に中にも強烈に歌詞が印象に残っている曲もあります。
そんな1曲を今夜は紹介してみようと思います。
その1曲とは、ユーミンが1979年にリリースしたアルバム『OLIVE』に収録されていた「ツバメのように」です。
タイトルのイメージとは裏腹に飛び降り自殺を題材とした曲なんですが、何とも重いテーマでありながらも天才・ユーミンらしく巧みな比喩で表現しています。
最初にこの曲はアレンジが気に入って聴いていたんですが、その重い歌詞の題材に気付き、何とも凄い曲を書くなと驚いたものでした。
数年後の1986年、アイドルの岡田 由希子が事務所のビルの屋上から飛び降り自殺を図ったというニュースを聞いた時、不謹慎かも知れませんが何故かこの曲が頭に流れたのを覚えています。
このような重い題材でありながら、メロディーやアレンジを重くしないという松任谷夫妻のセンスはさすがだと思います。
歌詞に注目して聴いてみて下さい。
「ツベメのように」 / 作詞・作曲:松任谷 由実、編曲:松任谷 正隆
Drums : 林 立夫、村上 秀一、高橋 幸宏
Bass : 高水 健司、細野 晴臣、小原 礼
Electric Guitar : 松原 正樹、今 剛
Acoustic Guitar : Ted M. Gibson
Keyboards : 松任谷 正隆
Percussion : 斉藤 ノブ、Pecker
Trumpet : 数原 晋、羽鳥 幸次、白山 文男、岸 義和、竹田 和三
Trombone : 新井 英治、岡田 澄夫
Sax : 村岡 健、Jake H. Conception、砂原 俊三
Flute : 相馬 充、衛藤 幸雄
Strings : TOMATO
Chorus : 松任谷 由実、山下 達郎、吉田 美奈子、和田 夏代子
(アルバム・クレジットより抜粋)
「あまり美人じゃなかった」/「名も知らぬ掃除夫が、洗い流して行く」
このあたりの歌詞の言葉と表現にある、凄いシニカルでニヒルな「眼」に感服いたしました。
この頃のユーミンは一番売れていないけど、良い曲を作っていました。
その自負と評価に対する静かな怒りをこのような、社会風刺的な一曲にまとめあげているようにも思えました。
こういう曲をメジャーな人は今、出せないように思います。
でも音楽と言うのは、時に社会に対するメッセージですから、ホントはいい話ばかりでなくても、良いと思います。
私も大学時代、友人達の間でユーミンの歌詞について度々話題になりました。ユーミンの歌詞は凄いと。
直接的な言葉で表現するには難しい感情や心情を間接的な表現で聴く者に伝えてしまうのが、ユーミンの凄さなんでしょう。
例えば名曲「DESTINY」の最後の部分、
"どうしてなの 今日にかぎって 安いサンダルを はいてた"なんて
まさに複雑な主人公の気持ちが伝わってきます。
こういう所が多くの女性を魅了してきたのかも知れませんね。
ユーミンのアルバムで1枚だけ選べと言われたら、迷わず『流線形'80』を選びます。
私もそれだけ『流線形'80』に思い入れが強いです。
松任谷姓になった1978年の『紅雀』から1983年の『VOYAGER』あたりまでは
ほぼ半年に1枚のペースでアルバムをリリースしていたんですから、凄いの一言ですよね。
「ツバメのように」を初めて聴いたときは、ショッキングな詞の内容に怖さを感じたくらいでした。
私も、岡田有希子の事件の時にはこの曲が頭によぎりましたよ。
詞の内容からすれば、1年後に発表された「時のないホテル」に収録されていたほうがふさわしかったかもしれないですね。
「時のないホテル」も重い内容の曲が多かったですが、強烈なインパクトがある作品でした。
最近のユーミンの作品には、ハッとさせられるような表現やするどい視線が乏しくなってしまって残念ですね。
アーティストと言えど、その感性が輝く時とそうでない時があるのかも知れませんね。
表現方法が例え変わったとしても、ユーミンならではの視点でこれからも我々を楽しませて欲しいなと思います。
もしかしたら、今という時代はユーミンにとって刺激的では無いということなかも知れませんね。

