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伊藤 征子(羽根田 ユキコ)_GOOD TIMES, BAD TIMES ◇ 2007年 04月 15日
伊藤 征子(羽根田 ユキコ)_GOOD TIMES, BAD TIMES_e0081370_1234532.jpg 

今回紹介するのは、1988年に吉田 美奈子がプロデュースしたアルバム『BEATING MESS』でデビューした羽根田 征子(現在は羽根田 ユキコに改名)が、1997年に本名である伊藤 征子で自主制作盤としてリリースされた『Good Times, Bad Times』です。
実はこのアルバム、AORファンにはぜひ注目して頂きたい作品なのです。羽根田 征子としての2ndアルバム『SORA』(佐藤 博プロデュース)を1989年にリリースした後、1990年~1991年にかけてレコーディングされたままで、理由は分かりませんがリリースされずに6年後に自主制作盤として日の目を見たアルバムなんです。

AOR好きな人に特に注目して欲しいのは、プロデュース陣。とにかく凄いのです。
キャロル・ベイヤー・セイガーの「Sometimes Late At Night」を手掛けた事でも知られるブルックス・アーサー。何の説明の必要のないであろう名プロデューサー、デヴィッド・フォスター。全米屈指のヒット・メイカー、ランバート&ポッターのデニス・ランバート。ロバータ・フラックの『The First Time Ever I Saw Your Face(愛は面影の中に)』 と 『Killing Me Softly With His Song(やさしく歌って)』を手掛けたジョエル・ドーン。ポップス界の巨人、ポール・アンカ。ビリー・ジョエル等を手掛けた名匠、フィル・ラモーン等という凄すぎる顔触れがプロデュースしているとんでもないアルバムです。

全曲英語で歌われており、知らない人が聴いたら日本人アーティストのアルバムだとは気付かないでしょう。収録されている曲は、どれもソフト&メロウという表現がぴったりなものばかりです。

『伊藤 征子 / GOOD TIMES, BAD TIMES』
01. WHAT'S A LITTLE RAIN
02. INSINCERE
03. ONLY WANNA BE WITH YOU
04. EVERBODY WANTS TO TOUCH YOU
05. TRIANGULO (DUET with PAUL ANKA)
06. TEARS OF MY HEART
07. PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER (DUET with WARREN WIEBE)
08. SAY IT
09. COULD' A FOOLED ME
10. HEARTBROKEN
11. GOOD TIMES, BAD TIMES

ブルックス・アーサーのプロデュース曲01。メロディアスなミディアム・ナンバーで、打ち込み主体のサウンドながらも柔らかな感じに仕上がっています。

デヴィッド・フォスターのプロデュース曲02。作曲にはジェイ・グレイドンも加わっているバラード曲です。美しいストリングスとデヴィッド・ボラフのサックスが印象的です。

デニス・ランバートのプロデュース曲03。ポップなミディアム・ナンバー。全てのプログラミングと演奏を担当しているのは、ジェフ・ローバーです。

ジョエル・ドーンのプロデュース曲04。エキゾチックな雰囲気のバラード曲です。コーラス・ワークが見事な曲。

ポール・アンカとウンベルト・ガティカの共同プロデュース曲05。そして、ポール・アンカがデュエットしているバラード曲です。情感豊かなポール・アンカのヴォーカルとマイケル・ランドゥのアコースティック・ギターが聴き所。

フィル・ラモーンのプロデュース曲06。都会的な雰囲気を持ったミディアム・バラード曲です。伊藤 征子のヴォーカルがとにかく素晴らしく、日本人であることを感じさせません。

ポール・アンカのプロデュース曲07。ポール・アンカ自身が1950年代にリリースした名曲のカヴァーですね。歌の上手さでは定評がありながらも、結局ソロ・アルバムをリリースすることなくこの世を去ってしまったウォーレン・ウィービーとのデュエット曲です。名曲ですね。デヴィッド・ボラフのサックスが光ってます。

ポール・アンカとウンベルト・ガティカの共同プロデュース曲08。ポール・アンカとリチャード・マークスの共作です。マイケル・ランドゥがエレキ、アコースティック・ギターで大活躍、そしてコーラスはビル・チャンプリン。

デヴィッド・フォスターのプロデュース曲09。デニス・ランバートとデヴィッド・フォスターの共作というのも凄いですね。デヴィッド・フォスターらしい美しいメロディーのバラード曲。

ブルックス・アーサーとスティーブ・リンゼイの共同プロデュース曲10。ソング・ライティングにバリー・マニロウの名前が載っていますので、もしかしたらバリーのカヴァーなのかも知れません。キャッチーなメロディーのミディアム・バラード曲。

ジョエル・ドーンのプロデュース曲でアルバム・タイトル曲11。どことなくJAZZの香りのするバラード曲ですね。バディ・ウイリアムスやデヴィッド・スピノザが参加している心地良いメロウなナンバーです。

これだけの面子を集めてレコーディングされながら、自主制作盤でのリリースというのが不思議ではありませんか?おそらくそれなりの理由はあったのでしょう。これだけの素晴らしいアルバムが眠ってしまうにはあまりにも惜しいですから・・・。1997年にリリースされた後、徳間ジャパンからメジャー盤がリリースされ、2005年にはクールサウンドから紙ジャケットでリリースされているようです。紙ジャケでは名義が羽根田 ユキコ名義となり、ボーナス・トラックも収録されているようですね。
洋楽好きの人にも違和感無く受け入れられる作品だと思いますので、興味のある方はぜひ聴いてみて下さい。文句無く素晴らしいアルバムだと思います。
by kaz-shin | 2007-04-15 03:12 | CITY POP / J-AOR系 | Comments(15) | |
Commented by たにぴ@もまゆきゅ at 2007-04-15 09:07 x
これ、金澤さんのblogでも紹介されてたのを読んで憶えてて、
かなり気になってたんです。
…たんですが、なんかモノイリで買えなかった。
悔しいなあ、聴きたいなぁ。
Commented by ギター小僧 at 2007-04-15 15:56 x
この方を知ったのは、80年代後半のW浅野主演のドラマ「抱きしめたい!」の挿入歌「encore」でした。最初はてっきり竹内まりやだとばかり思ってました。
この歌好きで、でもCDシングルでしか聴けなくて、あとになって探しまくってなんとか入手しました。

今回紹介されてるアルバムもかなり魅力的ですね!
公式リリースの2枚しか持ってませんが、欲しいです。
難しそうですが、探してみます!
Commented by まるいチーズ at 2007-04-15 22:03 x
こんばんは
実はこれ自主制作盤を持っています、友人の某楽器店店長から当時、「これええで」と薦められ購入しました。白紙の状態で聴いたのですが、kaz-shin さんの仰るとおり日本人だとは思えなかったです、以来長い間愛聴盤として聴き続けております。06が特に好きですねえ、、しかしこのアルバムが紹介されるとは思いませんでした、世の中には自分と音楽の好みが限りなく近い方っておられるんですね、ちょっとびっくりです(笑)
Commented by kaz-shin at 2007-04-15 22:22
たにぴさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ぜひ、聴いてみて下さい。これって2005年に再発ですけど、もう入手
困難なんですかね?
全体的にミディアム~スロー系の曲ばかりなんですが、聴き込む程に
好きになっていくようなアルバムです。
Commented by kaz-shin at 2007-04-15 22:34
ギター小僧さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
羽根田さんは、結構テーマ曲を歌っていたんですね。
『美の巨人たち』たちのオープニング曲もそうでした。
紹介したアルバムは、どういう経緯でこれだけのプロデューサーが集まったのかは
分かりませんが、各々のプロデューサーが羽根田さんの個性を上手く引き出していると思います。
聴き込む程に味の出るアルバムなので、ぜひ聴いてみて下さい。
Commented by kaz-shin at 2007-04-15 22:52
まるいチーズさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
このアルバム、しかも自主制作盤をお持ちでしたか!
良いアルバムですよね。これだけのビッグ・ネームを集めながらも、
それ程話題にならなかったというのは自主制作盤の悲しい部分かも知れないですね。
決してオーヴァー・プロデュースになっておらず、羽根田さんのヴォーカルが実に
伸びやかで良いですね。
本当に邦人アーティストのアルバムだとは思えません。
まったく節操の無い音楽の聴き方をしておりますので、何が出てきても
驚かないでお付き合い下さいませ(笑)
Commented by 哲学者になりたい猫 at 2008-10-05 14:21 x
中古店で私の目の前に未開封800円のCDが…確か複数のネームがあったのではっきり覚えていないがkaz-shinさんとまるいチーズさんが絶賛していた(200人力!)CDだったような…で買ってきて「音楽通がなんぼのもんじゃい!」と再生ボタンをポチッとな……すいません、一曲目でロックアウトされました(笑)これだけの面子が揃って粒揃いの楽曲に現在の自意識過剰熱唱系と違う微細な表現力を伴った上手な歌(声)に聞きほれっ放しで長年聴き続ける愛聴盤の一つに加わえさせて頂きました。ところで、もうご存知かもしれませんが、ある方が書いておりましたが、このCDはある制作会社が立ち上げるときに、「自分の会社はこれだけ凄いプロデューサーが使えるぜ」というプロモートを兼ねて製作、歌手として伊藤さんに白羽の矢が立ち製作されたもののその後製作会社がぐちゃぐちゃになり結局オクラ入り…って事だそうです。世間のバブルが破裂したのと入れ替わりにバブルに入った当時の音楽界を表している話ですね。しかしここの音楽通の方々に出会ってなく私一人だったら一生出会えないCDでした。本当にありがとうございました。今この作品はネット配信されているので是非一人でも多くの人に聴いて欲しいですね。
Commented by 埼玉人 at 2008-10-05 19:56 x
哲学者になりたい猫さん、現在の自意識過剰熱唱系なんて、ひどい言い方ですね。哲学者にしてみては、一方的な偏見だらけで思慮が浅い気がします。

自意識過剰熱唱系なんて、現在に限ったことじゃないですよ。昔のフォークだって、貴殿がお好きなアイドルだって自意識過剰の塊じゃないですか。ギターじゃかじゃか鳴らして喧しく愛だの平和だの叫んでいたのが、コテコテの打ち込みで自分の等身大を叫ぶのに変わっただけ。恐らく、現在の主流が貴殿の好みでないから、そう感じていらっしゃるのでしょう。
うわっぺらの平和ボケなイデオロギーを垂れ流しのフォークや男に媚びを売っているアイドルなんかよりも、今の方が少しはマシです。

でも貴殿の意見を最大限尊重するなら、以下のような感じです。最近の曲は下手にテクニックに走り過ぎたり、高音もしくは熱唱イコール歌が上手いということが定式化してしまっているのかもしれません。小室系の後遺症を現在のJ-POPシーンが引きずっているのかもしれませんね。
Commented by 埼玉人 at 2008-10-05 20:04 x
私が、哲学者になりたい猫さんなどに申し上げたいのは、以下の通りです。辛辣な表現となりましたが、小学生でもできるような今の音楽シーンへの批判や、80年代や洋楽礼賛ばかりしていないで、建設的な意見もおっしゃって欲しいということなんです。今の音楽シーンがそんなに嫌なら、無理して聴かなくてもいいんです。本当に愛すべきと思った音なら、死ぬまで愛し続けて欲しいんです。
大変長くなりましたが、いろんなコメントを読ませていただいて感じたことなので、書かせていただきました。私なりの苦言とご理解していただければ、大変嬉しいです。
Commented by kaz-shin at 2008-10-05 22:37
哲学者になりたい猫さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私のブログの記事が少しでもお役に立てたこと、お気に入りの音楽が増えたとしたら本当に嬉しいです。
私のしょぼい感性ながらも良いと思える作品を紹介するのが目的のブログですので、
このようなコメントを頂戴するのが1番嬉しいんですよ。
今はネット配信でこのアルバムが聴けるんですか!知りませんでした。
どんな形であれ、良い作品は多くの耳に届くようになるというのは嬉しいですね。
Commented by kaz-shin at 2008-10-05 22:58
埼玉人さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
哲学者になりたい猫さんのコメントに関してですが、確かに現在の音楽に対して批判的な表現があるとは思いますが、
私は紹介した作品やお気に入りの作品を際立たせたいが為の、表現手段だと受け取っています。

学生時代のように一日の大半の時間を音楽と共に過ごしていた時代と違って、
今では意識して音楽を聴かなければならないような生活になってしまっています。
私もたまに最近の音楽はつまらないみたいなことを書いてしまいますが、これは確かに間違いですね。
自分で良い物を探そうとしていないだけなのかも知れません。
これは私も反省しなければいけないと思っていますし、決して批判的なことは書かないつもりでいます。

その辺りを温かい目で見守って頂ければ嬉しいです。
そして、埼玉人さんの私の紹介した作品に対しての思い入れや意見もぜひ聞きたいです。
これからもよろしくお願い致します。
Commented by kotaro at 2011-11-01 17:04 x
なかなか美しい人ですね。この人のことは、全く知りませんでした。
2008年くらいまでは、アルバムを出していますね。
私は少し気楽なスタンスで聴かせてもらいます。
うーん、いいかも(笑)
ところで遠藤響子(京子)さん、ニューアルバムも出ますね。
今年は30周年で活動も、少し再開されたようです。
僕らの年代も、ずっと好きな音楽が聴ければ、それで良いと思います。
柳ジョージが亡くなりましたが、今度神戸で、彼に曲を書いていた増田敏郎とレイニーウッド(再結成)のコンサートが今月あります。
上綱克彦さん。広島から出て来て、演(や)ってくれるようです。
ちょっと耳寄り情報でした。
Commented by kaz-shin at 2011-11-03 02:22
kotaroさん、こんばんは。
早々とYouTubeのチャンネルを覗いて下さったようで、ありがとうございます。
音源だけUPしておいて、なかなか記事を書かずにサボっていたのでコメントを頂戴したことで少々焦ってしまいました(笑)
このアルバムは仰るように気楽なスタンスで、繰り返し聴くことで味わいを増す、そんな作品だと思っています。
Commented by 通りすがり at 2018-02-11 00:05 x
上記で書かれている経緯は全くの間違いです。
これはロスでたまたま知り合った羽根田さんとフォスター氏が意気投合し、デモ扱いで録音されたものが起源です。
あくまでデモであったので公開、販売はされませんでしたが、後になって権利関係を整理して自主制作で公開されました。日本の資本は無関係です。

余談ですが、自主版の前にも別ジャケで制作はされています。
Commented by らいあん at 2019-06-23 02:57 x
09. COULD' A FOOLED ME はよくJetStreamで流れていた気が
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