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大瀧 詠一SONGBOOK Ⅰ- 大瀧 詠一作品集(1980~1985) ◇ 2008年 09月 07日
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今回紹介するのは、1991年にリリースされた大瀧 詠一の作品集『大瀧 詠一SONGBOOK Ⅰ』です。
このアルバムに収録されているのは、ナイアガラⅡ期と言われている1980年~1985年の間のCBSソニー時代に、大瀧 詠一の他のアーティストへの提供曲ばかりです。この時代は『LONG VACATION』でブレイクし、大瀧 詠一の名前が広く知られるようになった、ある意味絶頂期とも言える時代の楽曲が集まっている訳で、アルバムを聴いていても勢いを感じます。

この記事を書くにあたって、過去の大瀧 詠一関連のアルバム・レビュー記事を見直したところ、なんとあの名盤(定番)アルバム『LONG VACATION』の紹介記事を書いていませんでした。自分ではとっくに書いたものだとばかり思ってました・・・(笑)
『LONG VACATION』の紹介記事は別の機会に書くとして、この『大瀧 詠一SONGBOOK Ⅰ』のような提供曲を集めた作品集というのは、レーベルの間の問題があったりで現在はともかく、1991年という時代を考えると珍しい企画だったと言えるかも知れません。幸い大瀧 詠一が曲を提供したアーティストの多くが、CBSソニーやEPICソニーという系列会社に所属していたので実現したのかも知れません。

アルバムには曲毎に大瀧 詠一の解説があり、曲を作った背景等が書かれています。この解説自体も読み応えがありますし、非常に面白い内容で興味深かったです。脂の乗った頃の大瀧 詠一の素晴らしい楽曲を堪能出来る1枚です。

『大瀧 詠一SONGBOOK Ⅰ- 大瀧 詠一作品集(1980~1985)』
01. A面で恋をして(CM Version) / ナイアガラ・トライアングル2
02. あなただけI LOVE YOU / 須藤 薫
03. レモン・シャワー / 須藤 薫
04. 恋のハーフ・ムーン / 太田 裕美
05. さらばシベリア鉄道 / 太田 裕美
06. 哀愁のコニー・アイランド / 山口 百恵
07. 風が吹いたら恋もうけ / 中原 理恵
08. いかすぜ!この恋 / 西田 敏行
09. ロンリー・ティーンエイジ・アイドル / 西田 敏行
10. 大きいのが好き / ラッツ&スター With EPO
11. 星空のサーカス / ラッツ&スター
12. ROCK'N'ROLL 退屈男 / 大滝 詠一
13. Rock'nRoll Goodbye / 松田 聖子
14. 風立ちぬ / 松田 聖子
15. Tシャツに口紅 / ラッツ&スター
16. フィヨルドの少女 / 大滝 詠一
17. A面で恋をして(Instrumental Version) / 大瀧 詠一楽団

ナイアガラ・トライアングル2』の代表曲の01。ここでは資生堂化粧品CM用のヴァージョンが収録されています。解説によると、このCMは出演していたモデルのスキャンダルのせいで、約1週間放映されただけで打ち切りになったとか・・・。オケ・ヴォーカル共にCM用に録音したという大瀧 詠一らしい拘りを感じます。

須藤 薫の1stアルバム『CHEFF'S SPECIAL』(1980年)に収録されていた名曲02。解説によると当時の音楽番組「サウンドインS」のレギュラーだったニュー・ホリデー・ガールズに書いた曲で、「愛は行方不明」(作詞:山川 啓介)というタイトルだったらしいです。これはこれで聴いてみたい気もしますね。

須藤 薫が歌ったCM曲03。糸井 重里が作詞しています。この歌は記憶にあるのですが、何のCMだったのか思い出せません。清涼飲料水だったような気もするのですが自信がありません(笑)

太田 裕美の為に書き下ろしたという04。何でもシングル曲で間奏のない曲という実験的な意味合いもあったそうです。解説では太田 裕美の曲としてオーヴァー・プロデュースだったかも知れないと書いてありました。私は結構好きですけどね、この曲。

大瀧 詠一のカヴァーという形になる太田 裕美の05。この曲も興味深い話が解説に書かれていました。自分で歌っていたものの、この歌は女性が歌った方が良いと思うようになり、思い付いたのが太田 裕美だったそうです。オリジナルとは歌い回しが違いますが、大瀧 詠一があえて太田 裕美向けに歌い回しを変えたデモ・テープを渡したそうです。私の場合はオリジナルで散々聴いてますので、太田バージョンには多少違和感はありますが、嫌いではありません。

山口 百恵の引退間近の1980年5月にリリースされた『メビウス・ゲーム』に収録されていた06。大瀧 詠一は曲提供だけで、サウンド・プロデュースには関わっていないようです。確かに大瀧 詠一よりも萩田 光雄の方が山口 百恵には似合っていると思います。

元祖(?)バラドルとも言える中原 理恵の1982年のシングル曲07。この曲も元々は演歌歌手の為に1978年に書いた曲だったようです。一時は研ナオコが歌うという話もあったようです。この曲も大瀧 詠一は提供のみでサウンドには関わっていないようです。

大瀧 詠一の1972年のアルバム『大瀧 詠一』に収録されていた曲のカヴァーとなる08。歌っているのは西田 敏行です。一般的には西田 敏行=「もしもピアノが弾けたなら」というイメージでしょうが、エルビス・プレスリーを意識したヴォーカルが微笑ましいです。昔はよく物真似してましたね(笑)

同じく西田 敏行が歌う09。この曲は元々清水 健太郎用に書いたバラードらしいです。この曲もエルビス風に歌ってます。

ラッツ&スターとEPOによるCM曲10。この曲も何のCMだったかは覚えていません。この曲の後半部は、大瀧 詠一の「PAP-PI-DOO-BI-DOO-BA物語」と同じですね。

1983年のラッツ&スターのシングル「Tシャツに口紅」のカップリング曲で、大瀧 詠一プロデュースによるアルバム『SOUL VACATION』(1983年)にも収録されていた11。ここに収録されているのは未発表テイクだとか・・・。元々はハウスのコショーのCM用に作ったそうです。

『ナイアガラ・トライアングル2』からのシングル「ハートじかけのオレンジ」のカップリング曲だった12。当時、"大瀧 詠一"は作家ネーム、"大滝 詠一"を歌手ネームとして使っていたようです。ですからこの曲は"大滝 詠一"名義になっています。

松田 聖子の1982年リリースのアルバム『CANDY』に収録されていた13。この曲のテーマが"松田 聖子は80年代のコニー・フランシスか?"だったそうです。やはり、松田 聖子は曲に恵まれていたんだなぁとつくづく思います。もちろん本人の歌に魅力が無ければ、ここまでビッグにはなれなかったでしょう。しかし、いくら歌が上手くても売れない人が多い中、松田 聖子のスタッフのセンスには今更ながら驚かされます。

大瀧 詠一の提供曲でおそらく1番のビッグ・ヒットであろう曲が、松田 聖子の1981年のシングル14です。ご存知の方も多いと思いますが、確かに名曲だと思います。解説には松本 隆の詞が先にあって、メロディーを付けるのが凄く難しかったことや、苦労して出来上がった曲に対して松田 聖子が「良い曲だけど自分には向いていない」と言い出したことなどが紹介されています。他にもこの曲のヒットによって、多羅尾 伴内というネームが使えなくなったこととか、松田 聖子のアルバム『風立ちぬ』(1982年)の片面をプロデュースした時に、『LONG VACATION』の代表曲とシンメトリーになるように書き下ろしたという話が解説に書かれてました。興味深い話ばかりですよね。

ラッツ&スターの1983年にヒット・シングル15。

大滝 詠一名義の1985年のシングル曲16。アナログ・シングルという形態がCDの登場によって終わるなら、何か記念的なことをやろうと企画して制作されたシングルだったようです。世界初のCDに『LONG VACATION』が選ばれたのが1982年。やはり音楽にとって大きな流れが80年代にあったということなんでしょうね。色んな意味で魅力的な時代でもありました。

「A面で恋をして」のインスト・バージョン17。

このアルバムに収録されている17曲の中で、05、06、07は大瀧 詠一がサウンド・プロデュースに関わっていません。その点では多少魅力に欠けます。とは言っても曲が悪いという意味ではなくて、大瀧 詠一がサウンド・プロデュースしている楽曲は、サウンド自体はあきらかに大瀧 詠一風なんですが、曲は提供したアーティストの個性を捕らえ、その個性を活かしたメロディーを書いているところの凄さにあります。決して大瀧 詠一らしいで終わっていないところが、作家としてもプロデューサーとしても凄いところではないでしょうかね。
特に大瀧 詠一が好きでない人、ナイアガラ関連に興味の無い人にも楽しめるアルバムだと思います。
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by kaz-shin | 2008-09-07 02:02 | Compilation / Cover | Trackback | Comments(6) | |
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Commented by PON at 2008-09-07 13:30 x
知っている曲は半分くらいですが、
タイトルと歌手名を見るだけでも
「どんな曲だろう?」と、興味津々です。

確かに、メロディなど、
大瀧さんっぽいけど、歌手の持ち味を生かした
曲になっていますよね。

山口百恵さんの唄う、ナイアガラサウンド…
聞いてみたいです!
Commented by kaz-shin at 2008-09-07 21:32
PONさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
PONさんのような若い世代で、半分位知っているのは凄いと思いますよ。
山口百恵さんの曲は、萩田さんのアレンジなのでサウンド自体はそれほどナイアガラ・サウンドを感じさせません。
でも曲は良いですよ。この曲をもし大瀧さんがアレンジしていたら、逆に違和感があったかも知れません。
百恵さんの魅力を知り尽くした萩田さんならではのアレンジだと思ってます。
機会があったらぜひ聴いてみて下さい。
Commented by 哲学者になりたい猫 at 2008-09-15 20:45 x
よく林’オメガ’哲司さんや芹澤’チェッカーズ’廣明さん等多作でその人が作ったとすぐ分る楽曲を残した人を’偉大なるワンパターン作家’と称する人がいますが、まさにその極北でそれで一つの様式にまで到達してるのがまさに大瀧さんの’ナイアガラサウンドですよね。そして演歌からPOPSまで適用範囲が幅広いのが本当に凄いの一言。私が音楽を楽しみ始めた幼少時の5年間(80~85年)は「シベリア鉄道」「風たちぬ」「ロンバケ」「探偵物語」「冬のリヴィエラ」「熱き心に」など毎年の如く新作を聴くことが出来たのは今から考えるともの凄く幸せな事でありまた大きな事でした。ナイアガラに深く関わった編曲家としては井上・松任谷・前田各氏がまず挙げられるでしょうが、直接関わってなくても意外に一番吸収したのが実は萩田さんだったと思ってます。萩田さんは太田版「シベリア」の編曲でポイントを掴んだのか、その後私が萩田氏の集大成と(私が勝手に)称する南野さんの「風のマドリガル」(作曲井上大輔)でまさにナイアガラサウンドを発展させた楽曲を聴かせてくれてます。それにしても…岩崎元是さんのように大瀧さんも新作アルバムつくってくれないもんですかねぇ(苦笑)
Commented by kaz-shin at 2008-09-16 23:32
哲学者になりたい猫さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ワンパターンと言うと聞こえが悪いですが、でもこのワンパターンという言葉はある意味では強い個性であり、
ワン・アンド・オンリーだからこその言葉かなとも思ったりします。
ただ、小室さんのように自分の色にアーティストを染めてしまうタイプと、大瀧さんのようにアーティストに合った曲を
書きながらもその個性が失われないというタイプがありますよね。
私は後者の方により魅力を感じますけどね(笑)

萩田さんのアレンジですと、私が1番印象に残っているのはやはり山口百恵さんでしょうね。
あれだけ百恵さんの魅力を引き出せるアレンジャーは他にいないでしょう。
編曲専業という感じの萩田さんですけど、百恵さんのアルバムの中では
ギターを弾いてる曲もあったりします。
日本を代表するアレンジャーの一人ですね。
Commented by kotaro at 2009-04-07 00:15 x
サウンドインSの話題で投稿します。
いま産經新聞になかにし礼氏がかの番組や東京音楽祭を
プロデュースしたTBSの渡辺正文氏の一代記を連載しています。
「世界は俺が回してる」でしたっけ。
なかなか音楽芸能好きには面白いですよ。
Commented by kaz-shin at 2009-04-07 23:27
kotaroさん、情報ありがとうございました。
その連載が終了した時には本になるかも知れませんね。
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