かつては、JAZZやPOPSの世界での演奏形態が、フル・バンドあるいはオーケストラという時代がありました。しかし、ロックやフォーク、そしてJAZZの世界においても3ピース、4ピースというシンプルなコンボ・スタイルでの表現形式が主流になっていきます。少ない人数においても表現が可能だという事が、フル・バンドが勢いを失っていった大きな要因かも知れません。
そんな時勢の中、フル・バンドのアルバムを作りたいと立ち上がったのが角松 敏生でした。
コンセプトは、「ディスコで踊れるフル・バンドの音楽」。プロデュースしたのは、日本を代表するトランペット奏者、数原 晋をリーダーに、スタジオで活躍する第一線のプレイヤー達、総勢17名のトーキョー・アンサンブル・ラボです。トランペット×4、サックス×5、トロンボーン×4、チューバ、ピアノ、ギター、ベース×1の構成によるフル・バンドです。
昔のダンス・ミュージックを支えてきたフル・バンドが、ディスコ・ミュージックというダンス・ミュージックを演奏するという、豪華で斬新なインスト・アルバムです。
そして収められた曲も夏にピッタリなものが多いですから、この時期のBGMとしては最高の1枚と言えるでしょう。プロデュースは、角松 敏生と数原 晋。リリースは1988年でした。
『TOKYO EMSEMBLE LAB / BREATH FROM THE SEASON』
01. LADY OCEAN
02. JUNKY EXPRESS
03. NICA'S DREAM
04. NOBODY CAN DO IT ~ AISHU NO NINI
05. ANGEL FLIGHT ~ LIKE AN ANGEL
06. BLUE SKIES
07. DEJA - BLUES
08. MORNING AFTER LADY
09. MORNING AFTER LADY (REPRISE)
角松 敏生作・編曲による01。いかにも角松らしい夏向きの曲で、マイルド・セブンFKのCFに使われました。打ち込みによるダンス・ビートにダイナミックなブラス・セクションとソロ・プレイが素晴らしいナンバーです。
数原 晋が作曲、アレンジが清水 信之の02。やはり打ち込みのリズムにブラス・セクションを織り交ぜた形ですが、どちらかと言うとJAZZYな仕上がりになっています。
ホレス・シルヴァー作曲によるJAZZのスタンダード・ナンバー03。編曲が前田 憲男の本格的フル・バンドによるJAZZ演奏。ゲストの村上 秀一(dr)、島 健(piano)、幾見 雅博(g)を迎え、素晴らしい演奏を披露してくれます。
数原 晋の作曲、林 有三編曲による04。哀愁漂う数原 晋のトランペットが素晴らしいバラード曲です。夕陽に染まった海辺を連想させてくれます。
私が大好きな05は、清水 信之作・編曲のオリエンタル・ムード溢れるダンス・ミュージック。清水 信之の非凡な才能を感じさせる、そんな1曲です。
アーヴィング・バーリン作曲のJAZZの名曲06。アレンジは鷺巣 詩郎。ゲストの芳野 藤丸(g)を迎え、打ち込みを上手く使ってJAZZYに仕上げています。地味ながらも芳野のカッティングが光ります。
ソロでも活躍しているサックス・プレイヤー、小池 修の作・編曲による07。フル・バンドによるブルース演奏の見本のような曲ですね。ゲストに山木 秀夫(dr)、市川 秀男(piano)という名手を迎えています。ソロ演奏が聴き所のひとつでしょう。
08は、角松 敏生作・編曲によるヴォーカル曲です。ヴォーカルはLe Mel Humes。ゲストにJerry Hey(Fluegel)、佐藤 博(piano)。角松らしいバラード曲です。珍しく自分では歌っていませんが(笑)
正直言ってしまうと、現在の若い世代に受けるかというと疑問ですが、JAZZやFUSIONが好きな人ならば気に入ってもらえるような気がします。
大人による大人の為のインスト・アルバムだという気がします。ドライブのお供にお薦めの1枚です。
「TOKYO EMSEMBLE LAB」に思わず反応してしまいました。
このCDは夏によく聴いてます。特に「ニカの夢」が大好きで、後半のホーンセクションのユニゾンソリの部分が最高ですね。
またお邪魔しますので、よろしくお願いします。
このアルバムはいいですよね
角松作品の01はもちろん
清水作品の05などホントにすばらしい
kaz-shinさんと全く同意見です
03なんか渋くて聴きこんでしまいますよね
またこんなアルバム出してくれないかな~
いつ来るかと心待ちにしていました。
私も大好きなアルバムです。特に「NICA'S DREAM」は名曲・名演ですね(あくまでも個人的にです)。Horace Silverの曲を前田憲男さんのアレンジでこのメンバーによって再現するのはある意味、卑怯かも知れませんね(笑)。
「NICA'S DREAM」は、まさに名演ですね。ビッグ・バンドの醍醐味を
感じる1曲だと思います。
前田 憲男さんのまさにこれがプロというアレンジが素晴らしいですね。
やはりJAZZの基礎が無いと出来ないアレンジだと思います。
節操の無い音楽ブログですが、また覗きに来て下さい。
milkybarさんのブログにもお邪魔しますので、これからも
よろしくお願い致します。
このアルバムを聴いてるとプロの演奏だなって感じます。こういう大人も
楽しめる音楽が最近少ない気がします。
とくにこういうフル・バンドの素晴らしい演奏をもっと聴けたらなと思います。
「NICA'S DREAM」は、FUSIONさんと同じで名曲・名演だと思います。
とにかくポンタさんのドラミングや島 健さんのピアノ・ソロ、ブラスのコンビネーション
全てにおいて渋い曲だと思います。
角松さんもプロデューサーとして、あまり自分を出さず(いつもよりって意味ですが・・・笑)
に良い仕事したなと思いますね。
やはり好きでしたか!そうですよね。
角松さんのプロデュースの割りには、それほど角松色が強くないですし、
なにしろ楽曲の良さとこれがプロというような演奏が素晴らしいですね。
今日も一日中聴いてました。
「MORNING〜」を聴くと当時プロデュースしてた中山美穂の「FAR AWAY〜」を思い出します。
いつもJunさんのブログでコメントを拝見してましたので、名前は存じてましたよ。
ご指摘の「Morning After Lady」と中山 美穂さんの「Far Away From Summer Days」を聴き比べてみました。
確かに雰囲気が似てますね。
サビの部分の「My Morning~」と「Far away from」の辺りは特に
そう感じます。よく気付かれましたね。同じ時期のプロデュースなんで
サウンド的、とくに打ち込みの手法がそっくりですよね。
楽しい情報ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
このアルバムは持ってます。目当ては、角松さんと数原さん目当て。
こういうアルバムは、6月の終わりから8月の終わりまで聴きたくなります。
どれも、捨て曲ありませんが、収録曲が少なかったのが残念。
好きなのは、1・3・5・8曲目。
1曲目は、タバコのCMにもなっていたんですが、打ち込みとブラスの融合は、好きですね。各パートのソロも凄い。数原さんのトランペットソロは、一番しっくりきます。
3曲目の前田憲男さんのアレンジは、ただ凄いの一言。
5曲目は、清水信之さんアレンジでオリエンタルサウンドが心地よいです。
あとは、皆さん若い(ブックレットの写真)ですね。角松さんにしろ、数原さんにしろ。21年前ですから、音は時代を感じますよね。
これ、期間限定で組んだら、良いんじゃないですか。
この全メンバーで揃うのは無理だと思いますが、数原さんが選抜してトランペットはこの方、トロンボーンはこの方、サックスはこの方と。
で、久しぶりにアルバムを出すと。
レスが遅くなってしまい、すみませんでした。
数多い角松さんのプロデュース作品の中でも、プロデューサーに徹した良い作品ですね。
どうしても角松色が強くなってしまう傾向が多い中、アーティストの色を上手く出した傑作だと思います。
夏にピッタリなアルバムなので、これからの季節聴く機会が増えるのは間違いありません(笑)
ホーン・セクションを中心としたフル・バンドって、今ではなかなか聴けないスタイルですから、ぜひともまた夏向きのアルバムをリリースしてくれたら嬉しいですね。