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KAIGAN GROWN ◇ 2009年 03月 29日
KAIGAN GROWN_e0081370_21121616.jpg 

私の住んでいる千葉県は、房総半島とも呼ばれているように海に囲まれた県です。物心付いた時分より千葉県に住んでいる私にとって"海"は身近な存在であり、何かにつけて海が見たくなってしまいます。
千葉県は"内房の海"と"外房の海"とがあり、"内房の海"は東京湾で水は綺麗とは言えませんが穏やかな海ですし、"外房の海"は太平洋で荒々しい海の二つの"海"が楽しめます。

70年代終盤頃、私は大学生でしたがその頃ウォークマンが流行しましたし、小型のラジカセも売れ始めた頃でした。もちろん車にはオートリバース付きのカセット・デッキが・・・(笑)
それまでは音楽は家の中で聴くもの、あるいはせいぜい車で楽しむものだったのが、完全な屋外でも楽しめるようになりました。
実際浜辺へラジカセを持ち込んで夏らしい曲を集めたカセット・テープを聴いて、風景と音楽のコラボレーションを楽しんでました。例えばボズ・スキャッグスの「HARBOR LIGHTS」を港で聴きたいが為に深夜に近くの港まで友人と車で出かけたり・・・、良い思い出です。

前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するアルバムはそんな海を見ながら聴きたいようなコンピレーション・アルバムです。
[湘南を拠点に音楽を通じて日本の"カイガン"文化を創造するレーベル]として1996年に設立されたカイガン・レコードの第一回作品としてリリースされたのが、今回紹介する『KAIGAN GROWN』(1996年)です。
私がこのレコード会社(今はもう無いようです)やアルバムの存在を知ったのは最近のことです。お馴染みのBOOK OFFの探索中に見つけました。
参加しているアーティストで私が知っていたのは数名で、後は全く知らないアーティストでした。派手な曲やインパクトの強い曲は皆無に近いのですが、どの曲もシンプルで耳に馴染んでくる曲ばかりで、海を見ながら聴いたら最高に気持ち良いであろうアルバムです。

『KAIGAN GROWN』
01. 友達 / Half Moon
02. Kaigan Girl / Alan Mirikitani
03. Dancing Flame ~2 Little G.~ / 岩沢 二弓
04. (They Long To Be) Close To You / Tyrone橋本
05. Christmas Bell / 宮手 健雄
06. 陽のあたる道 / 端山 龍麿
07. Station / 桐明 孝侍
08. こもれび / 森田 哲朗
09. Lonely In The Night / 及川 ひろみ
10. BREVET (手紙) / 岩沢シーマ

桑田バンドのベーシストとして知られた琢磨 仁&啓子の夫婦のユニット・Half Moonの01。このアルバムでは夫婦の他に柴山 義政(g)、 伊藤 薫(per)を加えた4名でHalf Moonとして紹介されています。琢磨 啓子の作詞・作曲のナンバーで、アコースティックなサウンド主体のシンプルながらも風のように爽やかなナンバーです。

L.A.のブルース・ロック・バンド"The Buddaheads"の中心人物で、日系三世のアラン・ミリキタニのナンバー02。オーソドックスなブルース系のナンバーですが、アコースティックなサウンドの端々にC&Wの匂いもしてなかなか聴いていて心地良いナンバーです。

兄弟デュオ・Bread & Butterの弟、岩沢 二弓のナンバー03。アルバム中で最もAORチックなナンバーです。このアルバムの為に書き下ろしたと思いますが、1997年にリリースされた岩沢 二弓のソロ・アルバム『二弓』にも収録されていたようです。但し、同じテイクかどうかは不明です。

私の大好きなアーティストの一人であるタイロン橋本のナンバー04。あのカーペンターズで有名なバート・バカラックの名曲のカヴァーです。この曲をここまでソウルフルに仕上げているのを他に知りません。全て打ち込みによるサウンドですが、ソウルフルなヴォーカルは健在です。気持ち良いナンバーですね。

地元湘南を活動の拠点として、ハワイアンテイストの音楽を聴かせてくれる"テミヤン"こと宮手 健雄の05。季節外れのクリスマス・ソングですが、サウンドはあくまでハワイアンテイスト溢れるもので、ハワイのクリスマスといった感じのする1曲です。

初めて知ったシンガー・ソング・ライターである端山 龍麿の06。1970年代終わり頃から湘南で音楽活動を続けていたらしいですが、正式なデビューは去年(2008年)のようです。なんとものんびりとした空気感の漂うC&W風ナンバーです。

私はよく知りませんが、1980年代にパンク系バンド"THE KIDS"というグループに中心人物だった桐明 孝侍のナンバー07。とてもパンク系の音楽を演っていたとは思えないアコースティックなサウンドとメロディアスな曲が印象的です。

シンガー・ソング・ライター森田 哲朗の08。この人もこのアルバムのリリース時にはデビューはしていなかったようです。メロディーは懐かしい感じのフォーク調ですが、ハワイアンテイストのアレンジで聴き易い感じに仕上がっています。

ブックレットの写真と声が一致せず、驚いたシンガー・及川 ひろみのバラード・ナンバー09。失礼な話、最初ニューハーフかと思ったくらい俄かに女性とは思えないユニークな歌声に驚かされます。知らない人が聴いたら100%男性が歌っていると思うでしょうね。CDで聴く分には問題ありませんが・・・(笑) 曲は良い曲ですよ。

岩沢 二弓の娘・岩沢シーマのナンバー10。彼女は親父さんと"マンデイズ"というユニットでも活躍してますね。なかなか魅力的な歌声です。カヴァー曲のようですが、詳細は分かりません。アコースティックなサウンドですが、エスニックな楽器を用いて独特の柔らかでソフトな雰囲気を作り上げています。

1曲1曲を見れば地味とも思えるのですが、アルバムとして10曲通して聴くと実に気持ちの良いアルバムです。もう少し暖かくなったら私の家から車で15分程の海浜公園へ出かけて、海風を感じつつ海を眺めながらぜひともこのアルバムを携帯プレイヤーで聴きたいと思います。
余計なことを考えず、ただ心地良く音楽を聴きたいという願望を叶えてくれるようなアルバムですね。機会があったらぜひ聴いてみて下さい。
by kaz-shin | 2009-03-29 23:02 | Compilation / Cover | Comments(8) | |
Commented by kotaro at 2009-03-30 07:48 x
ホテルパシフィックや苗場プリンスの縮小が話題になりました。
80年代は遠くになったなあという感想と、実際にビズしてれば
いうまでもそのままでやっていけるものじゃないですね。
ユーミンもやっと履歴を払拭したみたいで、これからは新境地で
やっていくというコメントを読んだ矢先でした。
てな昨今ですがブレバタの二弓さんか、ちょっと興味ありです。

seasideや湾岸がトレンドになった時代も遠くなり、アラフォーたちがゆっくり聴くのもいいかもですね。
千葉だったら幾見正博の「哀愁のU"LA"YASU」なんか、ご存知かしら。
そうそうモリケンが知事ですか。ぼくが「ひきこもりは夕陽に向かって走るんだ!」というと、20代の同僚が笑っていました。
Commented by kaz-shin at 2009-04-02 00:42
kotaroさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ゴタゴタしてましてレスが遅くなってしまいました。
本当にすみません。

私の世代は音楽を風景や情景に重ねて楽しんだ年代だと思うのですが、
今の若い世代の人達はそういう楽しみ方をしないのでしょうかね。
最近の曲には季節や風景を感じさせるものが少ないような気がするんですよね。

幾見雅博さんのアルバム『ULAYASU』ってCD化されてませんよね?
このアルバム1度聴いてみたいと思っていたんですが・・・。
中古のレコードならオークションでも安く入手出来そうなんですけど。
Commented by まつのすけ at 2009-04-02 23:43 x
音楽に情景や季節、あるいは記憶を重ねて聴くのは、老若男女関係ないと思いますね。

ただ、季節感がないというのは分かります。原因の1つとして、シングルを多発し、おまけに無理矢理アルバムに詰め込んでいるのがある気がします。
アルバムのベストアルバム化現象というべきでしょうね。
Commented by kaz-shin at 2009-04-03 01:56
まつのすけさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
>音楽に情景や季節、あるいは記憶を重ねて聴くのは、老若男女関係ないと思いますね。
確かにそうなんですが、私の言いたかったのは、例えば海を目の前にしながら夏っぽい音楽を楽しむみたいな、
いわゆるアウトドアでの音楽の楽しみ方は今の若い世代の人はどうなのかなと思った次第です。

歌謡曲全盛の頃は、3~4ヶ月に1枚の割合でシングルがリリースされていましたので、
必然的に季節に合わせたような曲も多かったです。
今は年に1枚、多くて2枚シングル・リリースというのが普通のようなので1年中聴ける楽曲というのがメインになってくるのでしょうね。
Commented by まつのすけ at 2009-04-04 22:41 x
そう意味でしたか。多分、アウトドアでも季節に合わせたものよりは、自分の好きな曲をかけている方が多いかと思います。私は車を運転することはないですし、アウトドアで音楽聴く機会がないので、はっきりとは分かりません。でも、私なら好きな音にしますね。
私と同世代以下は、どこでも音楽を携帯することができることもあって、kazさんがおっしゃる方法にこだわりがない気がしますね。いつでもどこでも自分の好きな音を、と言うべきでしょうか。
Commented by kaz-shin at 2009-04-05 01:27
まつのすけさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
まつのすけさんの仰るようにどんな時、場所においても自分の好きな曲を聴くのが1番ですね。
私の場合、例えば夏に夏っぽい曲を聴くことで自分の気持ちを高揚させて、より季節感とか情景を楽しんでしまう傾向があるようです。
例えば12月に入って街にクリスマス・ソングが溢れ出すと、妙にハイテンションになってしまうというような感じです(笑)
Commented by laydown111 at 2009-04-13 14:09 x
はじめまして。
鈴木英人を検索してこのブログにたどり着いたものです。
この『KAIGAN GROWN』は全く知らなかったのですが、
ジャケット写真に横山泰介さんの稲村ケ崎の写真が使われていたので、つい反応してしまいました。
それにしても他の楽曲も含めたkazu-shinさんの解説というか、コメントは秀逸ですね。
このアルバムもコメントを読むうちに、無性に聴きたくなってきましたので
後ほどネットで検索してみます。

おじゃましました。
Commented by kaz-shin at 2009-04-14 00:20
laydown111さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
私も最近まで知らなかったのですが、このジャケット写真は横山さんの代表作のようですね。
本当にこのアルバムにぴったりの写真だと思います。
ぜひ一度聴いてみて下さい。気持ちの良いアルバムですよ。
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