1970年代にファンクバンド、ルーファス(Rufus)のボーカリストとしてデビューし、1980年代にソロへ転進。強烈な歌声とキャラクターで、根強い人気を持つベテラン女性シンガー、チャカ・カーンが1984年にリリースしたのがこの『I FEEL FOR YOU』です。
あらゆるジャンルの音楽を歌いこなせる才能の豊かさを十分に発揮したアルバムと言えるでしょう。
名匠・アリフ・マーディンの総指揮のもとに、ラス・タイトルマン、デヴィッド・フォスター、ジェイムス・ニュートン・ハワード、ロビー・ブキャナン、デヴィッド・ウォリンスキーといった曲毎にプロデューサーを立てて作られたアルバムです。
商業的な成功を狙ったアルバムと言えるでしょうし、事実大ヒットしたアルバムですね。
ヒップ・ホップ、テクノ風サウンド、バラード等多彩な曲が盛り沢山で楽しい反面、アルバム全体のトータル・カラーみたいなものがぼやけているのも事実ですね。
ただ、チャカのボーカルは、どんなタイプの曲でも凄い歌を聴かせてくれます。
『CHAKA KHAN / I FEEL FOR YOU』
01. THIS IS MY NIGHT
02. STRONGER THAN BEFORE
03. MY LOVE IS ALIVE
04. EYE TO EYE
05. LA FLAMME
06. I FEEL FOR YOU
07. HOLD HER
08. THROUGH THE FIRE
09. CAUGHT IN THE ACT
10. CHINATOWN
マイク・マーフィーとデヴィッド・フランクのユニット、The Systemによる01。バリバリの打ち込み系のシンセ・ファンク・ナンバーです。日本では、角松 敏生が80年代後半にThe Systemとコラボしてましたね。角松好きにはお馴染みなサウンドと言えるでしょう。
02は、邦題「愛は果てしなく」。この曲はバート・バカラックとキャロル・ベイヤーセイガーにブルース・ロバーツが加わって書かれた曲で、最初にキャロル・ベイヤーセイガーがレコーディングしています。そして、ディオンヌ・ワーウィックが1985年に発表したアルバム「FRIENDS」にもこの曲が収録されています。同じバラード曲でありながら味付けが全く違いますので、聴き比べても面白いでしょう。
ラス・タイトルマンのプロデュースによる04は、マイケル・センベロを中心としたセンベロ兄弟が書いた曲ですが、アルバムの中でも比較的落ち着いた作りの曲ですね。トニー・メイデンとマイケル・センベロのギターが冴えたナンバー。
プリンスのカバー曲で、大ヒットした06。HIP HOPのはしりと言っても良いかも知れませんね。「チャ・チャ・チャカ・カーン」のラップとスティーヴィー・ワンダーのファンキーなハーモニカが格好良いですね。しかし、チャカ・カーンは当初この曲というか、HIP HOP自体を嫌っていて歌うのを嫌がっていたとか・・・。それにしては見事に歌いきっているところがさすがです。
そして何と言っても08でしょう。デヴィッド・フォスターとハンベルト・ガティカのプロデュースで、作詞がシンシア・ウェイル、作曲がデヴィッド・フォスター、トム・キーンによるバラードの名曲。やはりアレンジが素晴らしいですね。マイケル・ランドゥのギター・リフが印象的です。角松 敏生の人気の高いバラード曲「Mermaid Princess」(1985年)は、明らかにこの曲に触発されて書いた曲だと思いますね。一度聴き比べると面白いですよ。
シンガーとして大成功を収めたものの、私生活ではアルコール中毒になりかけたり、息子が殺人罪の容疑者で裁判かけられたりで色々あるようです。
しかし、ソロ・シンガーとして花開いた時期の彼女の歌は素晴らしいの一言です。
打ち込み系のサウンドが好きな人、角松 敏生の音楽が好きな人にはお薦めです(笑)
08、ホントに名曲ですよね
何度聴いても聴き飽きません
「Through The Fire」は確かに名曲ですよね。アルバムも時代を感じさせるものの悪くはないと思うんですが、僕的にはRUFUSのときのチャカ(本当はシャカって言うらしいですよ)が大好きなんですよ。
このアルバムは、好き嫌いがはっきり分かれるタイプのアルバムかも
知れませんね。1984年という年代で考えれば、かなり先を行っていた
感じはしますしね。オーソドックスな感じのRUFUS時代が好きという
shintanさんのような方も大勢いるでしょうし、それも頷けます。
どんなタイプの歌も歌いこなしてしまう彼女の実力にただ感服してしまいます。