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山下 達郎_僕の中の少年 ◇ 2008年 07月 06日
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ここ2~3日、慌しい日々を送っておりまして記事をアップすることだけでなく、コメントの返信すら出来ずにいました。すみませんでした。
暫くはこういう日が続くかも知れませんが、よろしくお願い致します。

さて今回紹介するのは、山下 達郎が1988年にリリースした通算9作目となるオリジナル・アルバムで、初めて日本語のタイトルがついたアルバム『僕の中の少年』です。前作『POCKET MUSIC』で初めてデジタル・レコーディング、コンピューターやシーケンサを使ったデジタル・サウンドを取り入れましたが、凝り性の達郎ですから本作では前作以上にサウンド的には纏まっているなという感じです。しかし、初めてこのアルバムを聴いた時は正直戸惑いも感じました。達郎が作るんですから、サウンド的に何の不満や不安があった訳ではありません。ただ、前作でも感じていたことなんですが、FUNKYな曲が無くなっていることでした。明らかに達郎は変わろうとしている、あるいは自分の音楽と向き合っているなという印象を受けました。
ですから、最初に聴いた時には"地味"という印象が拭えず、好きになれなかったアルバムだったのですが、年齢を重ねるに従い聴く回数も増え、今ではかなり好きなアルバムの1枚になっています。

『山下 達郎 / 僕の中の少年』
01. 新・東京ラプソディー
02. ゲット・バック・イン・ラブ
03. ザ・ガール・イン・ホワイト
04. 寒い夏
05. 踊ろよ、フィッシュ
06. ルミネッセンス
07. マーマレイド・グッドバイ
08. 蒼氓
09. 僕の中の少年

古賀 政男が昭和11年(1936年)に書いた曲で、藤山 一郎が歌って大ヒットした戦前の曲「東京ラプソディー」にインスパイアされて作られたのであろう01。曲中に「東京ラプソディー」の一節も登場しますね。コンピューターを積極的に導入しているものの、リズムが打ち込みというのは数曲で、青山&伊藤のリズム隊が活躍しています。やはり生のリズムの重要性を知っている達郎の拘りなのでしょうか。

初めてバラード曲でヒットしたとも言える02。ドラマ「海岸物語」の主題歌だったこともヒットに繋がったのでしょう。周りから"夏だ!海だ!タツローだ!"を期待されることに苛立ち、バラードでシングルを出したいとダダをこねて、リリースに至ったという曲らしいですね(笑)

1988年に黒人アカペラ・グループ"14 KARAT SOUL"の日本のデビュー・シングルとして、達郎がプロデュース、楽曲提供した曲のセルフ・カヴァー03。サントリー・ウィスキー"ホワイト"のCMソングとして、頻繁にTVで流れていましたので覚えている人も多いでしょう。淵野 繁雄のサックス以外は、達郎が打ち込み、その他の楽器を一人でこなしている曲。

ゆったりとした雰囲気と気だるい感じが逆に心地良い04。全ての楽器を達郎がこなしています。ここでは服部 克久のアレンジによるアレンジの美しさと注意深く聴かないと気付きませんが、村田 和人のコーラスが好きです。

1987年のシングル曲05。ANAの沖縄キャンペーン曲でした。嫌気が差しながらもスタッフにハッパをかけられ、作った曲だとか・・・。ここで収録されているのはアルバム・バージョンで、シングル・バージョンは1995年のベスト盤『TREASURES』で初めてCD化されました。

達郎らしいデジタル・サウンドと生のリズムを上手く融合させた06。最初は"?"な曲だったんですが、聴く度に好きになっていった1曲です。起伏のあまりないメロディーというのは、インパクトに欠ける分、聴き込むほどに魅力的に思えてくる曲が多いような気がします。

爽快なナンバー07。ドライブのBGMとしてもぴったりな1曲だと思います。サックス・ソロはこのアルバムで大活躍している淵野 繁雄です。土岐 英史も達郎のサウンドによく似合っていますが、淵野 繁雄のサックスも相性が良いですね。

前作『POCKET MUSIC』では「The War Song」で衝撃が走りましたが、本作ではこの08が「The War Song」同様衝撃が走った1曲でした。ある意味内省的で、メッセージ性の強い曲ですが、決してそれが嫌味になっておらずスンナリと耳に入ってきます。メロディーの良さはもちろんですが、達郎の説得力のある歌が素晴らしいですね。コーラスで桑田 佳祐と原 由子夫妻、竹内 まりやが参加しています。この曲も信販会社のCMに起用されていました。

ホンダ"インテグラ"のCM曲だったアルバム・タイトル曲09。サビのキャッチーなメロディーは馴染み易く、CM向きと言える曲です。曲の終盤の何とも言えぬ雰囲気がアルバムを聴き終えた後、充実感に変わっていくように感じるのは私だけでしょうか・・・(笑)

このアルバムをリリースした頃の達郎は30歳代半ば。これからシンガー・ソング・ライターとして、どんな音楽を書き歌っていくのか。あるいは主流になりつつあったデジタル・レコーディングやデジタル・サウンドとどう関わっていくのかという葛藤、暗中模索、孤軍奮闘の中で作りあげられたアルバムである本作は、他には類を見ない程達郎の苦悩を感じたアルバムでもありましたが、それだけに出来上がったアルバムは傑作と呼ぶに相応しいモノだと思います。
BOOK OFF等の中古店では、このアルバムが安値で売られているのをよく見かけます。昔からの達郎ファンとしては淋しいのですが、達郎の音楽に触れたことの無い人にとっては買い易い値段とも言える訳で・・・。
この記事を読んで興味を持った方がいらっしゃたら、ぜひ聴いてみて下さい。
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by kaz-shin | 2008-07-06 18:59 | CITY POP / J-AOR系 | Trackback | Comments(8) | |
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Commented by Skywalker at 2008-07-06 20:48 x
こんばんは。ここ数日、蒸し暑い日が続きますね。

「僕の中の少年」を初めて聴いた時は「POCKET MUSIC」同様、
「MELODIES」や「BIG WAVE」との間に大きな溝が出来たと感じられ、
従来の路線との差異に、少なからず失望したものです。
特に山下達郎自身が「大好きな曲」だと言っていた08.の「蒼氓」は、
当時なかなか好きになれませんでした。

しかし、発売から約20年が経過した今、昔の様な抵抗感はありません。
子供のころ嫌いだった獅子唐辛子のてんぷらの苦みが、
大人になって旨いと感じられる様になったことと、似ている気がします。
Commented by kaz-shin at 2008-07-06 21:44
Skywalkerさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
本当に日本の蒸し暑さには閉口しますよね。
ですからこの時期、カラっとした音楽が余計聴きたくなります(笑)

私もSkywalkerと同じで、最初は戸惑いましたね。
このまま私の好みから外れていくようで・・・。
でもやはり毎年では無くても、たまに引っ張り出して聴くとあの頃の印象とは確実に変わってきていることに驚きます。
「このアルバム、こんなに良かったっけ?」みたいな感じになるんです。
音楽って不思議ですよね。
だから私は買ったCDは絶対に売らないんですよ。
たまにはイマイチだと思っていたアルバムを聴き直すのも良いものです。
Commented by たにぴ@もまゆきゅ at 2008-07-07 02:21 x
ふふふ、ぼくは最初から大好きでしたよ。
車でかけて(自転車の曲がスタートですが)、
2曲めのコーラスアレンジが来たときは、
勝手に涙が出たもん。だぁ~って。
Commented by ima45 at 2008-07-08 00:01 x
このアルバムはホント名作ですよね。「踊ろよ、フィッシュ」は大好きな曲ですが、そんなエピソードがあったんですね・・・。
Commented by kaz-shin at 2008-07-09 22:36
たにぴさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
レスが遅くなってしまって、本当にゴメンナサイ。
私は本当に最初のうちはちょっと馴染めなかったですね。でも不思議にことあるごとに聴きたくなってくるアルバムでした。
そこが達郎さんの作る音楽の凄いところでもあるような気がします。
Commented by kaz-shin at 2008-07-09 22:43
ima45さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ブログ拝見しました。ギタリストなんですね。
私も達郎さんのサウンドの魅力は、達郎さんの弾くギター・カッティングにあると思います。
以前、坂本 龍一さんが達郎さんのギター・カッティングは日本でも指折りの腕前だと褒めていたのを聞いたことがあります。
リズムが生でも、打ち込みでも達郎さんのギター・カッティングとお馴染みグロッケンが入れば達郎さんのサウンドになるから不思議です。
Commented by 猫になりたい哲学者 at 2008-09-29 22:42 x
私がお小遣いで初めて買った山達のCDがこのアルバムでした。ですから私のヤマタツはここから始まり、今でもヤマタツと言われてまず思い浮かぶ曲群はこのアルバムになります。その後他の作品を聴いて古参のファンの人達はこのCDではかなり戸惑っただろうなぁと思いました。明らかに作風が変化してますもんね。このアルバムは買った時感動しましたねぇ~。今でもヤマタツの楽曲で自分が鼻歌で出てくるのが02ですし(^_^;、やはりなんといっても08です。あの時も感動を覚え、部活やなんだで思春期誰しも悩みが大きかったあの頃学校からの帰路駅のペデストリアンデッキで佇みながら夕焼けをバックに家路に急ぐ人並みを眺めながらウォークマンでこの曲を聴いてたら急に涙がこぼれ落ちてきた恥ずかしい過去が思い出されます…(汗)そして年老いてたオジサンになった今ますますこの曲の重さを感じます。日本って華やかで庶民とかけ離れている芸能・音楽界がある中で一方POPS界の大御所のこの人がこういう視点を持っていて、また筒美京平御大みたいに林さん含めて他の作曲家とは異なり表舞台には出ず自作の事を語らず頑なに職人でいようとしそれに殉じる大御所がいて…本当に不思議な国だと思います。
Commented by kaz-shin at 2008-10-01 00:25
猫になりたい哲学者さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
メッセージ性の強かったフォーク・ソングが廃れて、やがて音楽もファッション性が強くなっていきました。
それでも本質を分かっているリスナーが多ければ良かったのでしょうが、いつの日か音楽も完全なファッションになってしまい、
そんな環境に憂いを感じていたのが、この頃の達郎さんではないかと思っています。
録音に関する環境も変わって試行錯誤していた頃らしいですし、あらゆる可能性を試みた時代だったのでしょう。
やはりアーティストは作品ですよね。あれこれ多くを語らずとも作品を聴けば伝わってきますよね。
達郎さんの音楽に向き合う真摯な態度、職人気質が私を惹き付けるのだと思います。

今年は久しぶりのツアーがあるようですね。何としても見たいのですが、チケット争奪戦に果たして勝てるかどうか・・・(笑)
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