今回は、ブログを始めた頃に紹介したものの、今読み返すとあまりにも記事の内容が薄っぺらだったので改めて紹介するPart 2シリーズです。
取り上げるのは、大貫 妙子が1978年にリリースした3rdアルバム『MIGNONNE』です。数多い大貫 妙子のアルバムの中でも1番数多く聴いたアルバムであり、私にとっては最も好きなアルバムになっています。
私がこのアルバムが好きな理由は、とにかくバランスの良いアルバムだと思っているからで、楽曲の良さ、アレンジの良さ、演奏の良さ、録音の良さ、それら全てが大貫 妙子のヴォーカルと絶妙にマッチしていて、聴いていてこれ程気持ち良いアルバムは他にありません。
『MIGNONNE』は、1stアルバム『Grey Skies』、2ndアルバム『SUNSHOWER』共に内容は良かったもののセールス的には振るわず、もっと大衆受けする、つまり売れるアルバムを作るというのが前提にあったというのを何かで読んだことがあります。
そこで白羽の矢が立ったのが音楽評論家・小倉エージでした。彼をプロデューサーに招き、ディレクションを竹内 まりや、EPOを手掛けたことでも知られる宮田 茂樹が手掛けるという気合の入った布陣です。そして録音は、内沼 映二に吉田 保という今では考えられない顔合わせの二人が手掛けているのです。
収録曲10曲は、全て大貫 妙子の作詞・作曲。アレンジは坂本 龍一が5曲、瀬尾 一三が5曲手掛けています。この坂本&瀬尾のアレンジの良さが、そのままこのアルバムの良さに繋がっていると言えると思います。特に70年代終盤の坂本 龍一のアレンジが私は大好きで、そんな中でもこのアルバムでのアレンジは素晴らしいと思っています。
その素晴らしいアレンジを実際に音にしているミュージシャンも、当時としては豪華過ぎるくらいの顔触れで、林 立夫(ds)、田中 清(ds)、高橋ユキヒロ(ds)、村上 秀一(ds)、渡嘉敷 祐一(ds)、後藤 次利(b)、高水 健司(b)、細野 晴臣(b)、鈴木 茂(g)、水谷 公生(g)、松木 恒秀(g)、杉本 喜代志(g)、松原 正樹(g)、高中 正義(g)、吉川 忠英(a-g)、渋井 博(key)、市川 秀男(key)、坂本 龍一(key)、ペッカー橋田(per)、浜口 茂外也(per)等が参加しています。リズム・セクションだけでこれだけのメンバーが揃っているのですから、悪い訳が無い(笑)
『大貫 妙子 / MIGNONNE』
01. じゃじゃ馬娘
02. 横顔
03. 黄昏れ
04. 空をとべたら
05. 風のオルガン
06. 言いだせなくて
07. 4:00A.M.
08. 突然の贈りもの
09. 海と少年
10. あこがれ
CITY POP色全開の瀬尾 一三のアレンジが心地良いミディアム・ナンバー01。林 立夫&後藤 次利のリズム隊に、鈴木 茂(L)、松木 恒秀(R)、水谷 公生(solo)という3本のギターが絡んできます。尾形 道子、槇 みちる、梅垣 達志というベテランのコーラス・ワークも見事で、構成はシンプルながら聴き応えのある1曲になっています。
EPOもカヴァーしている02は、何とも晴れやかな気分にさせてくれるような瀬尾 一三のアレンジが見事です。インパクトは強くないのですが、聴き込むほどに味わい深くなるそんな1曲です。杉本 喜代志のアコースティック・ギターのソロに、鈴木 茂のバッキングが絶妙です。演奏メンバーが総勢6人だけですが、これが生の演奏の良さだと再認識させてくれます。
美しいオーケストラが印象的な哀愁のあるスロー・ナンバー03。坂本 龍一のアレンジです。YMOの3人に鈴木 茂、吉川 忠英、浜口 茂外也が加わっていますが、後のYMOのサウンドの微塵も感じさせないアコースティックなサウンドです。向井 滋春のトロンボーン・ソロがフィーチャーされています。
タイトル通り浮遊感のある心地良い瀬尾 一三のアレンジが秀逸な04。林&後藤のリズム隊、鈴木 茂、吉川 忠英がバッキング、杉本 喜代志のアコースティック・ギターのソロにフルートが絡んできます。地味な曲なんですが、これも聴くほどに味が出てきますね。
優れたアレンジャーというのは、歌詞の内容をそのまま音で表現出来ると思っているのですが、この05まさにそんな1曲です。山川 恵子のハープを巧みに使った瀬尾 一三のアレンジが見事と言う他ないナンバーです。
どこか都会的で、重厚なサウンドが印象的なCITY POPナンバー06。坂本 龍一のアレンジです。ホーン・セクションやオーケストラも絡んだスケールの大きい演奏が魅力です。松原 正樹ならではのギター・カッティング、燻し銀な村上 秀一のドラミング、エモーショナルな清水 靖晃のサックス・ソロが印象的です。
初めて聴いた時、そのアレンジの見事さに鳥肌の立った07。夜明け前の何とも言えない闇の世界をイントロで表現しています。渡嘉敷&細野のリズム隊、いかにも松木 恒秀らしい素晴らしいギター・プレイ、坂本 龍一のシンセ・ソロ、ぶ厚いコーラス、そして終盤の演奏の盛り上げ等聴き所がたっぷりつまった1曲です。私の特にお気に入りの1曲です。
竹内 まりやが1stアルバムで取り上げていたので、知っている人も多いであろう名曲08。まりやバージョンとは一味違うJAZZYなアレンジが心地良いです。アレンジは坂本 龍一。捻りの無い素直なアレンジで、松木 恒秀のギターと美しいオーケストレーションが主役とも言えます。特に松木 恒秀のギターが素晴らしいです。
軽快で涼しげな坂本 龍一のアレンジが心地良い09。細野 晴臣のベース・プレイと鈴木 茂、松原 正樹のギター・プレイが渋い1曲です。明るい曲調で夏の終わりの雰囲気がよく出ていると思います。
スケールの大きいハチロクのバラード・ナンバー10。ラストに相応しい私の大好きな曲にひとつです。瀬尾 一三のアレンジもオーソドックスですが、この飾り気の無さがこの曲には似合っていると思います。曲の終盤でエキサイティングなギター・ソロを聴かせてくれるのは、高中 正義です。
このアルバムを聴いていつも感じるのは、やはり一流のミュージシャンの演奏というのはそこに情景や風景が浮かんでくるという事です。プロが歌詞やメロディーの抑揚を理解しているからこそ可能な事であって、打ち込みには難しいところなんだろうと思います。今更ながら、この時代の音楽にリアルタイムで触れることが出来たことは、本当に私の財産だと思いますね。
素晴らしいアルバムなので、機会があったらぜひ聴いてみて下さい。お薦めです。
私も大貫さんの作る楽曲に関しては、どちらかと言えばどんより曇った空の色みたいな印象を持ってます。
言い換えれば地味な感じです(笑)
でも、このアルバムは良いですよ。当時のスタッフの意気込みを感じます。
曲自体弾けるような派手さはありませんが、どの曲もキャッチーです。
何よりアレンジと演奏の素晴らしさが際立っている気がします。
機会があったらぜひ聴いてみて下さい。
ジャケットも一番作品性が高いと思う。
シニフェで「夏に恋する女たち」を歌いますよね。
それ以降の妙子さんは違う見方で味わうべきでしょう。
小倉エージとどう葛藤があったのか。少しその怒りが表情に表れています。
そこがまたいいんだな。
それと天才・坂本龍一を世に出した、知らしめたアルバムではありませんか。
裏側からの評価です。
この声と歌い方にどっぷりとハマって30年位になります(笑)。
『海と少年』がほんわかして好きでしたよ。
久しぶりにこのCDを聴いてみる事にしますね。
このアルバムもとても好きですが、
アヴァンチュールやプリッシマもかなりお勧めです。機会があったら是非。
この方のライブへ行くと、必ず(心地良くて)眠っている方を見かけます。
とてもリラックス出来る空間だからなのかもしれません。
先日矢野顕子とのデュエットでの「いつも通り」をテレビで見ました。
相変わらず素敵な歌でしたよ。
レスが遅くなってすみませんでした。
大貫さんの作品に関しては、ヨーロピアンな雰囲気の作品よりも初期の作品の方が何故か好きです(笑)
このアルバムは、78年にレコード購入時よりも数倍今の方が好きになっているアルバムです。
やはり曲、アレンジ(演奏)、そして歌という三拍子揃っているという点が魅力ですね。
瀬尾さんや教授のアレンジが本当に素晴らしいという言葉に尽きます。
レスが遅くなりました。すみません。
ほとんどの作品を聴かれているんですね。それは凄い!
大貫さんやRAJIEさんが一時期ヨーロピアンな雰囲気の作品がリリースしてましたが、
どうもこのヨーロピアンな雰囲気というのが個人的に馴染めず、それ以降のアルバムはほとんど聴いていないというのが事実です。
機会があれば他の作品も色々聴いてみたいと思います。
レスが遅くなってしまい、すみませんでした。
私が大貫さんを一生懸命に聴いていたのは、1st『グレイ・スカイズ』から5th『アヴァンチュール』ぐらいまでなんです。
ベスト盤も持っていますが・・・。
ですから『PURISSIMA』は聴いたことがありません。
お薦めいただいたので、機会があればぜひとも聴いてみたいと思います。
CITY POP好きにとっては、どうしても初期の作品がしっくりきます(笑)
聴けばきっと良いアルバムが他にもある筈ですね。
素晴らしいアーティストですから・・・。
私は2005年発売の大貫妙子さんの25枚目のオリジナル・アルバム『One Fine Day』が大変素晴らしい出来で、彼女の最高傑作だと思っています。
彼女はヨーロッパ路線以降の86年の『Comin' soon』からはまた違うアプローチをしていて、小林武史がプロデュース・アレンジした『NEW MOON』『Drawing』『Shooting star in the blue sky』の3枚を除き素晴らしい出来のアルバムばかりですので是非聴いてほしいです。大貫妙子さんは現在も円熟味を増していて作曲センスや声も衰えるどころかより素晴らしくなっています。 初期のアルバムしか聴いたことのない人にも是非手にとって聴いてほしいです。ヨーロッパ路線が嫌いなkaz-shinさんのような方もきっと気に入って頂けると思っています。
では突然のところ失礼しました。
アルバムをお薦め頂いて、ありがとうございます。
大貫さんの音楽に関しては、正直なところリアル・タイムで聴いていた頃より、最近の方がはるかに魅力的に感じています。
当時はこのアルバムが好きだったので、次作『ロマンティーク』でのサウンドの変貌ぶりについていけませんでした。
しかし、いまは『ロマンティーク』は好きなアルバムになっています。
ですから、これからはお薦め頂いたアルバムを含め、80年代以降のアルバムも機会があれば聴いてみたいと思っています。
マクセルのCMは私も大好きでした。
吉田美奈子さん、RAJIEさん、そして大貫妙子さんの3人が"黒"の付いたタイトル曲で、自らCMにも出演されてましたね。
大貫さんご自身は、このアルバムをあまり好きでは無いと聞いたことがありますが、私は大好きなんです(笑)