今から30年程前、日本でもサーフィン・ブームが起こりました。海には沢山のサーファーが集まり、街中にはムスクの香りを漂わせたスタイルだけサーファーを気取った"丘サーファー"なる輩が闊歩して時代・・・。その頃、サーファーの間で人気が高かったのがカラパナでした。本物のサーファーが聴けば、丘サーファーも当然飛びつく訳で一躍人気が出たグループでした。
そういう私もサーファー(丘サーファーも含め)では無かったのですが、友人がサーファーだった影響で「ナチュラリー」、「ブラック・サンド」、「ジュリエット」という曲を中心に、1stアルバム『Kalapana(ワイキキの青い空)』や2ndアルバム『KalapanaII(ワイキキの熱い砂)』はよく聴いていました。
今回紹介するのは、1991年にリリースされた全篇サザンオールスターズのカヴァー曲集『楽園 - Kalapana Sings Southern All Stars』です。
このアルバムの存在は、かなり以前から知ってはいたのですが、いかにも日本人受けしそうなベタな企画だという印象が強くて、あまり興味が湧かずに今まで聴いてませんでしたが、BOOK OFFで250円で売られているのを発見。250円なら聴いてみようかと購入したものです(笑)
このアルバムのリリース時のカラパナのメンバーは、マッキー・フェアリー(vo/g)、マラニ・ビリュー(a.g/vo)、D.J.プラット(g)、ケンジ・サノ(b/vo)、ゲイロード・ホロマリア(key)の5人で、ゲスト・ミュージシャンにトリス・イムボーデン(ds)、ジェームス・スチューダー(key)、マイケル・パウロ(sax)、アレックス・アクーニャ(per)を迎えています。なかなか豪華な顔ぶれですね。
プロデュースはケンジ・サノで、歌われている英語詞は「いとしのエリー」を除いた全曲がカラパナ名義になっています。アレンジはジェームス・スチューダーとケンジ・サノが担当しています。
『KALAPANA / 楽園 - Kalapana Sings Southern All Stars』
01. C調言葉に御用心
02. 真夏の果実
03. JUST A LITTLE BIT
04. ミス・ブランニュー・デイ (Miss Brand New Day)
05. YA YA (あの時代を忘れない)
06. Melody (メロディ)
07. PLEASE!
08. 愛する女性とのすれ違い
09. いとしのエリー
10. 忘れられたBIG WAVE
サザンが好きな方にはお馴染みなナンバーばかりです。今回は曲毎のレビューは省かせてもらいます。と言うのも、カラパナのカヴァーが実にオリジナルのイメージを壊さない、言い換えればオリジナルにわりと忠実なアレンジになっています。正直なところ、カラパナらしいかと問われれば"?"なんですが、心地良く聴けるアルバムであることは保証します(笑)
もっと遊び心を入れても良かったかなと個人的には思いますが・・・。BGMとして聴くのには最高の1枚だと思います。特に彼等のコーラス・ワークは相変らず美しく、ハワイの心地良い風のようで桑田 佳祐の暑苦しいヴォーカルとは違って涼しげで良いですよ。
01のイントロでのアカペラ・コーラスも良いですし、03は、いかに桑田が書く曲が洋楽っぽいのかが窺い知ることが出来ます。D.J.プラットのギターが堪能出来る04。個人的に1番好きな07は、AOR色全開のアレンジが良いですね。
アルバムを通して感じるのは、桑田の曲は英語詞で歌われても全く違和感の無い事ですね。これは桑田が洋楽志向が強く、英語にメロディーを乗せる感覚で曲を書いている証とも言えるでしょう。おそらく、海外でも十分通用する曲が多いでしょうね。
今日のような暑い日の夜に、このアルバムを聴くと気持ちがクール・ダウンして心地良い気分になれますね。熱帯夜のBGMとしてお薦めの1枚です。