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WILL LEE_OH! ◇ 2008年 06月 16日
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今回紹介するのは、ニューヨークを中心に活躍するトップ・セッション・ベーシスト、ウィル・リーが1994年にリリースした初のリーダー・アルバム『OH!』です。ウィル・リーは様々なセッションで活躍してきていますが、私が彼の名前を初めて知ったのは1970年代の終わり頃に日本でも人気の高かった24丁目バンドの一員としてでした。決して派手なプレイ・スタイルではありませんし、特に看板となる奏法を持っている訳ではありませんが、重厚でグルーヴ感を大切にしたベース・プレイは燻し銀とも言えるものだと思います。

70年代から常に一線で活躍していながら、しかもFUSIONブームの最中においても彼はリーダー作を出していませんでした。かなり誘いがあったようですが、断っていたらしいですね。そんなウィル・リーの初リーダー作となれば期待するなという方が無理です。しかもベース・プレイはもちろんですが、彼の素晴らしいヴォーカルが堪能出来るアルバムなんですから・・・。
単にベーシストのリーダー作ではなく、多くの人に楽しんでもらいたかったという思いもあったでしょうし、FUSIONが下火となっていた背景を考えるとこのようなスタイルになったというのは、ある意味当然だったのかも知れません。

ウィル・リーの素晴らしい歌声を初めて聴いたのは1980年頃、日本のCMでした。NEW YORKERS名義でリリースされたパイオニアのステレオ・コンポのCMソング「I Believe In Love (愛のサスペンス)」でヴォーカルを務めていたのがウィル・リーで、とても白人とは思えないほど黒っぽいヴォーカルに驚いたことを鮮明に覚えています。いつかじっくり彼の歌を聴いてみたいと思っていたので、このアルバムで念願が叶ったといったところです。

『WILL LEE / OH!』
01. MARYANNE
02. GEORGY PORGY
03. KISSING MY LOVE
04. I KNOW TOO MUCH (ABOUT SADNESS)
05. SHOW OF HANDS
06. BALLAD OF BILL AND GRETCHEN
07. DRIFTIN
08. I CAME TO PLAY
09. LONELY AVENUE
10. WHITE MAN
11. MY FUNNY VALENTINE

軽快なリズムと心地良いグルーヴが特徴のラヴ・ソング01。打ち込みによるループと生のドラムを組み合わせたリズムに乗せ、ウィル・リーの重厚なベースと溌剌としたヴォーカルが印象的です。

TOTOの名曲をカヴァーした02。洒落たアレンジとヴォーカルでオリジナルに勝るとも劣らない仕上がりになっています。クリス・パーカーの堅実なドラミング、ジョン・トロペイの渋いギター・ワーク、ロブ・マウンジーの繊細なエレピに加え、ウィルの素晴らしいベース・ソロも聴けます。AORど真ん中ストライクといった感じの1曲。

ビル・ウィザースの古い曲のカヴァーだという03。ノリの良い曲で弾けた感じのウィルのヴォーカルが印象的です。演奏自体はシンプルな構成で、スティーヴ・ガッドのドラム、FUNKYなフェリシア・コリンズのギターが冴えた曲です。

美しいメロディー・ラインを持ったバラード・ナンバー04。ジェフ・ミノロフ(g)、ドン・グロルニック(key)、バシリ・ジョンソン(per)等が参加しています。ランディー・ブレッカーの哀愁の漂うフリューゲル・ホーン・ソロがたまらなく素敵です。

ニューヨーク・サウンドが炸裂する05。アレンジが凝っていますね。ウィル・リーのスラッピング・ベースとジェフ・ミロノフの職人技とも言えるギター・プレイがとにかく渋いですね。この曲でのヴォーカルなどは白人が歌っているとは到底思えないほど黒っぽいです。スティーヴ・ガッドのタイトなドラミングも聴き所です。

ブルース色の強いバラード・ナンバー06。堅実で重厚なウィルのフレットレス・ベースが耳に残ります。ギターのジェフ・ミノロフとミュート・トランペットのランディ・ブレッカーの渋いプレイが光っています。

ジミ・ヘンドリックスのカヴァー07。ウィルのフレットレスのピッコロ・ベースのソロも素晴らしいですが、ゲスト参加しているジェフ・ベックのギター・ソロも実に味わい深いです。情感豊かなウィルのヴォーカルも素晴らしいです。

ウィル自身、ベースを弾くのが楽しかった曲と語っている08。陽気で楽しい曲に仕上がっています。ウィルの言葉通り、彼のベース・プレイは本当に素晴らしいですよ。ミュージシャン達が各々プレイを楽しんでいるような雰囲気が伝わってきます。

レイ・チャールズのカヴァーだという09。オリジナルを知らないので比較は出来ないのですが、オリジナルとは違ったハーモニーとメロディーのフレーズを足しているようです。ブルースっぽい雰囲気にウィルの黒っぽいヴォーカルがよく似合っています。間奏で渋いギター・ソロを弾いているのはジョー・カロです。

都会的でJAZZYな雰囲気を持った10。白人を皮肉った歌ですが、切実な思いがウィルのヴォーカルに込められているようで、意味が分からずともその思いが伝わってくるようです。

スタンダードとしてお馴染みのナンバーで様々なカヴァー曲が存在する11。オリジナルとは雰囲気が全く違う都会的でグルーヴィー、全体的にはJAZZYな仕上がりになっています。旧友・ハイラム・ブロックが参加していますが、この曲のハイライトはウィル・リーの父上であるビル・リーのピアノ・ソロかも知れません(笑)

ウィル・リーのソロ・アルバムとなれば、FUSIONが好きな方は当然注目するでしょうが、私としてはぜひAOR好きな人にも聴いて欲しいアルバムです。02辺りを聴けばAOR好きな人も納得頂けると思いますし、バラエティに富んだ内容で純粋に楽しんで聴ける1枚です。
素晴らしい演奏技術を持ったミュージシャンで歌が上手いという人は少なくありません。しかし、私の印象ではその多くは黒人系ミュージシャンで、白人系のミュージシャンは少ないですね。そんな白人系ミュージシャンの中でウィル・リーは群を抜いている気がします。もちろんベースも随所で素晴らしいプレイが聴けますから、まさに一粒で2度おいしいアルバムと言えると思います(笑)
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by kaz-shin | 2008-06-16 00:01 | FUSION系 | Trackback | Comments(4) | |
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Commented by Sken at 2008-06-16 15:44 x
こんにちは。
これ私もひそかに愛聴盤です。
ひそかにしなくてもいいのですが。
Commented by Musicman at 2008-06-16 22:11 x
またまたいいアルバムをご紹介ですねー!!
私もかなり好きなアルバムです。
何と言っても「Gerogy Porgy」のカバーは、イントロのギターの音色にやられました。
最近はソロ・アルバム出していませんけど、そろそろ聴きたいですね!!
Commented by kaz-shin at 2008-06-17 23:57
Skenさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
いかにもベーシストのアルバムという感じがしないのですが、しっかりベース・プレイで魅了してくれますし、
何とも渋い声で、ヴォーカリストとしても良い歌を聴かせてくれますし、侮れないアルバムですよね。
AOR好きな人にはぜひとも聴いて欲しいアルバムだと思っています。
Commented by kaz-shin at 2008-06-18 00:09
Musicmanさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私も初めて「Georgy Porgy」を聴いた時には、そのお洒落な仕上がりに驚きました。
あまりソロ・アルバムというものに執着心の無いミュージシャンなんでしょうね。
そこが職人っぽくて好きなんですが・・・(笑)
でもこれだけ歌えるのですから、ぜひとも新作をリリースして欲しいと思います。
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