人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Music Avenue
musicave.exblog.jp
Top
BOZ SCAGGS_SILK DEGREES ◇ 2007年 03月 04日
BOZ SCAGGS_SILK DEGREES_e0081370_2064030.jpg 

今回紹介するのは、AOR系の洋楽が好きならば取り上げない訳にいかないアルバムです。今更紹介するのも恥ずかしい位の名盤、ボズ・スキャッグスが1976年にリリースした『SILK DEGREES』です。
1974年にリリースされたニック・デカロの『ITALIAN GRAFFITI』とボズのこのアルバムは、AORの火付け役と言うか牽引車とも言える作品でしょう。特に『SILK DEGREES』のヒットは、他のアーティストやアレンジャーに大きな影響を与えたと思います。特にこのアルバムのアレンジを担当したデヴィッド・ペイチによる都会的で洗練されたアレンジによるサウンドは、それまで白人ブルース・シンガーというイメージの強かったボズ・スキャッグスをソフィスティケイトされたR&Bシンガーに変えたと言えるでしょう。

プロデュースはジョー・ウィザート。参加ミュージシャンは、デヴィッド・ペイチ(arr、key)、ジェフ・ポーカロ(ds)、デヴィッド・ハンゲイト(b)、フレッド・タケット(g)、ルーイ・シェルトン(g)、ホーン・セクションにジム・ホーン、トム・スコット、プラス・ジョンソン、チャック・フィンリー等です。
特筆すべきは、やはりこのアルバムをきっかけにこの2年後にTOTOが結成されたと言う事でしょう。アルバムを聴いていると、TOTOサウンドの礎と感じる曲も多いですね。

『BOZ SCAGGS / SILK DEGREES』
01. WHAT CAN I SAY (何て言えばいいんだろう)
02. GEORGIA
03. JUMP STREET
04. WHAT DO YOU WANT THE GIRL TO DO (あの娘に何をさせたいんだ)
05. HARBOR LIGHTS
06. LOWDOWN
07. IT'S OVER
08. LOVE ME TOMORROW
09. LIDO SHUFFLE
10. WE'RE ALL ALONE

フィリー・サウンドっぽさが心地良い01。コーラスの使い方、ジョー・ポーカロのパーカッション、ストリングスの入れ方なんかフィリー・サウンドそのものって感じですね。短いですがサックス・ソロもかなり良いです。

軽快なジェフ・ポーカロのドラミングとフレッド・タケットのギター・カッティングが印象的な02。ファルセットを使いこなすボズのヴォーカルも見事ですが、どこかシカゴっぽいホーン・セクションがたまらなく格好良いナンバー。

イントロから兎に角魅力的な03。ボズらしさ全開のサザン・ロック風ナンバーで、白眉は何と言っても名手・レス・デューデックのスライド・ギターですね。この曲ははっきり言ってレス・デューデックが主役で、ボズとジェフ・ポーカロが準主役って感じでしょうか?(笑)

アメリカ南部の英雄的シンガー、プロデューサーであるアラン・トゥーサンの1975年にリリースした『SOUTHERN NIGHTS』に収録されていたナンバーのカヴァー04。どこか楽しげにボズが歌っているように聴こえるのは気のせいでしょうか・・・。

私がこのアルバムを初めて聴いたのは1977年頃だったと思いますが、1曲目から聴き始めて思わず鳥肌が立った曲がこの05でした。名曲ですね。当時免許を持っておらず、免許を取ったら車で近くの港へ出かけ、沈みゆく夕陽を見ながらカーステレオでこの曲を聴くのが夢だったことを思い出します。もちろん、その夢は実現させましたが・・・(笑)

続く06も名曲ですね。ファンキーなグルーヴがたまりません。ジェフ・ポーカロのタイトなドラミングが冴えまくります。ハイハットの音が左右のチャンネルで聞えるので、おそらくオーヴァー・ダビングされているのでしょう。ルーイ・シェルトンのギターも頑張ってますね。

短い曲ですが、軽快で明るいポップなナンバー07。デヴィッド・ペイチのピアノが目立ちませんが良い味を出してますね。ストリングスの使い方が上手いなと感じた1曲です。

レゲエ調の08。どんなタイプの曲もさりげなく歌いこなすボズは凄いですね。ジェフ・ポーカロがドラムの他にティムパレスも叩いてます。この曲の演奏で光っているのは、やはりデヴィッド・ペイチとジェフ・ポーカロですね。

ジェフの十八番、シャッフル・ビートの09。この曲が1番TOTOっぽさを感じる曲ですね。ジェフのドラミングはもちろん、ムーグ・シンセの使い方などTOTOっぽいですよね。シングル・カットされた曲です。

一体どれくらいの数のカヴァーが存在するのか、見当も付かないお馴染みの名曲10。解説の必要もありませんね。気になるのはいつ頃から邦題「二人だけ」が付けられるようになったんでしょう。リリース当時には邦題は付いてなかったように記憶しているのですけど・・・。これだけの名曲でありながら、一度もシングル・カットされなかったという事でも有名ですが、日本ではシングルCDが存在するんですね。流石商売上手な日本!詳しくは↓をご覧下さい。

このアルバムを名盤と呼んで異議を唱える人は、まずいないであろう名盤ですね。『SILK DEGREES』のリリース後、1977年に『DOWN TWO THEN LEFT』、1980年に『MIDDLE MAN』とAOR色の強い名盤を相次いでリリースしていきます。まさに黄金時代ですね。
私の敬愛する作・編曲家、プロデューサーの林 哲司もサウンド構築の面で、『SILK DEGREES』には大きな衝撃と影響を受けたと話していました。後に林 哲司プロデュースの映画のサントラ盤『大統領のクリスマスツリー』でボズと共演すると決まったときは、興奮で眠れなかったとか・・・(笑)
それほどまでに多くの音楽に影響を与えた名盤。30年以上経った今聴いても全く色褪せていないのは当然かも知れませんね。



BOZ SCAGGS_SILK DEGREES_e0081370_2091238.jpg 

おそらく商売上手な日本だけのリリースであろうシングルCDです(笑)
「MEGA HITS ON CD SINGLE」というタイトルでリリースされたもののようですね。
「WE'RE ALL ALONE」と「YOU CAN HAVE ANYTIME」という物凄いカップリングです。
8cmのシングルCDというのが時代を感じさせます。
by kaz-shin | 2007-03-04 00:01 | 洋楽系 | Comments(16) | |
Commented by ひと at 2007-03-04 00:32 x
どこか忘れましたがフリーコンサートのドキュメントで、トリを取りたいが
為に、飛行機が遅れただの理由をつけているせこい場面が「シスコの顔
役」との出会いです(笑)。音楽はもちろん最高ですが・・。
Commented by david pink at 2007-03-04 01:31 x
度々恐縮です(笑)
これも良いですよね~。
学生時代のある時期、自分の音楽趣向って何が根拠になってるんだろーと、
自己分析していたんですが、この作品はその結果が出た中の1枚でした。
答えはTOTO(笑)
Bozのボーカルももちろん素晴らしいですが、アレンジが素晴らしい。
雰囲気を創るアレンジ!とでも言うのかな?空間を創るかな?
とにかく、ミドルマンもそうですが、TOTOの貢献は大きいですよね。
この頃、CrossOver(Fusion)やAORを良く聴いていましたが、
どちらもアレンジが陳腐な曲だダメでした。
どうしても情報量が少ないと、飽きちゃうんですよね。
結構、アレンジに弱いんです。
TOTO、David Foster・・・・、日本では鳥山雄司に弱いな~(笑)
マイケルフランクスも当時、良く聴きましたね~ ♪
Commented by ギター小僧 at 2007-03-04 02:23 x
最近ボーナストラック3曲付のが再発しました。
76年のライヴ音源のようです。(↓)
http://www.hmv.co.jp/Product/detail.asp?sku=2512161
価格も手ごろなので予約しましたが、他の予約商品がまだ未入荷なのでまだ手元にありません。
楽しみです!

「WE'RE ALL ALONE」は実はボブ・ジェイムスのほう(小学生のときにTVで見た「たのしい乗り物百貨」のテーマでした)を先に知ってたので、後になってバラードだったんでびっくりしました。
Commented by 元うぃんどおやじ at 2007-03-04 06:43 x
いいですね。ボズ。  彼のバックって、TOTOのメンバー多いなぁって思ってました。ジェフ・ポーカロなど。。そうだったんですね。それと、WE'RE ALL ALONEについては、私の場合、セシリオ&カポノというハワイのデュオが歌っているのを見たのが最初でした。すごいきれいな曲なので感動してレコード買いました。そのあたりからかなボズを知り始めたのは。
Commented by 240_8 at 2007-03-04 08:22
おはようございます。
これは何の説明も要らない名盤ですね。
サザンソウルに憧れたひとりの男が行き着いたサウンドが、本作に結集されてます。次作以降はAOR度が高まっていきますが、本作の、微妙にサザンフィールドが塗された感じが堪りませんね。
ジェフのタイトなスネアは凄いですね。強靭な手首のスナップの持ち主だと思われます。⑨は最高ですね。
またまた記事TBさせて頂きました!
Commented by kaz-shin at 2007-03-04 09:01
ひとさん、コメントありがとうございます。
そんなエピソードがあったんですか!知りませんでした。
口だけでなく、こういう傑作を世に送り出したんですから、
さすが大物としての資質感じますね(笑)

Commented by kaz-shin at 2007-03-04 09:22
david pinkさん、コメントありがとうございます。
>度々恐縮です(笑)
いえいえ、何度でも大歓迎ですよ。
私もアレンジをかなり重要視する人間でして、常日頃アレンジャーというのは
料理人だと思っています。
大した素材でないものでも、腕の良い料理人の手にかかれば美味になるし、
どんな高級素材であっても、下手な料理人の調理では食えたもんじゃないみたいな・・・(笑)
日本においてはアレンジャーの評価ってまだまだ低い気がするんですね。
クレジット買いの場合は、昔から1番気になっていたのがアレンジャーでした。
ボズのこの作品においては、デヴィッド・ペイチの一流のシェフとしての
腕前を披露したと言える作品ですね。

Commented by kaz-shin at 2007-03-04 09:31
ギター小僧さん、コメントありがとうございます。
ボートラ付きのが再発されていたんですね、知りませんでした。
情報ありがとうございます。
「We're All Alone」は、本当に数え切れない程のカヴァーが存在するので
年齢層によっては、同じ曲なのに初めて聴いたアーティストが色々というのも
凄く面白いですね。
人によって思い入れの強い「We're All Alone」が違うというのは、この曲が
いかに名曲であるかという証なんでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2007-03-04 09:39
元うぃんどおやじさん、コメントありがとうございます。
私もセシリオ&カポノの『Night Music』は愛聴盤ですよ。
私の場合、リアルタイムで聴いてましたので「We're All Alone」はボズが
最初でした。ですからカヴァーされているのを発見すると、どんなアレンジになっていて、
どんな風に歌われているのか楽しみでした。
カヴァーしているアーティスト側にとっても思い入れがあるのでしょう、どの
アーティストのカヴァーも大事に歌って(演奏して)いるなと思います。
それだけパワーを持った曲という事なんでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2007-03-04 09:45
240_8さん、いつもコメントとTBありがとうございます。
本来ならこちらからTBさせて頂くのが筋なんですが、いつも記事を書くだけで
精一杯な状態なもので・・・(笑)
仰るようにこのアルバムは良い意味でAORし過ぎて無いというか、南部の
香りが残っているのが良いですね。自作以降ももちろん好きですが、
やはりインパクトという面では、このアルバムが1番かも知れません。
09のおいては、まだ結成されていないのにTOTOサウンドが聴ける
というのが何とも不思議で楽しいですね。
Commented by martha1961 at 2007-03-04 17:32 x
こんにちは。
TBさせていただきました。
私も最近、久しぶりにフルでこのアルバム聴いたんです。
懐かしさとともに、やはり名盤、その凄さを再認識ですね。
中でもすきなのは②⑥⑦ですね。
Commented by kaz-shin at 2007-03-04 21:48
martha1961さん、こんばんは。コメントとTBありがとうございます。
年に数回、何故か聴きたくなるアルバムの1枚です。
AORに嵌ってゆく記念碑的なアルバムなんですよ。懐かしさを感じるものの
古さを感じないところが名盤なのかも知れませんね。

>中でもすきなのは②⑥⑦ですね。
明るく軽快な②、⑦、そしてファンキーな⑥。バンド・サウンドとしてよくまとまった曲ですよね。
Commented by DENTA at 2007-03-05 00:43 x
We're all aloneで彼を知り、バラッドアルバムを買ったりで。
(ジャズピアニストの小曽根真氏がカバーしていてそれで知った)
後にフュージョンのカバーでlowdownを知り、彼がオリジナルだと知ったりで。
更にTOTOの源流が彼にあった事を知ったりで、何気に凄い人なのかなと思ったりで。

ボブ・ジェイムスがカバーしていたので、流麗なナンバーだと思って買ってみたら、
大胆なアレンジをしていたので驚いてみたりで。(ギター小僧さんとは逆の驚き)
Commented by kaz-shin at 2007-03-05 01:18
DENTAさん、コメントありがとうございます。
DENTAさんはFUSION系からこの曲に入ったんですね。
小曽根さんのカヴァーはCMでも使われてましたね。私もこの曲聴きたさに
「Wizard of Ozone」を買ったくらいです(笑)
逆にボブ・ジェームスの『Heads』でカヴァーしていたのは、かなりテンポも速いですからね、
別の曲のようにも聴こえますね。面子は凄いですけどね。
Commented by ohiro at 2008-02-10 00:46 x
こんばんは!今回やっとこの名盤をレビューしましたのでTBさせてもらいました!久しぶりに聴いたのですが、やっぱり素晴らしいアルバムですね!ミドルマンと比べると・・・うーん難しいけど「JoJo」が入っている分ミドルマンが僅差で好きかなー?
Commented by kaz-shin at 2008-02-10 19:24
ohiroさん、こんばんは。コメントとTBありがとうございます。
ohiroさんの安部恭弘さんのアルバム紹介、2回とも楽しく拝見してましたよ。
私の中では安部さんはJ-AORの代表するアーティストだと思っています。また紹介して下さい。楽しみにしてます。

さて、ボズのこのアルバムは名盤だというのは誰も反論の無いところだと思いますが、
1976年のこのアルバムが、後のAORブームの牽引したことは間違い無いでしょうね。
AORの初めは、ニック・デカロの『イタリアン・グラフィティ』と言われていますが、
やはりブームというムーヴメントを起こしたのはボズだという気がしてます。
『ミドルマン』も名作だと思いますが、歴史的な価値でいうとこのアルバムに軍配が上がりますかね。
好みで言えば、私も『ミドルマン』の方が好きですが・・・(笑)
<< 林 哲司_TIME FLIES ページトップ EVE_PASSION >>
XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ
Ice Green Skin by Sun&Moon