本当に久しぶりに書くアルバム・レビュー記事になります。
また、随分長い間怠けてきてしまいましたが、今回のレビュー記事が復活第一弾となればと思っております(続くかどうか分かりませんが・・・笑)。
あれこれと忙しかったのですが、最近は落ち着いてきていて時間的にはいつでも記事を書ける状態にありました。ただ、復活第一弾のアルバム・レビュー記事は、今回紹介するアルバムにしようと決めていたんです。そのアルバムは3月14日に発売され、それから約10日間久しぶりにがっつりと聴き込みました。
そのアルバムとは、私がデビューからずっと聴き続けている角松 敏生のニュー・アルバム『REBIRTH1 ~re-make best~』です。
この『REBIRTH1』は、私が大好きだった彼の80年代(85年以前)の曲(1曲を除き)をリメイクしたアルバムです。角松のライナーの言葉を借りるなら、"過去の曲に今のスキルでもう一度花を持たせたい"という想いで制作されたアルバムという事になります。
あれこれと書きたい事が沢山あるのですが、結論を先に言ってしまうと今回のアルバムは結構良いですね。はっきり言って好きです(笑)
好きな理由は簡単明瞭、ズバリ曲が良いからです。
私は音楽にとって最も重要なのは、歌詞でもアレンジ・演奏でもなくメロディーだと思ってますので、良いメロディーを持った楽曲が集められたアルバムは繰り返し聴きたくなりますし、お気に入りの1枚と成り得る訳です。
やはり80年代に作られた角松の曲は良いんですよ、本当に。最近の角松の曲に魅力を感じなくなってしまっていますが、このアルバムのリリースのニュースを知り、収録予定の曲名を見ただけで購買意欲がふつふつと湧いてきた位ですから・・・(笑)
収録曲が皆良い曲だと判っている訳ですから、最近のオリジナル・アルバムとは違って何の迷いもなく購入出来ました。
さて、好きなアルバムとは書きましたが、手放しで喜んで受け入れている訳でもないのです。
ここからは私が感じた事を率直に書いていきます。
このアルバムがリリースされることを知り、アルバム・タイトルを目にした時、まず感じたのは、やはり最近の角松のアルバム・セールスやライブの集客状況が芳しくないのだろうなという事。80年代の角松の曲は大好きだけど、最近の曲をつまらないと思っている私のようなオールド・ファンを取り込もうとしているのだろうということを、タイトルの『REBIRTH1』の"1"が付いているところでヒシヒシと感じました。
気持ちは分かりますが、80年代の角松の曲が大好きだった人の多くは80年代の曲のリテイクを望んではいないと思うのです。
では何を望んでいるのか?それは後程また触れたいと思います。
次にこのアルバムを聴いてはっきりとした事を述べておきます。これが今回1番私が言いたい事なんですが・・・。
長年活動を続けているアーティストにとって、過去の作品に関して今思えば「ああしとけば良かった」とか「こうしとけばもっと良くなった」と感じるのは当然だろうと思います。今ならもっと完成度の高い楽曲になるという自信もあることでしょう。
しかし、ハッキリ言います。どんなに歌が上手くなっていようが、録音技術の進歩によって良い音で録音が可能になろうが、オリジナルを凌駕するのは絶対に無理なんですね。
あくまで私個人の意見ですが、この事を誰よりもよく分かっているのは、日本では山下 達郎ではないかと思っています。山下 達郎は今までもそうでしたが、これから先も過去の曲のリテイクはきっと作らないと思います。
角松自信もライナーに書いてますが、"その時出来うる最大限の力を振り絞って制作してきた曲たち"だと・・・。そうなんです。これが重要なんです。その時代その時代に最大限の力で作られた楽曲は、当時のアーティストの勢いとか感情、そして時代の空気感というものが録音された音源に沁み込んでいるんです。それが曲のパワーとなって我々リスナーの心を揺さぶったと思うのです。だからどんなにテクニック的に向上したとしてもオリジナルを超える楽曲のパワーは生まれてはこない気がします。
だからこそ、角松には今の時代だからこそ作れるオリジナル曲で再び私の心を揺さぶるようなメロディーを持った曲を作って欲しいと願わずにおれません。リテイクもたまには良いでしょう。でもリテイクを制作するのならば、80年代のアルバムのリマスター盤のリリースしてくれた方が嬉しいです。それが先程書いたオールド・ファンの望みではないでしょうか。
えらく前書きが長くなりました(笑) ここから曲毎の感想を書いてみたいと思います。
角松に何の興味の無い方はどうぞパスして下さい。
『角松 敏生 / REBIRTH1 ~re-make best~』
01. Do You Wanna Dance
02. Tokyo Tower
03. Girl in the Box ~22時までの君は・・・
04. RUSH HOUR
05. A Widow on the Shore
06. SUMMER EMOTIONS
07. Wave
08. No End Summer
09. After 5 Crash
10. あるがままに
「Do You Wanna Dance」
オリジナルは1983年にリリースされた12インチ・シングル。この曲はヴォーカル、演奏、そしてグルーヴ感もとても気に入っています。
何よりオリジナルのイメージが壊されていないのが嬉しいですね。やっぱり80年代の角松の曲は良いですよね~(笑)
今回のアルバムは、ジャケット写真とかSE、そして曲順に至るまで徹底的に80年代を意識していて面白いです。
「Tokyo Tower」
オリジナルは1985年にリリースされたアルバム『GOLD DIGGER』に収録され、シングルにもなった名曲。
テンポを落としてヘヴィーファンク路線を狙ったとのこと。
テンポを落としたことに関しては、面白いと思いましたし、実際悪くはないのですが、いただけないのがサビの"トーキョータワー"のリフの部分。
最初は"トーキョータワー"なのに2回目からは何故か"トキオタワー"と歌ってる。どうにもこの部分に違和感を感じます。
普通に"トーキョータワー"と歌ってくれてれば良かったのですが・・・。悪くないだけに残念!
「Girl in the Box ~22時までの君は・・・」
オリジナルは1984年リリースのシングル曲。ファンにはお馴染みの人気の高い曲です。この曲のアレンジ、ヴォーカルは結構好きです。
これもオリジナルにイメージが壊れていないという感じでしょうか。
この曲も好きなんですが、個人的は「Lucky Lady Feel So Good」を収録して欲しかった。『REBIRTH2』に期待しましょう。
「RUSH HOUR」
オリジナルは1982年リリースのアルバム『WEEKEND FLY TO THE SUN』に収録。
実はこの曲大好きだったんで、正直1番楽しみにしていた曲でもありました。実際に聴いてみるといけません。
サビのメロディーを微妙に変えやがった(笑)。
それに何だかラッシュアワーの慌しさが全然感じられません。
こんなリテイクならば、オリジナル・アルバムのリマスター盤をぜひお願いしたいものです。
「A Widow on the Shore」
オリジナルは1983年リリースのアルバム『ON THE CITY SHORE』に収録。
今回1番腹立たしかったリテイクがこの曲でした。歌詞だけでなくタイトルも変えやがった(笑)。
元々のタイトルは「BEACH'S WIDOW」だったのですが、文法的におかしいということで変えたらしいが、文法的におかしいのは英語だけでは無かったのだし、何を今更って感じですね。
私は「BEACH'S WIDOW」というタイトルの方が好きですし、良いと思ってます。
浜辺で一人淋しそうにしている女性をストレートに連想させてくれるタイトルだったように思いますが、どうでしょう?
「SUMMER EMOTIONS」
オリジナルは1983年リリースのアルバム『ON THE CITY SHORE』に収録。
オリジナルとは微妙に違った歌いまわしの部分があるものの許容範囲といったところでしょうか。違和感無く耳に溶け込んでくる感じで良いですね。
私的にはそれほど好きな曲では無いので、そう感じるのかも知れませんが。
「Wave」
オリジナルは1981年リリースの1stアルバム『Sea Breeze』に収録。
元々シンプルなアレンジな曲ですし、最近妙に歌に自信を持っているように感じる角松が選曲したというのが何となく頷ける1曲。
確かに歌は上手くなってますが、発音はしっかりお願いしたいもの。
"またであうため"という部分が"またでやうため"と聴こえるのは私だけだろうか・・・?
オリジナルのイメージが壊れていないのは嬉しいですね。
「No End Summer」
オリジナルは1985年にリリースされたアルバム『GOLD DIGGER』に収録され、シングルにもなり角松のライブでは定番の曲。
定番曲ということで歌い過ぎて厭きていたのか、最近のライブはこういう歌い方なのか、歌いまわしがオリジナルとは違っていて、妙に歯痒い感じのするヴォーカルになっています。あくまで私の感想ですよ(笑)
こういう定番曲こそ、オリジナルのメロディー・ラインを大切にして欲しいですね。
せっかくの名曲がほんの些細なことで台無しってこともありますから。
「After 5 Crash」
オリジナルは1984年にリリースされたアルバム『After 5 Crash』に収録。
テンポを落としたアレンジはグルーヴ感もあって好みなんですが、この曲に関してはテンポを落としては駄目な気がします。
本当に良いアレンジだとは思います。
しかし、オリジナルの方が確かに忙しない感じはするのですが、"アフター5にクラッシュする"という感じが出ていたと思うのです。
早く仕事を片付けて街へと繰り出したいという焦りの気持ちを、オリジナルのテンポに感じていました。
「あるがままに」
オリジナルは1992年リリースのアルバム『あるがままに』に収録。アルバム中唯一、1990年代の曲です。
実は今回のリテイクで1番良い出来だと感じたのが意外にもこの曲でした。
とにかくヴォーカルの表現力が当時よりはるかに豊かになっていて、心地良く聴けた1曲でした。
私好みの曲では無いのですが、非常に気持ち良く聴けた1曲でした。改めて良い曲だと感じさせてくれましたね。
終盤のコーラスにライブのお客さんのコーラスを取り入れるというのは、既にスターダスト・レビューがやっていましたね。
ファン・サービスといったところでしょう。
もし、このコーラスが無かったとしても角松のヴォーカルだけで聴き応え十分だったと思います。
久しぶりの音楽記事でしたので気合が入ったのか随分長くなってしまいました。
角松の音楽に興味の無い方には退屈な記事だったかも知れませんね。でも80年代の角松の音楽が好きだった人も、角松の音楽をこれから聴いてみたいと思っている人も聴いて損の無いアルバムだと思います。
オールド・ファンには、色んな楽しみ方が出来ることでしょう。
そして、これから聴きたいと思っている人には、角松が書いた良いメロディーを集めたアルバムなので入門編としても悪くない気がします。
ぜひ1度聴いてみて下さい。
久しぶりに長い時間、PCの前に座ってキーボードを叩いていたんで疲れました(笑)
次はどんなアルバムを紹介しようか考えながら眠ることにします。お休みなさい。