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岩渕 まこと_SUPER MOON ◇ 2008年 02月 23日
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今回紹介するのは、現在はゴスペル・シンガーとして活躍しているシンガー・ソングライター、岩渕 まことが1977年にリリースした1stアルバム『SUPER MOON』です。
今年の1月23日に初CD化としてリリースされました。あの金澤 寿和氏のブログでも今月9日に、このアルバムを取り上げていたので読んだ方も多いでしょう。
私が岩渕 まことの音楽に触れたのは、金澤氏の監修したコンピ・アルバム『Light Mellow "Hours" -COLUMBIA Edition-』に収録されていた「ムーンライト・フライト」という素晴らしいメロウ・ナンバーでした。金澤氏が同じく監修したガイド本「Light Mellow 和モノ669」に、この曲を含んだ『SUPER MOON』が掲載されており、聴きたいなと思っておりました。すると、水面下でもう1つのCITY POPのガイド本を監修していた木村 ユタカ氏が動いていたんでしょう、CD化されました。これは私にはこの上無いラッキーな話でした。

CD化にあたり、1978年リリースの2ndアルバム『AIR POCKET』から4曲がボーナス・トラックとして収録されています。アルバムから4曲というのも中途半端な気もしますが、ライナー・ノーツによると岩渕 まことは世に出て行くテイクは完成されたものひとつで良いという考え方の持ち主で、仮に数テイク録音されていたとしてもアルバム完成後は捨ててしまっていたようで、いわゆるアウト・テイクというのが存在しないらしいのです。従って2ndアルバムからチョイスされた4曲が収録されたという経緯のようです。
まぁ、ボートラが付いているだけでも良心的ですよね(笑)

ボートラを含むアルバム収録曲16曲の殆どの作品(作詞は13曲、作曲は15曲)を岩渕 まことが書いていますが、注目したいのはアレンジとバックを支えるミュージシャンでしょう。
『SUPER MOON』に収録曲12曲に限っては、鈴木 茂のアレンジ曲が4曲、鈴木 慶一と岩渕 まこと共同のアレンジ曲8曲あります。ミュージシャンも鈴木 慶一のアレンジ曲にはもちろんムーンライダーズが、鈴木 茂のアレンジ曲には鈴木 茂(g)、林 立夫(ds)、田中 章弘(b)、佐藤 準(key)、斉藤 ノブ(per)等が参加しています。鈴木 茂にとってはアレンジャーとして、やまがた すみこに続いて2作目の仕事だったようですが、凄い成長を感じさせるアレンジです。岩渕 まこと自身もギターで参加しており、ソロも弾いていますがかなりの腕前ですね。

『岩渕 まこと / SUPER MOON』
01. 風が吹いたら
02. 細横丁奇譚
03. 月あかりとあの娘家の中
04. さよなら通り
05. 淋しい惑星
06. ムーンライト・フライト
07. ウィスキー・ドライブ
08. テーブルの向こう
09. ハニー・オレンジ
10. 空があんまり
11. ダンスィング・ドライヴ
12. 夏芝居

Bonus Tracks
13. 夕陽にさらわれて
14. 五月風
15. ハンバーガー・ショップ
16. 風よ吹け高く

カントリー・ポップといった感じの01。鈴木 茂のアレンジが素晴らしく、タイトル「風が吹いたら」にピッタリな爽やかな風を感じさせてくれます。岩渕 まことのギター・ソロも味があってなかなか良いですよ。

ラグタイム風なナンバー02。初期の細野 晴臣を彷彿させる1曲ですね。ドブロ・マンドリンを取り入れたムーンライダーズの演奏が実に心地良いです。ここでも岩渕 まことが素晴らしいアコースティック・ギターの腕前を披露しています。

明るいラテン調ナンバー03。ムーンライダーズらしい軽快な演奏で、鈴木 慶一と岡田 徹の二人によるマリンバと、総勢4人によるパーカッション・サウンドが印象的なナンバーです。

ムーライダーズらしさ全開の洒落たミディアム・ナンバー04。武川 雅寛のフィドル(ヴァイオリン)がフィーチャーされています。岡田 徹のJAZZYなピアノのプレイも素晴らしく、のほほんとした気分にさせてくれます。

岩渕 まことによるアコースティック・ギターとマウス・ハープ、武川 雅寛のフィドルを中心にしたムーディーなスロー・ナンバー05。シンプルな演奏だけにハートウォームな岩渕のヴォーカルが際立った1曲です。

名曲06。鈴木 茂のアレンジが秀逸な1曲です。フワフワと浮遊感がたまらなく心地良いCITY POPナンバーです。やまがた すみこのアルバムで初めてアレンジャーとして参加した時よりも、数段ストリングスのアレンジに成長を感じますね。

軽快なリズム・リフがご機嫌な07は、鈴木 茂のアレンジ曲です。ホーン・セクションを加え、快晴の空の下、気持ち良く車を走らせながら聴きたくなる、そんな1曲に仕上がっています。

アメリカ南部の匂いが漂ってくるラグタイム風ナンバー08。武川 雅寛がフィドルだけでなく、ウクレレも披露しています。岡田 徹のピアノ・プレイ、岩渕のアコギのプレイにも注目して欲しい1曲です。

ブルース色全開の鈴木 茂のアレンジ曲09。鈴木&岩渕によるスライド・ギターの競演が素晴らしいです。鈴木 茂のスライド・ギターには定評がありますが、岩渕もかなりの腕前ですね。鈴木 茂のソロ・アルバムにも通じるハイ・テンションの演奏が聴けます。

10も初期の細野 晴臣の作品を彷彿させる、どことなくチャンキーな雰囲気を持ったナンバーです。ムーンライダーズの高い演奏力とセンスを感じさせる曲ではないでしょうか。

かなりお気に入りの1曲になっている洒落たメロウなバラード11。ムーンライダースの演奏にコーラスに佐藤 奈々子が加わるという贅沢な1曲。

フォーキーなナンバー12。70年代ならではの1曲かも知れません。お洒落という雰囲気ではありませんが、私のような年代にはどこか懐かしく、心が落ち着くような気がしますね(笑)

ボーナス・トラック4曲は、全て梅垣 達志がアレンジを担当しており、うち15は作曲も手掛けています。残念ながらミュージシャン・クレジットが記載されていませんでした。どちらかと言えばオーソドックスなポップなアレンジが梅垣 達志の特徴でもありますが、そんな中でもコーラス・ワークはかなり凝っていますね。ボートラ曲も悪くないですが、やはり『SUPER FLIGHT』に収録されている曲の方が優れている気がします。

1970年代終盤には、数々のCMソングを歌ったり、ドラえもんの映画のテーマ・ソングを歌ったりしていたようですが、1980年にクリスチャンとなり以降ゴスペル・ソング中心に活動するようになったようです。
ですからポップな時代の岩渕 まことの音楽を聴けるという意味でも、今回のCD化は重要な意味を持つかも知れませんね。
初期の細野 晴臣の世界観が好きな人、ムーンライダーズが好きな人、CITY POPが好きな人にはお薦めの1枚です。ジャケットからはあまりセンスの良い音楽のイメージはありませんが・・・(笑)
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by kaz-shin | 2008-02-23 13:28 | CITY POP / J-AOR系 | Trackback | Comments(7) | |
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Commented by kotaro at 2008-02-24 10:01 x
わたし、ウイスキードライブのEPだけ持ってます
なぜって、貴重な「ナイアガラ」レーベルだからです(笑)

で、いまの活動も知ってます。クリスチャンの親戚から教えられたから。
小坂忠(名曲「しらけちまうぜ」のあの、)と一緒に教会を回ったりされてます。
それも音楽家のいきかただと思います。ね。

でもウイスキードライブってタイトル、いまの世の中じゃ、どれだけ
反感買うんだろ。
そんなことを夜中にひとり考えて、大きな声で笑ったこと あ り ま す。
Commented by kaz-shin at 2008-02-25 01:08
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
確かに私も「ウイスキー・ドライブ」はマズイのでは・・・?と思いましたね(笑)
最近、コロンビアも再発に力を入れているようで、"昭和アーカイブス"と
銘打ってシリーズ化していますね。
以前紹介したいしだあゆみの『アワー・コネクション』も雪村いづみの
『スーパー・ジェネレイション』もシリーズの中の1枚になっています。
再発や初CD化される基準が今ひとつ不明ですが、他のレコード会社も
もっと力を入れて欲しいですね。
特に東芝EMIとビクターには頑張って欲しいと思う今日この頃です。
Commented by 猫になりたい哲学者 at 2008-02-28 23:05 x
岩渕 まことさんってどこかで聞いたような…と思っていたらドラえもんの映画版「海底鬼岩城」等まさに私の世代が観ていた作品で歌ってたんですねいや~藤子・F・不二雄さんが原作・脚本書いていたあの頃はまさにドラえもん映画版の絶頂期で特に「のび太と鉄人兵団」は今ラストシーンを思い浮かべるだけでも本当に涙がこぼれてくるほど感動作で…(違ーう!ここはそういう話題をするブログじゃなーい(笑))というわけでストーリーはばっちし覚えているんですが歌声はまったく記憶にないんでよ…。でもkaz-shinさんが関心なさるアルバムを作ってた人だったんですねぇ~。検索したらご本人のHPに辿り着きました。ジャケットの写真をこれにしたのはご自分の七不思議だと本人が言ってますね(笑)でもこれはどの分野でも言える事ですが売れるというかその道で大成するのは実力はもちろんですが、運やタイミングなども多分に左右されこういう実力があってもあまり世に知られずに市井に生きてる人ってたくさんいるんですよね…。kaz-shinさんだってギター続けていれば今頃松原正樹さんみたいに屈指のスタジオミュージシャンになっていて私を感動に打ち震えさせてたかもしれないんですもんね(笑)
Commented by kaz-shin at 2008-02-28 23:48
猫になりたい哲学者さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ドラえもんに関しては、劇場作品・TVシリーズ共にほとんど観たことが無いのですが、
安心して子供達に観せることの出来る良質なアニメの代表ですね。
「のび太と鉄人兵団」ってDVD出てますかね?観たい気がしてきました(笑)

岩渕さんのこのアルバムは好きですね。鈴木茂さんのアレンジャーとしての成長を感じられますし、
CITY POP黎明期の1枚と言って過言では無い作品だと思います。
機会があれば聴いてみて下さい。

>kaz-shinさんだってギター続けていれば今頃松原正樹さんみたいに屈指のスタジオミュージシャンになっていて
>私を感動に打ち震えさせてたかもしれないんですもんね(笑)
何とも嬉しいお言葉、ありがとうございます。
もしそうだとしたら、恨むべきはアル・ディメオラですね(笑)

Commented by 猫になりたい哲学者 at 2008-02-29 07:19 x
おはようございます。DVDありますよ。またこれはどこのレンタル店でも置いてあると思います。親戚の子供と観るんだって顔で一回借りてご覧になってみてはいかがでしょうか。それで調子に乗ってkaz-shinさんのような大人は見向きもしない子供用アニメで是非その世代に観ていただきたい作品があります。(もしかしたご存知かもしれませんが)それは『 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』と言う映画作品です。現在『四丁目の夕日』など昭和ノスタルジーが流行ですがそれを先取り、またそれらの作品のように美化した懐古趣味に終らず、未来に向かって終っていくこの作品は凄いですよ。大阪万博を知らない私の世代でも感動するので、知っているkaz-shinさんは号泣かもしれません(結構冗談ではないんですけどね(笑))ちなみにこの作品は雑誌『映画秘宝』2001年度全映画ベスト10の第一位作品です。これも簡単にレンタルできるので興味をもたれましたら是非。両アニメともTV局とタイアップして宣伝費をかけて大ヒットしている昨今の普通の邦画なんか足元に及ばない事だけは保障するクオリティですよ。

Commented by 猫になりたい哲学者 at 2008-02-29 07:21 x
それで調子に乗って書き込んだのはいいんですけど、どう考えてもkaz-shinのブログってkaz-shinさんとその仲間達がAOR等音楽を深く語り合う品のあるサロンのような場だと私なんか認識してるんですけど、どうも僕が書きこむよううになてから(特にここ数日)その品のあるサロンが銀河系の彼方に飛んでしまっているような(苦笑)Wink⇒萩田・船山⇒ナンノ⇒ドラえもん・クレシン、どういう思考(嗜好)してるんだよ、お前ですよね(爆)あの、本当にもし「この書いてある事はここの趣旨に合わない」という事がありましたら遠慮なく私に伝えてくださいね。その時はその内容は自重しますから。そうしないと私は精神年齢が幼児なのでまるでおもちゃ箱からkaz-shinさんは本当柔軟で興味を持ってくださるんであれも見せたいなどと調子に乗って取り出してしまうだけなので。本当に遠慮なさらず不適当だと思ったときは言って下さいね。
Commented by kaz-shin at 2008-03-01 12:35
猫になりたい哲学者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
昨夜遅く、久しぶりにレンタル・ビデオ屋へ行ってきました。
お薦め頂いた「のび太と鉄人兵団」はDVDで置いてありましたが、レンタル中。
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」は残念ながら見つかりませんでした(笑)
今度借りて観てみますね。お薦め頂いてありがとうございます。

>「この書いてある事はここの趣旨に合わない」
そんなことはありませんよ。実際に"めぞん一刻"のTVシリーズなんかも紹介しているブログですから・・・(笑)

私のように昭和30年代半ば頃に生まれた人間は、おそらく最初のアニメ世代なんですよ。
アニメと共に成長してきたと言っても過言ではありません。
昭和30年代のアニメ作品を語らせたら2~3時間は楽に語れます(笑)
いつの頃か、段々とアニメを観る機会が少なくなってしまいましたが、アニメ作品への
抵抗感というのは全くありません。
最近映像関連の記事を書いていないので、機会があれば好きなアニメ作品でも紹介してみようかと思います。
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