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カテゴリ:FUSION系( 157 )
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PARACHUTE_6 Kinds 6 Sizes ◇ 2008年 02月 14日
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今から28年前、夢中になって聴いていたグループ、パラシュートが1980年12月にリリースした2ndアルバム『6 Kinds 6 Sizes』を今回は紹介しましょう。FUSIONが好きな方や、CITY POP関連の音楽が好きな方にはお馴染みのグループですね。パラシュートは、1970年代後半から現在に至るJ-POPを裏で支えてきたトップ・セッション・ミュージシャンの集合体です。意識していなくても日本人なら彼等の演奏を聴いたことが無いという人は、おそらく皆無であると言っても過言ではないでしょう。とにかくスタジオ・セッションの数の多さは半端じゃ無かったですね。

以前、1stアルバム『PARACHUTE from ASIAN PORT』を紹介しましたが、その時のメンバーだった小林 泉美(key)が抜け、林 立夫(ds)、松原 正樹(g)、今 剛(g)、マイク・ダン(b,Vo)、安藤 芳彦(key,Vo)、斉藤 ノブ(per,Vo)の6人組となっています。3rdアルバム『HAERE MAI』から正式なメンバーとなる井上 鑑(key)は、ゲスト・ミュージシャンとして参加しています。前作はエスニックな香りが強く大人しい感じがしましたが、本作ではロック色が強くなり、スリリングなインスト・ナンバーやAORな歌モノが多くなっているのが特徴と言えるでしょう。
このグループの看板でもある松原 正樹と今 剛のツイン・ギターは、本当に素晴らしくギター小僧達を魅了したのは言うまでもありません。当時、FUSION系のグループでもギター二人というのは珍しかったですね。同じスタジオ・ミュージシャンの集合体"SHOGUN"もメインのギターは芳野 藤丸だけでしたね。

松原・今の息の合ったギター・プレイは本当に素晴らしいの一言です。お互いの技量を認めながらも、決して負けないというライバル心が常に二人の間に存在したんだと思います。そこから二人の素晴らしいコンビネーションや緊迫したギター・プレイが生れたのだと思っています。
テクニックだけで言えば、彼等よりも上手いギタリストはいるでしょう。しかし、カッティング、リフ、ソロに至る全てのギター・プレイのおいてセンスの良さを感じさせるギター・プレイは、伊達に数多いセッションをこなし、小節単位でのプレイでも聴く者を魅了してきた二人ならではのものだと思います。

『PRACHUTE / 6 Kinds 6 Sizes』
01. HERCULES
02. OPEN YOUR FREEWAYS
03. SECRETS OF PARADISE
04. COMMUNICATION
05. AUTUMN NIGHTS
06. BANANA MOON
07. BABY ELEPHANT WALK
08. TABOO '80
09. OUR CHILDHOOD DAYS
10. JOYFUL BELLS

松原 正樹の作曲によるインスト・ナンバー01。個人的にはJ-FUSION史上、特にGUITAR FUSION史上に残る名曲であると固く信じている1曲です。ドライブ感溢れる松原 正樹のソロ・パートに、今 剛ならではのカッティング・プレイのアンサンブルが最高です。とにかく大好きな1曲でして、私の携帯の着メロにしているくらいなんです(笑)

マイク・ダンの作詞・作曲による02は、ウエスト・コースト・ロックといった爽快感溢れるナンバーです。マイク・ダンの歌声は好き嫌いが分かれるところかも知れませんが、日本人の歌う英語詞の曲と一味違いますね。松原、今のカッティング・プレイが聴き所です。

マイク・ダンの作詞・作曲・編曲によるバラード・ナンバー03。美しいメロディーとサビの盛り上がりが印象的なAORナンバーです。やはりパラシュートの面々の中にもTOTOやエアプレイのサウンドを意識していた部分はあったんでしょうね。

軽快なギター・サウンドが心地良いAORナンバー04。作詞がマイク・ダン、作曲がマイク・ダン、松原 正樹、林 立夫の共作によるナンバーで、アレンジは松原 正樹です。歌モノのバックを支えてきたからこそ可能な歌の邪魔には決してならないけれど、しっかりプレイを主張している絶妙なバランスが素晴らしいですね。

作詞が堀川 まゆみとマイク・ダンの共作で、作曲が安藤 芳彦の渋いAORなナンバー05。アルバムの中でもかなり好きな曲です。ヴォーカルはおそらく安藤 芳彦だと思います。上手くは無いのですが、マイク・ダンとは違った繊細で細い歌声がメロディーと絶妙にマッチしています。

作詞:堀川 まゆみと安藤 芳彦、作曲:安藤 芳彦によるポップ・ナンバー06。安藤 芳彦と言うと作詞家というイメージを持っている人も多いかも知れませんが、なかなか良いメロディーを書きます。

ヘンリー・マンシーニの作曲で「小象の行進」と親しまれているナンバーのカヴァー07。ユーモラスなアレンジが秀逸です。この曲では今 剛のギターがフィーチャーされており、キレの良いカッティングや得意のペダル・スティール・ギターを披露しています。

今 剛の作曲、今 剛&林 立夫のアレンジによるインスト・ナンバー08。スティーヴ・ルカサーを彷彿させる今 剛のギター・プレイが圧巻ですね。目立ちませんが松原 正樹のサポートも聴き逃せません。アルバム中の2曲のインスト・ナンバーを松原 正樹と今 剛で分けあっているのが、いかにもパラシュートらしいです。

マイク・ダンの作詞、松原 正樹の作曲による軽快なロック調のナンバー09。林 立夫のドラミングが際立っているナンバーで、TOTOのサウンドを彷彿させます。

作詞をマイク・ダンと林 立夫が、作曲が斉藤 ノブ、今 剛、林 立夫の共作による10。クリスマス・ソングと捉えることも出来るナンバーです。アコースティック・ギターのリフが印象的で耳に残ります。何故か神妙な気持ちになる曲です(笑)

私はギターという楽器が好きで、それこそ好きなギタリストは沢山います。その中でもスタジオ・ワークで活躍してきたギタリストの中では、やはり松原 正樹が1番好きなんです。彼のプレイの素晴らしさはソロにあると思います。曲の雰囲気に合わせたメロディアスでセンスの良さが光るソロのプレイは圧巻です。
歌モノのバックでこれだけ格好良いソロを弾けるギタリストは、そうはいないと思います。
最後に私が身震いした松原 正樹のソロ・プレイが聴ける曲を2曲ほど紹介しておきます。ひとつはユーミンの1979年のアルバム『悲しいほどお天気』に収録されている「影になって」の終盤のソロ、もうひとつは松原 みきのデビュー・シングルで、史上に残る名曲「真夜中のドア」の終盤のソロです。この2曲のソロは本当に素晴らしいソロですから、機会があったらぜひ聴いてみて下さい。
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AL DiMEOLA_ELEGANT GYPSY ◇ 2008年 02月 05日
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古い話で恐縮ですが、私が高校生の頃の話です。当時フォークからニュー・ミュージックへと名前が変わりつつあった時代だったのですが、高校入学と同時に安いアコースティック・ギターを購入してギターを始めました。その頃はアコースティック・ギターを弾く奴はかぐや姫、アリスといったフォーク系の音楽を好む連中で、エレキを弾く奴はディープ・パープルやツェッペリン等のハード・ロック系を好んでいた連中だったように思います。結構本腰を入れてギターを練習し、自分でも周りの奴らと比較しても負けない自信を持ってました。

高校3年頃になり、FUSIONも聴くようになるとエレキも欲しくなる訳で・・・。
バングラデシュ・コンサートでジョージ・ハリスンが弾いていた白いストラトキャスターに憧れて、グレコの白いストラト・モデルを購入したんですね。「さぁ、これからエレキの腕を磨いて上手くなるぞ!」と意気込んだ矢先、そんな意気込みを消沈させたアルバムに出会いました。このアルバムを聴いてからというもの、ギターの練習する気が失せてしまい現在に至っております(笑)

前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのはギター大好き少年の夢をぶち壊した憎きギタリスト、アル・ディメオラが1977年にリリースした2ndアルバム『ELEGANT GYPSY』です。
私よりも早くからFUSIONを聴いていた友人に、「凄いギタリストだから聴いてみな」と紹介されたんですが、アルバムを聴き始め曲が進むにつれてその素晴らしいギター・テクニックに驚愕と感動すると共に、自分の夢が萎えていくのを感じたものです。
アルバムはロック・フュージョンといった趣きの強い作品で、プログレッシヴな感じの曲もあって、全体的にスリリングさがたまらないアルバムです。スパニッシュな音楽に多大な影響を受けているのは、タイトルやジャケット写真でも判りますが、フラメンコ・ギターの名手で素晴らしいテクニックを持ったパコ・デ・ルシアとの共演というところにも現れていますね。

『AL DiMEOLA / ELEGANT GYPSY』
01. FLIGHT OVER RIO
02. MIDNIGHT TANGO ~ PERCUSSION INTRO
03. MEDITERRANEAN SUNDANCE (地中海の舞踏)
04. RACE WITH DEVIL ON SPANISH HIGHWAY (スペイン高速悪魔との死闘)
05. LADY OF ROME, SISTER OF BRAZIL
06. ELEGANT GYPSY SUITE (エレガント・ジプシー組曲)

パーカッションのミンゴ・ルイスの作曲による01。幻想的なイントロに続き、スピード感溢れるディメオラのギターとヤン・ハマーのキーボードによるユニゾンが炸裂します。お馴染みの早弾きも良いのですが、アンソニー・ジャクソン(b)とスティーヴ・ガッド(ds)の強烈なリズム隊も聞き逃せない1曲です。

ムーディーなミディアム・ナンバー02。ディメオラが単に早弾きだけでなく、こういうメロディアスなギター・プレイにおいて表現力が豊かであるギタリストであることを証明しているようなナンバーです。中盤ではテンションの高いエレキやアコギのプレイを存分に楽しませてくれます。アンソニー・ジャクソンのベースが強烈です。

初めて聴いた時にえらいショックを受けた曲のひとつ03。名曲なんですが、とにかくディメオラとパコ・デ・ルシアのアコースティック・ギターのプレイには開いた口が塞がらず、こんなギターはどう頑張っても私には弾けないという絶望感を味わいました(笑)

03でショックを受けていた私に追い討ちをかけるような絶望感を与えた04。もはや恐ろしいとさえ思える早弾きの嵐・・・。ディメオラのギターはもちろんのこと、一分の狂いのないヤン・ハマーのユニゾン・プレイ、レニー・ホワイトの迫力のドラミング、うねるアンソニー・ジャクソンのベースのプレイに圧倒されるばかりです。こんな曲を聴いた後では、ギターの練習をする気力など失せていたのも当然ですよね。

2分に満たないディメオラの美しいアコギ・プレイが心を和ませる05。当時(もちろん今もですが)、ディメオラが相当アコギにも力を入れていたのが窺える1曲です。

ディメオラがギターのみならず、パーカッションやピアノまでプレイしている9分を超える大作06。スティーヴ・ガッドのドラミングは相変らず強烈です。アルバムの中でも1番プログレッシヴ・ロックといった趣きの強い曲かも知れません。ディメオラが弾きまくりのやりたい放題ですね(笑)

リー・リトナーが私のFUSIONを聴くきっかけだったのですが、リトナーのメロディアスなギターばかり聴いていた私にとって、ディメオラはまさに青天の霹靂といった感じでした。こういうギタリストもいるんだという衝撃は、ハード・ロック系のギタリストで受けた衝撃とも違ってましたね。
私にとっては一生忘れることの出来ないアルバムの1枚です。今聴いても素晴らしい演奏に対する感動と苦い思い出が蘇ってきます。そういう意味では貴重な1枚かも知れませんね(笑)
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増尾 好秋_Sunshine Avenue ◇ 2008年 01月 25日
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今回紹介するのは、私の大好きなギタリストの一人である増尾 好秋が、日本のフュージョン・レーベル"Electric Bird"から1979年にリリースした第二弾となるリーダー・アルバム『Sunshine Avenue』です。当ブログでも今までもElectric Bird第一弾『Sailing Wonder』(1978年)とElectric Bird第三弾『Good Morning』(1980年)を紹介しました。この2枚は比較的CDでも入手しやすかったのですが、『Sunshine Avenue』だけは1990年にCD化されてから再発されておらず、買いそびれていた私はずっとCDを探していたんですが、この度BOOK OFFで念願叶って見つけることが出来ました。これで昔よく聴いていた3枚全てがCDで揃ったのは嬉しい限りです。

前作『Sailing Wonder』ではデイヴ・グルーシン、エリック・ゲイル、リチャード・ティー、ゴードン・エドワーズ、スティーヴ・ガッドという壮々たるスタジオ・ミュージシャンを招いて制作されたアルバムでしたが、どうも増尾自身は納得のいく作品では無かったようです。増尾は自分のバンドを作り、そのグループの一体感や信頼感からくる温かい雰囲気をサウンドに出したいというコンセプトで制作されたのが、この『Sunshine Avenue』ということです。
メンバーは、T.M.スティーヴンス(b)、ヴィクター・ブルース(key)、ロビー・ゴンザレス(ds)、パポ・コンガ・プエルト(per)、チャールズ・タレラント(per)、シャーリー増尾(per)に加えゲスト・ミュージシャンとしてホルヘ・ダルト(key)、マイケル・チャイムズ(harmonica)が参加しています。特に注目したいのはヴィクター・ブルースとチャールズ・タレラントの二人で、二人ともレコーディングはこれが初めてだったらしいのですが、素晴らしいプレイを聴かせてくれます。そして、収録曲6曲中でヴィクターが2曲、チャールズが3曲も曲を書いているんです。いかに増尾がこの二人を評価していたのかが窺えます。

前作に比べて、ずっとロック色の強いナンバーが多く、スリリングで緊張感溢れるメンバーのプレイと増尾のギター・プレイが圧巻です。そして強烈なグルーヴを放つT.M.スティーヴンスのベース・プレイも聴き所になっています。

『増尾 好秋 / Sunshine Avenue』
01. Sunshine Avenue
02. Your Love Is Never Ending
03. A Threesome
04. Look To Me (And See The Sun)
05. Someone
06. I Will Find A Place

アルバム中たった1曲の増尾 好秋のオリジナル曲01。ブルースっぽいイントロと思いきや、なんとも軽快なロックン・ロールとJAZZが絶妙に融合したような感じのノリの良いナンバーです。明らかに前作には無かったタイプの曲ですし、ロック色の強いギター・プレイも強く印象に残る名曲です。新人とは思えぬヴィクター・ブルースのピアノ・プレイにも注目です。

ヴィクター・ブルースが作曲、プレイ、ヴォーカルにと大活躍のFUNKYなナンバー02。増尾のギター・リフと初めてのレコーディングとは信じられないくらいのヴィクターの堂々たるヴォーカルとピアノのプレイが耳に残る1曲です。

02と同じくヴィクター・ブルースの作曲したジャズ・ロックといった趣きのスリリングなナンバー03。聴き所は何と言っても増尾 好秋、ヴィクター・ブルース、T.M.スティーヴンスの3人のソロのバトルですね。まさにFUSIONの醍醐味が詰った1曲といった感じに仕上がっています。

本職がドラマーであるチャールズ・タレラントの書き下ろしたナンバー04。メロディアスはミディアム・ナンバーで、ウェス・モンゴメリーを彷彿させる増尾 好秋のギター・プレイが非常に心地良いです。シンプルな演奏にストリングスが加わって、ロック色の強いアルバムの中でほっと一息つかせるような1曲になっています。

同じくチャールズ・タレラントの作曲によるバラード・ナンバー05。04から05へスロー・ダウンしていく感じが凄く良いですね。増尾のアコースティック・ギターとマイケル・チャイムズの哀愁の漂うハーモニカの組み合わせが素晴らしいですね。

ラスト・ナンバー06は、やはりチャールズ・タレラントの作曲による8分を超えるサンバ曲です。疾走感のある増尾 好秋のギターが印象的です。中盤辺りから徐々にテンションが上がっていく演奏が素晴らしく、パーカッションが大活躍するとともにホルヘ・ダルトのピアノのバッキングが加わって、まさにハイ・テンションになっていく感じが圧巻です。

曲の良さだけで言えば『Good Morning』の方がはるかに聴きやすいし、親しみやすいと思いますが、これだけロック・フィーリングが強い増尾 好秋のギターが聴けるというのが本作の特徴だと思います。『Sailing Wonder』、『Sunshine Avenue』、『Good Morning』の3枚を聴くと増尾 好秋のギターの魅力を存分に楽しめるという意味では、私にとっても重要な3枚になっています。増尾 好秋を初めて聴くのであれば、まず『Good Morning』をお薦めしますが、既に増尾 好秋の魅力に触れた人であれば本作は面白く聴けるのではないかと思います。
最後に余談ですが、増尾 好秋は1965~6年に早稲田大学のモダン・ジャズ研究会での新人メンバーのオーディションを受けたらしいのですが、その時の審査員に一人に1年先輩になるジャズ・ベーシストの鈴木 良雄がいて、その鈴木が増尾のギター・プレイを聴いてぶっ飛んだらしいですね。"ウェス・モンゴメリー現る"と大絶賛だったらしいですね。ちなみにタモリと増尾は同級だったとのことです(笑)
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DAVID SANBORN_HEART TO HEART ◇ 2008年 01月 17日
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今回紹介するのは、デヴィッド・サンボーンが1978年にリリースしたソロ2作目となるアルバム『HEART TO HEART』です。日本でもFUSIONがブームだった頃で、このアルバムが私とサンボーンの出会いのアルバムということで思い入れも強い1枚です。
サンボーンのアルバムの面白いのは、アルバム毎にカラーが違っていて様々なサンボーンの音楽性を楽しめるというところでしょう。その兆しは既にこのアルバムから始まっていたんだなと今更ながら、このアルバムを聴くとそう感じます。

プロデュースは、ライター、シンガー、ミュージシャン、プロデューサーと様々な顔を持つ才人・ジョン・サイモンです。参加ミュージシャンは、デヴィッド・スピノザ(g)、ヒュー・マクラッケン(g)、ハイラム・ブロック(g)、ドン・グロルニック(key)、リチャード・ティー(key)、ハーブ・ブシュラー(b)、アンソニー・ジャクソン(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、マイク・マイニエリ(vib)に、ギル・エヴァンス・オーケストラのホーンのメンバー、ブレッカー・ブラザーズやラルフ・マクドナルド(per)という贅沢な顔触れが揃っており、当然のことながら素晴らしい演奏でサンボーンをサポートしています。

『DAVID SANBORN / HEART TO HEART』
01. SOLO
02. SHORT VISIT
03. Theme from "LOVE IS NOT ENOUGH"
04. LOTUS BLOSSOM
05. HEBA
06. SUNRISE GOSPEL
07. ANYWHERE I WANDER

軽快でメロディアスなナンバー01。サンボーンのアルトはいつ聴いても素晴らしい音色ですね。スティーヴ・ガッドのタイトなドラミングも魅力の1曲です。

このアルバムの目玉と言える1曲02。ジョン・サイモンの曲をギル・エヴァンスがアレンジし、彼のオーケストラのホーン・セクションとの共演しているメロウなナンバーです。8分に近い大作ですが、ビッグ・バンド風なホーン・アレンジとメリハリの効いたリズム・セクションとのコントラストが見事です。JAZZYな1曲ですね。

詳しいことは分かりませんが、アメリカのTVシリーズのテーマ曲だという03。一聴で分かるリチャード・ティーのローズのプレイ、ハーブ・ブシュラーとスティーヴ・ガッドのリズム隊のコンビネーションも渋いですし、スピノザとマクラッケンによるギター・カッティング合戦も最高です。

ドン・グロルニックの書いたミディアム・スロウ・ナンバー04。サンボーンの好きな方にはお馴染みの曲かも知れませんね。良い曲です。哀愁漂うサンボーンのアルト、スピノザのアコースティック・ギター、マイク・マイニエリのヴァイブ等、とにかく美しいアンサンブルが魅力のナンバー。

デヴィッド・サンボーン作曲による05は、サンボーンのFUNKYなプレイが印象的な1曲です。サンボーンのプレイも素晴らしいのですが、1番耳に残るのはヒュー・マクラッケンのスライド・ギターのプレイですね。太いベースはアンソニー・ジャクソンです。

ベースのハーブ・ブシュラー作曲による06。05と打って変わって繊細なアルト・サックスを聴かせてくれます。まさにゴスペル・ソングを聴いているようなエモーショナルなプレイが素晴らしいの一言です。スピノザ、マクラッケンのコンビのギターや地味目ですがリチャード・ティーのオルガンも良い味を出しています。

ラストを飾る07は、実に都会的でメロウなサウンドが印象的です。総勢6名の演奏とは思えない音の豊かさは圧巻です。デヴィッド・スピノザ、ヒュー・マクラッケン、リチャード・ティー、ハーブ・ブシュラー、スティーヴ・ガッド、そして主役のサンボーン各々の個性が発揮された素晴らしい演奏です。4分12秒という演奏時間は短すぎるくらいです(笑)

1945年生れのサンボーンは今年で63歳になるんですね。幼い頃に小児マヒにかかり、治療の為にアルト・サックスをはじめたというのは有名な話ですが、まさに運命的である意味では神が授けた楽器だったのではないかと思ってしまいますね。サンボーンのアルトの音色は、何故あんなに人を惹き付けるのでしょうか。トム・スコットやマイケル・ブレッカーを始め素晴らしいサックス奏者は沢山いますが、テクニック云々よりもサンボーンの場合はまず音色に引き込まれてしまいます。FUSION好きの方なら、音色だけでサンボーンだと分かるのではないでしょうか。まさにワン・アンド・オンリーの素晴らしいサックス奏者ですね。自信を持ってお薦め出来る1枚です。
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渡辺 香津美_ROMANESQUE ◇ 2007年 12月 21日
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今回紹介するのは、1990年にリリースされた渡辺 香津美の『ROMANESQUE』です。1989年12月30日、オーチャード・ホールで開かれたライブの模様を収録した作品です。ブラス・アンサンブルをバックに、1930年代~1940年代に活躍し、ジプシー・スウィングという独自のジャンルを築いたとされるジャズ・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトのナンバーやお馴染みデューク・エリントンのナンバーを渡辺 香津美が演奏しています。渡辺 香津美のオリジナルは1曲も無く、単純にギターをプレイすることだけに専念した、ジャズ・ギタリスト"渡辺 香津美"を堪能出来る1枚になっています。

このライブには、井野 信義(b)、仙波 清彦(per)、吉田 美奈子(vo)に加え、松本 治(tb)の指揮・アレンジによる総勢14名のブラス・アンサンブルが参加しています。吉田 美奈子はスペシャル・ゲストとして1曲(「Caravan」)のみ参加です。

『渡辺 香津美 / ROMANESQUE』
01. Troublant Bolero (渦巻くボレロ)
02. Belleville
03. Minor Swing
04. Stompin' At The Savoy
05. Prelude To A Kiss
06. Black Beauty
07. I Didn't Know About You
08. It Don't Mean A Thing (スイングしなけりゃ意味ないね)
09. Solitude
10. Things Ain't What They Used To Be (昔は良かった)
11. Caravan
12. Take The "A" Train
13. In A Sentimental Mood

ジャンゴ・ラインハルトのナンバー01。渡辺 香津美のスパニッシュな生ギター、ブラス、仙波 清彦のパーカッションのアンサンブルが見事で、心地良い演奏が繰り広げられます。

02もジャンゴ・ラインハルトのナンバーです。明るいスイング・ナンバーで、楽しげに歌いまくる渡辺 香津美の生ギターが印象的です。仙波 清彦のドラムも見事ですね。

ジャンゴ・ラインハルトの代表曲として知られる03。井野 信義のベースもフィーチャーされていますが、とにかく渡辺 香津美の生ギターのプレイが素晴らしいナンバーです。ジプシー・スウィングと呼ぶに相応しいナンバーかも知れません。

ベニー・グッドマンでお馴染みですが、数多いアーティストに取り上げられている04。古き良き時代のJAZZの雰囲気を持っているナンバーです。この曲でも渡辺 香津美は生ギターを弾いていますが、まさに弾きまくっているという感じですね(笑)

デューク・エリントンのナンバー05。生ギターからフル・アコースティック・ギターに変わっています。何ともロマンティックなギターの音色とJAZZYなギター・プレイに酔いしれてしまいます。

エリントンのナンバー06と07はメドレー形式になっています。本来であればビッグ・バンドで演奏されていた曲を14人のブラス・セクションで表現するのですから、アレンジの松本 治は大変だったでしょうが、個人的には物足りなさを感じません。逆に渡辺 香津美のギターが際立って良かったのではないでしょうか。

08もエリントンのナンバーですね。仙波 清彦のパーカッションが大活躍するナンバーです。前半はギターとパーカッションのみの緊迫感溢れる演奏で、途中からスインギーなJAZZ演奏が繰り広げられます。

ムード漂う渡辺 香津美のギター・プレイが素晴らしい09。エリントンのナンバーです。一人で聴きたいナンバーですね。コーヒーでも良し、お酒でも良し、何か飲みながら一人で寛ぎたい時にはぴったりでしょう。

私の年齢になるとこのタイトルが妙に沁みる10。しみじみと「昔は良かった・・・。」(笑)

渡辺 香津美が最初に出会ったエリントン作品だという11。多くの人が知っている名曲ですね。この曲は何と言っても吉田 美奈子の素晴らしいヴォーカルに尽きる1曲です。

JAZZのスタンダード・ナンバーと言えるお馴染みの12。映画「スイング・ガール」のヒットで、若い人にも馴染みが深くなったかも知れませんね。この曲は当然ブラス・セクションが主役のナンバーですが、渡辺 香津美の滑らかな指の動きが目に浮かぶようなギター・プレイが圧巻です。

最後はエリントンの名バラード13。ギター1本で奏でられています。

先鋭的な渡辺 香津美の音楽、ギター・プレイも魅力ですが、このアルバムのようなJAZZYなギター・プレイも魅力に溢れていますね。つまりは、渡辺 香津美というギタリストは決して"枠に嵌らない"というのが大きな魅力なんでしょうね。
オリジナル曲を書き、アレンジし、演奏する渡辺 香津美も大好きなんですが、スタンダード曲を素晴らしい感性のギターで演奏するギタリスト・渡辺 香津美も良いですね。ジャズ・ギタリストとしての渡辺 香津美を満喫出来るアルバムとして大好きですし、お薦めの1枚です。
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今回紹介するアルバムは、斉藤 ノブ(per)を中心に村上 秀一(ds)、島村 英二(ds)、青木 智仁(b)、松原 正樹(g)、小林 信吾(key)、重実 徹(key)によるアコースティック・ユニット、NOBU-ZANSが1993年10月にリリースされたアルバム『MADE BY WOOD Ⅱ- Unplugged Peaceful Winter』です。去年の12月に、同じNOBU-ZANSによるクリスマス・アルバム『MADE BY WOODⅠ- Unplugged X'mas Light』を紹介しました。その時はまだ『Ⅰ』のクリスマス・アルバムしか所有していなかったのですが、BOOK OFFで『Ⅱ』が安く売られており、この際2枚揃えたいなと思い購入したものです。

冬をテーマに映画音楽や洋楽、J-POPの名曲をアコースティックなサウンドでカヴァーしているのですが、どちらかと言えば冬のイメージの曲を集めたという感じですね。アコースティックなサウンドが思わず首をすくめるような寒さの中、ほんわかと暖めてくれるようで心地良いアルバムになっています。
メンバー以外にも、大村 憲司(g)、吉川 忠英(g)、八木 のぶお(harmonica)、小林 正弘(tp)、菅野 よう子(accordion)が参加しています。

『NOBU-ZANS / MADE BY WOOD Ⅱ- Unplugged Peaceful Winter』
01. ゴッドファーザー 愛のテーマ
02. WONDERFUL TONIGHT
03. TIME AFTER TIME
04. A SONG FOR YOU
05. SOMEWHERE
06. アンチェインド・メロディー
07. サラ・スマイル
08. WINTER WONDERLAND
09. 落葉のコンチェルト
10. 木枯しに抱かれて

木枯しのような風のSEと共に始まる01。お馴染みのスクリーン・ミュージックですね。ピアノとアコースティック・ギターのみというシンプルな演奏なんですが、冬の寒さを上手く表現しているなと思えるナンバーです。

エリック・クラプトンの名曲02。8分の6拍子というのは、不思議と心地良い拍子ですね。八木 のぶおのブルージーなハーミニカと、大村 憲司のやはりブルージーなアコースティック・ギターがフィーチャーされています。

シンディ・ローパーの名曲03。吉川 忠英のあざやかなアルペジオ奏法と菅野 よう子のアコーディオンの音色が美しいナンバーです。青木 智仁のアコースティック・ベースと斎藤 ノブのパーカッションでリズムを支えるドラムレスなナンバーです。

カーペンターズを始めとして数多くのカヴァーが存在するレオン・ラッセルの名曲04。JAZZYな青木 智仁のアレンジが光る1曲です。青木 智仁のベース、松原 正樹のギター、小林 信吾のピアノが順にメロディーを奏でていきます。特に松原 正樹のギター・ソロは素晴らしいですね。

映画「ウエストサイド物語」で使われいた名曲05。大村 憲司のギターがフィーチャーされています。ローズとピアノを上手く使って、優しく柔らかなサウンドに仕上がっています。

ライチャス・ブラザーズの名曲06。しかし、どちらかと言うと映画「ゴースト ~ニューヨークの幻~」で使われたイメージの強さから選曲されたのではないでしょうか。再び八木 のぶおのハーモニカがフィーチャーされています。

ホール&オーツの名曲07は、FUSIONシーンでも数多くカヴァーされている曲ですね。マイク・マイニエリの『LOVE PLAY』での演奏も名演のひとつでしょう。オルガンとピアノが主役と言えるナンバーですね。吉川 忠英がギターで参加しています。

楽しげな演奏の08は、この時期には欠かせないクリスマス・ソングですね。小林 正弘のトランペットがフィーチャーされています。JAZZYなアレンジが素晴らしく、小林 信吾のピアノ・ソロから大村 憲司のギター・ソロ、そして青木 智仁のベース・ソロ、村上 秀一のドラム・ソロの繋がりは鳥肌ものです。

アルバート・ハモンドの名曲09。松原 正樹の奏でるギターの音色が美しいのが印象的です。控え目なアコーディオンの音色も晩秋から冬を連想させてくれます。

唯一のJ-POPナンバー10。小泉 今日子の名曲です。オリジナルよりもゆったりとしたテンポにして、小林 信吾のピアノ1本の演奏が、より一層冬の寒さを感じさせます。素晴らしいピアノ演奏を堪能出来ます。大ヒット韓流ドラマ「冬のソナタ」のサウンド・トラックに収録されていても違和感を感じない、そんな雰囲気に仕上がっています(笑)

プロデューサーである斎藤 ノブは、おそらくこのアルバムは腕利きミュージシャンの素晴らしい演奏に注目して欲しいという思いで作っていないだろうと思います。単純に、いろんな場面でBGMとして聴いて欲しかったのではないでしょうか。地味な印象さえ与えかねないシンプルな演奏なんですが、どの曲も"冬"を見事に表現されているように思います。
真夜中に暖房の聴いた部屋の中で、ヴォリュームを絞った小さめな音でBGMで流す、そんな聴き方がお似合いのアルバムかも知れません。
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EARL KLUGH_LIVING INSIDE YOUR LOVE ◇ 2007年 12月 02日
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今回紹介するのは、アール・クルーのソロ2作目となる、1976年にリリースされた名盤『LIVING INSIDE YOUR LOVE』です。アール・クルーと言えば、3作目の『FINGER PAINTING』が名盤として有名ですし人気も高いですよね。もちろん『FINGER PAINTING』も大好きなんですが、この2作目もアール・クルーとの出会いの1枚だったこともあり、個人的には思い入れも強く大好きなアルバムです。
プロデュースは1作目に続きデイヴ・グルーシンです。いわばアール・クルーを世に登場させた人物で、1st『EARL KLUGH』(1976年)、2nd『LIVING INSIDE YOUR LOVE』(1976年)、3rd『FINGER PAINTING』(1977年)の3枚のプロデュース作品でアール・クルーを一流ミュージシャンの仲間入りさせた人物です。この3枚のアルバムは今でも大好きでよく聴きます。

アール・クルーと言えば、ナイロン弦のアコースティック・ギターを爪弾くギタリストとしてお馴染みですが、意外にもソロ・デビュー前にはエレクトリック・ギター奏者として、活躍していたこともあったとか。73年にはジョージ・ベンソンのグループにセカンド・ギタリストとして参加したり、74年にはアル・ディメオラが加入する前に数ヶ月、あのリターン・トゥ・フォーエヴァーに参加したこともあったようですね。
そんな中にあって、アール・クルーのアコースティック・ギターのプレイに注目して、アルバムを制作したデイヴ・グルーシンというのは、やはり凄いプロデューサーですね。
参加ミュージシャンは、デイヴ・グルーシン(key)、ジェフ・ミロノフ(e.g)、ウィル・リー(b)、フランシスコ・センテーノ(b)、エディー・ゴメス(b)、ルイス・ジョンソン(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、ラルフ・マクドナルド(per)、ハーヴィー・メイソン(per)、エディ・ダニエルズ(sax)等という顔触れです。
心地良いナイロン弦のアコギ・サウンドに魅了され、気持ちが癒される1枚です。

『EARL KLUGH / LIVING INSIDE YOUR LOVE』
01. CAPTAIN CARIBE
02. I HEARD IT THROUGH THE GRAPEVINE (悲しいうわさ)
03. FELICIA
04. LIVING INSIDE YOUR LOVE
05. ANOTHER TIME, ANOTHER PLACE
06. THE APRIL FOOLS
07. KIKO

デイヴ・グルーシンの作曲によるFUSION史に残る名曲01。リー・リトナーを筆頭に多くのミュージシャンに取り上げられ、デイヴ・グルーシンも自身の『MOUNTAIN DANCE』(1979年)で取り上げていましたが、初演となるのはこのアール・クルーの演奏です。スティーヴ・ガッド、ウィル・リーという強力なリズム隊をバックに、ジェフ・ミロノフの軽快なギター・カッティングが加わり、アール・クルーの迫力のあるアコースティック・ギター・サウンドが冴えわたる1曲です。

ミラクルズ、アイズレー・ブラザーズ、マーヴィン・ゲイ等が取り上げていた、ノーマン・ホイットフィールドの作曲による名曲のカヴァー02。イントロ部のメロウなアコギ・ソロが印象的で、徐々にテンションが高まっていくようなアコギ・プレイが素晴らしいです。メロウとファンキーを併せ持つアール・クルーならではのプレイですね。パティ・オースティンがコーラスで参加しています。

アール・クルーの作品03。サンバ調のナンバーで、明るく軽快なサウンドが魅力です。躍動感溢れるアール・クルーのプレイ、スティーヴ・ガッドの軽快なドラミング、デイヴ・グルーシンの渋いローズのプレイが印象的なナンバーです。ラルフ・マクドナルドのパーカッションも、こういう曲には欠かせませんね。

私の大好きな曲04。まさに"Mellow Fusion"といった感じの名曲で、デイヴ・グルーシンとアール・クルーの共作です。ジョージ・ベンソンが取り上げた事でも有名になりましたが、昔TVのワイド・ショーのような番組のBGMに頻繁に使われており、聴いたことがある人も多いでしょう。ヴィヴィアン・チェリー、パティ・オースティン等のコーラスによるコーラス部は、特に耳に残る美しいメロディーです。

デイヴ・グルーシンの作曲による05。都会的で洒落たサウンドとアレンジが、いかにもデイヴ・グルーシンらしいナンバーですね。特にエディ・ゴメスのウッド・ベースは、やはり渋いの一言です。スティーヴ・ガッドとエディ・ゴメスの相性は抜群ですね。ストリングスの美しさも際立っているナンバーです。

1969年にディオンヌ・ワーウィックがヒットさせた、バート・バカラックとハル・デヴィッドによる名曲のカヴァー06。アール・クルーのギター1本で奏でられています。本当にうっとりと聴き惚れてしまう演奏ですね。これだけギターが弾けたら、さぞ楽しいだろうなと思ってしまいます(笑)

アール・クルーの作曲によるラテン色の強いナンバー07。この曲も大好きなナンバーなんですが、イントロ部のルイス・ジョンソンのベース・プレイが良いですね。この曲はドラム・レスで、デイヴ・グルーシンとハーヴィー・メイソンがパーカッションで大活躍しています。ドラム・レスを感じさせないデイヴ・グルーシンのアレンジが秀逸です。

アルバムの主役であるアール・クルーの素晴らしさは言うまでもありませんが、その素晴らしいギター・プレイを盛り上げ、陰で支えているのは、やはりデイヴ・グルーシンのアレンジでしょう。デイヴ・グルーシンのアレンジは本当に繊細で、アール・クルーのデリケートな爪弾きにマッチしていますね。デイヴ・グルーシンの才能とアール・クルーの才能が見事に融合した、本当に素晴らしいアルバムだと思います。
今回記事を書くにあたって久しぶりに聴きましたが、本当に良いアルバムです。どんな季節に聴いても違和感が無く、気分が癒されます。お薦めの1枚です。
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JIM HORN_NEON NIGHTS ◇ 2007年 11月 21日
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今回紹介するのは、実に渋いFUSIONアルバムです。サックス奏者であるジム・ホーンが1988年にリリースした『NEON NIGHTS』です。ジム・ホーンは、FUSION好きな人よりもロックやポップスが好きな人の方が馴染みが深いかも知れませんね。
1960年代からスタジオ・ミュージシャンとして常に第一線で活躍してきたサックス奏者のジム・ホーン。1960年代にはフィル・スペクター、ビーチボーイズ、モンキーズ、ランディ・ニューマン等のレコーディングに参加し、60年代後半にはレオン・ラッセルやリタ・クーリッジ等のレコーディングに参加し、スワンプ・ロックの世界にも大きく関わっていきます。以降、ジョージ・ハリスンを筆頭にポール・マッカートニー、ジョン・レノン、リンゴ・スターの作品にも参加します。つまり、元ビートルズのメンバー全員の作品に参加した唯一のミュージシャンと言われているのがジム・ホーンなんですね。
70年代以降は、カーペンターズ、スティーリー・ダン、トッド・ラングレン、ローリング・ストーンズ、キャロル・キング、TOTO、エルトン・ジョン、バリー・マニロウ等数え切れないアーティストの作品に参加しています。ロック好きな人は1度は彼の名前をクレジットで目にしているでしょう。

そんなジム・ホーンのソロ・アルバム、何枚かリリースされているのは知っていたんですが、なかなか聴くチャンスが無かったのですが、私の宝箱とも言えるBOOK OFFで輸入盤ですが格安で手に入れることが出来ました。これが実に良いアルバムで、FUSIONアルバムとしても魅力一杯の1枚です。
参加しているメンバーも渋い顔触れで、元ステッペンウルフのラリー・バイロム(g)を筆頭にデイヴ ポメロイ(b)、ランディ・マコーミック(key)、デヴィッド・ハンフェリーズ(ds)等・・・。特にラリー・バイロムは、随所で素晴らしいギター・プレイを披露しています。そして、主役のジム・ホーンはテナー、アルト、ソプラノ・サックス、フルートを使い分け素晴らしいプレイを聴かせてくれます。時にエモーショナルに、時にリリカルに、時にメロウにと彼のキャリアがそのまま音になっているような素晴らしいサウンドです。

『JIM HORN / NEON NIGHTS』
01. NEON NIGHTS
02. TRANQUILITY
03. DIVIDED SOUL
04. HANALEI SUNSET
05. LIDO LADIES
06. ARMS OF FIRE
07. MIDNIGHT ENCOUNTER
08. PEANUT MAN
09. 42ND STREET
10. HOT CHOCOLATE

アルバム・タイトル曲01。ネオン煌く都会の夜の喧騒といったイメージでしょうか・・・。デイヴ ポメロイのスラップ・ベース・プレイとラリー・バイロムのギター・プレイが光っていますし、ジムはテナー・サックスで歌いまくってます。アルバムの冒頭に相応しいナンバーでしょう。

ソプラノ・サックスの音色が美しいメロウ・ナンバー02。シンプルなアレンジがメロディーを際立たせていますね。バッキングに徹しているラリー・バイロムのギターが良い味を出しています。

キャッチーなメロディーの03。ミディアム・テンポが心地良く、ジムのソプラノ・サックスによるエモーショナルなプレイが素晴らしいですね。この曲でもラリー・バイロムのギターが光っています。本当に良いギタリストだと思います。

波の音のSEで始まる04。ちょっと季節外れの感じもしますが、水平線に沈みゆく夕陽の雰囲気がよく出ています。

ミステリアスな印象を与えるナンバー05。雰囲気はミステリアスですが、メロディーはキャッチーで聴き易いです。アレンジが凝っているナンバーと言えますね。ジムはテナーとソプラノ・サックスを吹き分け、ラリー・バイロムの軽快なギター・カッティングと渋いソロも印象的です。

ロック色の強いアレンジの06。耳に残るギター・リフ、カッティングが冴えているナンバーで、ジムの熱いブロウも聴き所です。

FUSIONというよりもAORっぽさを感じてしまう洒落たナンバー07。ジムのアルト・サックスに加え、美しいフルートをも披露していて彼の器用な一面を感じさせます。夜のドライブのBGMに最適な曲です。

スタッフのニューヨーク・サウンドを彷彿させる08。ソプラノ・サックスとアルト・サックスの多重録音によるユニゾン・プレイは、まるでトム・スコットのようですね。

09も都会的なサウンドが印象的なナンバーです。楽しげな雰囲気が伝わってきます。シンプルなリズムのリフに、ラリー・バイロムのギターとジムのアルト・サックスが楽しげに歌っています。

アルバムの最後はバラードと思いきや、アルバムに中でも最もリズムを効かせたFUNKYなナンバー10。デイヴ ポメロイとデヴィッド・ハンフェリーズのリズム隊が大活躍している1曲です。それにしてもジムのサックスはよく歌いますね。

ジム・ホーンのプレイは様々のアーティストの作品で聴いていましたが、ソロ・アルバムを聴いたのは初めてでした。実にバランスの良いアルバムで正直驚きました。ずば抜けて目立つ曲が無いのですが、逆につまらない曲も1曲もありません。アルバムを通して楽しんで聴けてしまう、そんな感じです。
スタジオ・ミュージシャンとして長年一線で活躍してきただけに懐の広い、表現豊かなサックス・プレイは、流石の一言ですね。ジャンルとしてはFUSIONの範疇だと思いますが、ロック・ファンにも聴いて欲しいと思う1枚です。
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渡辺 貞夫_FLY ME TO THE MOON ◇ 2007年 11月 12日
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今回紹介するのは、40年も前に録音された渡辺 貞夫のボサノバ・アルバムです。1967年のリリース当時のアルバム・タイトルは『ボサノバ '67』だったらしいのですが、CD化の際に『FLY ME TO THE MOON』に変更されたようです。ライナー・ノーツによると、1967年から1969年頃まで日本でボサノバが大流行したようで、そんな背景もあって天下のナベサダも当時はボサノバ・ナンバーをよく取り上げていたようです。

セクステットによる演奏が中心ですが、曲によってはストリングスが加わっています。メンバーは、渡辺 貞夫(sax,fl)、中牟礼 貞則(g)、菊池 雅章(p)、鈴木 勲(b)、富樫 雅彦(ds)、宮田 英夫(per)。
収録曲は12曲。どれもボサノバの名曲ばかりで、誰もが1度は耳にしているような有名なナンバーです。
ジャケット写真は季節外れな感じもしますが、お洒落で洗練されたムードの演奏は聴く者をリラックスした気分にさせてくれます。
日曜日の夜、明日への活力の為にもこういうアルバムを聴いて鋭気を養うのも良いものですよ。

『渡辺 貞夫 / FLY ME TO THE MOON』
01. THE GIRL FROM IPANEMA (イパネマの娘)
02. MEDITATION (メディテーション)
03. BLACK ORPHEUS (黒いオルフェ)
04. O GRANDE AMOUR (オ・グランジ・アモール)
05. BONITA (ボニータ)
06. DINDI (ディンディ)
07. MAS QUE NADA (マシュ・ケ・ナダ)
08. THE SHADOW OF YOUR SMILE (いそしぎ)
09. FLY ME TO THE MOON (フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン)
10. A MAN AND WOMAN (男と女)
11. SO DANGO SAMBA (ソ・ダンソ・サンバ)
12. SHE'S A CARIOCA (彼女はキャリオカ)

アントニオ・カルロス・ジョビンの代表作とも言える1曲で、アストラッド・ジルベルトが歌って大ヒットした01。16人編成のストリングスを交えて、ナベサダが美しいフルートを聴かせてくれます。

02もカルロス・ジョビンの作品です。曲名で言われてもピンとこないかも知れませんが、聴けば知っているという人が多い曲だと思います。ナベサダのアルト・サックスのムード溢れるプレイが印象的です。

ルイス・ボンファ作曲による03は、映画「黒いオルフェ」のテーマ曲として有名ですね。若干暗いイメージはありますが、哀愁味を帯びた曲です。しっとりとしたフルートとピアノとでメロディーを紡いでいきます。

04もカルロス・ジョビンの作品です。この曲も曲名は知らなくても聴いたことがあるというタイプの曲でしょう。もちろん、ボッサが好きな人やカルロス・ジョビンをこよなく愛している人にはお馴染みかも知れません。

カルロス・ジョビンの作品05。美しいストリングスに実に渋いアルト・サックスの音色が絡む洒落たアレンジが印象的なナンバーです。

06もカルロス・ジョビンの作品です。いかにボサノバの世界においては、カルロス・ジョビンの作品が重要な意味を持っているか窺えますね。中牟礼 貞則のアコースティック・ギターは、地味ですがまさに職人というプレイです。

ブラジルを代表する歌手、ジョルジュ・ベンの作品07。セルジオ・メンデスが取り上げたことでも有名なナンバーで、知っている人も多いと思います。スリリングなセクステットの演奏が素晴らしい1曲。ナベサダの熱いブロウが炸裂します。

映画「いそしぎ」の主題曲として有名な08。ジョニー・マンデルの作品ですが、元々はボサノバ曲ではないようですが、ボッサ調のアレンジで演奏されることの多い曲のようです。日本でもコーヒーのCM等にも使われていて、広く知られている曲ですね。

アルバム・タイトル曲09。バート・ハワードの作品で、この曲もボッサ調のアレンジが施されてヒットした曲だとか・・・。名曲です。この曲もCMで使われることの多い曲のひとつですから、知っている人の多い曲だと思います。

映画「男と女」の主題歌10。フランシス・レイ作曲の名曲のひとつです。この曲もボサノバのアレンジで映える曲かも知れませんね。叙情的なフルートが美しく印象的です。

再びカルロス・ジョビンの作品11。明るくテンポのあるアレンジが爽やかです。主役はナベサダのサックスなのは間違い無いのですが、常に良い脇役として良いプレイを聴かせてくれるのが、ピアノの菊池 雅章です。この曲でも素晴らしいピアノ・ソロを披露しています。

最後の12もカルロス・ジョビン作品。この曲では中牟礼 貞則のギターがお気に入りです。

如何せん40年も前にレコーディングされたものなので、録音状態はよくありません。しかし、逆に音の古さがいい味になっていると思います。
12曲収録されているのですが、3分を超える曲は5曲であとは全部3分に満たない曲ばかりです。ちょっと一息というコーヒー・タイムのBGMとして流すのに丁度良い長さかも知れません。
一流JAZZマン達のボサノバ・アルバムですが、決して難しいことはなくて聴き易さを重視したアレンジで、どちらかと言えばイージー・リスニング的な色が濃いアルバムです。
たまにはこういうイージー・リスニング的なアルバムも良いかなと取り上げてみました。明日(月曜日)からはまた仕事ですね。ゆっくり休んで頑張りましょうね(笑)
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TOM SCOTT_BLOW IT OUT (Part 2) ◇ 2007年 11月 05日
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今回はブログを始めた頃に紹介したものの、今読み返すとあまりにも記事の内容が薄っぺらだったので改めて紹介するPart 2シリーズです。そして、FUSION関連初のPart 2の記事になると思います。

今回紹介することにしたのは、トム・スコットが1977年にリリースしたアルバム『BLOW IT OUT』です。本当は今回、トム・スコット&L.A.エキスプレスの22年ぶりのリユニオン・アルバム『Bluestreak』(1996年)を紹介するつもりだったのですが、秋の夜長にしっとりと聴きたいアルバムということで再び『BLOW IT UP』(過去の拙い記事はコチラ)を選びました。前回紹介した時はCDを所有しておらず、中古店等を懸命に探していたんですが見つかりませんでした。それでも根気強く探せば良い事はあるものですね、半年位前にBOOK OFFで輸入盤を見つける事が出来ました(笑)

1968年に1stアルバムをリリースしてから暫くの間、L.A.を活動の中心にしてきたトム・スコットが、単身ニューヨークに渡り東海岸の腕利きミュージシャンとの他流試合とも言えるアルバム『New York Connection』をリリースしたのが1976年、その翌年に制作されたのが『BLOW IT OUT』でした。トム・スコットのサックスはニューヨーク・サウンドにも凄く似合っており、特にSTUFFの面々による都会的なサウンドに乗せて官能的かつ叙情的なブロウは素晴らしいですね。
参加ミュージシャンは、スティーヴ・ガッド(ds)、リック・マロッタ(ds)、クリス・パーカー(ds)、チャック・レイニー(b)、ウィル・リー(b)、ゲイリー・キング(b)、エリック・ゲイル(g)、ジョン・トロペイ(g)、レイ・パーカー.Jr(g)、ヒュー・マクラッケン(g)、リチャード・ティー(key)、ラルフ・マクドナルド(per)等という豪華な顔触れです。特にリチャード・ティーは全曲に参加しており、"TOM SCOTT Meets STUFF"というサウンドの軸になっています。プロデュースはトム・スコットとエンジニアのハンク・シカロです。

『TOM SCOTT / BLOW IT OUT』
01. GOTCHA (Theme from Starsky & Hutch)
02. SMOOTHIN' ON DOWN
03. DREAM LADY
04. I WANNA BE
05. SHADOWS
06. YOU'VE GOT THE FEEL'N
07. DOWN TO YOUR SOUL
08. IT'S SO BEAUTIFUL TO BE

私も放映されていた1977年当時大好きだった刑事ドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」のテーマ曲01。いかにも刑事ドラマらしく活動的で溌剌としたサウンドが特徴です。メロディー部ではリリコーンを中心に、ソロ・パートではサックスを吹きまくるトム・スコットが印象的です。

イントロでのリチャード・ティーならではのオルガン・サウンドが、いかにもSTUFFっぽい02。サックスの多重録音、ジョン・トロペイとヒュー・マクラッケンのコンビのギター・プレイが実に渋いです。

美しいストリングスの調べとリチャード・ティーのローズの音色が印象的な03。タイトル通り美しいナンバーです。スティーヴ・ガッドのドラミングとラルフ・マクドナルドのパーカッションが、目立ちませんが曲の良いアクセントになっていると思います。

リチャード・ティーの作曲による04。これぞリチャード・ティーというピアノを聴かせてくれるポップなナンバーです。スティーヴ・ガッドとチャック・レイニーの堅実なリズム隊のプレイやエリック・ゲイルのギター・プレイを楽しめる1曲です。

数多いトム・スコットの楽曲の中でも私が最も好きなナンバー05。これぞ名曲中の名曲だと思っています。灰色の雲が覆う冬のニューヨークというイメージが浮かんでくる素晴らしいバラード・ナンバーです。せつなささえ感じるトム・スコットのサックスとリチャード・ティーのローズの音色が空間を埋めていきます。控え目なストリング、エリック・ゲイルの素晴らしいアコースティック・ギターのソロ等、とにかく渋すぎる1曲です。

R&Bフィーリングの強い06。サックスの多重録音による軽快なメロディーとゲイリー・キングのベースのプレイが素晴らしく、リチャード・ティーのワン・アンド・オンリーなパーカッシヴなピアノとスティーヴ・ガッドのドラミングがリズムの要となっています。この曲も好きなんです。

ブルージーなナンバー07は、トム・スコットのヴォーカルが聴ける貴重なナンバーです。リチャード・ティーとスティーヴ・ガッドのプレイはまさにSTUFFサウンドそのもの。エリック・ゲイルのカッティングとヒュー・マクラッケンのギター・ソロに至ってはまさに職人技といった感じです。

ラルフ・マクドナルドとウィリアム・ソルターという名ソング・ライター・コンビの作品08。メロディアスなバラード・ナンバーです。オーソドックスなアレンジな分、トム・スコットのサックスが一際光っていますね。

とにかく夜が似合うアルバムです。特に空気が澄んできて夜景が綺麗に見えるこれからの季節、ドライブのお供にぴったりな1枚だと思います。大学生の頃、友人とこのアルバムのカセットを積んで意味も無く真夜中のオフィス街をドライブしたのを思い出します(笑)
個人的には超が付くお薦めのアルバムなんですが、なかなか現在は入手困難なようです。もし、中古店等で見かけたら購入をお薦めしておきます。泣きと言えばデヴィッド・サンボーンの代名詞のような印象がありますが、トム・スコットも負けてはいません。大人向けのFUSIONアルバムです。
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