Music Avenue
musicave.exblog.jp
Top
楠木 恭介_JUST TONIGHT ◇ 2008年 06月 15日
e0081370_10281362.jpg 

今回紹介するのは、ソウルフルなヴォーカルに定評のある楠木 勇有行が、楠木 恭介名義で1985年にリリースした1stソロ・アルバム『JUST TONIGHT』です。以前、楠木 勇有行名義でリリースしたアルバム『THE ONE AND ONLY』(1988年)を取り上げましたが、この1stアルバムは2007年にようやく初CD化されました。何故今までCD化されなかったのか不思議なくらい、極上のアーバン・ソウルを聴かせてくれる傑作アルバムです。

楠木 恭介(勇有行)の簡単な経歴は以前の記事(コチラ)を参考にしていただくとして、この1stアルバムをリリースするまでに既にヴォーカリストとしてのキャリアは十分で、このアルバムでも余裕すら感じられる素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれます。それだけでなくソング・ライターとしても非凡な才能を発揮しています。しかし、本作を極上のアーバン・ソウル・アルバムに仕上げているのは、素晴らしいアレンジだと思っています。
全9曲中8曲のアレンジを手掛けているのは、私が日本のデヴィッド・T・ウォーカーだと信じて疑わないギタリスト、鳴海 寛です。彼のアレンジとギター、そして楠木のヴォーカルが絶妙に溶け合っていて心地良いサウンドとなって耳に届いてきます。レコーディングには、鳴海 寛(g)、多田 文信(b)、鎌田 清(ds)、松田 真人(key)、柿崎 洋一郎(key)、小池 修(ts,as,fl)、数原 晋(tp)等が参加しています。

『楠木 恭介 / JUST TONIGHT』
01. SUGER DANCE
02. GET DOWN
03. FOR OUR LOVE
04. JUST TONIGHT
05. 渚にて~CLOSE TO YOU
06. LOVE DEVOTION
07. COME TO ME AGAIN
08. 夜を忘れて
09. 地図なき未来

都会的で洒落たメロウ・ナンバー01。イントロからいきなりデヴィッド・T・ウォーカーを彷彿させる鳴海 寛のギターを堪能出来る1曲。落ち着いた雰囲気のリズム・セクションとゴージャスなストリングスのコンビネーションが素晴らしいです。

柿崎 洋一郎の作曲によるグルーヴィーなミディアム・ナンバー02。英語詞の曲なのですが、楠木のヴォーカルはまるで黒人ヴォーカリストが歌っているかのような、日本人離れしたフィーリングを感じさせます。

03も英語詞の曲で、極上のAORナンバーに仕上がっている1曲です。鳴海のギター・プレイ、リチャード・ティーを彷彿させる松田 真人のピアノ・プレイ、小池 修のエモーショナルなサックス等、お洒落という言葉がぴったりな仕上がりです。

まさしく楠木の"歌"を聴いているという感じがする、アルバム・タイトル曲04。しっとりと情感豊かなヴォーカルが見事なバラード・ナンバーです。この曲も英語詞です。オーソドックスなアレンジですが、逆にそれが20年以上経過した今聴いても違和感を感じさせないのでしょうね。

鳴海 寛の作・編曲によるメロウなナンバー05。タイトルから海を連想させますが、あくまでもサウンドは都会的でアーバンな香り立つナンバーです。当時はまだ駆け出しだったであろう小池 修が随所で良いサックスを聴かせてくれます。

FUNKYかつPOPなご機嫌なダンサブル・ナンバー06。ディスコ系ビート、ギター・カッティング、シンセの使い方など少し懐かしい感じがして、私はこういうサウンドが大好きなんです。いかにも80年代の曲って感じがたまりません(笑)

AORなミディアム・ナンバー07。ありがちな曲構成なんですが、だからこそ安心して心地良く聴けるファクターになっているのかも知れません。ホーン・セクションの使い方がボビー・コールドウェルの曲を彷彿させますね。

甘く切なく、そして美しいバラード・ナンバー08。ソウルフルなヴォーカリストというと兎角熱唱タイプを連想しますが、楠木の場合緩急の使い方も絶妙なので一本調子にならず、そこが魅力なのかも知れません。

"未来"と書いて"ゆくえ"と読ませる09。当時シチズンのCMソングだったとか。この曲は元クラフトの三井 誠の作・編曲によるナンバーです。正直なところ、この曲は必要無かったように思います。他の曲と彩が違い過ぎる気がします。08で終わった方がアルバムとしての完成度は高かったように思えるのですが・・・。

解説で金澤 寿和氏が、「でもこれが売れなかった。もし成功していたら、日本のR&Bシンガーのパイオニアは久保田 利伸ではなく楠木 恭介、と言われたに違いない。しかし、当時の日本の音楽シーンにこのスタイルは、些か早すぎた。」と書いています。確かに一理ありますね。でも私は"早すぎた"と言うよりも"渋すぎた"の方が的確な表現ではないかと思っています。
個人的には09を除けば、どれも素晴らしい楽曲であり、サウンド面でも良い仕上がりだと思います。ただ、強烈なインパクトを持った曲が無いのも事実です。つまりシングル・リリースして多くのリスナーの心を射止めるような曲が無い・・・。
それが良いか悪いかは別にして、アルバムとしてはかなり完成度が高く、まさにジャパニーズ・アーバン・ソウルの名作には違いないと思っています。
当時よりも今の時代にこそ、このアルバムの渋さが似合っているような気がします。
[PR]
by kaz-shin | 2008-06-15 12:20 | CITY POP / J-AOR系 | Trackback | Comments(10) | |
トラックバックURL : https://musicave.exblog.jp/tb/8132767
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by たにぴ@もまゆきゅ at 2008-06-16 00:10 x
何か読んでたら、聴いてみたくなりましたよ。
Commented by kaz-shin at 2008-06-16 01:02
たにぴさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
なかなか良いアルバムですよ。ぜひ聴いてみて下さい。
Commented by kadomania at 2008-06-16 14:41 x
お疲れ様です(^^。楠木さんは、「SEED OF LIF」と「TREE OD LIFE」しかなくて、ご紹介されている2枚を聴いた事がないのです。地道に探してみようと思います。探せたら、またここに書きに来たいと思います・笑

それにしても、楠木さんの声は、天性のというか、正に選ばれた人に与えられた宝物ですよね。僕もこんな声の持ち主だったら歌手になりたいですもん・笑。本物の大人のシンガーという趣ですね。

僕の所有している2枚は、打ち込みが中心で、かなりR&B色が強いので、もしかしたらkazさんの好みでは無いかもしれませんが、70年代80年代のフィリーソウルのカヴァーなどとオリジナルのバランスが取れていて、これはこれで楽しめるアルバムかと思います。

TREE~の方では、例の佐々木久美さんがバックで5曲ほど参加されてますので、結構ファンキーな感じでした。既聴でしたら、すみません。

Commented by トシユキ at 2008-06-16 20:32 x
楠木 勇有行のCDすら持っておらず、ろくなコメントも出来ませんが、読んでいてこれを聞かずしては死ねないと感じました。
そんな埋もれてしまっている名盤の紹介、これからもよろしくお願いします。
Commented by kaz-shin at 2008-06-17 23:54
kadomaniaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私は逆にkadoさんの所有している2枚は未聴なんですよ(笑)
中古店等でも探していますが、なかなか見つかりませんね。
ぜひ聴いてみたいとは思っているのですが・・・。

紹介した『JUST TONIGHT』はまだ入手可能だと思いますので、機会があれば聴いてみて下さい。
良いアルバムですよ!
Commented by kaz-shin at 2008-06-18 00:05
トシユキさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>ろくなコメントも出来ませんが、読んでいてこれを聞かずしては死ねないと感じました。
ありがとうございます!
こんなに拙い文章なのに、そう言って頂けると本当に嬉しいです。
機会があったらぜひ聴いてみて下さいね。
Commented by 通りすがりの某 at 2008-06-22 21:46 x
楠木さんの娘さん、Emyliさんのことになりますが、彼女の現在唯一のアルバム『Flower of Life』のプロデュースを、楠木さん自ら手掛けています。ブックオフでは、安くて500円で入手できます。ご参考程度に聴いて損は、ないと思います。
あと、もう1つ。このアルバムに参加されている鳴海博さんなのですが、ドラマーの多田牧男さんらとfrascoというユニットで一時期活動されていました。
Commented by 通りすがりの某 at 2008-06-22 21:51 x
ワーナー時代にリリースされたアルバム『film』は、オススメです。ブックオフに置いている場合もありますので、発見されたときは、是非お買い上げになってください。
Commented by kaz-shin at 2008-06-23 22:25
通りすがりの某さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
Emyliさんはまだ残念ながら聴いたことがありません。
しかし、BOOK OFFで入手可能なら探してみようと思います。
情報ありがとうございました。
また、楠木さんの他のアルバムもいつも注意深くBOOK OFF等で探していますが
なかなか見つかりませんね。
もし入手出来たら、またこのブログで取り上げてみたいなと思っています。
Commented by ゆーさん at 2009-12-10 00:04 x
ブログをずーっと読み、やっと辿り着きました。
CD化されるのを待ってました。
#6はライブでよく歌ってましたが、歌詞は日本語でした。私はアルバム収録の英詞よりも日本語の方が好きです。
<< WILL LEE_OH! ページトップ 原田 知世_Soshite >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Ice Green Skin by Sun&Moon