コンピレーション・アルバムの中には、しっかりとしたコンセプトのもとでシリーズ化されたものも数多く存在します。今回紹介する『SMOOTH』もそんなコンピレーション・シリーズです。
プロデュースと監修は、人気プロデューサーの松尾 潔です。ライナーによると「R&Bをはじめとしたブラック・オリジンの音楽がもたらしてくれる愉しさ、心地良さをSMOOTHという言葉で切り取ったアルバム」が『SMOOTH』シリーズであるとの事。
6作ほどあるシリーズの中で、私が選曲に最も興味を持ち、購入したアルバムが『SMOOTH VINTAGE』でした。21世紀以前、つまり70年代~90年代のSMOOTHなグルーヴを集めたアルバムです。
選曲も良いですし、以前より興味のあったアーティストの曲も収録されていたので購入してみました。
葛谷 葉子はこのコンピをきっかけに遡って聴くようになりました。
とろけるような甘いバラードでもない、強烈なリズムのファンキーでもない、まさにスムースな曲で構成されていて良いアルバムだと思います。
『SMOOTH VINTAGE』
01. TRUE LIES / 葛谷 葉子
02. 真夜中のドア ~stay with me~ / 松原 みき
03. 揺れる体温 (UK mix) / ACO
04. Misty Nauve / 鈴木 雅之
05. BLACK EYE LADY / 吉田 美奈子
06. BURNING (GIVE ME YOUR LOVE) / 羽根田 征子
07. たそがれマイ・ラブ / 大橋 純子
08. TIME STOP / 米米クラブ
09. バイブレイション (LOVE CELEBRATION) / 笠井 紀美子
10. Distance (Remix) / 古内 東子
11. Lamp Shade Blue / GWINKO
12. TAXI / 鈴木 聖美 with RATS & STAR
13. Missing / 久保田 利伸
14. Candy (KC melts "Miss G." Remix) / 具島 直子
お馴染みの曲も多いと思いますが、お薦めしたい曲としてはまず01。葛谷 葉子のデビュー曲であり、1stアルバム『MUSIC GREETINGS VOLUME ONE』に収録されています。松尾 潔がプロデュースなんですが、素晴らしいのは彼女の作曲センスですね。現在は作曲家としても活躍されているようです。R&Bテイストのグルーブ感が魅力的です。
03のACOの作品も、01に似たテイストのナンバーです。ACOの作詞・曲なんですが、一体どういう音楽を聴いて育ったのかが不思議でなりませんね(笑)
04の鈴木 雅之と09の笠井 紀美子のナンバーは、どちらも山下 達郎の書いたナンバーで、達郎自身もセルフ・カヴァーしているので聴き比べると面白いと思います。特に09の曲は、雰囲気がまるで異なっているので1度お試しあれ。
吉田 美奈子プロデュース、作詞・曲の06も注目です。88年のアルバム『Beating Mess』からのナンバーです。羽根田 征子は、伊藤 征子、羽根田ユキコと名前を変えながらも活躍中のようです。
07は大橋 純子の大ヒット曲です。本当はもっと他に良い曲があるのですが、松尾 潔はこの曲のカヴァーを制作したことがあるらしく、この曲の難しさをよく知っていて選曲したようです。作曲家・筒美 京平の作品ですが、たしかに聴いていると感じませんが、歌うとなると非常に難しい曲だと思いますね。大橋 純子は、あえて抑え目に歌っています。上手いからこそ出来る芸当ですね(笑)
アルバム全体の印象としては、比較的落ち着いた雰囲気を持っています。
夜のドライブなどにはピッタリだと思います。季節を問わず聴けるアルバムとしてもお薦めです。
美乃家セントラル・ステーションのメンバーだった福田郁次郎さんがひとり言を書いています。(URL参照)
青木智仁さんが福田さんの追っかけをしていたそうです。
興味深い記事ありがとうございます。
私も美乃家セントラル・ステーションのサウンドには驚かされた人間です
から、青木さんの気持ちもよく分かります。
1970年代半ば頃は、この手のサウンドは一般的には受け入れられない
時代だったように思います。事実、大橋さんがソロで歌ったバラード系の
曲は売れてますからね。
青木さんの貴重なエピソードが読めて嬉しかったです。
WESINGさん、ありがとうございました。