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カテゴリ:CITY POP / J-AOR系( 269 )
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村井 博_Mirror of Hearts ◇ 2009年 05月 06日
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GWもいよいよ終わりですね。私は8連休だったんですが、どうして休日というのは時間が経つのが早いんでしょうか?(笑)
明日から頑張らねば!

さて今回紹介するのは、非常にマニアックと言って良いアーティストのアルバムです。村井 博というアーティストが1988年にリリースした1stアルバム(おそらくですが・・・)『Mirror of Hearts』です。
実は村井 博なる人物について全く知識がございません。記事を書くのにネットで色々調べたんですが、それでも彼のプロフィール等について分かりませんでした。もし村井 博についてご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて頂けると嬉しいです。
私がこのアルバムを見つけたのは、大型リサイクル店のようなお店でした。昔BOOK OFFで『ドルフィンキック』(多分2ndだと思います)を見かけたことがあり、その時は購入しなかったんですが名前は印象に残ってました。その大型リサイクル店で、CD物色中にこのアルバムを見つけ、収録曲のタイトルに惹かれたという単純な理由で購入したものです。
正直なところ、内容に関しては期待していなかったんですが、実際に聴いてみるとこれが結構良かったんですよ。ジャンルで言えば"CITY POP"な感じですね。歌は上手いと言えるほどではありませんが、嫌味が無く聴き易い歌声で、自身の作る曲とよくマッチしています。

収録曲10曲中9曲の作詞(補作詞として小林 和子がクレジットされていますが)と10曲全ての作曲が村井 博自身です。10曲全てのアレンジは山川 恵津子。
参加ミュージシャンは、山川 恵津子(key, cho)、今 剛(g)、土方 隆行(g)、鳥山 雄司(g)、柴山 和彦(g)、高水 健司(b)、川島 和久(b)、山木 秀夫(ds)、江口 信夫(ds)、Jake H. Conception(sax)、比山 貴詠史(cho)、木戸 やすひろ(cho)という面々です。

『村井 博 / Mirror of Hearts』
01. Frozen Summer (帰らない夏)
02. One Night Dream
03. ウィークエンド・タイム・スリップ
04. Ocean (100カラットの砂)
05. "Open your eyes"
06. フェンス越しの夜明け
07. 見えない時間
08. Break Out
09. Mirror of Hearts
10. グレイ (雨の日を選んで・・・)

いかにもCITY POP風なタイトルの01。軽快なドライヴィング・ミュージックといった感じのアレンジと、ちょっと捻ったようなメロディーの構成が印象的です。結構良い曲なんですが、若干ヴォーカルがこの曲調には弱い気がするのが残念です。もう少しヴォーカルにパンチがあればもっと良くなったでしょうね。

山川 恵津子の都会的なアレンジが格好良い02。特にサビのメロディーがキャッチーで良いですね。反面、サビまでのメロディーに馴染み辛さがありますが、数回聴いているとこれが結構クセになってきますね(笑)。個人的には好きなタイプの曲です。

アレンジ、メロディー共に聴いていて心地良いミディアム・ポップ・ナンバー03。こういう曲調が1番村井 博の歌声には似合っているような気がします。Jake H.Conceptionのサックスがフィーチャーされているのですが、心地良い初夏の昼下がりみたいな雰囲気を感じます。

シンセ類を巧みに使ったアレンジが印象的な04。なかなか難しいメロディー・ラインを持っており、とっつきにくい感じがします。この曲も聴く回数が増える度に魅力的に思えてくる曲ですね。演奏が素晴らしい曲で、ミュージシャンのプレイに耳を傾けるのも良いかも知れません。

Michelle Hartの作詞による英語詞のナンバー05。これがなかなかAORチックな良い曲です。アコースティックなサウンドを軸にした軽やかなナンバーで、村井 博のファルセット・ヴォイスが美しく響いています。村井 博の作曲センスの良さを1番感じた曲でした。

打ち込みのリズムを使ったミディアム・ナンバー06。メロディーに少し懲りすぎた感じが否めません。サビのメロディーまでがキャッチーで、サビのメロディーが難しいという不思議なナンバーです(笑)

しっとりとしたバラード・ナンバー07。渋い曲という表現がピッタリの1曲です。村井 博の曲の大半が、最初は「?」マークが付くんですが、数回聴くとこれが妙に心地良くなってくるんですよね。ヒット・メーカーにはなれないかも知れませんが、沁みるメロディーの書けるソングライターですね。

軽やかなギター・カッティングが心地良いミディアム・ナンバー08。この曲もヴォーカルにもっと力があればもっと良い感じになっただろうなと思える曲です。おそらく声量のあるシンガーが歌ったらもっと光っただろうと思います。メロディーは良いです。

アルバム・タイトル曲09は、アルバム中最もハードなサウンドの曲です。となるとヴォーカルが弱いのが気になるところですが、これが不思議なことにこの曲にはそんな感じがしません(笑)。どこか杉山 清貴っぽさを感じる曲で、メロディーとアレンジ、ヴォーカルのバランスが良いんですよね。アルバムで最もキャッチーなナンバーと言えるでしょう。

ラヴ・バラード・ナンバー10。村井 博の曲はAメロ、Bメロ、サビという構成が多いんですが、普通ならサビが最も印象に残るパターンなんですが、村井の場合は曲によって印象に残るところが様々なメロディー・パートであるところが面白いんです。この曲はサビのメロディーが光っています。

1度聴いただけで"良い"と思えるタイプのアルバムでは無いのですが、2回3回と聴くうちに良さが分かってくるというアルバムですね。こうなると『ドルフィンキック』も買っておけば良かったと後悔しています。もっと色々聴いてみたくなりました。
私の個人的な感想ですが、アーティストというよりもソングライターとしての方が才能を伸ばせそうな気がします。
学生時代、友人達が誰も聴いていないアーティストを発掘して、「こいつ、良いよ」って密かに自慢するのが楽しかった時期がありますが、最近中古CDをあれこれ物色して今回のようなアルバムを見つけると、何だか少し昔を思い出して懐かしい気持ちになりました。
CITY POPが好きでこのレビュー記事を読んで興味が湧いたという方限定でお薦めしておきます(笑)
杉 真理_OVERLAP (Part 2) ◇ 2009年 05月 06日
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今回はブログを始めた頃に紹介したものの、今読み返すとあまりにも記事の内容が薄っぺらだったので改めて紹介するPart 2シリーズです(笑)
紹介するのは、杉 真理が1982年にリリースした2ndソロ・アルバム『OVERLAP』です。
私が杉 真理のアルバムの中で最も聴いた作品ですし、今でも1番好きなアルバムです。リリースされてから27年という月日が過ぎましたが、私の中では発売当時から全く輝きを失っていない作品なんです。
杉 真理と出会いは私にとって大きかったですね~。彼の作るメロディーに魅了され、彼が作品提供したアーティストなども聴くようになり、趣味の幅が本当に広がりました。

1981年の1stソロ・アルバム『SONG WRITER』も良いアルバムだと思いますし、大好きなアルバムですが、杉 真理のPOPなメロディー・センスに磨きがかかり、今まで常に優れたソングライターとして一線で活躍してこれた礎になったんではないかと思っている1枚なんです。
収録曲12曲全て杉 真理の作詞・作曲、プロデュースももちろん彼自身ですが、彼の成功の裏にはディレクターである須藤 晃の力が大きかったであろうという気がします。まさに捨て曲無しの良いアルバムです。

参加しているミュージシャンは、島村 英二(ds)、林 立夫(ds)、野口 明彦(ds)、新田 耕造(ds)、岡沢 章(b)、鈴木 茂(g)、青山 徹(g)、吉川 忠英(g)、中西 康晴(key)、佐藤 準(key)、清水 信之(key)、大谷 和夫(key)、斉藤 ノブ(per)、町支 寛二(cho)、須藤 薫(cho)等が参加しています。
アレンジは杉 真理10曲、清水 信之が2曲を担当していますが、杉のアレンジ曲数曲にストリングスやブラス・アレンジに佐藤 準と大谷 和夫の名前がクレジットされています。

『杉 真理_OVERLAP (Part 2)』
01. Lonely Girl
02. ラストナイト
03. 渚のエンジェル
04. フランシス泣かないで
05. Simulation Game
06. Catch Your Way
07. さよならCity Lights
08. セリーナ
09. 恋のフォトグラフ
10. Downsloped Way
11. Teardrops Are Falling
12. ガラスの恋人

元々は『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』に入れるつもりで書いた曲だという01。ミディアム・テンポのPOPナンバーです。アレンジ面でビートルズに影響を感じます。杉 真理自身のコーラス・ワークが好きです。

ラズベリーズみたいな曲が作りたくて書いたという02。軽快なテンポとキャッチーなメロディーがいかにも杉 真理らしいPOPなナンバーですね。ライブ会場から去っていく彼女とアンコールで歌っているシンガーがモチーフになっている曲です。派手さは無いのですが印象に残る、そんな1曲ですね。

本人曰く、「ビーチ・ボーイズに影響されたエリック・カルメンに影響されて出来た曲」だという03(笑)。町支 寛二&杉 真理のコーラス・ワークはまさにビーチ・ボーイズ風です。こういう曲をさらっと書けてしまうのが杉 真理の凄いところなんですね。日本で1番洋楽風のメロディーを書ける人ではないでしょうかね。

バラード・ナンバー04。サビまでのメロディー、サビのメロディー共に耳に馴染んできます。若干エコーを効かせたサウンドは、やはり大瀧 詠一の影響かななんて感じました。

杉 真理流モータウン・サウンドといった感じがご機嫌な05。私の大好きな曲のひとつになってます。杉 真理のアレンジャーとしてのセンスの良さを感じる1曲です。杉 真理らしさが前面に出ていて良いですね。

当時、車のCMで使われていた06。サビのメロディーを聴けば、「ああ、知ってる!」という人も少ないと思います。アレンジは清水 信之で流石にプロの仕事といった感じです。良くも悪くもいわゆる普通っぽいアレンジなんですが、バランスが非常に良いんですよね。ドライブのBGMにはピッタリな曲です。

このアルバムで1番好きな曲である07。まさにCITY POPの見本みたいな曲だと思ってます。歌詞、メロディイー、アレンジの全てに80年代のエッセンスが詰まっている曲で、個人的には名曲だと信じている曲です(笑)
かなり昔ですが、杉 真理の中野サンプラザでのライブを観に行き、繰り返されたアンコールに用意した曲を歌ってしまい、急遽メンバーと相談してこの曲を歌ってくれた時は本当に嬉しかったのを思い出します。

JAZZYなアレンジとPOPなメロディー、古き良き時代の洋画のような雰囲気を持った08。杉 真理ってJAZZYな曲も得意で、あのSAYURI(石川 さゆり)の名曲「ウイスキーが、お好きでしょ」も杉 真理の作曲です。曲の最後の女性の英語の台詞は"竹内 まりや"です。

夏を感じさせるアレンジが心地良い09は、POPなメロディーに切ない歌詞がよくマッチしています。60's風のサウンドって夏によく似合いますよね。鈴木 茂ならではのギターが堪能出来る1曲です。

ビートルズの「She's leaving home」を意識したという10。アコースティック・ギターのサウンドを中心にバロック調の弦を加えたシンプルなサウンドが印象的です。聴くほどに味わいが増すような曲と言えるでしょう。

杉 真理の十八番とも言えるオールディーズ風ナンバー11。須藤 薫がコーラスで参加していますが、この曲は須藤 薫が歌ったほうが似合いそうな曲ですね。決して杉 真理の歌が悪い訳ではありませんが、須藤 薫のコーラスを聴いているとやはり彼女の声と曲の雰囲気がマッチしている気がします。

アルバム・リリース前にシングルとしてリリースされていた曲12。決してインパクトは強くはないのですが、サビのメロディーは秀逸だと思います。個人的には隠れた(?)名曲といった印象を持っている曲です。この曲はリリースされた当時よりも、今聴いた方がはるかに魅力的に思えるのが不思議です。

杉 真理が好きでずっと聴いている人で、「1番好きなアルバムは?」と問われて、このアルバムと答える人は少ないかも知れません。私がこのアルバムが好きな理由としては、『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』に参加して大瀧 詠一、佐野 元春に出会ったことでソングライターとしてもアレンジャーとしても1stアルバムに比べてすごく成長したというか、才能が開花したなという感じがするんですね。
どの曲もキャッチーで魅力的なものばかりというのは、杉 真理のアルバム全てに共通していますが、1982年当時こんなにもPOPな曲が書けるアーティストって他に知りませんでしたから、強烈に印象に残っているというのも私がこのアルバムが大好きな理由のひとつですね。
とにかくPOPな曲が好きという人には超お薦めのアーティストですし、これからの季節にピッタリなこのアルバムもお薦めです。
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今回紹介するのは、2006年7月にリリースされた鈴木 茂の『LAGOON and SUMMER BREEZE』です。
このアルバムは、1976年にリリースした鈴木 茂の2ndアルバム『LAGOON』と夏向きにチョイスされた9曲を収録した2枚組で、鈴木 茂自身の手によってリマスタリングが施されています。
名盤である1st『BAND WAGON』(1975年)の雰囲気とは違って、まさにCITY POP(当時はまだこんな呼び方は存在してませんでしたが・・・)といった趣の強いアルバムで、これからの季節にお似合いのアルバムだと思います。

Disc.1(『LAGOON』)は9曲中6曲がヴォーカル曲で、残り3曲がインスト・ナンバーです。Disc.2は9曲中7曲がヴォーカル曲で、残り2曲がインスト・ナンバーで構成されています。ギタリストの彼については今更私が何も語る必要の無いのですが、ヴォーカリストとして考えた場合、決してお世辞にも上手いとは言い難いのですが、独特な雰囲気を持った声で決して聴く者に不快感を与えない、つまり心地良く聴ける歌声だという気がします。
2枚組というボリュームなので、紹介記事をDisc.1とDisc.2に分けて書こうと思います。Disc.2はまた別の機会(夏が終わるまでには書くつもりですが・・・笑)に紹介します。一応収録曲は書いておきます。

Disc.1(LAGOON)に参加しているミュージシャンは、細野 晴臣(b)、小原 礼(b)、林 立夫(ds)、浜口 茂外也(per)、矢野 誠(key)、ジョン山崎(key)、岩沢 幸矢(cho)等です。

Disc.1_『LAGOON』
01. LADY PINK PANTHER
02. デビル・ゲーム
03. BRANDY WINE
04. TOKYO・ハーバー・ライン
05. HAWAIIAN
06. 走れラビット
07. コルドバの夜
08. ALMERIA
09. 8分音符の詩

Disc.2_『SUMMER BREEZE』
01. レイニー・ステイション
02. ラハイナ・ガール
03. テレスコープ
04. ジュリエット
05. ソバカスのある少女
06. はあとぼいるど町
07. PHOENIX
08. 風信子(ヒヤシンス)
09. 10セントの魂

洒落たボッサ調ナンバー01。今から33年前にこんなメロディーやアレンジの曲が存在していたこと自体驚きです。鈴木 茂のセンスの良さが前面に出ている曲だと思いますね。こんなに素晴らしい音楽センスとギター・テクニックを持っているのですから、薬物等に手を出さずにいつまでも一線で活躍し続けて欲しいものです。曲中で聴けるハーモニカは、ブレッド&バターの岩沢 幸矢のようです。余談ですが、スターダスト・レビューがアルバム『ALWAYS』(2008年)でこの曲をカヴァーしています。こちらもなかなか良いので聴き比べても面白いと思いますよ。

ゆったりした三拍子が心地良い02。松本 隆の世界観を見事にメロディーに乗せたという感じがします。矢野 誠のピアノ、エレピのプレイが素晴らしいですね。鈴木 茂のギターよりも強く印象に残りますね。

CITY POP的FUSIONと表現したくなるようなインスト・ナンバー03。スピーディーで都会的なサウンドが実に気持ちが良いです。軽快な鈴木 茂のギター・カッティングを軸に、サックス、フルート、エレピ等の自由奔放なサウンドが駆け巡ります。Drive Musicとして最適な1曲でしょう。

まさにCITY POPなタイトルとメロディー・ラインを持った04。ボキャブラリーの乏しさゆえ、決まりきった言葉しか出てきませんが、実にお洒落なナンバーですね(笑)。ボーカル曲においては、楽曲の雰囲気を重視したアレンジで決してギタリストとして積極的に前面に出ずにバックに徹しているところも心憎いです。でも結構良いプレイが端々で聴けますね。

ハワイのオレンジ色と紺色に染まったまさに"マジック・アワー"をサウンドで表現したようなインスト・ナンバー05。波の音のSEも効果的で、寝る時のBGMとして聴けば良い夢が見れそうな気がしますね(笑)

コミカルなタイトルの06は、ウクレレを上手く使ったトロピカル・ムードが溢れるポップ・ナンバーです。当時からお洒落な街のひとつだった横浜が舞台になっています。ホーン・セクションを上手く使っていて、アレンジ・センスの良さを改めて感じます。「本当に33年前の曲なの?」って感じですね。

どことなく細野 晴臣の楽曲に通じるようなトロピカル路線の07。こんなに短い歌詞でも曲と成立してしまうのですから、松本 隆っていうのは凄い人ですね。"気持ち良い"という表現がピッタリな1曲です。

夏向きなインスト・ナンバー08。決してFUSIONという堅苦しさは微塵も無くて、あくまで聴き易さに拘ったようなインスト・ナンバーに仕上がっています。インスト曲においてもギターが決してしゃしゃり出て来ません。鈴木 茂の中では、自分のイメージした雰囲気をどのようにサウンドで表現するかだけを考えて、アレンジしているのではないでしょうか。

JAZZYなバラード・ナンバー09。この曲での鈴木 茂のヴォーカルが大好きです。CITY POP好きが集うようなBARで、この曲を聴きながらグラスを傾け、色々音楽談義に花を咲かせたくなるような曲ですね(笑)

1976年と言えば歌謡曲全盛の時代、CITY POPな感じではせいぜいユーミンや丸山 圭子がヒットを出していた頃ですね。この年のヒット曲を挙げてみると、
★木綿のハンカチーフ / 太田 裕美
★北の宿から / 都 はるみ
★春一番 / キャンディーズ
★なごり雪 / イルカ
★およげ! たいやきくん / 子門 真人
★岸壁の母 / 二葉 百合子
★夏にご用心 / 桜田 淳子
★ファンタジー/ 岩崎 宏美
★ビューティフル・サンデー / 田中 星児
★あの日にかえりたい / 荒井 由実
★どうぞこのまま / 丸山 圭子
等、 本当に沢山の名曲が生まれた年でもあります。

しかしながら、これらの楽曲と鈴木 茂の楽曲とを比べた場合、あきらかに時代の先を行っていたという感じがしますよね。上に挙げた曲の中には、特にアレンジ面では時代を感じさせるもの多いですが、鈴木 茂の曲は今聴いても古さは全く感じさせません。
"はっぴいえんど"関連のミュージシャン(アーティスト)の素晴らしい音楽センスと卓越した演奏技術が、70年代の後半以降の邦楽の牽引車となり、新しいムーヴメントを作り出したことは周知の通りですし、当然なるべくしてなったという感じがしますね。
CITY POPが好きな方にはお薦めの1枚ですし、そうでない方も上のヒット曲を思い出しながら、このアルバムを聴いてそのサウンドの違いを聴き比べるのも面白いかも知れませんよ。
坪倉 唯子_ALWAYS IN LOVE ◇ 2009年 04月 17日
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今回紹介するのは、大阪府出身のシンガー・ソングライター、坪倉 唯子が1986年にリリースした1stアルバム『ALWAYS IN LOVE』です。
坪倉 唯子の名前が広く知れ渡ったのは、「おどるポンポコリン」というミリオンセラーを出したB.B.クイーンズのメンバーとしての活躍だったように思います。「おどるポンポコリン」が1990年のリリース、彼女の2ndアルバム『Loving You』も同じ1990年のリリースだったことから考えると、1986年にデビューするもセールス的には振るわず、コーラス要員として地道な活動を続けてきてのでしょう。
いくら歌が上手くて、楽曲が良くてもヒットするとは限らないのが音楽業界の難しいところですね。

さて本作『ALWAYS IN LOVE』ですが、全10曲中半分の5曲が坪倉 唯子の作曲です。彼女の書いた曲を聴いていると、アマチュア時代から随分曲を書いてきているのだろうなというような、曲作りのコツみたいなものを知っている印象を受けます。唸るほどの曲はありませんが、キャッチーな曲が多いです。
残りの5曲は、林 哲司と後藤 次利が2曲ずつ、井上 大輔が1曲提供しています。この中ではやはり林 哲司と井上 大輔の曲は、プロが書いた曲だなぁと感心させられます。何と表現したら良いのか難しいですが、ツボを抑えた曲作りとでも言いましょうか、聴く者に強い印象を与える力を持っているのは流石だと思います。
アレンジは、坪倉 唯子の5曲の内4曲を船山 基紀、1曲をFENCE OF DEFENSEの西村 麻聡が手掛け、林 哲司の書いた2曲を鳥山 雄司が、後藤 次利の書いた2曲は後自身が手掛けています。井上 大輔の曲のアレンジは萩田 光雄というなんとも豪華な顔触れです。
豪華なのは参加ミュージシャンも同じで、島村 英二(ds)、青山 純(ds)、山木 秀夫(ds)、岡本 敦夫(ds)、富倉 安生(b)、伊藤 広規(b)、高水 健司(b)、後藤 次利(b)、渡辺 直樹(b)、松原 正樹(g)、鳥山 雄司(g)、今 剛(g)、土方 隆行(g)、山田 秀俊(key)、国吉 良一(key)、倉田 信雄(key)、そしてFENCE OF DEFENSEの3人、西村 麻聡(b、key)、北島 健二(g)、山田わたる(ds)等が参加しています。

『坪倉 唯子 / ALWAYS IN LOVE』
01. 心花迷路 (ときめきめいろ)
02. 一瞬夜伽伴侶 (つかのまよとぎびと)
03. まといつく想い
04. GOOD-BYE MR. LUCKY LIPS
05. STOP! DRAGGIN' MY HEART
06. 熱帯夜 ~DANCIN' IN THE MIDDLE OF NIGHT~
07. 氷のMADONNA
08. LONELINESS
09. Cry For The Moon
10. ALWAYS IN LOVE ~愛さずにいられない~

作詞:柴山 好正、作曲:坪倉 唯子、編曲:船山 基紀によるロック・ナンバー01。松原 正樹には珍しいハードなギターが聴けます。パワフルなヴォーカルは非常に魅力的なんですが、歌詞が聴き取りずらいのが難点でしょうか。タイトルのネーミングが面白いですね。

作詞:青木 久美子、作曲:林 哲司、編曲:鳥山 雄司によるブラコン色の強いPOPナンバー02。さすが林 哲司だと思わせるサビのメロディーです。青山&伊藤のリズム隊に鳥山 雄司の軽快なギター・カッティングが文句無く格好良い1曲です。鳥山 雄司のアレンジ・センスが光る曲。

作詞・作曲:坪倉 唯子、編曲:船山 基紀によるマイナーなバラード曲03。パワフルなヴォーカルも魅力ですが、若干抑え気味のヴォーカルの方が断然聴き易いですし、声の魅力も発揮されている気がします。船山 基紀らしいアレンジです。

作詞:柴山 好正、作曲:坪倉 唯子、編曲:船山 基紀によるポップ・ナンバー04。いかにも夏向きの爽やかなナンバーです。この曲のヴォーカルも聴き易くて好きです。いかにも80'sのナンバーといった感じで、個人的には結構好きな曲です。

作詞:柴山 好正、作曲:坪倉 唯子、編曲:西村 麻聡によるロック調ナンバー05。いかにもFENCE OF DEFENSEらしいサウンドというか、北島 健二らしいギターが炸裂している1曲ですね。坪倉のヴォーカルも彼女の低音域を活かしたもので、04とは全く違った印象を与えていて面白いです。

作詞:来生えつこ、作曲:林 哲司、編曲:鳥山 雄司によるダンサブルでFUNKYな06。FUNKYとは言っても林 哲司の曲ですから、あくまでもキャッチーなポップなメロディーです。鳥山 雄司のアレンジによって一層ダンサブルな感じに仕上がっています。

作詞:柴山 好正、作曲:坪倉 唯子、編曲:船山 基紀によるビートの効いたミディアム・バラード07。COOLな雰囲気の曲で、坪倉 唯子がかなりの数の作曲をこなしてきたんだろうなと感じさせる渋い曲です。

作詞:柿崎 良、作・編曲:後藤 次利によるミディアム・ナンバー08。この曲は不思議な曲で、サビまではメロディーとアレンジがチグハグな感じがするのですが、サビでは帳尻が合っているというようなアレンジですね。一聴で後藤 次利のベースと判るベース・プレイが私は大好きなんです(笑)

作詞;泉 麻人、作曲:井上 大輔、編曲:萩田 光雄によるメロディアスなバラード・ナンバー09。シンガー・坪倉 唯子の魅力を上手く引き出している井上 大輔のメロディーと、ストリングスを巧みに使った萩田 光雄のアレンジはまさにプロの仕事といった感じです。土方 隆行のギター・ソロも秀逸です。

作詞:坪倉 唯子、作・編曲:後藤 次利によるアルバム・タイトル・ナンバー10。スケールの大きな曲で後藤 次利の作曲家としての非凡な才能を感じさせます。アレンジもCITY POP風で心地良いです。しかし、よく聴くと後藤 次利のベース・プレイはかなりのもんです。

色々なタイプの曲を歌えるという坪倉 唯子のヴォーカルの魅力と、1曲1曲はどれも親しみ易いメロディーを持っているのですが、アルバムとしてのインパクトは薄い感じがします。
もっとCITY POP路線とかダンサブルな曲中心で構成すればもっとインパクトが強くなったかなと思います。個人的には01や05のようなロック調を省いて、ダンサブルなナンバーかCITY POP系ナンバー中心で構成した方が良かったように思います。しかし、曲は結構粒揃いですし、夏向けの曲も多いのでこれからの季節は楽しめると思います。中古店を探せば見つかると思いますので、興味のある方はぜひ聴いてみて下さい。
PARIS MATCH_QUATTRO ◇ 2009年 04月 03日
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今回紹介するのは、2000年のデビュー以降良いとの評判を聞いていながら、なかなか聴いままだったユニット・PARIS MATCHの2003年リリースのアルバム『QUATTRO』です。
実にデビューしてから3年後になってようやく聴いたということになります。評判の良いことは雑誌やネットでの情報で知っていましたが、このアルバムをPARIS MATCHとの出会いのアルバムに選んだかと言うと、いかにも夏向けであるということや収録曲の中にCMで使われた曲があって馴染みやすいであろうということでした。

PARIS MATCHは、オフィシャルHPでは"ミズノマリ"と"杉山 洋介"の2人のユニットとして紹介されていますが、このアルバムではクレジットに作詞を手掛けている"古澤 大"を含めた3人のユニットと書かれています。いずれにせよ、杉山 洋介がサウンドの中心となっており、COOLな歌声と称されるミズノマリのヴォーカルによってお洒落なPARIS MATCHの音楽となっているのは事実です。
正直に言うと私はミズノマリの声質は好きではありませんし、決して上手いとも思いません。
"COOLな歌声"という表現もありますが、私にはどちらかと言うと"無表情な歌"という感じがします。
しかし、だからと言って悪い訳ではなく、逆に淡々とした歌が杉山 洋介の曲やアレンジと見事にマッチしていて、何とも心地良い響きとなっていると思います。これこそがPARIS MATCHの最大の魅力なのでしょう。

このアルバムの印象としては明らかに夏を意識して作られたものであり、日本のような蒸し暑い夏には清涼剤として最適な感じですね。JAZZ、AOR、ブラジリアンのエッセンスが散りばめられたセンスの良い楽曲がそろっています。決して突出した楽曲が存在するというのではなく、アルバムとして纏まりのある良い作品だと思います。カヴァー曲の選曲やアレンジにもセンスの良さを感じさせますね。

『PARIS MATCH / QUATTRO』
01. 眠れない悲しい夜なら
02. SUMMER BREEZE
03. STAY WITH ME
04. Rio de Amor ~feat.Pamela Driggs~
05. ANGEL
06. F.L.B
07. 潮騒
08. PARIS STRUT
09. ARTHUR’S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)
10. アルメリア ホテル
11. NIGHTFLIGHT

アルバムのTOPに相応しい軽快なPOPナンバー01。割とオーソドックスなリズム・アレンジですが、佐野 聡のアレンジによるホーン・セクションが加わっていることで華やかさが増しています。男性目線の歌詞ですが、淡々と歌うミズノマリのヴォーカルには不自然さを感じません。

キリン氷結のCM曲に起用された02。サンバのリズムが心地良いブラジリアン・テイスト満点の1曲です。打楽器系は打ち込みなのですが、まるで生楽器のようで全く違和感がありません。この曲も佐野 聡のアレンジによるホーン・セクションが大活躍しています。アコースティック・ギターは名手・吉川 忠英。

化粧品会社のCMで使われていたボッサ・テイストの03。打ち込みのパーカッションにウッド・ベース、ピアノ、アコースティック・ギターというシンプルな構成ですが、これが実に気持ち良いのです。吉川 忠英のギター、青柳 誠のピアノのプレイが光ってます。

ポルトガル語ですがオリジナル曲の04。陽気なブラジリアン・ナンバーです。杉山 洋介のアレンジのセンスの良さを感じさせる曲ですね。小池 修のフルートのプレイが効いています。

AOR風なミディアム・バラード曲05。洒落たメロディーとアレンジが印象的です。都会的でCOOLといった感じが涼しげで大好きなナンバーのひとつになっています。抑え気味のホーン・セクションや松原 正樹のJAZZYなギター・プレイが実に良いです。

ビートを効かせたCITY POPナンバー06。ブラジリアン・テイストの曲ばかりでなく、この曲のように都会的で洒落たナンバーを織り交ぜてくるのがPARIS MATCHらしいですね。聴けば聴くほどに渋さに惹かれていく、そんな曲だと思います。この曲も好きなナンバーになってます。

いかにもタイトルからJAZZYなボッサ曲を連想させますが、全くその通りの07(笑)。メロディーは歌謡曲チックな部分もあって、どこか懐かしさも感じてしまいます。同じボッサ調アレンジでもこの曲では松原 正樹のエレキを使っているのも心憎いアレンジですね。

インスト・ナンバーに近い08。テンポのあるJAZZYな演奏が堪能出来る1曲です。ミズノマリのスキャット・ヴォーカルとコーラス・ワークが見事です。佐々木 史郎のトランペット・ソロもこの曲のハイライトでしょう。

クリストファー・クロスの名曲のカヴァー09。AORの名曲にボッサ風のアレンジを施して、実に心地良いサウンドに仕上げています。意外にもミズノマリのヴォーカルによく似合っていて、私個人としてはかなり良いカヴァーだと思っています。それにしてもバート・バカラックは天才ですね。

アルバム中で最もハードなサウンドと言える10。ハードと言ってもまさにAORといった趣のナンバーです。この曲も大好きなんです。特にアレンジが好きで、松原 正樹のギターが冴えてますし、ホーン・セクションやコーラス・ワークも洒落ています。

クロージング・ナンバーに相応しいバラード曲11。アコースティック・ギター、ピアノ、打ち込みのリズムにシンセ・ベースというシンプルな構成ですが、スティールパンを加えることで南国の夜の海を連想させるあたり、杉山 洋介のアレンジ・センスの良さを感じます。

まだ桜も散っていないこの時期に、夏向きのアルバムを紹介するのは早いかなと思ったのですが、ゴールデンウイーク過ぎると最近はいきなり夏っぽくなるので、ゴールデンウイークのドライブのBGM用としてお薦めしときます(笑)
知名度は決して高いとは言えないかも知れませんが、根強いファンを持つPARIS MATCH。特に私のようにAOR、CITY POPやFUSIONが好きという人には気に入ってもらえると思います。ヴォーカル・スタイルは好みが分かれるところだと思いますが、メロディー、アレンジ、演奏は本当にお洒落ですので興味があったらぜひ聴いてみて下さい。自信を持ってお薦め出来る1枚です。
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今回紹介するのは、女性シンガー・ソングライターの中でも群を抜いてストレートでキャッチーなPOPメロディーを書けると思っている、中原 めいこの通算8枚目となる『鏡の中のアクトレス』(1988年)です。私の大好きな女性シンガー・ソングライターの一人で、今までにも当ブログで1stアルバム『COCONUTS HOUSE』(1982年)に2ndアルバム『FRIDAY MAGIC(2時までのシンデレラ )』(1982年)や2枚のベスト盤『Meiko's BEST SELECTION 10+1』と『Happy birthday, Love for you』を紹介してきました。

デビュー当時の中原 めいこの楽曲は、CITY POP系の中でもリゾート・ミュージックという趣きが強く、いかにも夏向けという印象が強かったのですが、本作は勿論夏っぽい曲も含まれていますが、ダンサブルでFUNKYなナンバーが増え、よりCITY POP色が強くなったと言えるでしょう。元々FUNKYな曲も得意としていたようですが、より一層磨きがかかったという感じがします。このアルバムの良さはアレンジの良さであり、打ち込みと生のリズムを上手く使い分けたり、融合させたりした演奏の面白さだと思っています。アレンジャーとしてクレジットされているのは、西平 彰、E.C. JONES(富田 素弘&小路 隆)、小林 信吾、中村 哲。中原 めいこ自身もアレンジとコーラス・アレンジで名前が載っています。
参加しているミュージシャンは、西平 彰(key)、E.C. JONES(key)、小林 信吾(key)、中村 哲(key & sax)、北村 健太(ds)、長谷部 徹(ds)、村上 秀一(ds)、松原 秀樹(b)、美久月 千晴(b)、富倉 安生(b)、高水 健司(b)、角田 順(g)、今 剛(g)、土方 隆行(g)、斉藤 ノブ(per)、浜口 茂外也(per)、坪倉 唯子(cho)、杉本 和世(cho)、広谷 順子(cho)、比山 貴詠史(cho)、木戸 やすひろ(cho)等です。

『中原 めいこ / 鏡の中のアクトレス』
01. Dance in the memories
02. What's going on
03. Don't be silly (冗談じゃないわ)
04. Infinite Love (無限の愛)
05. 鏡の中のアクトレス
06. Paradise Island
07. Caribbean Night
08. ビーチ・バーからの手紙
09. CASANOVA
10. In your eyes

いかにも80年代らしい打ち込みのダンス・ビートに中原 めいこらしいキャッチーなメロディーの01。この曲で耳に残るのは、坪倉 唯子と杉本 和世のコーラス・ワークです。アルバムのTOPに相応しい聴き易いナンバーに仕上がっています。

ダンサブルでFUNKYな02。文句無く格好良いナンバーです。北村 健太のタイトなドラミング、シンセ・ベースに被ってくる松原 秀樹のベース(特に間奏時のベース・ソロに注目です)、今 剛ならではの絶妙なギター・カッティング、坪倉&杉本のコーラス・ワーク等、アレンジが絶妙です。それにしても中原 めいこのメロディー・センスは素晴らしいですね。

中原 めいこらしさ全開のポップ・ナンバー03。土方 隆行のギター・カッティングと中原 めいこのコーラス・アレンジによるコーラス・ワークが、どちらかと言えば地味な印象のアレンジの中でも光っています。

80'sのCity Pop色の強いアレンジ(小林 信吾のアレンジ)が今聴いても心地良い04。メロディーも洒落ており、中原 めいこの非凡な才能を感じさせる1曲ですね。特にカッティングの名手・土方 隆行のギター・プレイが文句無しで格好良いですよ。

私は知りませんでしたが、アニメの主題歌でシングル曲だった05。ロック色の強いアレンジとノリの良さとキャッチーなサビのメロディーは、確かにアニメの主題歌にぴったりな感じですし、シングル向きに書かれた曲という気がします。ディストーションの効いたハードなギターを弾いているのは角田 順です。

彼女の十八番とも言えるリゾート系なナンバー06。生のリズムとシンセ・ベース、ホーン・セクションを上手く組み合わせいます。夏向きの爽やかなナンバーで、ドライブのBGMの最適でしょう。間奏の今 剛のギター・ソロは流石の一言!

曲のタイトルから中原 めいこらしい07(笑)。メロディーも初期の楽曲を彷彿させる楽しい曲ですが、この曲は早見 優に提供した曲のセルフ・カヴァーとのこと。言われてみると早見 優が歌っても似合いそうな気がしますね。この曲では土方 隆行がカッティングにソロに大活躍で、素晴らしいギター・プレイを披露してくれます。

ボッサ調のアレンジが心地良い08。本当に幅広いジャンルの曲を書ける人です、中原 めいこは。ノリの良い曲では坪倉&杉本のソウルフルなコーラスで、このような柔らかい曲では広谷、比山、木戸の3人をコーラスで起用しているところなど心憎いです。

アルバムの中で、1番中原 めいこらしい曲だと思ったのがこの09でした。この手の曲は、まさに彼女の真骨頂とも言えますね。打ち込みを極力控え、生のリズムとホーン・セクションを使った中村 哲のアレンジが良いです。今 剛のギター・ソロに注目して欲しい1曲。

甘いバラード・ナンバー10。中村 哲のアレンジが秀逸で、JAZZYな演奏と美しいストリングスが印象的です。村上 秀一のドラム、高水 健司のウッド・ベース、今 剛のギターの全てがこれぞプロという演奏を聴かせてくれます。今 剛のここまでJAZZYなギター・プレイは珍しいと思いますね。

中原 めいこのアルバムはどれを聴いても本当にハズレがありません。どの作品も安心して聴けるんですよね。
1992年以降、自身のアルバムはリリースされていませんが、ぜひとも復活して欲しい一人ですね。
まだ聴いたことがなければ、ぜひ1度聴いてみて下さい。初期の作品は、BOOK OFF等の中古店ではなかなか見つけることが出来ませんが、このアルバムは結構見つけやすいと思いますし、値段も安いことが多いです。中原 めいこのアルバムの中でもバランスの良さではトップ・クラスだと思っていますので、自信を持ってお薦め出来ます。興味があれば聴いてみて下さい。これから夏のドライブ・ミュージックに最適ですよ。
小森田 実_SQUALL ◇ 2009年 02月 26日
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今回紹介するのは、今では作曲家としての活動が中心となっている小森田 実が、1989年にリリースしたソロ名義の1stアルバム『SQUALL』です。
小森田 実の名前を一躍有名にしたのは、おそらくSMAPへの楽曲提供だったかも知れませんね。SMAPには「ダイナマイト」や「shake」、「たいせつ」といったヒット曲を書いていますが、私自身SMAPの曲の中では1位、2位を争う位に好きな楽曲が「らいおんハート」なんです。この曲を書いただけでも素晴らしい作曲家だとは思っていますが、元々小森田 実はアーティストとしてデビューしているんです。
1982年にポプコンの九州大会でグランプリを獲得しており、翌1983年には小森田 実&ALPHA 名義で再びポプコン九州大会でグランプリ、同年のつま恋本選大会でもグランプリを受賞し、小森田 実&ALPHAとして「フォリナー」という楽曲でデビューしました。しかし、1984年にはバンドを抜けて作曲家としての活動を開始します。そして1989年にソロ・デビューを果たしたという経緯があります。

『SQUALL』は、ジャケット写真のイメージ通り、夏っぽくて軽やかな楽曲で占められています。決して歌は上手いほうではありませんが、彼の書くメロディーはとてもキャッチーで、曲によっては杉山 清貴が歌ったら似合いそうな感じで、夏という季節やドライブのお供にぴったりだと思います。
興味深いのは、ポプコンで1983年に九州大会のグランプリを獲得した時の楽曲「ドキドキTalking」が含まれており、アマチュア時代から作曲センスには光るものがあったことを窺わせます。
もちろん全曲の作曲は小森田 実。アレンジは全曲小森田 実と京田 誠一の共同の名義になっています。リズム(ドラム・パート)は全て打ち込みなんですが 、参加しているミュージシャンは松田 真人(key)、山田 秀俊(key)、嶋田 陽一(key)、松下 誠(g)、芳野 藤丸(g)、吉川 忠英(g)、斉藤 ノブ(per)、高水 健司(b)等です。

『小森田 実 / SQUALL』
01. 夏だけの女神(ディアーナ)
02. Sweet My Girl
03. Daydream
04. ドキドキTALKING
05. Twilight Dejavu
06. スコール
07. カジノ・カジノ
08. 夜のパズル
09. シーズン

ソロ名義でのデビュー・シングル曲01。いかにも夏向きのポップなナンバーです。最近はこの手のいかにも夏っぽいという曲が少なくなりましたが、80年代のCITY POP好きにはたまらない1曲です。杉山 清貴が歌ったらヒットしたかも知れないという気がしますね。小森田 実のヴォーカルもどこか杉山 清貴っぽいです(笑)

杉 真理のPOPSにも通じるような明るいナンバー02。それもそのはずで、コーラスで小室 和之が参加しています。キャッチーなメロディーはどこかオールディーズ風でもあり、耳に馴染んでくるような感じです。

真夏の昼下がりのまどろみの時間を感じさせるメロウなナンバー03。曲毎のクレジットが記載されていないのではっきりしたところは判りませんが、間奏や終盤の渋いギター・ソロは松下 誠ではないかと思います。個人的には大好きな曲ですが、若干ヴォーカルが弱い気がするのが残念です。

1983年のポプコン九州大会でグランプリを取ったという04。その頃とはアレンジは違うでしょうが、ディキシーっぽい雰囲気が特徴です。スターダスト・レビューが歌ったら似合いそうです。アマチュア時代に書いた曲の割にはよくまとまった曲ではないでしょうか。この曲は歌詞を変えて今井 美樹が「American Breakfast トキメキ添え」という曲名で歌っているようです。

夕暮れ時はボッサが似合う・・・、まさにそんな曲が05です。サビのメロディーがさすがにキャッチーです。この曲も小森田自身よりも杉山 清貴が似合うような気がしてなりません。

ほど良い感じのミディアム・ナンバー06。派手さは無いのですが、とにかく聴いていて気持ちの良い曲です。歌は上手くないのですが、声質は夏向きでテンポのある曲よりもこういうゆったりしたミディアム・ナンバーにぴったりな感じです。良い曲です。ギター・ソロは芳野 藤丸かな?

80'sらしさ全開のPOPなナンバー07。JAZZYな雰囲気を盛り込んだアレンジが面白いです。この曲も歌詞を変えて「姫様ズームイン」という曲名で森川 美穂が取り上げているようです。今時は耳にすることが少なくなったタイプの曲と言えるでしょう。

都会的でシックな雰囲気の08。サビのメロディーが印象に残る曲で、味のある曲に仕上がっています。アルバムの中で1番アダルトな曲かも知れません。

美しいバラード・ナンバー09。アルバムで唯一バラードらしいナンバーでもあります。渚で沈むゆく夕陽を眺めながら、やがて夜の帳に包まれる時間を待っているという感じでしょうか・・・。高水 健司のベース・プレイが光る1曲です。

やはりヒット・メーカーとして活躍しているだけあって、キャッチーで親しみ易い曲のオン・パレードです。
どの曲も小森田以外のアーティストが歌ってもおかしくないですし、場合によってはその方がヒットしたかも知れないと思える曲もあります。
いかにも80年代のCITY POPの流れを汲んだようなPOPな世界観は私にとってはたまらないものです(笑)
これから夏に向けて気持ち良く聴けるアルバムとしてお薦めです。現在は当然廃盤ですから中古店を探すしか入手方法は無いと思いますが、もしPOPな感じがお好きでしたら見つけたらぜひ聴いてみて下さい。
羽根田 征子_SORA ◇ 2009年 02月 14日
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今回紹介するのは、羽根田 征子が1989年にリリースした2ndアルバム『SORA』です。
羽根田 征子は、1988年に吉田 美奈子がプロデュースしたアルバム『BEATING MESS』でデビューしました。以前、当ブログでも1997年に本名である伊藤 征子で自主制作盤としてリリースされた『Good Times, Bad Times』を紹介しました。『Good Times, Bad Times』は、AORファンにはたまらない豪華プロデューサー陣を招いたアルバムで、まさにAORな1枚でした。

本作『SORA』は、佐藤 博がプロデュースを手掛けています。1stアルバムが吉田 美奈子、2ndアルバムが佐藤 博という贅沢なプロデューサーを迎えてアルバムが制作されていたにも関わらず、然程知名度が上がらなかったのが今思えば残念な気がします。
アレンジは勿論、佐藤 博が全12曲中10曲を手掛けており、何とも佐藤 博らしいサウンドに溢れたアルバムになっています。羽根田 征子のヴォーカルは、お世辞にも美しい歌声とは言い難いですが、とても個性的で聴くほどに魅力的に思えてくる、そんな歌声だと思います。

『羽根田 征子 / SORA』
01. ROSY HEART
02. 恋唄千里 (It isn't easy)
03. MILKY WAY
04. BESAME
05. SANDY
06. 鳥のさえずりが聴こえる?
07. DADA
08. WINDY
09. EVERGREEN
10. HAPPY BIRTHDAY
11. Phenix
12. 吹き過ぎた風のように

街の雑踏のSEから始まる01。イントロから佐藤 博のアレンジと判るPOPチューンです。夏の都会の昼下がりを歌ったナンバーで、佐藤 博の奏でるシンセ・ベースと軽妙なギター・リフがとても心地良いです。オープニングに相応しい1曲です。

チャンキーと言うか、オリエンタル・ムード満天のバラード・ナンバー02。曲調と羽根田 征子のヴォーカルがよくマッチしている曲です。間奏のアコースティック・ギター・ソロ(多分松原 正樹でしょう)も渋いです。

夏のドライヴィング・ミュージックといった感じのミディアム・ナンバー03。心地良い風を感じるような、まさに爽快感溢れる1曲といったところです。佐藤 博の多重コーラスが実に夏っぽい感じですし、松原 正樹であろうギター・カッティングも絶妙です。

タイトルからスパニッシュの香りがしますが、まさにその通りのヨーロピアンなバラード曲04。ちょっと湿った感じのアレンジです。こういうウェットな曲調にも羽根田 征子のヴォーカルはよく似合いますね。この曲の主役とも言えるアコースティック・ギターは、そのタッチ、フレーズから吉川 忠英に間違いないでしょう。

オールディーズ風な3連ナンバー05。佐藤 博の多重コーラス・ワークが部分的にビーチ・ボーイズを連想させます。この曲は、ヴォーカルが竹内 まりや、コーラスが山下 達郎でもピッタリくるようなナンバーです。言い換えれば竹内 まりやっぽい曲と言えます。羽根田 征子のヴォーカル・スタイルもどこか竹内 まりやに似ています。

生のドラム(青山 純)を使っている羽根田 征子のオリジナル曲06。起伏のある曲ではありませんが、軽快なリズムに乗って心地良く聴けるそんなナンバーです。佐藤 博は生のリズム、打ち込みの使い分けが本当に上手いですね。間奏のジェイク・H・コンセプションのサックス・ソロも聴き所です。

日野 皓正のコルネット・ソロで始まるノリの良いナンバー07も羽根田 征子のオリジナル曲です。歌よりも演奏に神経が集中してしまうような素晴らしいアレンジで、間奏の格好良いベース・ソロは 日野 賢二です。青山 純のタイトなドラムも良いですし、終盤での日野 皓正のコルネット・ソロも熱が入ってます。

吉田 美奈子の作詞・作曲、前田 憲男のアレンジによるJAZZYな08。前田 憲男のピアノとオーケストラによって奏でられるサウンドはまさに大人向けといった感じです。前田 憲男の素晴らしいピアノ演奏が耳に残ります。

故・Candee(高尾 のぞみ)が英語詞を書き、上田 知華がメロディーを書いた09。洋楽チックな曲で、曲の前半の英語詞で歌われる部分はまさに洋楽といった感じです。アレンジは、以前当ブログにコメントを頂戴したこともある杉山TOMと服部 克久の二人です。08と09は佐藤 博はサウンドには関わっていません。

心温まるという言葉がピッタリくる10。パーカッション主体で音数が少ないシンプルなアレンジですが、メロディーとよくマッチしています。杉並児童合唱団のコーラスが尚更この曲を温もり溢れる感じにしています。

佐藤 博ならではのエレクトロニクスを巧みに使ったブラジリアン・ナンバー11。真夏の太陽の下で聴きたいような情熱的なナンバーです。文句無しに格好良いアレンジと演奏に脱帽です。

01と同じように街の雑踏のSEで始まるスロー・バラード12。都会の夜景を見ながら聴きたくなるようなお洒落な曲です。派手さは無いのですが、魅力的なメロディー・ラインを持っていて、個人的には大好きな1曲になっています。作曲は羽場 仁志。

羽根田 征子は現在も活動されているようですが、20年以上のキャリアを持ちながら僅か8枚のアルバムしかリリースしていないようです。私も実は今回紹介した『SORA』と『Good Times, Bad Times』しか知りません。機会があれば吉田 美奈子プロデュースの1stアルバムも聴いてみたいと探していますが、なかなか見つかりません。『SORA』もあまり中古店で見かけませんが、もし見つけたらぜひとも聴いてみて下さい。CITY POP好きな方なら必ずや気に入ると思います。曲も粒揃いですし、アレンジも申し分ありません。
今夜は春一番らしい強風が吹き荒れています。暖かい南風のせいか、とても暖かい夜です。こんな夜にピッタリの1枚です。
稲垣 潤一_J.I. ◇ 2009年 02月 06日
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今回紹介するのは、稲垣 潤一が1983年にリリースした通算3作目にして名盤と誉れの高い『J.I.』です。確かに私も名盤だと思っている1枚で、本当に曲も粒揃いで稲垣 潤一のヴォーカルも冴えています。
正直なところ、稲垣 潤一に関してはデビュー当時から歌が上手いと思ったことはありませんでした。しかし、去年林 哲司のライブに彼がゲスト出演した時、初めて生歌を聴きましたが声量もありましたし、流石にプロの歌だなと感じました。加えて独特な声質のハイトーン・ヴォイスは、歌の上手い下手ということよりも魅力的であるということは間違い無いですね。

CITY POP系のアーティストの中において、稲垣 潤一はある種特異な存在と言えるかも知れません。と言うのは、CITY POP系のアーティストのほとんどが自作の曲を歌う、いわゆるシンガー・ソングライターなのに対し、大半の曲がプロの作家、他アーティストの提供曲で占められており、シンガーとしてこれだけ人気を集めたというのは珍しいかも知れませんね。
このアルバムを聴いていると、変に自作曲に拘らずに魅力的な歌声を前面に出すことで個性を打ち出していると思います。このような形で稲垣 潤一を売り出したスタッフ陣のセンスの良さを感じさせます。

『稲垣 潤一 / J.I.』
01. MARIA
02. 夏の行方
03. 夏のクラクション
04. 男と女
05. Everyday's Valentine - 想い焦がれて -
06. 蒼い雨
07. 言い出せなくて
08. 一人のままで - There's No Shoulder -
09. エスケイプ
10. 生まれる前にあなたと・・・

作詞:売野 雅勇、作曲:林 哲司による都会的なポップ・ナンバー01。サビのメロディーのキャッチーさがいかにも林 哲司らしいです。CITY POPの全盛を支えたと言っても過言では無い井上 鑑のアレンジも素晴らしいです。

作詞:秋元 康、作曲:松尾 一彦によるいかにも夏っぽくてどこか懐かしい感じの3連バラード・ナンバー02。井上 鑑にしてはオーソドックスな感じのアレンジなんですが、オーケストラの使い方などはやはり上手いですね。稲垣 潤一の声によくマッチした曲だと思います。

作詞:売野 雅勇、作曲:筒美 京平による5枚目のシングル曲で、私自身名曲だと疑わないナンバー03。本当に筒美 京平という人は凄いです。加えて井上 鑑のアレンジも絶妙で、まさに夏の終わりの切なさ、別れの淋しさがサウンドで表現されていると思います。

作詞:秋元 康、作曲:筒美 京平によるミディアム・ナンバー04。これも良い曲です。筒美 京平の天才たる所以は、歌い手の歌声や歌い方の魅力を最大限引き出すようなメロディーを書いてしまうところなんだと思います。この曲のサビのメロディーは、稲垣 潤一の歌声にドンピシャといった感じです。

作詞:湯川 れい子、作曲:安部 恭弘によるボッサ風ナンバー05。安部 恭弘らしい洒落たメロディーと都会的な井上 鑑のアレンジの組み合わせは、まさにCITY POPと呼ぶに相応しい1曲ではないでしょうか。切なげな稲垣 潤一のヴォーカルも光っていて、ヴォーカリストとして素晴らしい素質を持っていることを証明しているような気さえします。

作詞:秋元 康、作曲:松尾 一彦、編曲:松尾 一彦、清水 仁、大間 仁世による06。この曲のみ井上 鑑のアレンジではなく、小田 和正以外のオフコースのメンバーがアレンジと演奏を担当しています。淡々としたという印象の曲ですが、これが稲垣 潤一の歌声とマッチしていて聴く度に魅力的に思えてくる、そんな1曲ですね。明らかに井上 鑑のサウンドと違うのも良いアクセントになっているような気がします。

作詞:秋元 康、作曲:林 哲司による美しいバラード・ナンバー07。バラードの職人・林 哲司らしさが詰まった曲で、私の大好きな1曲でもあります。秋元&林コンビというのも数々の名曲を生んでますね。スケールの大きいアレンジが曲を一層引き立てています。

作詞:湯川 れい子、作曲:松尾 一彦によるミディアム・バラード08。稲垣 潤一に提供している松尾 一彦の曲はどれも良い曲ばかりですね。稲垣 潤一の歌声の魅力を知り尽くしているからこそ書けるメロディーなのかも知れません。

4枚目のシングル曲09。作詞はなんと井上 鑑です。作曲は筒美 京平で、シングル曲を意識して書かれたメロディーだと分かります。その辺りが筒美 京平の凄いところなんですが・・・。この曲がリリースされた頃は大して好きではなかったのですが、何故か今は好きな曲になっています(笑)

作詞:さがら よしあき、作・編曲:井上 鑑によるバラード・ナンバー10。ストリングスの美しい調べが印象的です。

稲垣 潤一のシンガーとしての魅力に溢れたアルバムです。個人的には捨て曲無しだと思っていますし、稲垣 潤一のアルバムの中で最も聴いて欲しいアルバムですし、自信を持ってお薦め出来る1枚です。
曲のタイトルからは夏を連想させますが、決して夏限定という感じでもありません。
今の時期に聴いても気持ち良く聴けると思います。機会があったらぜひ聴いてみて下さい。
最後に参加ミュージシャンを紹介しておきます。井上 鑑(key)、山田 秀俊(key)、今 剛(g)、山木 秀夫(ds)、林 立夫(ds)、岡沢 茂(b)、高水 健司(b)、浜口 茂外也(per)、安部 恭弘(cho)、EVE(cho)
松原 みき_CUPID ◇ 2009年 02月 04日
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今回紹介するのは、1981年4月にアナログ盤がリリースされてから28年の時を経て初のCD化となった、松原 みきの3rdアルバム『CUPID』です。私としてはやっと念願叶ったという思いもあって、今回の松原 みきのアルバムの再発・初CD化は本当に嬉しい限りです。特にこの『CUPID』は思い入れの強いアルバムなので喜びも一入でした。
1980年リリースの1stアルバム『POCKET PARK』、同じく1980年リリースの2ndアルバム『Who are you?』も良いアルバムで大好きなんですが、松原 みきがヴォーカリストとして才能を開花させたのが、この『CUPID』だったと思っています。
それまでのアルバムに比べ、FUNK色が強くなっていて松原 みきのヴォーカルも溌剌としていて、それまで以上に楽しそうに歌っている印象を受けます。

この『CUPID』の特徴は、アルバム前半5曲を当時人気のあったFUNK色の強いフュージョン・バンド、Dr.STRUTがバックを務めているところでしょう。L.A.で録音されており、Dr.STRUTらしいFUNKYな演奏が聴けるのですが、驚くのはアレンジが故・大村 雅朗だということです。このアレンジが秀逸で、Dr.STRUTの良い所を上手く引き出しています。今更ながらですが、実に惜しいアレンジャーを失ったなと思いますね。
アルバム後半の5曲は、東京録音で村上 秀一(ds)、見砂 和照(ds)、富倉 安生(b)、岡沢 茂(b)、今 剛(g)、佐藤 準(key)、田代 真紀子(key)、大谷 和夫(key)、斉藤 ノブ(per)、EVE(cho)等が参加しています。

作曲陣も亀井 登志夫、小田 裕一郎、佐藤 健、伊藤 銀次、佐野 元春といったメロディー・メーカーが素晴らしい曲を提供しています。また松原 みき自身も1曲書いています。

『松原 みき / CUPID』
01. 10カラット・ラブ
02. ONE WAY STREET
03. 青いボールペン
04. 私はもどれない
05. オアシス
06. - CUPID -
07. ニートな午後3時
08. スーヴェニール
09. ONE SUMMER NIGHT
10. DREAM IN THE SCREEN

作詞:三浦 徳子、作曲:亀井 登志夫によるFUNKYなナンバー01。Dr.STRUTの演奏に、数原 晋等の日本のホーン・セクションとのコラボが絶妙です。シンセ・ベースを上手く使っており、軽妙なギター・カッティングとのバランスも良いですね。間奏での向井 滋春のトロンボーン・ソロやDavid Woodfordのサックス・ソロは素晴らしいの一言です。

作詞:三浦 徳子、作曲:小田 裕一郎による02。小田 裕一郎がこんなにFUNKYな曲を書いたことに正直驚いた曲でもありました。とても格好良いナンバーです。クレジットには記載されていませんが、おそらくコーラスはEVEでしょう。と言うかこんなにFUNKYなコーラスはEVEにしか出来ないでしょう。伸びやかな松原 みきのヴォーカルが印象的です。

作詞:三浦 徳子、作曲:佐藤 健によるFUNKチューン03。佐藤 健らしい曲で、初期の大橋 純子を彷彿させるような曲ですね。佐藤 健の曲と松原 みきのヴォーカルとの相性は抜群だと思います。力強いヴォーカルが魅力の1曲。

作詞:三浦 徳子、作曲:佐藤 健によるAORチックな美しいバラード・ナンバー04。松原 みきのヴォーカルの成長を窺わせるのが、この手のバラード・ナンバーですね。過去のアルバムに比べて、ぐっと大人っぽく、艶っぽくなっていて表現力も豊かになっていると思います。美しいコーラスを聴かせてくれるのはBUZZ(小出 博志、東郷 昌和)です。

作詞:三浦 徳子、作曲:小田 裕一郎による05。小田 裕一郎はあえて松原 みき用にFUNKYな曲を書いたのでしょうね。キャッチーなメロディーは変わりませんが、フレーズはFUNKYなアレンジに似合うように作っていると感じます。それにしても日本のホーン・セクション陣は数原 晋を中心としたベテラン勢ですが、素晴らしいホーンを聴かせてくれます。世界でも十分通用すると思いますね。

数原 晋の優しいフリューゲル・ホーンのソロで始まる都会的でCOOLなナンバー06。作詞:三浦 徳子、作曲:伊藤 銀次によるCITY POPナンバーです。後半5曲はCITY POP色が強い感じで、1st、2ndアルバムとも通じる部分があります。今 剛ならではのギター・カッティングとEVEのコーラスが耳に残ります。名曲だと思います。

資生堂のキャンペーン・ソングに起用されたシングル曲07。作詞:三浦 徳子、作曲:小田 裕一郎によるキャッチーなポップ・ナンバーです。重厚な見砂&岡沢のリズム隊に今 剛のギターが絶妙に絡んでいきます。ジェイク・H・コンセプションのサックス・ソロも渋いです。

作詞:三浦 徳子、作曲:佐野 元春によるミディアム・ナンバー08。「本当に佐野 元春が書いたの? 」と思わせるような優しく穏やかなメロディー・ラインを持った曲です。良い曲で大好きなナンバーのひとつです。ここでもジェイク・H・コンセプションの素晴らしいサックス・ソロが聴けます。

まさにCITY POPといった感じが1番出ているナンバー09。私はこういう曲が大好きなんです。作詞:三浦 徳子、作曲:小田 裕一郎によるナンバーですが。80年代初め頃の小田 裕一郎の書いた曲は本当に良い曲が多いですね。アルバム中最もシンプルな構成の演奏なんですが、全くそんな感じを与えないミュージシャンの技術と大村 雅朗のアレンジ・センスに脱帽です。村上 秀一にドラミングが渋いですよ。

作詞:松原 みき・三浦 徳子、作曲:松原 みきによるポップ・ナンバー10。斉藤 ノブのパーカッションと今 剛の軽快なギター・カッティングを前面に出して、陽気で楽しい感じに仕上がっています。驚くのは松原 みきの作曲のセンスの良さで、これだけの作曲陣にも引けをとらない曲を書いていると思います。

全10曲捨て曲無しの名盤だと思います。1stも2ndも大好きなアルバムなんですが、全曲良いなと思えるのは、この3rdアルバムだけです。こんなアルバムが何故今までCD化されなかったのか不思議でなりません。
今回この『CUPID』以外にも1982年リリースの4thアルバム『Myself』と1984年リリースのカヴァー・アルバム『BLUE EYES』がCD化されました。
予算の都合でまだ『CUPID』しか購入していませんが、この2枚も必ず揃えたいと思っています。
松原 みき=「真夜中のドア」という印象を持っている人も多いと思います。確かに「真夜中のドア」はJ-POP史上に残る名曲ですが、ヴォーカリストとしての松原 みきの魅力を楽しみたいのなら、迷わずこの『CUPID』をお薦めします。
曲、アレンジ、演奏、歌の全てのバランスが良いアルバムなので、興味があればぜひ聴いてみて下さい。
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