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カテゴリ:FUSION系( 157 )
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DANIEL HO_OCEAN BREEZE ◇ 2008年 07月 01日
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今回紹介するのは、最近私が寝る時によく聴いているアルバムで、私にとっては睡眠誘発剤のような作品です。とは言っても、生まれて此の方、不眠に悩んだことがありませんが・・・(笑)
ハワイのオワフ島出身で、90年代にはスムーズジャズのバンド"キラウエア"のリーダとしてまたキーボード奏者、作曲家、編曲家として活躍、バンド解散後はソロになりハワイアン・スラック・キー・ギターやウクレレ・プレイヤーとして数多くの作品をリリースしているダニエル・ホーが、2001年にリリースした『OCEAN BREEZE』です。

ダニエル・ホーは、高校3年の時にミシガン州で開催された国際ピアノコンクールで準優勝を受賞する程の腕前を持っており、他にもギター、ベース、ドラムもこなすマルチ・プレイヤーらしいです。そんなダニエル・ホーですが、スラック・キー・ギターを本格的に始めたのが"キラウエア"解散後のソロになってからというのですから驚きです。
この『OCEAN BREEZE』は、CDの帯にも書かれている言葉を借りると「コンテンポラリー・ジャズとハワイアン・スラック・キー・ギターとの華麗なる融合」という音楽なんですが、平たく言えば最高に気持ち良いインスト・ミュージックです。毎年寝苦しい夜に大活躍してくれる1枚なのです。

『DANIEL HO / OCEAN BREEZE』
01. Lia
02. Sacred Journey
03. Kumu Mele (Simple As A Sunrise)
04. A World Away
05. Slack Tides
06. Haiku
07. Plantation Waltz
08. So Far, So Good
09. Napili Meditation
10. Another Day, Another Life
11. Lia (Solo Guitar Reprise)
12. Beyond Blue

シンプルな打ち込みのリズム、アコースティック・ギターとサックスだけで奏でられる美しいナンバー01。初めて聴いた時、この曲のあまりの心地良さにある種の感動を覚えました。夕陽にオレンジ色に輝く海を見ながら聴きたい、そんな曲です。

"HIROSHIMA"のメンバーであるJune Kuramotoの琴をフィーチャーした02。独特な雰囲気を持った曲で、どちらかと言うと南国の民謡を聴いているような感覚に陥ります。ギターと琴が見事に融合したナンバーですね。

ダニエル・ホーが、ハワイのNo.1女性グループ"ナレオ"に提供した曲のセルフ・カヴァー03。美しいメロディーを持ったバラード曲に仕上がっています。Bridgette Bryantのハミング、優しい音色のギター、包み込むようなサックス、どれもがまるで風のように感じられます。

軽快なギター・プレイがアール・クルーを彷彿させる04。ギター、フルート、パーカッションだけというシンプルな構成ですが、馴染み易いメロディーをシンプルな演奏が際立たせているかのようで、決して物足りなさを感じさせません。

直訳すると「よどんだ潮の流れ」という感じになる05は、ダニエル・ホーのギター・プレイが堪能出来る1曲です。曲調は決してよどんだ感じはしませんね。リフを上手く使ったギターが印象的です。

まるでギターを琴のような音色で奏でる06。日本をイメージした曲だというのは一目瞭然(一聴瞭然)ですね。ギター1本で淑やかに演奏しています。

浮遊感を感じるワルツが心地良い07。ダニエル・ホーの奏でるギターの音色は、とにかく柔らかくて優しいもので、聴いていると本当に心が和んでくるようです。

ダニエル・ホーのピアニストとしての腕前を発揮している08。アルバム中で最もFUSION色が強いと言えるかも知れません。ピアノにギターにとダニエルが大活躍している曲なんですが、ピアノもギターもこれだけ演奏出来るというのは、これはもう才能以外の何物でも無いような気がします(笑)

波音のSEとパーカッションを上手く使った09。音楽と言うより、風が強く少し波の荒い海をギターで表現しているといったイメージですね。風景画ならぬ風景サウンドと呼んでも良いようなナンバーです。

どこか物悲しい雰囲気の10。私のイメージは、夏真っ盛りのある日、いつもなら海水浴客で賑わうビーチが、降り続く雨の為に人気が無くなってしまっているといった感じでしょうか。

01のソロ・ギター・ヴァージョン11。この曲は本当に良い曲で、私が1番好きな曲です。ダニエル・ホーの魅力が詰まった曲だと思います。

月明かりの為に漆黒ではなく、濃紺の夜を連想させる12。短い曲なんですが、まるで「おやすみ」を言われているかのような曲です。

折角の休日だと言うのに朝から雨が降っていて気分が滅入った時、あるいは晴れた休日にドライブに出かけたものの帰り道に渋滞に巻き込まれ気分がイラついた時、そんな時にこのアルバムを聴けばきっと気分を和ませてくれること請け合いです。ただし、あまりの心地良さに眠くなってしまうので、くれぐれも居眠り運転には注意して下さい(笑)
とにかく老若男女が楽しめるアルバムだと思います。いや楽しめると言うより聴いている者全てを気持ち良くさせるアルバムです。
このアルバムは、パシフィック・ヘブン・レーベルというところからリリースされているのですが、以前紹介したTEMIYAN (宮手 健雄)の『South Calendar』 も同じレーベルからシリーズのひとつとしてリリースされたものです。本当に気持ち良くなれるアルバムなので、もし興味があったら聴いてみて下さい。寝苦しい熱帯夜のお供に最適だと思いますよ。
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WILL LEE_OH! ◇ 2008年 06月 16日
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今回紹介するのは、ニューヨークを中心に活躍するトップ・セッション・ベーシスト、ウィル・リーが1994年にリリースした初のリーダー・アルバム『OH!』です。ウィル・リーは様々なセッションで活躍してきていますが、私が彼の名前を初めて知ったのは1970年代の終わり頃に日本でも人気の高かった24丁目バンドの一員としてでした。決して派手なプレイ・スタイルではありませんし、特に看板となる奏法を持っている訳ではありませんが、重厚でグルーヴ感を大切にしたベース・プレイは燻し銀とも言えるものだと思います。

70年代から常に一線で活躍していながら、しかもFUSIONブームの最中においても彼はリーダー作を出していませんでした。かなり誘いがあったようですが、断っていたらしいですね。そんなウィル・リーの初リーダー作となれば期待するなという方が無理です。しかもベース・プレイはもちろんですが、彼の素晴らしいヴォーカルが堪能出来るアルバムなんですから・・・。
単にベーシストのリーダー作ではなく、多くの人に楽しんでもらいたかったという思いもあったでしょうし、FUSIONが下火となっていた背景を考えるとこのようなスタイルになったというのは、ある意味当然だったのかも知れません。

ウィル・リーの素晴らしい歌声を初めて聴いたのは1980年頃、日本のCMでした。NEW YORKERS名義でリリースされたパイオニアのステレオ・コンポのCMソング「I Believe In Love (愛のサスペンス)」でヴォーカルを務めていたのがウィル・リーで、とても白人とは思えないほど黒っぽいヴォーカルに驚いたことを鮮明に覚えています。いつかじっくり彼の歌を聴いてみたいと思っていたので、このアルバムで念願が叶ったといったところです。

『WILL LEE / OH!』
01. MARYANNE
02. GEORGY PORGY
03. KISSING MY LOVE
04. I KNOW TOO MUCH (ABOUT SADNESS)
05. SHOW OF HANDS
06. BALLAD OF BILL AND GRETCHEN
07. DRIFTIN
08. I CAME TO PLAY
09. LONELY AVENUE
10. WHITE MAN
11. MY FUNNY VALENTINE

軽快なリズムと心地良いグルーヴが特徴のラヴ・ソング01。打ち込みによるループと生のドラムを組み合わせたリズムに乗せ、ウィル・リーの重厚なベースと溌剌としたヴォーカルが印象的です。

TOTOの名曲をカヴァーした02。洒落たアレンジとヴォーカルでオリジナルに勝るとも劣らない仕上がりになっています。クリス・パーカーの堅実なドラミング、ジョン・トロペイの渋いギター・ワーク、ロブ・マウンジーの繊細なエレピに加え、ウィルの素晴らしいベース・ソロも聴けます。AORど真ん中ストライクといった感じの1曲。

ビル・ウィザースの古い曲のカヴァーだという03。ノリの良い曲で弾けた感じのウィルのヴォーカルが印象的です。演奏自体はシンプルな構成で、スティーヴ・ガッドのドラム、FUNKYなフェリシア・コリンズのギターが冴えた曲です。

美しいメロディー・ラインを持ったバラード・ナンバー04。ジェフ・ミノロフ(g)、ドン・グロルニック(key)、バシリ・ジョンソン(per)等が参加しています。ランディー・ブレッカーの哀愁の漂うフリューゲル・ホーン・ソロがたまらなく素敵です。

ニューヨーク・サウンドが炸裂する05。アレンジが凝っていますね。ウィル・リーのスラッピング・ベースとジェフ・ミロノフの職人技とも言えるギター・プレイがとにかく渋いですね。この曲でのヴォーカルなどは白人が歌っているとは到底思えないほど黒っぽいです。スティーヴ・ガッドのタイトなドラミングも聴き所です。

ブルース色の強いバラード・ナンバー06。堅実で重厚なウィルのフレットレス・ベースが耳に残ります。ギターのジェフ・ミノロフとミュート・トランペットのランディ・ブレッカーの渋いプレイが光っています。

ジミ・ヘンドリックスのカヴァー07。ウィルのフレットレスのピッコロ・ベースのソロも素晴らしいですが、ゲスト参加しているジェフ・ベックのギター・ソロも実に味わい深いです。情感豊かなウィルのヴォーカルも素晴らしいです。

ウィル自身、ベースを弾くのが楽しかった曲と語っている08。陽気で楽しい曲に仕上がっています。ウィルの言葉通り、彼のベース・プレイは本当に素晴らしいですよ。ミュージシャン達が各々プレイを楽しんでいるような雰囲気が伝わってきます。

レイ・チャールズのカヴァーだという09。オリジナルを知らないので比較は出来ないのですが、オリジナルとは違ったハーモニーとメロディーのフレーズを足しているようです。ブルースっぽい雰囲気にウィルの黒っぽいヴォーカルがよく似合っています。間奏で渋いギター・ソロを弾いているのはジョー・カロです。

都会的でJAZZYな雰囲気を持った10。白人を皮肉った歌ですが、切実な思いがウィルのヴォーカルに込められているようで、意味が分からずともその思いが伝わってくるようです。

スタンダードとしてお馴染みのナンバーで様々なカヴァー曲が存在する11。オリジナルとは雰囲気が全く違う都会的でグルーヴィー、全体的にはJAZZYな仕上がりになっています。旧友・ハイラム・ブロックが参加していますが、この曲のハイライトはウィル・リーの父上であるビル・リーのピアノ・ソロかも知れません(笑)

ウィル・リーのソロ・アルバムとなれば、FUSIONが好きな方は当然注目するでしょうが、私としてはぜひAOR好きな人にも聴いて欲しいアルバムです。02辺りを聴けばAOR好きな人も納得頂けると思いますし、バラエティに富んだ内容で純粋に楽しんで聴ける1枚です。
素晴らしい演奏技術を持ったミュージシャンで歌が上手いという人は少なくありません。しかし、私の印象ではその多くは黒人系ミュージシャンで、白人系のミュージシャンは少ないですね。そんな白人系ミュージシャンの中でウィル・リーは群を抜いている気がします。もちろんベースも随所で素晴らしいプレイが聴けますから、まさに一粒で2度おいしいアルバムと言えると思います(笑)
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鳥山 雄司_プラチナ通り ◇ 2008年 05月 04日
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今回紹介するのは、鳥山 雄司が1990年にリリースした通算6作目となるアルバム『プラチナ通り』です。東京在住の方や東京に詳しい方ならご存知かも知れませんが、アルバム・タイトルの"プラチナ通り"とは、港区白金台を走る外苑西通りの通称名です。銀杏並木でも知られているようです。おそらく東京タワーの夜景の写真は、白金台方面から録ったものかも知れませんね。白金台と鳥山 雄司との関係は不明ですが、思い入れの強い場所であるのは間違い無いでしょうね。いかにもお坊ちゃん育ちという印象の強い鳥山 雄司にはお似合いな場所だと思いますが・・・。(あくまでも個人的な印象ですよ)

さて本作『プラチナ通り』は、都会的で洗練されたサウンドで溢れており、テクニック面よりも曲を聴かせることに重きを置いたアルバムだという印象です。とにかく聴いていて心地良い作品で、鳥山 雄司のギターも音色も美しいですし、ラリー・カールトンを彷彿させるプレイの数々に聴き惚れてしまいます。参加ミュージシャンは、美久月 千晴(b)、向谷 実(key)、大谷 幸(key)、和泉 宏隆(key)、矢壁 アツノブ(ds、programming)村田 陽一(tb)、荒木 敏男(tp)、本田 雅人(sax)という日本勢に加え、ニール・ラーセン(key)、レニー・カストロ(per)等が参加しています。10曲中9曲(1曲はカヴァー曲)の作曲、プロデュースはもちろん鳥山 雄司です。リズム・アレンジは鳥山 雄司、矢壁 アツノブ、美久月 千晴の3人による共同アレンジ、ホーン・アレンジは村田 陽一、ストリングス・アレンジは大谷 幸が手掛けています。

『鳥山 雄司 / プラチナ通り』
01. HI! SAKURAKO-SAN
02. HALF MOON PARADISE
03. POTTED PARROT
04. MUGGINESS
05. FARTHER'S BACK
06. SUKI-YAKI
07. FOOT LOCKER
08. DANCIN' IN THE PARK
09. LIME TREE
10. PLATINUM-DORI

軽やかなリズム・セクションとホーン・セクションの絶妙に絡み、美久月 千晴の重厚なベース、美しいメロディーを奏でる鳥山 雄司のギター・プレイが印象的な01。ニール・ラーセンが渋いシンセ・ソロを聴かせてくれます。ちなみに"SAKURAKO-SAN"とは鳥山 雄司の母君だとか・・・。

ボッサ調のリズムに切ないメロディーが美しく響く02。鳥山 雄司のクリアな音色のギターと叙情感溢れるプレイは素晴らしいの一言です。夏の海辺の黄昏時に聴きたい、そんなナンバーですね。

軽快なリズムに乗せ、美しいアコースティック・ギターが歌う03。ストリングスとアコースティック・ギターのバランスが絶妙です。この曲でもニール・ラーセンがハモンドB-3で大活躍しています。

黒っぽいリズム、特にシンセ・ベースのような美久月 千晴のスラップ・ベースが耳に残る04。都会的で洒落た曲で、個人的にはかなり好みの1曲です。ラリー・カールトンを彷彿させるようなギター・プレイが素晴らしい1曲。

レニー・カストロのパーカッションをフィーチャーした軽めのナンバー05。軽めとは言え、実に練られたアレンジだと思います。メロディーとギターの音色が実によくマッチしていて、気持ち良く聴けるナンバーです。伸びやかに歌う鳥山 雄司のギターに酔い痴れてしまいます(笑)

ご存知昭和の名曲、坂本 九が歌って大ヒットした「上を向いて歩こう」のカヴァー06。アルバム中で唯一のカヴァーです。打ち込みのリズムを軸にゆったりしたリズムと琴の音をサンプリングしたようなシンセのサウンドが印象的です。この曲がインストでこれだけ映えるとは正直思っていませんでした。

大谷 幸のピアノのリズム・リフ、重厚な美久月 千晴のベース、ニール・ラーセンのハモンド・ソロ、そして情感溢れる鳥山 雄司のギターと聴き所満載の07。このリズム・アレンジはかなり格好良いですね。

ライト・フュージョンといった趣のある08。夏の昼下がりに聴いたら最高に心地良さそうなナンバーです。アコースティック・ギターの音色がとても涼しげですし、エレキのソロもアコギの音色との相性を考慮した綺麗な音色ですね。いかにも本田 雅人らしいサックス・ソロも聴けます。

思い切りJAZZYな09。美久月 千晴のコントラバス、和泉 宏隆のピアノ、鳥山 雄司のギターのアンサンブルが実に美しいですね。昔からこういう曲を聴きながらお酒を飲むのが似合うような大人になりたいと思っていましたが、果たして今の自分はそんな大人になれているのでしょうか・・・(笑)

キラキラと煌く朝陽をイメージさせる爽やかなナンバー10。この曲がアルバムのTOPを飾っても良かったのではないでしょうか。アコースティック・ギターの柔らかい音色というのは、そのまま柔らかい陽射しの早朝や黄昏時のイメージとぴったり重なりますね。

『プラチナ通り』は、鳥山 雄司のアルバムの中でもかなり好きなアルバムなんです。その理由は、コンポーザー、アレンジャーとしても素晴らしい才能を持っており、最近では優れたコンポーザーとしても注目を集めていますが、やはりギタリスト・鳥山 雄司が堪能出来るアルバムだからです。
私個人的にはギタリスト・鳥山 雄司が大好きでして、そういう観点から言えばこのアルバムを含めて、初期の作品がお気に入りになっています。
都会的ながらも夏の爽やかなイメージを与えてくれるサウンドで、毎年この時期になると聴きたくなる1枚です。
ギター・フュージョンが好きな方にはお薦めです。
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松原 正樹_SNIPER ◇ 2008年 04月 22日
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今回紹介するのは、1970年代後半頃から現在に至るまで、私が最も敬愛しているギタリストである松原 正樹が1983年リリースの3rdアルバム『SNIPER』です。大袈裟に感じるかも知れませんが、私は松原 正樹のギターに出会っていなければ、ここまでJ-POPやCITY POPを好きになることは無かっただろうと思います。ある意味では私にとってのアイドルなんですね。おそらく現在30歳以上の人で、松原 正樹のギターを聴いたことが無いという人は皆無だと思います。とにかくレコーディング・セッション・ギタリストとしては日本でもTOPクラスの実力を持っています(断言してしまいますが・・・笑)。レコーディングに参加した楽曲は優に1万曲を超えると言われています。1万曲ですよ!それだけアレンジャーの信望も厚かったというのは、単にギターが上手いだけではなく、曲にマッチした音色・フレーズをアレンジャーのイメージ通りに出せたということなんでしょうね。何はともあれ、松原 正樹無しでは私の音楽ライフは語れない存在なのです。

1978年の1stソロ・アルバム『流宇夢サンド』をリリース、1979年には私が最も好きなアルバムなんですが、未だにCD化されていない2ndアルバム『TAKE A SONG』をリリースした後、1980年にPARACHUTEを結成します。松原 正樹と今 剛のツイン・ギターはまさに鉄壁でした(笑)
『SNIPER』は、PARACHUTEが活動を休止した83年に4年ぶりにリリースされたアルバムで、これも名盤の1枚だと思っています。全8曲中4曲がインスト曲で残り4曲がジェシ・バリッシュのヴォーカルをフィーチャーしていて、FUSIONとAORが上手く融合した洒落た1枚になっています。松原のソロのプレイはインスト曲で、カッティングやバッキングでの渋いプレイはヴォーカル曲で堪能出来るファンにはたまらないアルバムです。

参加しているミュージシャンは、あえてPARACHUTE系ではなく、スタジオ・セッションでは顔馴染みで気心の知れている山木 秀夫(ds)、島村 英二(ds)、美久月 千晴(b)、佐藤 準(key)、斉藤 ノブ(per)、ジェイク・H・コンセプション(sax)に、曲の提供とヴォーカルでジェシ・バリッシュが参加しています。ジェシ・バリッシュはシンガー・ソング・ライターで、マーティ・バリンの大ヒット曲「ハート悲しく」を書いた人です。彼が3曲提供しているんですが、この3曲が素晴らしいAORナンバーに仕上がっています。洋楽好きな人もFUSION好きな人も聴いて損の無いアルバムだと思います。

『松原 正樹 / SNIPER』
01. CAN'T LET GO
02. I REMEMBER
03. YOU BABE
04. GIVE OUR LOVE
05. YOU KNOW WHAT I LIKE
06. SNIPER
07. BUSTED
08. SOMEDAY

心地良いギター・カッティングに流麗なソロ・プレイが特徴の01。アルバムの冒頭にしては静かな感じですが、松原 正樹ならではの美しい音色のギター・プレイは素晴らしいの一言で、ソロ・プレイのおけるフレーズの美しさこそが松原 正樹の真骨頂です。

テリー・シャディックとジェシ・バリッシュ共作によるAORナンバー02。ヴォーカル曲の時はあくまでもバッキングに徹して、間奏のソロ・プレイではその存在感をアピールするような松原 正樹のギターは、数多くのセッションをこなしてきただけあって壺を押さえたものです。

美しいインスト・ナンバー03。ミディアム・テンポでメロディーは美しく、しかしソロ・プレイではドライブ感溢れるプレイというメリハリの効いたナンバーに仕上がっています。松原 正樹はギターのプレイは勿論ですが、ソングライティングにおいても素晴らしい才能を持っていますね。

ウエスト・コースト・ロック風AORナンバー04。この曲のようなギター・リフもいかにも松原 正樹らしいもので、聴いていると嬉しくなってしまいます。ジェシ・バリッシュの歌声は、それほど特徴が無くあっさりしたものなんですが、嫌味が無いので聴きやすいです。

続く05もヴォーカル曲です。渋いAORナンバーで、軽快なギター・カッティングがヴォーカルを盛り上げています。聴く回数が増える毎に好きになりました。

松原 正樹のナンバーの中でも人気の高い06。名曲です。アルバム中で最もスリリングな曲です。ライブでもよく演奏されてまして、そのドライブ感溢れるギター・プレイで会場が盛り上がるこ間違い無しの1曲です。

本当によく歌うギターが心地良い07。メロディアスなナンバーで、ソロ・プレイはJAZZYな香りが漂います。夜のドライブのBGMに最適と言えるのではないでしょうか。大好きな曲です。

ヴォーカル曲10は、ジェシ・バリッシュと松原 正樹の共作です。ヴォーカルはAMYという女性シンガーとジェシ・バリッシュのデュエットです。PARACHUTEサウンドの名残りを強く感じる曲ですね。キャッチーなメロディーと独特の軽さが魅力のAORナンバーに仕上がっています。

最近のFUSIONは、どちらかと言うとSMOOTH JAZZ系が主流のようですね。私もSMOOTH JAZZは好きですが、猫も杓子という感じになると70年代中盤~80年代にかけてのFUSIONブームだった頃の個性溢れるサウンドが恋しくなります。このアルバムも松原 正樹の個性が光っている素晴らしい作品です。いつも松原 正樹のソロ・アルバムを聴いて感じるんですが、素晴らしいソロ・アルバムも沢山あるのに、松原 正樹のギターが1番輝いて聴こえるのは歌モノのバッキングでのプレイなんですよね。根っからのスタジオ・セッション・ギタリストなんだなあと思いますね。これからも素晴らしい音色とプレイを私に届けて欲しいと願うばかりです。
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高中 正義_SAUDADE ◇ 2008年 04月 18日
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今回紹介するのは、高中 正義が1982年にリリースしたアルバム『SAUDADE』です。天気が良かったり悪くなったりと春らしい天気が続いていますが、ここ数年はゴールデン・ウィークの頃は夏の陽気を思わす日もありますね。そうなると俄然夏っぽい音楽が聴きたくなるのですが、夏っぽい音楽で真っ先に思い浮かぶアーティストの一人が高中 正義だったりします。
高中のアルバムはどれも聴きやすく、いわゆる外れというのが無いのですが、個人的にはやはり1976年の『SEYCHELLES』から1984年の『夏・全・開』までのKITTYレーベル時代の音源に思い入れが強いですね。本当にこの頃のアルバムはよく聴きました。もちろん今でも夏になると聴きます(笑)

『SAUDADE』は、それまでセルフ・プロデュースで通してきた高中が、ナラダ・マイケル・ウォルデンにプロデュースを依頼し、サンフランシスコで録音されたアルバムです。高中自身も他人にプロデュースを任せたことで、ある意味フレッシュな気持ちでレコーディングに臨めたのでしょう、素晴らしい仕上がりになっていています。ファンの間でも人気の高いアルバムのようですね。
参加しているミュージシャンは、ナラダ・マイケル・ウォルデン(ds)、ワーキン・リエヴァノ(g)、T.M.スティーヴンス(b)、フランク・マーティン(key)、シーラ・エスコヴェド(シーラ・E)(per)等が参加しています。特にウォルデンとスティーヴンスのリズム隊は強力ですね。強いリズムに乗せて軽やかに高中のギター歌っているという印象が強いです。良いアルバムです。

『高中 正義 / SAUDADE』
01. A Fair Wind
02. Saudade
03. Eona
04. Breakin' Loose
05. Ride'em High
06. Chill Me Out
07. New York Strut
08. The Forest of My Heart
09. Manifestation

風を切って走るような爽快感がたまらない01。いかにも高中 正義らしいギター・プレイで、これが高中の1番の魅力なんでしょうね。聴きやすいメロディーに個性的なギター・プレイが、夏を連れてきてくれる、そんな錯覚に陥ります。

スチール・ドラムやパーカッションを巧みに使った名曲02。高中のソングライティングの才能の豊かさを感じさせる曲で、とにかくメロディーが良いです。

この面子でこの演奏はシンプル過ぎるとさえ思えるバラード・ナンバー03。しかし味わい深い曲です。この曲で聴けるギターの音色も実に高中らしくて好きなんです。海辺の夕暮れ時を連想してしまうのは私だけでしょうか?(笑)

ウォルデンのシャッフル・ビートとスティーヴンスの太いベースというリズム隊が印象的な04。軽快なナンバーで、ドライヴのお供にぴったりな1曲だと思います。

05も真夏を感じさせてくれる名曲だと思っている1曲です。ギターのカッティングとリフが主役と言っても過言ではない曲でしょう。開放感を一層盛り上げるコーラスも良いですね。

高中のメロディーにウォルデンが詞をつけた06は、ダンサブルなナンバーです。単調なメロディーの繰り返しなんですが、これがディスコ・サウンドっぽさが出ていて面白いですね。間奏部でのフランク・マーティンのシンセと高中のギターの掛け合いも迫力があります。

小粋でお洒落なアレンジが素晴らしい07。NEW YORKをイメージしているんでしょうが、高中の曲はいつでもどこでも夏・海を感じさせてくれます。この曲でもウォルデンとスティーヴンスのリズム隊が大活躍しています。

ナラダ・マイケル・ウォルデンのペンによる美しいバラード・ナンバー08。高中自身が書いた曲と言われても違和感がない、高中にぴったりなメロディアスなナンバーです。高中のギターも伸びやかによく歌っています。

09と同じくウォルデンの作品09。08とはガラリと変わって、スリリングな演奏が堪能できるナンバーです。アルバム中で最も熱い演奏を聴かせてくれます。ウォルデンのドラミング、シーラ・Eのコンガのプレイ、そして高中のソロ・プレイも含めて気合いの入った演奏が素晴らしいですね。

素晴らしいテクニックを駆使して聴く者を圧倒するFUSIONも魅力的なんですが、聴いていてただただ気持ち良い高中 正義サウンドは、私を魅了し続けています。実は東芝へ移籍してからの音源はあまり聴いていません。興味が無いという訳ではないのですが、Kitty時代の音源だけでも十分に死ぬまで高中 正義を楽しめそうな気がしています。
きっと70歳を過ぎても高中のアルバムを聴いて、南国の海辺で海を眺めている自分を想像しながら音楽を楽しんでいるんだろうな・・・(笑)
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Far East Club Band_ANOTHER MOONLIGHT ◇ 2008年 03月 28日
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今回紹介するのは、1990年に小田 和正のバック・バンドとして結成されたFar East Club Bandが2002年にリリースした2ndアルバム『ANOTHER MOONLIGHT』です。今では毎年クリスマスの恒例となった音楽番組「クリスマスの約束」で、小田 和正のバックで演奏してりうのがまさしくFar East Club Bandです。音にうるさい小田のバックを務めるのですから、当然腕利きミュージシャンが集まっています。しかし、1990年結成時からはメンバーは幾度か交代しているようです。
このアルバムのリリース時のメンバーは、園山 光博(sax)、木村 万作(ds)、栗尾 直樹(key)、山内 薫(b)、稲葉 政裕(g)の5人です。結成当時からのメンバーは、園山 光博と栗尾 直樹の二人だけのようです。

アルバム『ANOTHER MOONLIGHT』は、メンバーのオリジナル曲と小田 和正の提供曲を含めた全10曲がインスト・ナンバー中心のFUSION色の強い作品です。全曲のプロデュースとアレンジはFar East Club Bandと小田 和正の共同名義になっています。サックスとギターをメインにじっくり聴かせるインスト・ナンバーが揃っています。ただのバック・バンドで無いことは音源を聴いて頂ければ一目(一聴)瞭然だと思います(笑)

『Far East Club Band / ANOTHER MOONLIGHT』
01. A Stream of Time / 木村 万作
02. 快進撃 / 小田 和正
03. Walled in Life / 栗尾 直樹
04. Tight Rope / 稲葉 政裕
05. 夏のスケッチ / 山内 薫
06. Reserve / 山内 薫
07. Afternoon / 木村 万作
08. ビギン / 園山 光博
09. Purple Hole / 栗尾 直樹
10. 青い月の夜に / 稲葉 政裕

木村 万作らしくパーカッションを効かせた軽快なナンバー01。山内 薫の堅実なベースとタイトな木村 万作のドラムを軸に、園山 光博のサックスと稲葉 政裕のギターがメロディーを奏でます。藍色の夜空というイメージを抱かせるナンバーですね。

小田 和正の作曲による02。タイトル通り勢いのあるナンバーです。稲葉 政裕の軽快なギター・カッティングとソロ・プレイと栗尾 直樹のエレピのプレイのコンビネーションが素晴らしいです。後半からはライブ会場を彷彿させるSEとメンバーと小田 和正によるコーラスが加わります。このコーラスのメロディーがいかにも小田らしいメロディーです(笑)

シンプルで美しいメロディーが印象的な栗尾 直樹の作曲によるバラード・ナンバー03。ピアノとアコースティック・ギターを軸にしたシンプルな演奏なんですが、これが実にメロディーによくマッチしていて、ヒーリング系のインスト・ナンバーと言えるかも知れません。

稲葉 政裕の作曲による、オーソドックスながらもFUSION色の強いナンバー04。園山 光博のサックスをメインにした美しいメロディーとエキサイティングな稲葉のギター・ソロと栗尾のエレピ・ソロを交え、バンドとしてのポテンシャルの高さが上手く出た曲だと思います。

山内 薫の作曲による05は、真っ青な空に入道雲が浮かび、一面に黄色く咲く向日葵畑の中にいるような、そんな夏の一場面を想像してしまう1曲。メンバー各々が素晴らしいプレイをしているのですが、そんな事よりも曲の持つ雰囲気が聴く者を惹き付けるような気がします。後半になってテンポが落ちるのですが、これがまた段々と陽が暮れていくのを表現しているようで、何とも言えぬ味わいのある曲です。私の大のお気に入りの1曲です。

続く06も山内 薫の作曲によるナンバーですが、05とは雰囲気がガラリと変わってFUNKYなナンバーです。山内 薫のベース・プレイを堪能出来る1曲でしょう。メロディー部はギターとサックスのユニゾン。稲葉のギター・ソロもエキサイティングでかなり格好良い仕上がりです。山内 薫はプレイヤーとしてだけでなく、ソング・ライターとしても素晴らしい才能を持ったミュージシャンですね。

木村 万作の作曲による07。くつろいで過ごす夏の午後といったイメージの曲です。窓を開け放して心地良い風を感じながら、昼寝がしたくなるという感じでしょうか(笑)

園山 光博作曲によるSummer Fusionナンバー08。これがまた実に気持ちの良いナンバーで、海岸線をドライブしながら聴いたら最高に似合いそうな1曲です。この演奏を聴くと、これはもう小田 和正のバック・バンドというのは副業であって、FUSION BANDが本業であるとさえ思えます。これも大好きな1曲です。

かなり凝ったアレンジで、高い演奏技術が要求されるようなFUSIONナンバー09。栗尾 直樹の作曲です。JAZZとROCKを上手く融合させたようなアレンジが秀逸で、稲葉 政裕のギター・ソロが炸裂します。

稲葉 政裕の作詞・作曲による唯一のヴォーカル曲10。これがまた良い曲なんですね。誰が歌っているのかが、クレジットに載っていません。おそらく稲葉自身かも知れません。小田 和正顔負けのメロディアスなナンバーです。コーラスで小田が参加しています。

メンバー全員が高い演奏技術を持ち、素晴らしい作曲センスをも持ち合わせるFUSION系バンドってそうは無いですよね。すぐに思い浮かべるのはカシオペア位でしょうか・・・。でもカシオペアは4人、Far East Club Bandは5人ですからね。単純に数で言えばFar East Club Bandの方が勝っていると言えるかも知れません(別に勝ち負け決める必要も無いですが・・・汗)。
Far East Club Bandとしては、今のところ2000年にリリースされた1stアルバム『Far East Club Band 』と本作だけのようです。これからも機会があればアルバムをリリースして欲しいですね。こういう素晴らしいアルバムを聴いていると、やはり打ち込みには絶対に表現出来ない、情景や風景とかのイメージを抱いたサウンドというものを感じます。歌伴なんだから打ち込みで良いみたいな今の風潮は、私は少々寂しく感じています。歌伴とは言え、これだけのミュージシャンが奏でる音には、歌の内容(歌詞)を聴いている者の心に入り込むような説得力を生むのだと思っています。
「クリスマスの約束」で小田 和正が歌う数々のJ-POPの名曲が、いつも以上に心に響くのは小田 和正の歌声はもちろんですが、Far East Club Bandの素晴らしい演奏があってこそだと思っています。
非常に味わい深いアルバムですから、興味のある方は聴いてみて下さい。FUSIONが好きな人は楽しめると思いますよ。
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今回紹介するのは"FUSION"のカテゴリで紹介していますが、どちらかと言えば"BC"系と言える作品です。FUSION界きってのクリエイターであり、TOPミュージシャンであるスタンリー・クラーク(b)とジョージ・デューク(key)によるコラボレート作品で、1981年にリリースされた『THE CLARKE / DUKE PROJECT』です。

とにかくバラエティに富んだ内容で、FUNKあり、ROCKあり、メロウなAORナンバーありで二人の才能がぎっちと詰った感じのアルバムです。AORファンには名曲「Sweet Baby」がお馴染みですね。
全9曲中2曲はインスト・ナンバーですが7曲は二人のヴォーカル・ナンバー。楽器だけでなく歌も上手いのですから、性質が悪いですね。ほとんどの曲がスタンリー・クラークとジョージ・デューク、そしてドラムスのジョン・ロビンソンの3人によって演奏されています。スタンリー・クラークはベースだけでなく、ギター、シタールも演奏しておりマルチ・プレイヤーぶりを発揮しております。ジョン・ロビンソンは、クインシー・ジョーンズのプロデュース作品ではお馴染みのドラマーで、手数は多くはありませんがダンス系のビートを叩かせたら本当に上手い人で、私の大好きなドラマーの一人です。
ゲスト・ミュージシャンとして、マイケル・ボディッカー(bass synthesizer)、ゲイリー・フォスター(recorders)、ジェリー・ヘイ(piccolo、trumpet)が参加しています。

『STANLEY CLARKE & GEORGE DUKE / THE CLARKE / DUKE PROJECT』
01. Wild Dog
02. Louie, Louie
03. Sweet Baby
04. I Just Want To Love You
05. Never Jugde A Cover By Its Book
06. Let's Get Started
07. Winners
08. Touch And Go
09. Finding My Way

ご機嫌にFUNKYなインスト・ナンバー01。驚異的なスタンリー・クラークのベースによるメロディー弾きに堅実なビートを刻むジョン・ロビンソン、巧みなシンセ・ベースやピアノ・プレイで魅了するジョージ・デュークの3人のコンビネーションが素晴らしいです。

黒人ドゥワップのRichard Berry & the Pharaohsが1957年にヒットさせた曲のカヴァー02。軽快なリズムが心地良いナンバーで、クラーク&デュークの二人のヴォーカルのコンビネーションがなかなか決まっています。間奏のベース・ソロもエレピ・ソロも格好良いです。

全米Top20入りを記録したお馴染みのメロウ・ナンバー03。本当に良い曲ですね。ジョージ・デュークのファルセットを巧みに使ったヴォーカルが際立った1曲です。ストリングスの使い方のも上手くて、二人のアレンジ・センスの良さを感じます。フィリー・サウンドを彷彿させるエレクトリック・シタールの音がたまりません(笑)

スタンリー・クラークがメイン・ヴォーカルの04も軽快さが心地良い1曲です。曲調に合わせたような軽めの演奏に聴こえるようなアレンジが素晴らしく、間奏ではクラークのギター・ソロも聴けるという贅沢な1曲。

アーバン・メロウなインスト・ナンバー05。実にお洒落な1曲ですね。人も途絶え、車も減った真夜中の新宿新都心のオフィス街の中を車で走らせながら聴きたい、そんな1曲ですね(笑)

ちょっとユーモラスな感じのFUNKナンバー06。サビ部では二人の絶妙なコーラス・ワークが聴けます。いかにも楽しいそうなレコーディング風景が目に浮かんできます。

スリリングな07。ジョージ・デューク&マイケル・ボディッカーによるシンセ・ベースが印象的なナンバーですが、なかなかメロディアスでスタンリー・クラークの作曲センスが光ります。クラークのベース・ソロは相変らず驚異的です。

美しいバラード・ナンバー08。03にも劣らない素晴らしいメロウ・ナンバーですね。それにしても二人とも本当に歌が上手くて驚きますね。良い曲が書けて、秀でた演奏技術を持って、歌えてコーラスも出来るとなれば、渡る世間に鬼はいませんよね(笑)

ラスト・ナンバー09はロック色の強いAOR風ナンバーです。サウンド的には西海岸のAORを彷彿させます。たった3人でこれだけのサウンドを作りだすのですから恐れ入ります。中盤でテンポを落として、ベース・ソロやシンセ・ソロを交えるという凝ったアレンジです。

このアルバムの音楽に関しては大好きですし何の文句もありませんが、ジャケット写真のジョージ・デュークの顔は怖いですよね~。
真夜中に一人で歩いていて、脇道からこんな顔の人が現れたら多分走って逃げますね(笑)
ジャケット写真とは裏腹にとてもお洒落なアルバムに仕上がっています。FUSION好きな人にはお馴染みの二人ですが、このアルバムはBC系やAOR系の音楽が好きな人にも楽しんでもらえると思います。
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今回紹介するのは、ウェザー・リポートと並んでフュージョン・グループの先駆けとも言えるグループ、リターン・トゥ・フォーエヴァー(RTF)が1973年にリリースした『LIGHT AS A FEATHER』です。RTFと言ってまず思い浮かべるのは、かの有名な1972年リリースの『RETURN TO FOREVER』、通称"カモメ"だと思います。確かに名盤ですよね。いずれ紹介しようとは思っていますが、この"カモメ"はチック・コリアの個人名義でリリースされているんですね。そういう意味ではグループ名義となった本作がRTFの1stアルバムになるのかも知れません。そんな訳で『LIGHT AS A FEATHER』を取り上げてみました。

RTFは1970年代に8枚のアルバムをリリースしているのですが、メンバーも細かく入れ替わったりしており、そのサウンドにも変化が見られます。ラテン系音楽の影響が色濃い時期、ロック色が強くなってプログレっぽいサウンドが主体だった時期、そして大編成のホーン・セクションを加えた時期がありました。
『LIGHT AS A FEATHER』は、第1期とも言えるラテン系音楽の影響を受けた時期のアルバムです。メンバーは、チック・コリア(key)、スタンリー・クラーク(b)、ジョー・ファレル(sax、fl)、アイアート・モレイラ(ds)とフローラ・プリム(vo)の5人。
本作発表後にジョー・ファレル、アイアート・モレイラ、フローラ・プリムが抜け、ビル・コナーズ(g)とレニー・ホワイトが加わり、1973年に『Hymn To The Seventh Galaxy(第7銀河の讃歌)』をリリースします。
そして今度はビル・コナーズが抜けてアル・ディ・メオラ(g)が加わり、1976年の『Romantic Warrior(浪漫の騎士)』というとんでもないアルバムをリリースするまでの3年間はまさに黄金期と呼べる時代だったと思います。

『LIGHT AS A FEATHER』は、フローラ・プリムのヴォーカルをフィーチャーしてブラジリアン・グルーヴが心地良い作品です。そして心地良い中にも緊迫感溢れる演奏を聴かせてくれるのがRTFなんですね。このアルバムの目玉はやはり名曲「スペイン」でしょうね。

『CHICK COREA & RETURN TO FOREVER / LIGHT AS A FEATHER』
01. YOU'RE EVERYTHING
02. LIGHT AS A FEATHER
03. CAPTAIN MARVEL
04. 500 MILES HIGH
05. CHILDREN'S SONG
06. SPAIN

ゆったりとしたチック・コリアの美しいエレピで始まる01。テンポ・アップしてからのフローラ・プリムのヴォーカル、アイアート・モレイラのブラシ・ワーク、そしてチック・コリアとのエレピとの見事なユニゾンを聴かせてくれるジョー・ファレルのフルートの美しさが印象的です。ジョー・ファレルはサックスばかりでなく、フルートも本当に上手いですね。ブラジリアン・テイストの1曲。

アルバム・タイトル曲で、10分を超える大作02。ブラジリアンJAZZといった雰囲気がぴったりですね。途中4ビートに変化して、チック・コリアの素晴らしいエレピ・ソロが始まります。メンバーの息が合ったプレイが聴く者を引き込む感じですね。後半のスタンリー・クラークのベース・プレイも圧巻ですし、渋いジョー・ファレルのサックス・ソロも魅力です。

スタン・ゲッツでお馴染みのナンバー03。スリリングな演奏がたまらないナンバーです。フローラ・プリムのコーラスが良い感じですし、スタンリー・クラークのベースも凄いですが、この曲の主役はジョー・ファレルのフルートですね。サックス・プレーヤーでフルートを吹く人は多いですが、ここまで素晴らしい演奏を聴かせてくれるのはジョー・ファレルならではでしょうね。そして締めはチック・コリアのエレピ・ソロという構成の上手さが光っています。

フローラ・プリムらしいヴォーカルが堪能出来る04。この曲もスタン・ゲッツの演奏で知られる1曲ですね。この曲ではメンバー全員のスリリングなプレイが楽しめます。ジョー・ファレルのサックスも良いですが、個人的にはアイアート・モレイラの個性溢れるドラミングが大好きです。チック・コリアのピアノのプレイも大好きなんですが、やはりエレピのプレイは群を抜いて素晴らしいです。

チック・コリアのある種ライフ・ワークのひとつなんじゃないかと思える05。本当に数多くの「CHILDREN'S SONG」が存在しますが、私は「CHILDREN'S SONG#5」が1番好きです。ここに収録されている曲は正直なところ退屈な感じですね。

チック・コリアの代表曲で名曲06。この曲を名曲と呼んでもおそらく異論はどこからも出ないでしょうね。ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」のテーマをチック・コリアのエレピで演奏するという導入部。フラメンコの要素を大きく取り入れたそのメロディやリズム・アレンジは、情熱的で聴いていて本当に楽しいですね。フローラ・プリムのスキャットや手拍子を効果的に使われています。メンバー各々の楽しげで奔放なプレイの数々にワクワクさせられっぱなしです(笑)

このような素晴らしいアルバム、演奏を聴くと人間は凄いなと思いますね。どんなにサンプリング技術が発達しようとも、こんな演奏はプログラミングでは再現出来ないでしょう。譜面に落とせれば打ち込みの演奏は可能でしょう。しかし、譜面通りにきっちり演奏してこんな躍動感が表現出来るとは思えません。そこに人間の感性が加わることで譜面では決して表現出来ないものとなり、音楽をより一層楽しく素晴らしいものに変化させているんでしょうね。
RTFのアルバムでは、このアルバムの他にも鳥肌が立つほどの凄い演奏を聴かせてくれる『Romantic Warrior(浪漫の騎士)』が大好きで、いずれ紹介したいなと思っています。
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三原 善隆_NIGHT RIDER ◇ 2008年 02月 24日
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最近はマニアック路線をひた走っている感のある当ブログですが、今回もまたマニアックなアルバムを紹介してみようと思います。今回はFUSION作品なんですが、通常ではFUSIONと結び付かない楽器が主役のアルバムです。その楽器は、なんとエレクトーンなんです。
エレクトーンというのはYAMAHAの電子オルガンの登録商標なんですが、歴史は古く初代が製作されたのが1959年というから、かれこれ50年の歴史を持つ楽器です。
しかし、エレクトーンというのはソロ向きの楽器で、一つの楽器で色んな音色やリズムを出せるのが特徴なんですよね。そのエレクトーンにリズム・セクションやホーン・セクションを加えて、FUSION作品を作ろうと企画されたのが、今回紹介する三原 善隆というエレクトーン奏者が1993年にリリースした1stアルバム『NIGHT RIDER』です。

プロデュースは一流スタジオ・ミュージシャンのトロンボーン奏者・新井 英治です。新井 英治は本来オールマイティな楽器でソロ演奏がメインとなるエレクトーンの魅力を、単にマニアが聴くようなソロ演奏を収録したようなアルバムではなく、広くFUSIONファンにも聴いてもらえるような作品を作りたかったようです。
実際エレクトーン界(こう書くと狭い世界に感じますね)においては、三原 善隆はエレクトーン奏者としてはもちろんのこと、ヒット曲を持つ作曲家としても知られているようです。

アルバム制作にあたって集められたミュージシャンも豪華で、渡嘉敷 祐一(ds)、伊藤 史朗(ds)、岡沢 章(b)、和田 弘志(b)、松木 恒秀(g)、芳野 藤丸(g)、梶原 順(g)、鳴島 英治(per)、穴井 忠臣(per)、新井 英治(tb)、本田 雅人(sax)等という顔触れです。

『三原 善隆 / NIGHT RIDER』
01. NIGHT RIDER
02. Memory of Summer
03. Boarding Pass
04. Wind Abeam
05. Count Down
06. Summer Sunset
07. FU・RI・MU・KA・NA・I・DE
08. New Coast Breeze
09. Moonlight Whisper

夜のハイウェイを"ナナハン"で疾走する、そんな爽快感をイメージして書いたという01。この曲のオリジナルがエレクトーン界で大ヒットしたんだとか・・・。ここではもちろんリズム・セクションとホーン・セクションが加わり、FUSION色全開の演奏が繰り広げられています。ハードなギターはおそらく梶原 順でしょう。一番の聴き所は本田 雅人のウインド・シンセのプレイですね。

夏の浜辺で沈むゆく夕陽を眺めながら、ひと夏だけの恋を思い出してる・・・そんな雰囲気をもったメロウなナンバー02。エレクトーンも言わばシンセだと思えば良い訳で、こういうアンサンブルにも違和感無く溶け込んでいるのも当たり前かも知れません。良い曲ですよ。

海外旅行に出発する際に空港で"Boarding Pass(搭乗券)"を手渡された時の弾むような気持ちを曲にしたという03。軽快なスラップ・ベースとギター・カッティングが実に心地良く、軽やかに本田 雅人のソプラノ・サックスがメロディーを奏でます。ピアノ・タッチの三原 善隆のエレクトーン・ソロも見事です。

"Abeam"とはヨットが帆一杯に風を受けて進んでいく状態を意味する言葉だそうで、まさに風を受けて疾走するヨットのデッキで心地良い風を受けているような気分にさせる04。ボッサ調のアレンジが施され、メロディーもキャッチーで本当に心地良いナンバーですね。

"秒読み"のある種の緊迫感というか、ワクワクした感じが伝わってくるFUNKYなナンバー05。女性のコーラスが入っており、都会的でスタイリッシュな雰囲気がたまらない1曲です。スリリングなギター・ソロも聴き所です。

タイトル通りのイメージを持った06。02がオレンジ一色に染まった夕暮れ時なら、この曲は空のほとんどが黒に近いのに水平線近くがオレンジという夜の一歩手前といった夕暮れ時を連想させますね。どこかのリゾート・アイランド(モルディヴとか・・・)で聴きたいですね(笑)

未練を残しながらも別れていく恋人達をイメージしたという07。渡嘉敷、岡沢、松木という鉄壁トリオが揃っていますし、本田 雅人がテナーを吹いてます。松木 恒秀のお気に入りの曲だったとか・・・。岡沢 章の渋いベース・プレイが光っています。

東京ウォーター・フロントをイメージしたという08。こういう曲を聴きながら夜の東京湾を眺めるのもお洒落かも知れません。楽しげで弾んだ感じの曲調がとても印象的です。工業地帯の灯りもどこかエキゾチックですし、時間帯で色んな表情を見せてくれるのかも知れません。

ロマンティックなバラード・ナンバー09。妙に明るい月夜の晩という感じでしょうか。月の不思議な魅力をメロディーで表現したのではないかなと思えるナンバーです。

どちらかと言えば今の季節よりも夏にピッタリなアルバムで、リゾート感覚の溢れた爽やかなFUSIONサウンドが堪能出来ます。今の季節でも暖房の効いた温かい部屋で聴くと結構リゾート気分を味わえますよ(笑)
三原 善隆はエレクトーン(使用しているのはYAMAHA Electone ELX-1)のプレイも素晴らしいのですが、作曲家・編曲家としても実に素晴らしいセンスを持っていると思います。
メロディアスで聴きやすく、捨て曲無しのFUSIONアルバムですので、FUSIONファンの方はもちろんですが夏向きの音楽が好きな方にもお薦めです。機会があったらぜひ聴いてみて下さい。心地良い時間が過ごせること請け合いです(笑)
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CASIOPEA_4 × 4 (FOUR BY FOUR) ◇ 2008年 02月 18日
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今回紹介するのは、カシオペアが1982年にリリースした通算8枚目となるアルバム『4 × 4』です。このアルバムは、カシオペアが初めて海外の一流ミュージシャンをゲストに迎えて制作されたアルバムですね。しかもそのゲストというのが、リー・リトナー(g)、ドン・グルーシン(key)、ネイザン・イースト(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)という豪華な顔触れです。リー・リトナーがFUSIONを聴くきっかけとなった私にはたまらない1枚な訳で、リリースされた当時は本当によく聴きました。

1982年にこの面子を揃えたこと自体凄いことだと思うのですが、やはりスケジュール調整は難航したらしく、レコーディングに費やされたのはたったの1日、しかも9時間だけだったらしいですね。
その9時間で6曲を録音してしまう参加メンバーの技量には圧倒されます。リハーサルの時間も十分に無い状態で、これだけの演奏が出来る海外組の凄さは、スタジオ・ワークを数多くこなしてきた証とも言えるかも知れませんね。
アルバム全体に漂う緊迫感みたいなものと、やはりメンバーのソロ・バトル等聴き所が多いアルバムで今でも聴いているとワクワクさせてくれる1枚ですね。

『CASIOPEA / 4 × 4 (FOUR BY FOUR)』
01. MID-MANHATTAN
02. PAVENE - Pour Une Infante Defunte -
03. TRANSATLANTIC
04. GALACTIC FUNK
05. KAUAI
06. CHANDELIER

神保 彰の作曲による軽快な01。櫻井 哲夫以外のメンバー7人の演奏で、野呂 一生とリー・リトナーのオクターブ・ユニゾンによるテーマやソロ合戦、向谷 実とドン・グルーシンのソロ合戦も聴き所ですが、やはりこの曲のハイライトは神保 彰とハーヴィー・メイソンのドラムのソロ合戦でしょうね。二人の個性がよく出ている素晴らしいソドラム・ソロは、いつ聴いても格好良くて鳥肌が立ちますね。

モーリス・ラヴェル作曲のクラシック曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」をアレンジした02。しっとりとしたリー・リトナーの美しいアレンジが素晴らしいですね。野呂 一生のフレットレス・ギターの音色やリトナーのアコースティック・ギターの音色が美しいです。ネイザン・イースト以外のメンバー7人の演奏ですが、ハーヴィー・メイソンがドラムではなく、マリンバを演奏しています。このマリンバ演奏とドン・グルーシンのピアノ演奏にも耳を傾けて欲しい1曲。

リー・リトナーの書き下ろした03は、タイトなリズムが心地良い都会的で洒落たナンバーです。リトナーのギターがフィーチャーされていますが、いかにもリトナーらしい音色やフレーズには顔がにやけてしまいますね。櫻井 哲夫とハーヴィー・メイソン以外のメンバー6人による演奏です。

1981年のアルバム『CROSS POINT』に収録されていた野呂 一生の曲04。アナログ盤もB面の1曲目でした。メンバー8人全員参加による豪華なセッションが楽しめる、このアルバムの1番のハイライト曲と言えるでしょう。とにかくメンバーのソロ合戦の嵐です。ソロ合戦の時のリズム・サポートを神保 彰&櫻井 哲夫、ハーヴィー・メイソン&ネイザン・イーストのコンビが交互で演奏したり、合同演奏したり、とにかく耳に神経が集中してしまい、ある意味疲れる曲です(笑)

リー・リトナーの作曲によるリリカルなナンバー05。私はハワイには行ったことが無いのですが、カウアイ島の浜辺から見る夕陽でもイメージしているのでしょう。静かで美しい演奏はそんな光景を連想させてくれます。櫻井 哲夫以外のメンバー7人による演奏です。

野呂 一生の作曲による06。ドラムはハーヴィー・メイソンで、神保 彰はパーカションで参加しています。ハーヴィーと櫻井というリズム隊もなかなか良いですね。中間部のリトナーのソロが結構気に入ってまして、いかにもリトナーらしいフレーズ重視のソロ・ワークが見事です。野呂 一生は良い曲を書きますね。ネイザン・イースト以外の7人による演奏です。

カシオペアを愛するファンの人達はこのアルバムをどう受け止めているのかは不明ですが、私は結構好きなんですよね。ギターやキーボードが増えることで音の広がりというか、深みが増すような気がします。もちろん多重録音でも可能なんですが、やはりミュージシャンの感性が音に出ますので、それぞれの個性が重なりあって作られるコンビネーションの面白さがありますね。
緩急織り交ぜた曲順も良いですし、何より激しいソロ合戦もあるにも関わらずアルバム全体的には聴きやすく仕上げられているのが特徴ではないでしょうか。
私がこれからも聴き続けていくであろうFUSIONのフェイバリット・アルバムの1枚です。
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