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太田 裕美_FEELIN' SUMMER ◇ 2011年 05月 29日
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今回は、5月21日に紹介した太田 裕美の音源「サマー・タイム・キラー」が収録されている1979年制作のアルバム『FEELIN' SUMMER』のレビューです。
私個人的にはサマー・アルバムの傑作だと思っていますし、CITY POP系作品としてもかなり良質な作品で、自信を持ってお薦め出来る1枚です。

私は特に太田 裕美のファンという訳ではありません。アルバムを数枚所有している程度ですから、コアなファンの方々や彼女の作品を聴いてきた方々にとっては、このアルバムがどのように捉えられ、印象を与えたのかは分かりません。
しかし、私に限って言うならばそれまで歌謡曲のフィールドに近いニュー・ミュージックという印象を彼女の楽曲に持っていたんですが、このアルバムによって払拭されました。

まずアルバムを聴いて感じたのは、スタッフがそれまでのイメージと違う"太田 裕美" を全面に出そうという意欲と言うか熱意みたいなものでした。
それは作家陣の起用に現れており、まだソロ・デビューを果たす前の濱田 金吾(浜田 金吾)の楽曲を全収録曲の半分にあたる5曲起用したり、アレンジに当時新鋭だったと思われる戸塚 修を起用しています。
この二人の起用だけでも私にはCITY POP系音楽へのシフトを考えていたアルバムだと思うのですが、如何でしょう?

ヴォーカル・スタイルにも変化を感じました。それまでの "舌足らずの甘ったるい歌声" という印象(あくまでも私の印象です)は消えており、時にパワフルで、時に良い意味で力の抜けた伸びやかなヴォーカルが私を魅了しました。ヴォーカリストとして素晴らしい才能を持っていると感じさせてくれたのが、この『FEELIN' SUMMER』だったんです。

楽曲・ヴォーカル・アレンジ(演奏)の三拍子揃った素晴らしいCITY POPアルバムだと思います。ぜひとも機会があったらアルバムを通して聴いてみて下さい。CITY POPが好きな人にもきっと受け入れてもらえるアルバムだと思いますから・・・。
ただ、ひとつ残念なのはミュージシャン・クレジットが記載されてないことでしょうか。
太田 裕美のアルバムにはミュージシャン・クレジットが記載されていないことが多かったみたいですね。
サウンドを聴けば、当時の一流ミュージシャンが集結しているのは確かです。"このギターは誰だろう" みたいなことを考えながらアルバムを聴くのも楽しいかも知れません。

『太田 裕美 / FEELIN' SUMMER』
01. 掌の夏
02. サマー・タイム・キラー
03. 乱反射(ハレーション)
04. 河口にて
05. A DISTANCE
06. 待ちくたびれて
07. 熱風
08. 午後のプレリュード
09. SHOWER GIRL
10. 星がたり

ピックアップ曲(全曲ですが・・・笑)
「掌の夏」 / 作詞:来生えつこ、作曲:浜田 金吾、編曲:戸塚 修
爽やかで実に心地よいミディアム・テンポのPOPチューン。情景が映像となって浮かび上がってくる来生えつこの歌詞が素敵で、浜田 金吾のキャッチーなメロディーとメロウな太田 裕美のヴォーカルが見事にマッチしています。そして戸塚 修のアレンジも見事の一言ですね。良い曲です。
ギターに松原 正樹、コーラスに山下 達郎、吉田 美奈子が参加しているのは間違い無いと思います。

「サマー・タイム・キラー」 / 作詞:太田 裕美、作曲:浜田 金吾、編曲:戸塚 修
実際にUPした音源を聴いてもらえば、下手な解説は必要ないでしょう(笑)
実に気持ちの良い曲です。うだるような暑い夏のLazy Afternoonにキンキンに冷えたビールやジュースを飲みながら聴きたい、そんな1曲です。個人的には名曲だと信じて疑わない曲であります。
この曲のコーラスも達郎・美奈子コンビが参加していると思われます。八木のぶお(に間違い無いでしょう)のハーモニカの調べが実に良い感じです。

「乱反射(ハレーション)」 / 作詞:来生えつこ、作曲:浜田 金吾、編曲:戸塚 修
まさに "ハレーション" を上手くサウンドで表現している戸塚 修のアレンジが秀逸です。そして01、02とは違って力強さと柔らかさを使い分ける太田 裕美のヴォーカルが光っています。
とにかく演奏が素晴らしいですね。ドラム、ベースのリズム隊の力強さにホーンとストリングスが絶妙に絡んでいます。

「河口にて」 / 作詞:来生えつこ、作曲:浜田 金吾、編曲:戸塚 修
ゆったりしたボサノバ調ナンバー。これも聴いているだけでCOOL DOWN出来そうな心地良い1曲に仕上がっています。左チャンネルのギターは鈴木 茂だと思います。ボサノバという曲調に太田 裕美の歌声は実に良い相性ですね。来生えつこ、浜田 金吾、戸塚 修が三人三様で素晴らしい仕事をしています。この曲も私の大のお気に入りです。

「A DISTANCE」 / 作詞:来生えつこ、作曲:来生たかお、編曲:戸塚 修
これぞ来生姉弟といった感じの可愛らしいナンバーです。子供と大人の世界の隔たりを歌っているのですが、夏の情景に上手くマッチさせていてさすがに来生えつこだと思わせます。この曲もアレンジが凄く良いですね。特に誰かは不明ですがアコースティック・ギターのソロが良いんです。
波の音のSEで曲が終わります。この曲がアナログ盤A面最後だった曲で、B面1曲目がまた波の音のSEで始まるようになっており、アルバムに自然な流れを作っています。

「待ちくたびれて」 / 作詞・作曲:太田 裕美、編曲:戸塚 修
普通ならアナログ盤B面トップには持ってこないような、いわゆる地味な感じのマイナーなバラード・ナンバーです。決して悪い曲ではありません。しっとりと聴かせる太田 裕美のヴォーカルも良いんです。でもB面1曲目のイメージではありません。しかし、CDの時代になって連続して聴ける今、この曲がこの位置で正解であったという気がするんですね。何とも不思議な曲です。

「熱風」 / 作詞:岡田 富美子、作曲:浜田 金吾、編曲:戸塚 修
ご機嫌なサンバ調のナンバーです。
軽快なドラミング、爽やかなフルート・ソロ、まさに熱風のような熱いトランペット・ソロ等素晴らしい演奏に耳に釘付けです。それにしても浜田 金吾という人は色んなタイプの曲を書けるアーティストですね。しかもどれもキャッチーなメロディーばかりなんですから、凄い才能だと思います。

「午後のプレリュード」 / 作詞:白石ありす、作曲:岸ヨシキ、編曲:戸塚 修
"ハリケーン"というバンドのメンバーだった岸ヨシキの作曲によるアコースティックなサウンドが心地良いメロウなナンバーです。エレキ・ギターのバッキングは松原 正樹のような気がしますが、素晴らしいソロは鈴木 茂ではないかと思います。この曲もメロディーを上手く引き立てている戸塚 修のアレンジが素晴らしいです。

「SHOWER GIRL」 / 作詞:岡田 富美子、作曲:太田 裕美、編曲:戸塚 修
太田 裕美もこんな曲が書けるんだと驚いた1曲です。ヴォーカルも力強くて今まで私の太田 裕美のイメージには無かったタイプの曲であり、ヴォーカル・スタイルです。アレンジ的にはこの曲がCITY POP色が1番強いかも知れません。それにしてもどの曲も演奏が本当に素晴らしいです。
この曲のシンセ・ソロもなかなか聴かせてくれますよ。
追記:後書き忘れてましたが、曲の終盤のツイン・ドラムの迫力もかなりのものです。

「星がたり」 / 作詞:来生えつこ、作曲:来生たかお、編曲:戸塚 修
名曲「WHEN YOU WISH UPON A STAR」を彷彿とさせる美しいバラード・ナンバーです。シンプルなアレンジと澄んだ太田 裕美の歌声が満天の星を連想させます。クロージング・ナンバーに相応しい1曲だと思います。
この手の曲を書かせたら来生たかおの右に出る者はいませんね(笑)

全曲レビューして改めて感じたのですが、捨て曲というのが本当に無いアルバムです。
逆に強烈なインパクトを持った曲もありません。しかし、トータル的な纏まり、曲の出来の良さが光る1枚です。
またこのアルバムの良さは、やはり戸塚 修のアレンジによるところが大きいと思っています。
戸塚 修自身も相当力を入れたのではないかという気がします。
くどいようですが、曲・歌・演奏のどれもが良質なアルバムです。興味があったらぜひ聴いてみて下さい。これからの季節に大活躍してくますよ、きっと。
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by kaz-shin | 2011-05-29 20:56 | CITY POP / J-AOR系 | Trackback | Comments(6) | |
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Commented by kotaro at 2011-05-31 07:20 x
すごい、感動しました。
1979年当時、これだけ聴き込んでいた人が、レヴューを書いていたら、もうちょっと評価が変わっていたかもしれません。
私の第一印象は、シングルカット曲が入っていないという、それまでの図式を覆した点にありました。
松本隆ワールドから初めて離れた太田裕美のアルバム。
チャレンジの性格と「アイドル色」を廃そうという意図が見えてきます。
同世代のキャンディーズは前年に引退。ラジオではまだよく掛かっていました。
ピンクレディーもこの頃は勢いが止まり、ニューミュージック系に時代の比重が移ったことが、表れています。

ソニーは、キャンディーズ、山口百恵の70年代から、やがて来る松田聖子の80年代の予兆のとき。
裕美さんのアルバムもやがて大きく舵を切る事になるのですが、
こういう良心的なレビュー記事を、いま、ゆっくりと読ませてもらえることに喜びを感じます。
あの時代に、一生懸命音楽を聴いていた者の、ひとりとして。
Commented by kaz-shin at 2011-06-02 01:14
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
褒め過ぎです(笑)
でも冗談抜きで良いアルバムだと思うので、CITY POPが好きな人にはぜひとも聴いて欲しいという想いをこめて書きました。

今改めて評価されても良い傑作だと思います。
私にとっては演奏が凄く良いので、何回聴いても厭きがきません。
こういうアルバムが1970年代終盤には沢山あったんですから、本当に面白かった時代ですね。
Commented at 2011-06-26 14:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kaz-shin at 2011-06-28 01:50
鍵コメさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
コメントを読ませて頂き、本当に嬉しかったです。
こちらこそ、ありがとうございました。
Commented by DNA at 2011-07-27 01:32 x
太田裕美は’83~’84年が特に好きです。
奇抜で嫌いだという人も多いですけど。
彼女のシティポップは心地よいですね。

今の音楽って後の時代になってから、「いいな~」って言われるようになるのか疑問です。
今は今で好きな曲もたくさんありますけどね。
以前、広瀬香美が「残る名盤を作ろうという気は無い」
と雑誌で言ってましたが、何か悲しい発言・・・。

あと、私、ブログ開けるほどのものじゃないですヨ。
kaz-shinさん、本当に凄いって思いますから。
ブログ開けるほどパソコンに詳しくないですし。
普通の人達からはオタクだと言われるのですが、
オタクの人達からはオタクじゃないと言われてしまう私・・・。
私は一体何なのでしょうね。(オタクと観点が違うらしい。)

ここ2週間の間、10何年も探してきたCDが2枚も買えてラッキー!
1枚はヤフオクで即決・定価!でゲット。(4~5万の場合もあるそうな・・・)
もう1枚はブックオフオンラインにて半額以下でゲット。
基本、ブックオフオンラインはあまり希少盤出ないのですが。
10年以上かかるとこの世にどのくらい現存してるんだろうと思いますね・・・。
Commented by kaz-shin at 2011-08-07 22:09
DNAさん、コメントありがとうございます。
太田裕美さんは今でも現役で活躍されてますね。
先日もBSで彼女の歌を聴きましたが、声量は多少落ちている感じでしたが声質も変わってなかったです。凄いですよね。

ブログなんてパソコンの知識はたいして必要ではありませんよ。
50歳過ぎた私でもやっているんですから・・・(笑)
ぜひチャレンジしてみたら如何です?
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