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やまがた すみこ_FLYING ◇ 2007年 08月 01日
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今回紹介するのは、やまがたすみこが1977年にリリースした通算8枚目となる『FLYING』です。
私は、以前紹介した通算6枚目のアルバム『サマー・シェイド』(1976年)が初めて聴いたやまがた すみこのアルバムでした。そして、『FLYING』がその次に聴いたアルバムということになります。
カレッジ・フォーク時代の彼女の楽曲をもちろん知りませんし、私のやまがたすみこのイメージは『サマー・シェイド』そのものでした。
紙ジャケットでボーナス・トラック付きで再発された『FLYING』を初めて聴いた時、正直なところ複雑な驚きがありました。その辺りは後ほど詳しく・・・。

CITY POPのガイド本でも取り上げられている本作は、プロデューサーに松本 隆を迎え、鈴木 茂のアレンジャーとしての最初の仕事であったことに加え、ティン・パン・アレー・ファミリーの面々が参加しているという、CITY POP好きな私には聴かない訳にはいかないアルバムなのです(笑)
鈴木 茂、細野 晴臣、佐藤 博、伊藤 銀次、佐藤 健という豪華な作曲陣を迎え、まさにCITY POPなアルバムが出来るべきして出来たという感じがします。

ただ、ひとつ気になったのが、やまがたすみこのヴォーカル・スタイルでした。おそらく松本 隆のプロダクションによるものだと思うのですが、彼女の歌い方が自然体という感じではなく、歯痒いくらいの違和感を感じてしまうのです。曲によっては、ユーミンのような歌い方だったり・・・。
何故こんな歌い方をさせたのか理解不能なんですが、アナログ盤A面にあたる"SUN-LIGHT SIDE"の6曲は特にその傾向が顕著です。これがすごく残念でなりません。
このアルバムが発売された当時、ファンの間でも賛否両論があったらしいですが、すごく頷ける話ですね。
たった2枚しか聴いていない私でも違和感を感じる位ですから・・・。

『やまがた すみこ / FLYING』
01. FLYING
02. ペパーミント・モーニング
03. あなたにテレポート
04. TODAY
05. 黄昏遊泳
06. 私春記
07. ムーンライト・ジルバ
08. 夢色グライダー
09. GOOD-BYE・グラフィティ
10. 夜を渡って
11. クリスタル・ホテル
Bonus Track
12. プラスティック・ラブ

プロローグ的なイメージの鈴木 茂の作・編曲による01。爽やかな朝という雰囲気を醸し出す鈴木 茂のアレンジが良いですね。

01のイメージの延長線上にあるような02も鈴木 茂の作・編曲によるナンバーです。曲は良いと思うのですが、ヴォーカルに違和感を感じる曲でもあります。どこかユーミンを意識したような歌い方で、作られた歌い方という感じがしてしまいます。

佐藤 健の作曲によるポップな03。佐藤 健らしいセンスの良さを感じる曲ですね。ただ、残念なのはやはり不自然に感じてしまうヴォーカルと、やまがたすみこには似合わない松本 隆の言葉使いですね。歌詞の中に"腕ん中"という言葉があるのですが、彼女には"腕の中"と歌わせた方が絶対に良いと思うのですが・・・。アレンジは鈴木 茂。

佐藤 博の作・編曲によるレゲエ調の渋いナンバー04。かなり渋い曲で好きなメロディー、アレンジの曲です。ただ、この曲も妙に不自然な歌い方が気になりますね。

太田 裕美の世界を感じさせるタイトルの05は、鈴木 茂の作・編曲です。スパニッシュ風なカントリー・ソングといった不思議なサウンドが特徴です。鈴木 茂らしさ全開のギターが印象的です。

佐藤 健の作曲、鈴木 茂のアレンジによる06。ヨーロピアンな雰囲気が特徴のバラード曲です。初期の大橋 純子が歌っても似合いそうな曲だと思います。ただ、キーが合わないのか若干くるしそうに歌ってます(笑)

07からはアナログ盤のB面で、"MOON-LIGHT SIDE"となっています。鈴木 茂の作・編曲のナンバーで、シングル・カットされたナンバーですね。どちらかと言えばボッサ調のアレンジにして正解だったかも知れません。ムード漂う心地良いポップ・ナンバーです。

細野 晴臣の作曲、鈴木 茂のアレンジによる08。細野らしい楽しいメロディーです。素晴らしいのはまさにティン・パン・アレーといった感じの演奏です。林 立夫のドラミング、細野のベース・ライン、鈴木 茂のギター・カッティングなど聴き所が詰った1曲です。

ロックンロール調のアレンジが面白い09は、鈴木 茂の作・編曲です。この曲でのヴォーカルはすごく自然で、聴いていても違和感が全く無いです。アルバムの中でもノリの良い曲のひとつです。

作詞:三木 たかし、作曲:やまがたすみこ、編曲:鈴木 茂によるJAZZYなミディアム・バラード曲10。大人びた雰囲気を出そうと頑張って歌っているのが微笑ましいです(笑)

伊藤 銀次の作曲、鈴木 茂のアレンジ曲11。美しいメロディーを持ったバラード曲で、アコースティックなサウンドを主体にしており、ようやく彼女らしいヴォーカルを聴けたという印象の曲です。良い曲です。

ボーナス・トラック曲12は、シングル「ムーンライト・ジルバ」のカップリング曲です。やまがたすみこの作曲、鈴木 茂のアレンジです。

アルバムに収録されている曲だけで考えると、突出した曲はありませんがどれも粒揃いです。CITY POPと呼ぶに相応しいアルバムだと思いますが、残念なのはやはりヴォーカルですね。ヴォーカル次第ではもっと輝いた作品になったと思います。けっして、やまがたすみこが下手だということではありません。無理している感じが気になるんですね。これが実に惜しい・・・。
鈴木 茂が初めてアレンジャーとして参加した作品ということで興味深かったでのですが、リズム・アレンジに関しては申し分無いです。しかし、ストリングス・アレンジはお世辞にも良いとは言い難いです(笑)
妙にストリングスだけが浮いてしまったり、耳障りに感じることもありました。
しかし、これは仕方がないでしょうね。松本 隆がアレンジを依頼する際、ストリングス・アレンジを勉強するように要望したらしいです。初めてのストリングス・アレンジということを考えれば頑張ったなぁと思います。
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by kaz-shin | 2007-08-01 00:30 | CITY POP / J-AOR系 | Trackback | Comments(8) | |
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Commented by kotaro at 2007-08-01 10:18 x
おはようございます。きょうから8月、夏もレイトサマーですね。
私はユーミンの昨年出したA Girl In Summerを聴いています。
さて、問題作ついに登場ですね。
30年目のFlyingがここで議論されるなんて、歌ってるやまがたさんも、プロデュースの松本隆も、アレンジ担当の鈴木茂も皆当時20代の若者で想像すらしてなかったことでしょう。

「不自然」、なるほど。その予感はジャケットを見たときから
ありました。
ナチュラル系美女だった彼女を誰が変えたのか。野暮天は「男性が存在か」と気を揉んだかもしれません。

結局、松本の詩世界が強すぎて、彼女には枠を打破できなかった、
そんな1枚だった、今はそういう気がします。20代迄の僕は完全な松本教信者でしたから、「東京湾フェリー」に乗ってみたいとか
「トリフォーの映画も押さえとかなくては」と蒼い感慨を抱いた感想があります。

ユーミンワールドと太田裕美の世界と、比肩すると確かに佳品に過ぎませんが、僕はこの作品も「こっそり聴く」のに好きな1枚です。
Commented by kaz-shin at 2007-08-01 23:30
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>結局、松本の詩世界が強すぎて、彼女には枠を打破できなかった
確かに仰る通りかも知れません。正直なところ松本 隆のプロデュースが
良かったのかと問われると疑問ですが、サウンド的なアプローチは良かったと思いますね。

CITY POPという観点で言えば黎明期とも言える時代の作品ですね。
曲自体は好きなんですが、やはりヴォーカルに違和感が残ります。
好みの問題ではありますが・・・。
Commented by hisa at 2007-08-04 12:13 x
私も違和感いっぱいでした。
曲はいいのですが・・、その通りですね。
女性シンガーはある時こういう方向に行ってしまう人が結構いますよね。
でもこれを作った人たちは、先見性があったんでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2007-08-04 14:24
hisaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
曲も演奏も当時にしては、洒落たものでCITY POPと呼べるものだと思うのですが、
どうしても不自然なヴォーカル・スタイルが気になりました。
おそらく松本 隆さんの独特な世界観をどう歌で表現したら良いかの迷いもあったのでしょうか。
または、松本 隆のディレクションによりものなのか不明ですが、やまがたさんのヴォーカルの
良い所が隠れてしまったような気がしてなりません。
良いアルバムなんですけどね。
Commented by トモくん at 2007-08-04 16:19 x
kaz-shinさん、待ちに待った的確である紹介ありがとうございました。
30年前「SUMIKO LIVE」デビューだった私は、その艶のある透明な歌声にすっかり虜になってしまいました。ですから当時「SUMIKO LIVE」の次に発売した「FLYING」を聴いた時、艶を殺して息を抜いた歌い方に、戸惑いを感じたものです。曲の難しい評価はできないのですが、FLINGからペパーミント・モーニングにつながる透明感のある爽やかな雰囲気に本当に東京湾フェリーや摩天楼が目に浮かぶようでしたし、黄昏遊泳、ムーンライトジルバ、他、曲がとてもいい感じでCITYPOPにふさわしい良い曲作りだと感じました。コロムビアがすみこさんをCITY POP路線に変更したのはサマー・シェイドからでしょうか。
私はある方のご好意から77年「FLYING」発売の暮れのコンサート「サワーメイプル」で、このアルバムから何曲か歌っている秘蔵テープを聴いたことがありますが、本来のすみこさんの艶があり伸びのある透明な歌い方をしておりアルバムとはまったく違います。
このアルバムの次のエメラルド・シャワーは、本来のすみこさんの歌い方に戻っています。もちろんCITY POPです。
Commented by トモくん at 2007-08-04 16:20 x
(・・・続きです)
私は30年ぶりにこのFLYINGを50~60回は聴いたかもしれません。これだけ聴いていると、この歌い方のすみこさんも良しとして結構きけるのです。まあ本来の彼女の歌唱力を知るが故・・・ですね。(笑)
曲は当時、最強ミュージシャンが作っていてバッチリなのですから・・・
SUMIKO LIVE、エメラルド・シャワー是非お試しを・・・
Commented by kaz-shin at 2007-08-05 12:59
トモくんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
やまがたさんの大ファンのトモくんさんには少々辛い記事になるかなとも思いましたが、
感じたままを書かせてもらいました。
私も初めて聴いたやまがたさんのアルバムが『FLYING』だったら、ここまで違和感は感じなかったと思います。
『サマー・シェイド』から聴き始め、その素直な歌い方に好感を持っていたので余計違和感を感じたんでしょう。
アルバムとしては良い出来だと思いますし、好きなサウンドだけに惜しく感じてしまいました。
ぜひとも『エメラルド・シャワー』を聴いてみたいと思います。
Commented by SOUTO at 2013-10-26 18:14 x
「ペパーミントモーニング」「TODAY」「黄昏遊泳」「夢色グライダー」など好きな曲が多いアルバムです。
でもなんといっても「あなたにテレポート」これにはハマりました。kaz-shinさんのおっしゃるとおり、佐藤健さんらしい一曲だと思います。
このアルバムの少し残念なのは詳しいミュージシャンの表記がされてないところですね。曲ごとに表記されてあるともっと良かったんですけどね。

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