今回紹介するのは、ワン・プロデューサーによるヴォーカル・コンピレーション・アルバムです。活動凍結中だった角松 敏生が1997年にプロデュースした『VOCALAND 2 ~Male, Female & Mellow~』です。1996年に第一段として『VOCALAND』がリリースされ、好評だったころから制作されたアルバムです。
"VOCALAND"は、"ヴォーカルの国"という意味と「Vocal and・・・」という意味を持っているとのこと。本作は、"秋から冬にかけての季節イメージ"、"男と女"、"Mellow"、"恋愛"を取り上げたミディアム・スロー・バラード集というコンセプトです。角松 敏生とエイベックスが組んだビッグ・プロジェクトと言えますし、角松自身も力を入れていたプロジェクトではなかったかと思います。
前作では、国内外の女性シンガーによるヴォーカル・コンピレーションでしたが、本作では国内で活躍している女性シンガーのみで作られています。そして、目玉は角松 敏生、楠木 達士(楠木 勇有行)、村上 圭寿という3人のアーティストがデュエット曲で参加していることでしょう。特に角松は活動凍結中だったのですが、"AGHARTA"での活動や本作でデュエットを披露したことで、活動再開は間近であろうと確信したアルバムとして印象深かったです。
角松 敏生は全10曲中8曲の作曲、7曲の作詞、全曲のアレンジ(ストリングス・アレンジで小林 信吾、塩谷 哲が加わっています)を担当しています。角松のプロデュース作品の中で、活動凍結中のプロデュース作品に出来が良いものが多いのですが、やはりプロデュース業に専念していたからなんでしょうね。
曲もこの頃のものはキャッチーなメロディーで、ストレートに耳に馴染む曲が多かったのも特徴と言えるかも知れません。
『VOCALAND 2 ~Male, Female & Mellow~』
01. Give it up / 吉沢 梨絵
02. WE ALL NEED LOVE / Vicky Vee
03. Can you change my world / 伊藤 恵子、楠木 達士
04. Don't Say "I LOVE YOU" / 吉田 朋代
05. Over The Lonely Night / 瀬 久美子
06. Together / 吉田 朋代
07. Take me your own way / 紫藤 博子
08. Voice From December ~12月の声~ / 吉井 弘美、村上 圭寿
09. Never Gonna Miss You / 吉沢 梨絵、角松 敏生
10. HEART TO HEART / Aki
先行シングルとしてリリースされた01。ビートを効かせたミディアム・グルーヴが心地良いナンバーです。吉沢 梨絵のヴォーカルも実に堂々としており、新人とは思えないほどで、『Vocaland 2』の主役の一人なのは間違い無いでしょう。
以前、『Y2K - SAVE THE WORLD-』というアルバムを紹介したヴィッキー・ヴィーの02。このアルバムで角松と出会ったことで、『Y2K - SAVE THE WORLD-』が誕生しました。この曲もグルーヴの効いたミディアム・ナンバーですね。沼澤 尚のドラミングと勝田 一樹のサックスのプレイが光っています。
伊藤 恵子と楠木 達士のデュエット・ナンバー03。二人の声の相性が抜群ですね。声に力のある二人ならではのバラード曲だと思います。楠木 達士は、楠木 勇有行という名前でも活躍してましたね。いつか勇有行名義のアルバムを紹介したいなとは思っています。ブライアン・メイのギターの音色のような角松のギターが印象的です。
本作のもう一人の主役とも言える吉田 朋代の04。既にシンガーとしてデビューしていた吉田 朋代ですが、角松の曲との相性は良いように思いますね。角松らしい打ち込みサウンドのミディアム・ナンバー。
瀬 久美子(せら くみこ)の05。しっとりとしたバラードです。声も良いですし、丁寧な歌唱に好感が持てますね。アルバムに収録されているのは、この1曲だけなので出来ればもう何曲か聴いてみてかったシンガーでした。角松のコーラスが少しうざったい気がしますね(笑)
2度目の登場の吉田 朋代の06は、先行シングルとリリースされたナンバーです。サビのメロディーがキャッチーで個人的にお気に入りのナンバーのひとつです。打ち込み主体のサウンドですが、間奏での数原 晋のトランペット・ソロはまさに職人技です。
1作目にも参加していた紫藤 博子の07。YAMAZAKI NORIOなる人物の作曲のナンバーなんですが、これが良い曲なんですよね。角松の曲には無いタイプの曲です。YAMAZAKI NORIOはギタリストなようで、間奏で渋いソロを披露しています。
吉井 弘美と村上 圭寿のデュエット・ナンバー08は、今の季節にぴったりなバラード曲であり、クリスマス・ソングとしても十分楽しめるナンバーですね。このアルバムに収められた3曲のデュエット曲の中で1番好きなナンバーです。角松も良い曲を書くもんです。間奏のトロンボーン・ソロは村田 陽一です。
シングル・カットされた吉沢 梨絵、角松 敏生のデュエット・ナンバー09。角松ファンにはお馴染みのナンバーですね。残念ながらヴォーカルは吉沢 梨絵の方に軍配が上がりますね。本当に上手いと思います。現在、劇団四季でミュージカルに出演して活躍されているのが頷けます。
Akiの歌う10は、作詞:クリス・モスデル・高橋 ユキヒロ、作曲:高橋 ユキヒロによるナンバー。知る人ぞ知るの名曲ですね。角松ファンの中には、角松と高橋 ユキヒロの繋がりを不思議に思っていた人も多かったようですが、実はこの曲はカヴァー曲です。オリジナルは、ラジが1977年にリリースした1stアルバム『HEART TO HEART』に収録されていたアルバム・タイトル曲です。角松の選ぶカヴァー曲には、いつもニヤリとさせられますね。
なかなか良いコンピレーション・アルバムだと思います。角松 敏生を知らない人でも、曲の良さで楽しめるのではないでしょうか・・・。このアルバム、BOOK OFFでは安棚の常連のようなアルバムで、値段も250円が相場になっているようです。興味のある方は、ぜひ聴いてみて下さい。250円なら聴いてみようかと思った人、いるんじゃないでしょうか・・・、どうですか?(笑)
http://jp.youtube.com/watch?v=-N5XNRNhdcA
4曲目のコーラスは、しつこくて好きになれません。角松さんはコーラス向きではない気がします。
意外かもしれませんが、安部恭弘さんを起用しても良かったかもしれません。安部さんはむしろコーラス向きかも。
楠木さんがらみなんですが、娘さんがEmilyという名で、R&Bシンガーとして活動されており、m-floとも共演されていました。
私も昔から角松さんの声はコーラスに向いているとは思えない一人です。
ですが、本人が歌いたがるので仕方無いですが・・・(笑)
多重コーラスに似合う声とそうでない声というのがあると思ってまして、
角松さんの声は重なるほどにうざったい感じになりますね。
楠木さんの娘さんがデビューしていた事は知っていましたが、最近の音楽には
疎いので聴いたことが無いんですよ(汗)
これまた林 哲司フリークとしてはお恥ずかしい話ですが、グルニオンも
聴いたことがありません(汗)
中古店で探してはいるのですがなかなか見つかりませんね。
吉田朋代さんも上手い人なので、林さんと組んでどんな曲を歌っているのか
興味津々です。
角松さんのプロデュース作品で傑作が多いのは、自身の活動を休止していた
この頃ですね。私は本当にアーティスト活動を止めて、プロデューサーとして専念しても
良いと当時は思っていました(笑)
1997年なんですね。これ実は持ってまして、中でも、「NEVER GONNA MISS YOU」が好きでしたね。ラジオでこの曲がかかったんですよ。エレピやシンセベースの効いたバラードが好きですね、デビッド・フォスター(西海岸風?)の感じのが。10年後のこの曲も聴きたいですね。
これの2年前の1995年に中西圭三さんがWendy Moternと一緒にデュエットした曲に「Why Goodbye」という曲がありますが、これも凄いです。詞は英語で、曲は中西さんで、アレンジが佐橋佳幸さん、ストリングスアレンジがDavid Campbellと。ドラムがMike Baird、ベースがJimmy Johnsonというメンバーです。
あ、久しぶりに「VOCALAND」は、やらないですかね?
角松さんのサポートを担当しているコーラスの凡子(なみこ)さんがアルバムを出すそうで、角松さんのプロデュースです。タイトルは「Desert Butterfly」です。
角松さんが自身の活動を休止していた頃のプロデュース・ワークには
良い作品が沢山ありますね。
凡子さんのアルバムの件は知っていますが、現在の角松さんのプロデュース作品が
『VOCALAND』時代のようなお洒落な作品に仕上がるのかどうか若干疑問に思っています。
聴いてみたい気がするのですが・・・、どうなんでしょうか。
リリースされて評判が良かったら買おうかなと思っています。
中西さんの曲は知りませんでした。機会があったら聴いてみます。